日本学生対校選手権(全カレ)2日目は男子5000メートルでルーキー新迫志希(スポ1=広島・世羅)と平和真駅伝主将(スポ4=愛知・豊川工)がダブル入賞を果たすなどの戦績を残した。一方、上位入賞が期待されていた男子800メートルや400メートル障害で、西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)、中野直哉(スポ4=長野吉田)ら有力選手が敗退するといった波乱も。最終日のあすは決勝種目が集中する。現在トラックの部2位につけている早大だが、悲願のトラック優勝に向け、競走部は最後まで走り抜ける。
(記事 平野紘揮)
★決勝進出もわずかに入賞には届かず
須田は入賞・対校得点獲得にあと一歩及ばなかった
男子100メートルには須田隼人(スポ4=神奈川・市橘)、橋元晃志(スポ4=鹿児島・川薩清修館)が出場。今大会が復帰戦となった橋元は予選を組3着で通過したものの、準決勝では後半の走りに伸びを欠き、組5着で敗退。一方、須田は予選、準決勝と余力を残しつつ勝ち上がり、決勝へと駒を進めた。迎えた決勝では、須田は号砲と同時に鋭く反応。予選、準決勝から続く調子の良さを感じさせるスタートダッシュで先行する。しかし全カレ決勝という大舞台はやはり一筋縄ではいかない。ライバルたちに徐々に追いつかれ並ばれると、「周りの選手の走りというのを意識してしまった」と動きが硬くなりスピードを維持できず。最後まで懸命に食らいついたものの最終的な順位は9位となり、対校得点の獲得にはあと一歩届かなかった。レース後には「自分のレースというものができなかった」と悔しさをあらわにした須田。しかし立ち止まっている暇はない。エンジをまとい戦う試合はあとわずか。10月には日本選手権リレーを控えており、須田にはチームを勝利に導く走りが求められる。早大のエースとして有終の美を飾るべく、残された日々を全力で駆け抜けてほしい。
(記事 大庭開、写真 太田萌枝)
★まさかの決勝進出者なし、波乱の男子800メートル
廣出はブロック長らしく、最後まで前を追った
男子800メートルには廣出和樹(教4=愛知・豊岡)、西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)、飯島陸斗(スポ1=茨城・緑岡)が出場した。関東学生対校選手権(関カレ)ではこの3人が決勝に進出し、早大のトラック優勝に大きく貢献。そのため今回も期待されていた種目であった。しかし、飯島は予選から苦しい走りとなり予選敗退となる。関カレ覇者の西久保は予選を組1着で通過すると、準決勝では日本選手権で惜しくも敗れた三武潤(日大)と対戦。前半はレースを引っ張ったものの、残り200メートル付近で一気にスパートをかけられ組5着に。「全カレに調子を合わせられなかった」(西久保)と、日本選手権から調子を上げきることができず、準決勝敗退に終わった。最後の全カレとなった廣出は予選では自分の走りを貫き、着順で準決勝へと駒を進める。迎えた準決勝でも前半から自分のペースで走り、集団の前方でレースを展開。しかし、最後のスパートで一歩及ばず、組3着と決勝進出を逃した。今大会では出場者全員が本来の力を発揮することのできなかった早大中距離ブロック。力のある1年生を中心に、次戦では飛躍を遂げてほしい。
(記事 平松志帆、写真 朝賀祐菜)
★駅伝シーズンに向け、視界良好!
対校戦初出場ながら攻めの走りを見せた新迫
2日目の5000メートル決勝には、今シーズン好調を維持している新迫志希(スポ1=広島・世羅)、平和真駅伝主将(スポ4=愛知・豊川工)、鈴木洋平(スポ4=愛媛・新居浜西)の3選手が出場した。序盤から3選手とも積極的な走りで先頭集団を形成。3000メートルを過ぎてペースが上がり、集団が縦長になった中でも、早大勢は3選手全員が前方で争い合うという理想的なレース展開に。4000メートル付近で鈴木洋が先頭集団から離脱するものの、新迫、平は必死に食らいついていく。ラスト1周で新迫はトップを走るパトリック・マゼンゲ・ワンヴィ(日大)に迫る勢いでスパートをかける。終盤にスピードが落ち、最後の直線では石川颯真(日大)、一色恭志(青学)にかわされたものの、1年生ながら粘りを見せ、4位でレースを終えた。また、平も同様に粘り切り5位でフィニッシュ。出場3選手のうち2人が見事入賞を果たし、これから始まる駅伝シーズンに向けて収穫の多いレースとなった。「出雲では勝ちにいく」と平駅伝主将が語るように、まずは学生三大駅伝の初戦を制すべく、今後の合宿ではさらに個々のレベルアップを図る。
(記事 岡田静穂、写真 本田京太郎)
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結果
▽男子100メートル決勝
須田隼人 10秒54(+1.1)(9位)
▽男子200メートル予選
徳山黎(スポ3=神奈川・相洋) 21秒51(+1.8)(1組6着)
橋元晃志(スポ4=鹿児島・川薩清修館) 21秒03(+1.7)(4組2着)
髙内真壮(スポ1=栃木・作新学院) 21秒64(+0.6)(7組6着)
▽男子800メートル
予選
廣出和樹 1分51秒01(2組3着)
西久保達也 1分54秒57(5組1着)
飯島陸斗(スポ1=茨城・緑岡) 1分52秒28(7組7着)
準決勝
西久保達也 1分52秒73(1組5着)
廣出和樹 1分51秒39(2組3着)
▽男子5000メートル決勝
新迫志希 13分55秒34(4位)
平和真 13分57秒70(5位)
鈴木洋平 14分04秒44(11位)
▽男子110メートル障害予選
野本周成(スポ3=愛媛・八幡浜) 14秒27(ー0.4)(1組5着)
竹吉大記(スポ4=千葉・市船橋) 14秒07(+1.1)(2組3着)
古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋) 14秒10(ー0.6)(5組1着)
▽男子400メートル障害予選
石田裕介(スポ3=千葉・市船橋) 51秒64(3組5着)
中野直哉(スポ4=長野吉田) 51秒55(4組3着)
▽男子3000メートル障害予選
大木皓太(スポ1=千葉・成田) 9分11秒19(1組4着)
▽男子4×400メートルリレー予選
早大(愛敬-加藤-石田裕-中野) 3分06秒98(5組1着)
▽女子400メートル障害予選
兒玉彩希(スポ1=大分雄城台) 60秒12(2組2着)
南野智美(スポ2=山口・西京) 59秒68(3組1着)
長田彩楓(スポ3=早稲田佐賀) 61秒30(4組4着)
▽女子4×400メートルリレー予選
早大(兒玉-竹内-西村-南野) 3分45秒55(2組3着)
▽女子三段跳決勝
中澤希緒(政経4=埼玉・早大本庄) NM
▽男子対校トラック得点(2日目終了時点)
1位 日大 41点
2位 早大 30点
3位 中大 22点
▽男子対校得点(2日目終了時点)
1位 日大 88点
2位 順大 47点
3位 東海大 37点
5位 早大 30点
▽女子対校得点(2日目終了時点)
1位 筑波大 44点
2位 福岡大 34点
3位 松山大 31点
7位 早大 14点
コメント
須田隼人(スポ4=神奈川・市橘)
――今大会の調子はいかがでしたか
今大会は当日走るまでは理想通りのかたちとはいかなかったのですが、実際に競技場に入って走ってみると周りの人の応援だったり競技場の雰囲気というのが自分の調子を上げてくれたのかなと感じています。
――100メートルは9位という結果でしたが、この結果はどう受け止めていますか
高校3年の時のインターハイも似たようなかたちで9人で走って結果も9位だったので、今回はそれだけは避けたいと思っていたのですが、心のどこかで順位にこだわる走りというのが出てしまったのかなと思っていてすごく悔しいです。関カレ(関東学生対校選手権)の100メートル、200メートル、4継(4×100メートルリレー)で全然力になれなかった分、全カレ(日本学生対校選手権)では点を取って盛り上げようと思っていたのですが、それができずすごく悔しいです。
――決勝のレース展開を振り返っていかがですか
前日の予選、準決勝と同じようなレースができればいいなと思ってアップから最後まで臨みましたが、やっぱり後半で周りの選手の走りというのを意識してしまって、自分のレースというものができなかったなと思います。
――予選敗退となってしまった4継についてはいかがですか
本来走るべき人間が走れていなかったというのが今回あって、それ以前にも個々の走りのレベルというのが全然足りていなかったなと思います。今回4走に幅跳びの根岸(勇太、スポ2=千葉・成田)が急きょ入ることになって、4走に渡すまでに2走の僕と3走の橋元がどれだけリードを作れるかというのが今回の課題でしたが、それを作れなかったというのが予選で敗退してしまった大きな原因かなと思います。
――今大会は最後のインカレとなりましたが、総括をお願いします
全体的に見てまだまだ詰めが甘かったなというところですかね。最後の最後で勝ちきれないというのをこれまで何度も繰り返してしまったんですけど、それが今回のインカレでも出てしまいました。これが自分の悪いところであり、今後の人生で気をつけていかなければいけないところかなと思います。
――ワセダの一員として戦う試合も残りわずかですが、今後の試合への意気込みや目標をお願いします
まずは来週早慶戦(早慶対抗競技会)があって、そこで自分は3種目、リレーがあれば4種目出ることになっているので、チームを盛り上げられるように得点を狙っていきたいと思います。そして関東学生新人選手権や日本選手権リレーに向けて、しっかり勝てるようなリレーチームを作っていきたいと思います。
平和真駅伝主将(スポ4=愛知・豊川工)
――今回のレースの目標とレースプランを教えてください
レース目標は日本人トップを取ることで、関カレで負けた日大の外国人選手に勝負を挑むことでした。プランは前半からか中盤からかは分からないにしても、外国人選手が途中から出てきて、引っ張っていくレースになることはもう毎回分かりきっているので、それに関カレよりは余裕を持ってついていって、ラストで勝負することでした。
――レースを振り返っていかがでしたか
3000メートルを通過した頃はまだ集団が大きかったと思うので、外国人選手が毎周バックストレートで揺さぶりをかけてきて、真後ろについてた分、毎回毎回その揺さぶりに対応するのに力を使ってしまって、残り2周から最後までもたないなという感覚がありました。体が動かなくなってしまったところで弱気になってしまったということと、1年生の新迫(志希、スポ1=広島・世羅)に負けたこと、倒さなければいけない(他大の)4年生2人を倒せなかったところが一番の反省かなと思います。最低でも日本人トップは取るべきだったと思います。
――新迫選手が4位で、平選手が5位でダブル入賞という結果はどのように考えられていますか
本音を言うと新迫にしろ洋平(鈴木、スポ4=愛媛・新居浜西)にしろ、一緒に毎回練習して、認めるぐらい力のある選手なので、5000メートルも3人でエントリーしましたけど、他の大学の選手に負けるかなという不安より、もしかしたらチームメイトのあの2人に食われるかもしれないという不安があったくらいあの2人には期待していました。新迫には期待以上の走りをされてしまい、(自分の)前に出られた時になぜつけなかったのかなと思います。
――レース中鈴木洋選手も含めて3人で終盤までレースを進めていましたが、今後駅伝が頼もしくなってくるのではないでしょうか
そうですね。関カレで複数入賞したことでチームの基準が上がり、全カレの1万、5000メートルでエントリーされた5人も最低入賞という高い基準のもとレースに臨めたので、先頭で勝負するということはごく当たり前の雰囲気になっていることの表れだと思います。
――昨日1万メートルを走られた2人(武田凜太郎(スポ4=東京・早実)、井戸浩貴(商4=兵庫・竜野))に対して主将としてのコメントをお願いします
1万メートルで泥レースになることは毎年分かっていることなので、後ろの集団でレースを進めることは監督の指示でもありましたし、良い位置でレースを進めていたと思います。そこから凜太郎は集団を自分の力で離そうとして前に出て後ろをじりじり離して、最後の方も前を追うような走りができていたので、凜太郎に関しては駅伝につながるいい走りができていたかなと思います。井戸はちょっとトラックが苦手な部分があり、本人も不安がっていたというか、緊張していたので、どうなるかなと見ていましたが、安定感とあの位置で外国人と勝負できていたというのはさすがだなと思いますね。
――これから秋の合宿があって、駅伝と続いていきますが、意気込みをお願いします
この結果は駅伝への弾みにはなりますが、これで他大学に勝てるわけではないので、この結果を弾みにしながらも部員一人一人がまだ戦えないという意識をしっかり持って合宿でもっと力をつけて、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)は自信をもってスタートラインに立って、勝ちにいきたいと思います。
廣出和樹(教4=愛知・豊丘)
――予選・準決勝のレースプランをお願いします
どんなレース展開でも最後のキレには自信があったので、慌てることなく自分のレースをしようと心がけて走りました。
――準決勝でラスト100メートルで前を抜かしきれなかったことについては
かなりレベルの高いメンバーがそろっており、序盤の位置取りが大切だと感じていたので、前の方で進めていきました。けれどあと一歩及ばず、といった感じで悔しかったです。
――早大の800メートルから1人も決勝に送り込めなかったことについては、中距離ブロック長としていかがですか
全ブロックで戦う試合は、全カレしかなかったので、その中で中距離ブロックがチームにどれだけ貢献できるかというのを常に考えてきました。チームの力になれず、またそういう支援や期待に応えることができなかったのは申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――引退の時期などは
まだ正確には決めてはいないのですが、9月後半から10月あたりになると思います。早慶戦は出るかどうかは決まってはいないのですが、引退レースというかたちで走れればいいのかなと思います。
――それまでの練習はどのようにされますか
これからの練習に関しては自分のためというよりは、これから伸びていく中距離ブロックの後輩の指導かなと思います。いままでは自分の競技に集中してしまっていましたが、これからはそちらにしっかり注力できればと思います。
――では、その後輩たちに一言お願いいたします
実力はしっかりあると思うので、あとはどれだけ自分の力を出し切れるかというのを、残りの学生生活で考えながら、自信を持ってやっていってほしいです。
新迫志希(スポ1=広島・世羅)
――今回の大会の意気込みをお願いします
平さんと洋平さん(鈴木)さんに勝って、他の同級生にも負けないってことを目標にやってきました。
――レースプランはどのようなものでしたか
この全カレのレース展開のような感じで、展開だけなら(点数をつけるなら)100でした。
――外国人選手に付いていって最後飛ばすというかたちをイメージしていましたか
はい、最後まで付くっていうイメージをしていました。
――早稲田の3人が固まって走っている場面がありましたが、何か意図があってのですか
たぶん3人ともそこは意識していなくてたまたま3人が一緒に合わさったみたいな感じになっただけかなと思います。
――レース中に先輩方2人を意識することはありましたか
ありませんでした。
――夏合宿から今回の大会に生かせたことはありますか
夏合宿では長い距離を走って、その中のレースだったので、特殊な状態でのレースとなったので初めてのチャレンジとしては良かったと思います。
――ラスト一周でスパートをかけていましたがそこがスパート時だと思ったのですか
直感で、ここで行かないと負けてしまう、勝ちきれないと思いました。
――残りの100メートルで2人の選手に抜かれてしまいました。そこに関してはいかがですか
自分の甘さだったり、1年生と4年生方の経験の差が顕著に出たと思います。
――今回のレースでの収穫は
こういう大きな舞台に出場させていただけて、4位で表彰台には上れなかったですけど、初めて入賞することができて。そこは自分としてプラスに考えていこうと思います。
――今後の大会予定を教えてください
またもう一回合宿が入って、そのあと出雲になってきます。出雲では短い区間を走ることができるので自慢のスピードを生かして個人では区間賞、チームでは優勝を狙って頑張っていきたいです。
西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)
――今日のレースを振り返っていかがですか
予選でちょっと疲労が残ってしまって、準決勝ではあまり前に出るつもりはなかったんですけど、つつかれて前に出てしまって、そこで引いたらまずいなと思いそのままで走ってしまいました。個人としては全カレに調子を合わせられなかったのですが、最後にラスト切り替えていけるだろうと考えてしまったので自分の甘さが出てしまいました。
――今まで前に出るレース展開が多かったですが、今回は予選・準決勝と前に出るタイミングを伺っているようでした
今回に関しては僕の調子が上がっていなかったので。上がってる部分もあったんですけども一番調子の良かった時と比べると僕の中でまだイマイチな部分があって、2本とも走っていくっていう自信がなかったです。
――準決勝のレースは三武潤選手(日大)とのレースとなりましたがいかがでしたか
関カレのときも準決で三武さんと戦って今回も三武さんとやらせていただいたんですけども三武さんは4年生ということでこの大会にピーキングを合わせてきているということもあり調子自体も良いように見えていました。今回僕の中で弱腰になってしまったところもあります。
――夏の練習を振り返っていかがですか
練習内容に関しては夏はスピードを意識して、合宿の方も短距離とやらせてもらいその中でスピードは出るようになっていたんですけど、それを今回出すことができなかったのが負けてしまった原因だと思います。ですのでしっかりとスピードも上げつつそれを800メートルにつなげられるように今後頑張りたいと思います。
――次の試合の予定は決まっていますか
来週には早慶戦がありその次の週には関東学生新人選手権があります。800メートルにエントリーしてるんですけどまだ出ようかどうか未定です。マイルの方で試してみようと先生の方に言われてるので、そちらに挑戦してみることになるのかなと思ってます。
――今後の目標は
今後の目標はその試合(関東学生新人選手権)でしっかりと調子を戻していくことと、10月に国体があるのでそこにしっかりとピークを持っていけるように、もう一度調子を戻せるようにしっかりと練習していきたいと思います。