春へ向け、収穫と課題を得る

陸上競技

 今回で100回目を迎える日本選手権クロスカントリー選手権。ことしも全国から強豪が集い、福岡・海の中道海浜公園でハイレベルなレースを繰り広げた。早大からは平和真(スポ4=愛知・豊川工)、光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工)、太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体)が出場した。結果は平は8位、光延が16位、太田が26位で、早大は団体2位に入賞した。

「前でどれだけ勝負できるか」と語ったように平は序盤から積極的な走りを見せる。東海大の鬼塚翔太らと第1集団を形成し、先頭でレースを展開。4キロ地点を過ぎたところで後半のスパートに備えあえていったん集団の後方に下がった平は、そこから坂を利用して外側から再び先頭に立ち、レースを引っ張った。一方3周目まで先頭集団でゆとりを持つことを目標に掲げた光延は4キロ地点までは前に食らいつく。しかし足の不調もあってか思いのほか体は動かず、徐々に先頭から離されてしまう。太田も光延と同様、3周目から後退し始め、その後は1人旅となった。

集団をけん引するなど、積極性が目立った平

 だんだんと先頭集団の人数が減っていく中、9キロ地点から平が遅れ始め、じりじりと第1集団から離されてしまう。「力不足を感じました」(平)。結局、平は8位の36分37秒でゴールした。光延、太田は集団から離れた後に単独走が続く。光延は鹿児島合宿で練習してきた1人でのレース運びを生かし、後半で粘りを見せた。「前の僕だと(先頭から)離れてからズルズルと下がってしまうレースが多かったが、今回は少しくらい粘ることができた」と語るようにレース後半の走りが収穫になった。対して太田は終盤になってからも粘れず、苦しい走りに。26位でレースを終えた。

光延は後半の単独走の場面で成長を実感

 平は早大としての最後のレースとなった。故障なく練習を継続できており、このまま春のトラックシーズンにつなげていきたい。太田、光延は3月に行われる日本学生ハーフマラソン選手権に出走予定だ。ユニバーシアード選考会も兼ねているこの試合で高順位を獲得し、関東学生対校選手権など主要な大会に向けて勢いに乗りたいところだ。この試合で得た課題と収穫とともに、それぞれの道へ進んでいく早大の選手から目が離せない。

(記事 佐藤詩織、写真 吉村早莉、藤岡小雪)

結果

▽シニア男子12キロ

平和真(スポ4=愛知・豊川工) 36分37秒(8位)自己新記録

光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工) 37分22秒(16位)自己新記録

太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体) 38分00秒(26位)自己新記録

平和真(スポ4=愛知・豊川工)

――きょうのレースプランと目標を教えて下さい

クロカンでどんどん振り落とされていくレースなので、プランなどは特になく前でどれだけ勝負できるかというところで、行けるところまで行こうという感じでした。

――きょうの調子はいかがでしたか

実業団の寮に入って練習を始めているんですけど、少し疲れ気味な部分もあってどうなるかなとも思っていたんですが、2日前から調子も上がってきたのできょうはいけるかなと思ってスタートしました。

――先頭で積極的なレースを展開されてましたが、その点をどのように評価しますか

外国人選手がことしはいなかったので、そんなに速いペースにならないと思っていました。遅いペースのところについていっても自分のペースで走れないので、前半で余裕もありましたし、自分の好きなペースで行こうと思いました。

――4キロ、5キロ付近で少し後ろに下がったところはどのような状況だったのでしょうか

上り下りで先頭だと力を使いすぎちゃう部分があって、ついた方が楽なので、後半に世界クロカンを目指してるような人が何人かいたと思いますし、その集団で後半ペースアップしていくと思ったので、集団で休ませてもらおうと少し下がりました。

――9キロ終わりぐらいで集団から離れられましたが、それはどういう状況でしたか

明らかにペースが上がったのと、自分がバテてしまった部分があって。僕の前の選手がついていけないようなスパートをしたわけではないので、僕の力不足とか、練習不足の部分があったと感じましたね。ただ僕が離れていっちゃっただけですね。きつかったです。

――きょうの反省をお願いします

唐津と合わせて冬のレース2本で、来年の春につなげてくというパターンなので、故障せず練習を継続できてるのはいいことです。この試合の後もいったん休むのではなく、練習を継続して4月からスムーズにトラックシーズンにつなげていきたいと思っているので、きょうはそのいいステップになったと思います。

――団体2位と後輩2人の走りについてはどのように評価しますか

後輩2人は全然僕の前に出てきていないので、どんな走りだったかはわからないのですが、団体2位については1つ前に神奈川大がいたので、神奈川大は箱根で例年よりいい順位で勢いもあると思うので、ああいう大学に負けないで欲しいなと思いますね。

――先ほどトラックシーズンの話がありましたが、春は日本選手権を見据えてということになるのでしょうか

そうですね。カネボウの監督とも相談してそこをしっかりまず走ろうということなので、もっと力をつけていかなければいけないですし、日本選手権の先頭で戦う練習をしていかないといけないと思います。

光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工)

――今回の日本選手権クロスカントリーは、前から照準を合わせてきた大会なのでしょうか

福岡クロカン(日本選手権クロスカントリー)と立川ハーフ(日本学生クロスカントリー選手権)に出ることが決まってて、そのために合宿もやってきました。距離やスピードに対する不安をなくし練習を積んできたので、自信を持ってレースに臨めたと思ったのですが、トラックとクロカンでは違いもあったので、悔しさもあります。でもまだ立川ハーフがあるので、そこで結果を残せるように頑張りたいです。

――合宿の出来はいかがでしたでしょうか

僕は1人練習が主だったので、余裕があったらペースを上げたり、きつかったときにどういう動きをしたらいいかというのをしてきました。1人でレースをするのは難しいのですが、1人でレースをする場面がきょうもあったので、そこは生かせたと思います。

――ではきょうのレースプランは

3周目まで先頭集団にゆとりをもって走ることをレース前にプランとして持っていたのですが、3周目くらいからもうきつくて、先頭から離れてしまって、そこから1人旅になりました。前の僕だとそこからズルズル下がる一方だったのですが、今回はしっかり粘れたというのは、少しは成長しているのではないかと思いました。

――先頭集団から離れたのは具体的に何キロくらいのことでしょうか

2周目、4キロ地点から先頭集団から離れ始めて、5キロ地点では結構差がありました。離れるところが早すぎたので、そこは悔しいです。

――では後半の粘りは収穫になったということですか

前の僕だと離れてからズルズル下がってしまうレースが多かったのですが、今回は少しくらいは粘れたので、合宿の成果はあったと思います。

――具体的なラップは

今回あまり時計を見なかったので分からないのですが、最後の1週が遅かったというのはマネージャーから聞きました。最後に粘れたかどうかが順位にも関わってきたと思います。

――では前半で勝負できなかった原因は

少し右足の方に違和感があって。合宿の練習は全てできたのですが、合宿から帰ってきてから思ったような練習ができなかったので、自分のケア不足もありますね。終わってからが一番大事なことかなと気づかされたので、次このような場面があったときは、しっかりケアなどしていきたいと思います。

――では春のトラックシーズンの目標は、関東学生対校選手権などでしょうか

ユニバーシアードがあって、5000メートルでまだ狙えると思っているので、まずはユニバーシアードに出て、もう一度日の丸をつけて戦いたいと思います。また最終学年なので、1つ1つの大会を大切にして、後輩に示しが付くようなレースをして、去年以上に強いワセダを作れるようにしたいです。今の3年生がしっかり結果を残して、入ってくる新入生や後輩がのびのびレースをできるような環境を作っていけたらと思います。

――最後に立川ハーフについての意気込みをお願いします

立川ハーフもユニバーシアードの選考会が重なっているので、3位以内に入るのが目標です。チームからも結構な人数が出るので、他大に負けないだけの勢いでいけたらトラックシーズンも勢いに乗れると思うので、立川ハーフは大事にしていきたいというのがあります。

太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体)

――きょうの調子はいかがでしたか

調子は普通でした。

――今回のレースを振り返ってみていかがでしょうか

先頭集団でどれだけ我慢できるか、というのをこのレースのポイントにしていました。最初はある程度先頭が見える位置で走れていたのですが、後半になってから粘れなかったと思います。

――先頭集団から離されてしまったのは、どこでしたか

3周走り終わったぐらいで離れてしまって、そこからはずっと1人でした。

――このレースでの目標はどうだったのでしょうか

世界クロカン(世界クロスカントリー選手権)に出場できるのが上位6人なので、出るからにはそこを狙っていこうと思っていましたが、戦えませんでした。来週立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)があるので、まずはもう一度切り替えて、上位3人に入りたいと思います。

――団体では2位に入りましたが、それについてはいかがですか

3人以上出ている大学が少ないので、正直何とも言えないですね…。ワセダの中では自分が1番最後にゴールしたので、(団体で2位になれたのは)先輩方のおかげだなと思います。

――今後の意気込みをお願いいたします

この結果を良い意味で捉え、しっかり切り替えて、来週の立川ハーフでユニバーシアードに出られるようにしたいと思います。