日本最高峰の舞台・日本選手権。ことしはオリンピック選考を兼ねていることもあり、連日、会場には多くの陸上ファンがつめかけた。早大からは12選手が出場。レベルの高い戦いに挑んだ。110メートル障害の古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋)が早大新記録、男子400メートル障害予選で中野直哉(スポ4=長野吉田)が自己新記録をたたき出すなど、実りある試合になる一方、大迫傑(平26スポ卒=現ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、野澤啓佑(平26スポ卒=現ミズノ)がリオ五輪出場内定を決めるなど、OBの活躍も光る3日間となった。
(記事 平野紘揮)
★悪コンディションの中の女子走高跳。仲野春が表彰台へ
3位で表彰台へ登った仲野春
競技開始直後から激しい雨が降りしきる悪コンディションとなった女子走高跳。その影響から、早々に試技を終える選手も少なくなかったが、仲野春花(スポ2=福岡・中村学園女子)はスタートの高さである1メートル65、続く1メートル70をそれぞれ1本目で成功させる。その後、いく分か雨が弱まって迎えた1メートル75。仲野春のベスト(1メートル80)からすればけして跳べない高さではなかったが、3本とも失敗してしまう。「調子は良い感じだったので、ここで勝ちきれないというのがまだまだ」と奥歯をかんだ仲野。しかし総合順位では見事に3位に入りメダルを獲得。昨年も出場した同大会と同じ記録だが、コンディションを考えれば、その内容は仲野春の成長を裏付けるものだった。「同じ高さを2回落とした時に粘れる力、勝ち切れる力をつけたい」と今大会の反省を踏まえ、今後の抱負を語った仲野。残りわずかとなった今シーズン、そして夏の鍛練期を超え、秋以降にはさらに力をつけた姿が見られるはずだ。
(記事、写真 平野紘揮)
★待ちわびた優勝!OB大迫がリ1万メートルで快走を披露!
冷静にレースを進めたOB大迫
日本選手権、種目は違えど4年連続で2位と、優勝を逃し続けてきた大迫。大会1日目のこの日、ついに、2位の呪縛から解き放たれる時が来た。村山紘太(旭化成)や鎧坂哲哉(旭化成)など強豪ひしめく1万メートルに出走し、見事に優勝。そして、同時にリオ五輪1万メートルの代表内定までも手にした。
この試合のカギとなったのは両者がかけたロングスパートだった。9000メートルまでを毎1キロ約2分50秒前後のペースで通過。高速なラップを刻む集団の中腹で大迫と村山紘はラストスパートのタイミングを虎視眈々(こしたんたん)とうかがう。昨年の同大会5000メートルではラスト300メートルのところで仕掛けるもホームストレートで村山紘にかわされた。ことしこそはーー。大迫は残り600メートルのところで一挙にギアをあげ、村山紘を置き去りにする。独走状態でおよそ40メートルの差をつけた。しかし、村山紘も最後の第2コーナーに差し掛かったところでギアチェンジ。じりじりと大迫に迫る。だが、昨年までとは違い、すごみが増した大迫のスプリント力。最終コーナーを過ぎたところで大迫の勝利は見えており、大勢からの歓声や拍手の中に迎えられた。4年間待ちわびたその瞬間に、両手を天に大きく突き出し、雄叫びをあげ喜んだ。後日行われた5000メートルでも優勝し、2種目でオリンピック内定を決めた大迫。その力は世界にどこまで通用するのか。リオ開幕が待ちきれない。
一方で、山本修平(平27スポ卒=現トヨタ自動車)は苦しい走りだった。3000メートルを過ぎたところで失速。先頭集団と1周差をつけられ、20位でゴールした。ことしは地元・愛知での開催となった日本選手権。それだけに悔しい結果となった。来年以降のリベンジに期待したい。
(記事、写真 本田京太郎)
★OB高田、新天地で好調な滑り出し
ラストスパートが光ったOB高田
昨年度、駅伝主将としてワセダの長距離ブロックをけん引してきた高田康暉(平28スポ卒=現住友電工)。男子1500メートルに出場し、見事に入賞を果たした。
大会初日の予選には、3組42名が出走。各組の3着までと、上位タイム3名が決勝にコマを進める。高田は1組に登場。序盤は明大の前田恋弥が先頭を引っ張り、高田は3番手に続く。中盤は徐々に順位を下げ、一時は11位まで落ち込むも、ラスト1周の鐘がなると同時に後方から岡崎達郎(平23人卒=現大阪ガス)が一気にトップに立ち、高田もスパート。最後は2人を交わし、牟田祐樹(日立物流)、中川智春(トーエネック)に次ぐ3位でフィニッシュ。3分45秒44で決勝進出を決めた。現役生では、齋藤雅英(スポ1=東京・早実)と飯島陸斗(スポ1=茨城・緑岡)がエンジを着て初出場。飯島は途中靴が脱げるアクシデントに見舞われるも、無事に走り終えた。両者ともにルーキーイヤーのことし、エンジを身にまとい、大舞台で堂々たる走りを見せたが、齋藤は1組10位、飯島は2組14位でともに決勝進出はかなわなかった。翌日の決勝。序盤は予選で戦った中川や牟田が積極的に前に出る。2周目に入ると、戸田雅稀(日清食品グループ)が先頭に立ち、牟田、高田と続く。前の2人に必死に食らいつくも、2位集団に吸収され、7位まで落ち込む。それでも最後は持ち前のスピードで追い上げ、2つ順位を上げて5位でフィニッシュ。3分48秒53で入賞を果たした。春から住友電工に加入した高田。春先から1500メートルに出場し、スピード強化に励んでいる。ワセダから日本代表、そして世界へ。今後の活躍に期待がかかる。
(記事 井上莉沙、写真 中村朋子)
★悔しい4位も、収穫あり
1年生ながら決勝の舞台に立った西久保
男子800メートルに登場したのは、関東学生対校選手権(関カレ)で優勝を果たしたルーキー・西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)。その予選、西久保は持ち味である前半での攻めを生かして序盤から集団を引っ張り2位に。着順で予選を通過した。しかし臨んだ決勝。「強いお二人(川元奨(スズキ浜松AC)、横田真人(富士通))の最初のスピードに引いてしまった」(西久保)と出遅れ、最初の200メートル地点ですでに大きく離されてしまう。残り400メートルは関カレでも競り合ったライバル、三武潤(日大)との表彰台争いとなる。600メートル過ぎ、苦しい表情を見せ始めた西久保の脇から三武が前に出て、そのまま差を広げられフィニッシュ。4位と、関カレを制しただけに悔しさが残る結果となったが、「1分49秒を出せたのはプラスだと思う」と西久保が振り返るように、大舞台での記録はこれからの更なる成長に必ずつながるだろう。
(記事 中村朋子、写真 鎌田理沙)
★優勝にはあと一歩届かず。2位で自分を見つめる
ウォルシュ(左)に次ぐ2位でゴールした加藤
400メートルに早大からは愛敬彰太郎(スポ4=三重・桑名)、加藤修也(スポ3=静岡・浜名)が出場した。加藤は予選を順当に着順で勝ち進む。一方愛敬は、必死に前を追うも予選敗退となってしまった。
そして迎えた決勝。後半の伸びが武器の加藤は、やはりホームストレートで追い上げを図るレースプランで臨んだ。スタートから加速し、バックストレートでリラックスしてリズムに乗る。しかし、「200~300メートルのところで落ちすぎた」と振り返るように、ラスト100メートルのために力を溜めたことで、ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)の独走を許してしまう。ウォルシュとの差をスパートで縮めようとするも、なかなか追いつくことができない。その後の決死の追い上げで2位に浮上するも、そのままゴールとなった。
ことしはオリンピックイヤーということもあり、400メートルの参加標準記録の突破を目標の1つに据えていた加藤だったが、今大会もそれはかなわなかった。日本選手権に重きを置き、入念な準備をしていただけに、レース後は悔しさをにじませた。しかしこのハイレベルな試合を経験して、走り方などに関して具体的な課題が見つかったようだ。また加藤は4×400メートルリレーのメンバーとして、リオの舞台で走る可能性も残されている。さらなる高みに向けて、このままでは終われない。
(記事 鎌田理沙、写真 中村朋子)
★中澤、執念の8位入賞
勢いよくステップをする中澤
春先で細かなケガが続き、今シーズンは難しい戦いを強いられていた中澤希緒(政経4=埼玉・早大本庄)。1カ月前の関カレでも女子三段跳で決勝進出を逃すといった辛酸を味わってきた。しかし「失うものは何もない」(中澤)と、気持ち新たに挑んだ今回の日本選手権女子三段跳。12メートル37という全体8番目の記録で辛くも決勝進出を決めると、「練習でやってきたことが出せた」という5本目、ビッグジャンプを見せたかに思われたが、惜しくもファール。結局決勝では記録を伸ばすことはできず、そのまま8位に終わった。今回の試技については「最低限の結果かなと思います」と受け止めた中澤。同種目で優勝を狙っているという日本学生対校選手権に向け、夏の練習で課題を修正していく。
(記事 平野紘揮、写真 井上莉沙)
★ルーキー兒玉決勝進出!中野は5位に
「ミスがあった」という決勝だが、予選ではリオ五輪参加標準に迫る自己ベストをマークした中野
男子400メートル障害予選には中野直哉(スポ4=長野吉田)が出場。中野は予選から49秒51と自己ベストを更新し、勢いそのままに準決勝を通過した。目標としていた決勝の舞台では前半から果敢に攻めるも、7台目のハードリングでミス。思わぬ体力を使ってしまい、得意の追い上げを見せることはできず5位に終わった。一方野澤啓佑(平26スポ卒=現ミズノ)は終始トップを走り続け、盤石の優勝。リオ五輪出場内定を決めた。また女子400メートル障害ではルーキー兒玉彩希(スポ1=大分雄城台)が予選から自己ベストを更新し、8番目のタイムで決勝進出。同2組に姿を見せた南野智美(スポ2=山口・西京)は惜しくも決勝へ進めなかった。翌日に行われた決勝では気温が25度を超える暑さのなかでのレースに。トップを走る3選手が前で争うなか、残り5選手での混戦となった。「自分がえがいていたレースプランができなくて悔しい」(兒玉)。最後の直線勝負で負けてしまい、力不足を感じさせられる8位に。収穫と課題を見つけるレースとなった。
(記事 杉野利恵、写真 井上莉沙)
★自己ベスト・早大記録を更新!ハイレベルな戦いで課題を得る
ゴールに飛び込む古谷
男子110メートル障害に出場した古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋)。先日の関カレは13秒80をマークしており、今大会でも期待がかかっていた。すると予選、小雨が降っていた状況だったが、13秒73という、自己ベストの13秒79を0.06秒上回る記録を打ち出す。また同時に早大記録を0.02秒更新した。着順で予選を突破し、続く準決勝でもタイムは13秒77。高いレベルで安定した走りを見せ、決勝に駒を進める。快晴の中行われた決勝は、レース中盤からじわじわと周りに後れを取り、巻き返すことができず、そのまま5位でゴール。追い風参考で13秒71だった。
今シーズンは自己記録や早大記録を更新するなど、古谷にとって実りのあるシーズンであることには違いない。しかしそれでもなお、今回の日本選手権では優勝争いに絡めなかった。古谷自身も「勝つのには実力不足だった」と振り返っている。次はU20世界選手権に挑むが、そこで今回の課題を生かし、満足のいく結果を得られるか。ここが古谷の飛躍のチャンスであるのは間違いない。
(記事 鎌田理沙、写真 井上莉沙)
結果
1日目
▽男子100メートル
予選
須田隼人 10秒68(−1.4)(1組4着)
九鬼巧OB 10秒49(−1.3)(6組2着)
竹下裕希OB 10秒54(−1.3)(6組4着)
準決勝
九鬼巧OB 10秒39(−0.3)(1組4着)
竹下裕希OB 10秒52(−1.4)(2組5着)
▽男子400メートル予選
加藤修也 46秒17(1組1着)
愛嬌彰太郎 47秒85(2組5着)
▽男子800メートル予選
西久保達也 1分50秒59(3組2着)
▽男子1500メートル予選
高田康暉OB 3分45秒44(1組3着)
岡崎達郎OB 3分46秒94(1組7着)
齋藤雅英 3分48秒66(1組10着)
飯島陸斗 4分08秒60(2組14着)
▽男子1万メートル決勝
大迫傑OB 28分07秒44(1位) リオ五輪内定
山本修平OB 29分57秒70(20位)
▽男子400メートル障害
予選
野澤啓佑OB 48秒82(1組1着)
中野直哉 49秒51(2組1着)自己新記録
準決勝
中野直哉 50秒24(1組4着)
野澤啓佑OB 49秒22(2組1着)
▽男子棒高跳決勝
笹瀬弘樹OB 5メートル50(4位)
土井翔太OB 5メートル30(9位)
▽女子走高跳決勝
仲野春花 1メートル70(3位)
2日目
▽男子100メートル決勝
九鬼巧OB 10秒53(−0.3)(8位)
▽男子200メートル予選
橋本晃志 DNS
▽男子400メートル決勝
加藤修也 45秒71(2位)早大記録タイ
▽男子800メートル予選
西久保達也 1分49秒80(4位)
▽男子1500メートル予選
高田康暉OB 3分48秒53(5位)
▽男子110メートル障害
予選
古谷拓夢 13秒73(+0.4)(1組2着) 自己新記録、早大新記録
早川恭平OB 13秒96(+0.3)(3組2着)
金井直 DNS
國分徹OB DNS
準決勝
古谷拓夢 13秒77(−0.5)(1組2着)
早川恭平OB 14秒06(−0.4)(2組6着)
▽男子400メートル障害決勝
野澤啓佑OB 49秒14(1位) リオ五輪内定
中野直哉 50秒01(5位)
▽男子やり投決勝
ディーン元気OB 75メートル01(5位)
▽女子100メートル障害
予選
柴村仁美OG 13秒55(−0.9)(4組1着)
準決勝
柴村仁美OG 13秒52(+0.0)(1組3着)
▽女子400メートル障害予選
兒玉彩希 58秒65(1組4着)自己新記録
南野智美 58秒97(2組3着)
▽女子棒高跳決勝
濱名愛OG NM
▽女子三段跳決勝
中澤希緒 12メートル37(+0.1)(8位)
3日目
▽男子5000メートル決勝
大迫傑OB 13分37秒13(1位)リオ五輪内定
竹澤健介OB 14分57秒66(22位)
▽男子110メートル障害決勝
古谷拓夢 13秒71(+2.4)(5位)※追い風参考
▽女子100メートル障害決勝
柴村仁美OG 13秒43(+2.1)(4位)※追い風参考
▽女子400メートル障害決勝
兒玉彩希 58秒95(8位)
コメント
中野直哉(スポ4=長野吉田)*囲み取材から抜粋
――レースを振り返っていかがですか
(前半は)良い流れで入ることができたのですが、7台目のところで明らかなミスがありました。7台目のハードルを飛んだ時に上体が後ろに残ってしまって、8、9台目で余分な力を使わざるをえなくなりました。
――予選、準決勝を踏まえてどこを修正しようと臨みましたか
予選と同じ走りをして、最後に競ることができるかどうかですかね。
――今後の予定は
集中が切れてしまった部分があると思うのですが、後半シーズンに向けて、これから休養を取りつつ、やっていけたらと思います。
加藤修也(スポ3=静岡・浜名)*囲み取材から抜粋
――今回の2位はどんな2位でしたか
みんなこんなもんだろって思っているでしょうからね…。勝ちたかったです。もうちょっと、何かがずれていると思うんですよね。
――具体的に何かというものではないのでしょうか
今回色々な調整をしてきて、走れる状態というか、ベストな状態には持ってきていたのですけど、高校から2年以上やってきていてベストタイムに届いていないということは、新しいことはやってもそれを消化していないというか本当の意味で噛み砕けていないなと。
――新しいこととは、技術面でのことなのでしょうか
結果はついてくるものだと思うので、綺麗に走れば良いというものではないのですが、力の使い方や抜き方が自分のものとして構築できていないなと。まだまだ自分の力はこんなものじゃないと思いたいので、頑張りたいなと思います。
――ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)はどのような存在になりましたか
まず後輩ということで(学年が)下なので、あまり調子に乗らせてしまうのもダメだと思うのですが(笑)。ただ、強い相手というのは間違いないので、ああいう目標がいることは良かったなと思います。
――今回の手応えはありますか
手応えはあります。去年全然走れていなくて、後半型だから、前半は力を溜める練習をしようともがいた時期もあったのですが、それがあっての今だと思っています。
――今回はタイムを意識していましたか、それとも勝負を意識していましたか
タイムはついてくると思ったので、まずはあいつ(ウォルシュ・ジュリアン)を差してやろうと思っていて。彼は(五輪の)標準タイムを狙って飛ばしてくると思っていたので、最後差せればタイムも出るかなと思ったのですが、多分200〜300メートルのところで僕も落ちすぎました。
――リオの標準記録はけして現実味がないものではないと思いますが
もちろん現実味がないものとは思ってないので、監督とも話し合って今後もやっていきたいと思います。リオはマイル(4×400メートルリレー)もあるので、選考がどういうかたちになるかは分からないですが、今季の試合で貢献をしてきたと思っているので、一緒に戦ってきたメンバーと頑張っていきたいなと思います。
古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋)*囲み取材から抜粋
――決勝のレースを振り返って
勝つのには実力不足でした。決して僕自身も悪い状態でもなく、出し切れたと思うので、その中でまだまだ実力不足だったと思います。いい部分もたくさんあって収穫もあったので、世界ジュニアに向けて頑張りたいです。
――ベストが出ましたが、良かった点や成長した点は
だいぶインターバルを安定して走れるようになりました。スタートからの飛び出しが少し弱かったです。タイムも出たので、悔しい結果ですが受け止めて、次につなげるように頑張りたいです。
――これもリオオリンピックの選考レースでした
オリンピックシーズンということで、ハードルだけではなくいろいろな種目が盛り上がって、日本選手権のレベルもかなり上がってきていたと思います。その中で決勝に残って戦えたというのは、いい収穫になりました。大学2年生というまだまだ上の世代がたくさんいる中で、上はやっぱり強かったです。世界ジュニアもあるので、高さは違うのですが、次につながるようにしたいです。
――高校の先輩がオリンピックを決められたというのは
おめでとうございます、という気持ちです。
――では改めて、世界ジュニアの目標を
メダルを取ることを第一の目標にしているので、ジュニアハードルは高くないので、挑戦するつもりで行きたいです。
西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)*囲み取材から抜粋
――レースを振り返っていかがですか
三武さん(潤、日大)にやられたのがすごく悔しいです。あと、前の二人はもう実力的に差がありましたね。前に出るつもりでいったのですが全然追いつけなかったです。まだまだですかね。
――大学生という同じカテゴリーの中の存在として三武選手を意識されているのでしょうか
前回、関東学生対校選手権(関カレ) のほうで勝たせてもらっていたので、今回負けたこと自体が悔しいですね。
――レース終盤については
最後のところで外側から後ろに入られてしまって、そこが僕の弱さだなと感じました。あそこで譲らないで走れていたらよかったというふうに思います。
――レースの結果とタイムを踏まえて、どう今後に生かしていくおつもりですか
今回のレースだと予選で1分50秒で自分のペースの中で(レースを)作れたのは初めてで、今回(決勝)も前の二人が出て、離れてはいたのですが、そのあとで1分49秒を出せたのはプラスかなと思います。
――世界ジュニア選手権の代表には選ばれませんでした
選ばれなかったのはすごい悔しいのですが、同じ中距離種目で阪口くん(竜平、東海大)が選ばれていたので悔しい気持ちはあります。ただ、その部分においても僕自身の成績がまだまだ足りなかっただけのことですし、1回勝っただけで競れてなかったのかなと思います。記録会で1本(良い記録を)出しただけなので、その点も踏まえて、僕はまだまだだと感じました。
――前半での攻めということを西久保選手はご自身の持ち味とおっしゃっていました。日本選手権という大舞台でそれは発揮できましたか
予選に関しては引っ張っていくことができて、余裕を持って走ることができました。今回は最初から結構つっこんでいくつもりだったのですが、少しお二人(川元、横田)にビビってしまったと言いますか、やはり強いお二人の最初のスピードに引いてしまったというのが僕の中ではこのレースで一番悔いています。そこでしっかり勝負をしたかったですね。
――以前、あこがれの選手として挙げられていた川元奨(スズキ浜松AC)とのレースが実現しました。感想はいかがですか
ことし、川元さんと一緒に走れるなんて思っていなかったので、あまりまだ実感がないのですね。僕自身、今回のレースを踏まえた上で、まだまだその上のレベルにいる人たちには全然達せてないなと思います。未熟な部分を知ることができたので、次にレースでご一緒になるときには勝てるようにしたいですね。
大迫傑(平26スポ卒=現ナイキ・オレゴン・プロジェクト) *囲み取材から抜粋 大会1日目1万メートル後
――きょうの勝因は
そうですね。ここ1年間全てにおいて目的意識をもって、またこのレースをイメージしながらやってきたので、考えている時間の長さが勝因かなと思います。
――レース展開自体は予想していた通りのレース運びができましたか
そうですね。どのようなレースになっても、ああいったかたちでスタートするというのはあったのですけど、予想していた通りでした。
――ラスト600から出た感じでした。600からの力の出し具合というのはどのようにお考えでしたか。
本来であれば誰かが来ると思っていたので、ラスト100まで余力を残しておこうと思っていたのですけど、スクリーンみたらだれもいなかったので、このまま離してしまおうと思って走りました。
――レース後村山紘太選手(旭化成)と少し会話を交わしていましたが、どういった内容の会話をしていましたか
ただ握手をしただけなので、特に会話はしていないです。
――一番成長したのは、どこですか
スピードもそうですけど、メンタル的に、しっかり気持ちを溜められるというところが成長したかなと思います。
――「気持ちを溜められる」とは
そうですね。ラストまで我慢我慢というところで、心の余裕を持つことができました。
――これでリオデジャネイロ五輪代表が内定ですが、世界大会に向けて一番としてはどのような結果を狙いたいですか
入賞というところをまず目標にしていて、また練習内容からしてもそこは確実に見えるところにあるので、(世界大会での)入賞は久々なので、入賞にむけて頑張りたいと思います。
――心の余裕というのは、どういった日々をアメリカで過ごして生まれてきたものですか
そうですね。練習の中、目的意識というか、常に世界にむけて戦うという目的意識を持っていたというか、必然的に本当に良い仲間がいるので、それに力を入れたという感じですね。
――世界のトップの選手と練習をしていると思いますが、まだまだ差はありますか
そうですね。ただ練習内容からしてそこまで大きな差はなくて、きつい練習でも確実に練習はできているということは間違いないと思います。
――そういう意味では、日本人にはもう負けるわけにはいかないと
という気持ちでここ4年間やってきて負け続けていたので、ずっとクエスチョンマークであったのですけど、それが確実になって、非常に嬉しいです。
――これまで優勝できなかった時と今日では何が違いますか
メンタル的なところと、あと自分を抑える、いつもはラスト400とかでいってしまう時があったのですけど、ことしは、ここぞというところまでしっかり我慢ができたので、最終的な成長はこれですね。
――1万メートルの日本記録保持者を破ったということですけども、この1万メートルに関してどれくらいリザルトのタイムを縮められると思っていますか
そうですね。ただまあレースが少なくなってきて言えないのですけど、27分20くらいであったら切る力はあるのではないかなとコーチとは話しています。
――5000メートルも出て一段と弾みをつけたいですね
そうですね。ここで5000も勝って、気持ちを次につなげたいと思います。
――きょうはご家族は
はい、スタンドに。
――一緒に帰ってこられて
はい、飛行機で一緒に帰ってきました。
――何日前に帰ってきましたか
そうですね、木曜日なので8日前、ですかね
――今回調子はよかったのですか
いままで一番練習も良く、万全の状態でした
――5000メートルのタイムのイメージなどはありますか、それとももう勝負に徹するなど
そうですね。もう勝負に徹します。
大迫傑(平26年スポ卒=現ナイキ・オレゴン・プロジェクト)*囲み取材から抜粋、大会3日目5000メートル後
――2日間とも圧勝しました
そうですね。1万メートルでああいう力強いレースを見せれたということが周りの選手のプラスアルファの心の強さになって、5000メートルでも走りやすかったかなと思います。
――プランはずっと初めからついていって最後で勝負という感じたったのですか
そうですね。リオのオリンピックでの5000メートルを想定して、まずはやっぱりしっかりと前にいて、そこから自分でも上げられるところは上げるというところをしっかりと意識しました。
――ラスト500の走りについていかがですか
後ろについていなかったので、ちょっと最後余力を残すかたちでそのままという感じにはなったのですけれども、1万メートルに比べてだんだんと力配分がうまくできてきたかなと思います。
――きょねんは残り400メートルにこだわっていたと思うのですけれど、500メートルに変えたのは何か理由があるのですか
500メートルから準備をしていくということで、100メートルごとに徐々にっていう感じにしました。
――1本勝つだけじゃなくて2本自分の思い通りのレースができたことに関していかがでしょうか
非常に自信になりますし、また自分のどこが成長したということは明確にわかったので、そこをまた鍛えていきたいなと思います。
――具体的にどこが成長したのですか
もちろんスピードの面やスタミナの面もそうですし、メンタル的な部分も余裕を持って全体を通して試合に臨めたことは大きな収穫かなと思います。
――2レースを通して、慌てる場面や想定外だなと感じる局面はなかったですか
抜かれたときも落ち着いて余裕を持っていきました。
――5000メートルと1万メートルですが、どちらかに偏ったトレーニングをするのかどういったトレーニングを考えていますか
特に1万が狙えるとは思っているんですけれど、両方とも可能性はあると思うので、両方ともやっていきたいです。
――5000メートルでのリオの目標は
まずは決勝進出ですね。
高田康暉(平28スポ卒=現住友電工)*囲み取材から抜粋
――このレースの結果としては
表彰台に立ちたくて。レースでは消極的になってしまったということではないのですが、思っていたよりは身体が動かなくて、その中で冷静に試合運びをしすぎたように思います。最後の最後で追い込みが遅かったので自分の甘さが出てしまったのではないかと思います。やってきたこと、いまの時点での力はこんな感じかなといった感じで。現状はしっかり出し切ったのかなと思いますね。5000メートルや1万メートルでしっかりたたかえるようにまずは1500メートルから、来年あたりまでは1500メートルに近い練習メニューをしながらひとつずつ拾っていきたいですね。
――自身の走りはいかがでしたか
優勝もですが、表彰台を狙っていました。しかし、きょうの試合運びとかを見ている感じだと、本当は心のそこで入賞に甘んじていたのかなと少し思いますね。まあでも、今後につながってくると思います。
――残り2周で、高田選手は位置を少し下げたように見えました。何か意図は
レースの流れを見ながらといった感じだったのですが、僕が落ちたというより周りが上がってきましたね。もう少し前に出ていれば、順位はより前にいたと思います。
――ラストスパートに関しては
ラストは(体が)動くようになってきたのでスパートをかけました。
――学生から社会人になって変わったことはありますか
質を重視して、科学的なトレーニングといいますかサポートしてくださっている方々と共に情報を共有しながらやっています。
中澤希緒(政経4=埼玉・早大本庄)
――今回の試技を振り返っていかがですか
練習でやってきたことがなかなか出せなかったです。エイト(決勝進出の上位8名)に残れたのは良かったのですが、技術的な部分では納得がいってないですね。
――関カレでは決勝に残れず難しい結果となった中で、日本選手権はどのように調整してきましたか
関カレ前には細かいケガがあり、気持ちの面で前を向くことができなくて自滅してしまったところがありました。日本選手権に向けては、失うものは何も無かったので、頭を空っぽにして前を向いてやってこれたかなと思います。
――今回の記録(12メートル37、8位)については
最低限の結果かな、と。ファールになってしまった5本目では、今までやってきたことが出せたと思うので、そこでしっかり足を合わせた上で技術的な部分を出していくのと、スピードを上げてもそういう部分ができるように練習していきたいと思います。
――今までやってきたこととは、具体的にどのようなものですか
ステップとジャンプの部分で潰れてしまって、踏み切りを一度しかしていないのと同じになってしまっていたので、リード足を使ってしっかり前に進む練習をしてきました。
――今後の目標について教えて下さい
次の大きな大会は全カレ(日本学生対校選手権)になります。全カレではもう優勝するしかないと思っているので、それに向けて頑張っていきたいと思います。
仲野春花(スポ2=福岡・中村学園女子)
――今回の試技を振り返っていかがですか
悪天候の中の試合で、いつもだとそういうことに左右されやすかったんですが、2本目(1メートル70)をしっかり成功できました。調子も良く、いつも通りのことをやっていれば結果もついてくるかなと思っていたんですけど、結局2本目の記録で終わってしまって…。そうですね、悔しいです。
――昨年も同大会に出場されていますが、変化などはありましたか
昨年よりも自信が持てるようになり、そこは良かったかなと思います。今回は順位も取れるようにと思ってやっていたのですが、上手くいかなくて悔しかったですね。
――ピーキングの面では
日本選手権に一番ピークを持ってこようという風に考えていて、天候が良くなかったのもあるのですが、アップの時からいつも通り、調子は良い感じだったので、ここで勝ちきれないというのがまだまだだなと思います。
――今回は雨も強く、悪コンディションの中でも1、2本目の試技を成功されていました
試合に慣れてきたというか、今回のような(悪天候の)展開でも自分の試技ができるようになってきたと思います。やはり他の高校生たちと比べると、やってきた試合数は多いかなと思うので、そういうところでは負けちゃダメかなという風には思っていました。
――今後の試合予定は
7月中にいくつか出ます。その後は秋の全カレに向けて練習を積み直していきたいなと思います。
――夏の練習に向けての意気込みをお願いします
やはりきょうのように同じ高さを2回落とした時に粘れる力と言うか、勝ち切れる力をつけて、また秋も頑張っていきたいと思います。
兒玉彩希(スポ1=大分雄城台)
――きのうの予選の走りを振り返っていかがですか
関カレ、個人選手権(日本学生個人選手権)と、レベルの高い試合を踏んできて、全然今までのベストに届かない結果で、練習不足をすごく痛感していたのですけれども、その反省を活かして、日本選手権に向けて練習を進めた結果が出たかなと思います。
――自己新記録が出ました
今シーズン入って、まずはベストを出したくて、順位ももちろんなのですけれども、タイムを出すっていうのが一番の目標だったので、予選からしっかりベストタイムが出せた点においては自分が立てていたレースプランをしっかりとクリアできたので、その点は評価できるのかなと思います。
――走り終えた時は、決勝に進むことができるかどうかがわからない状況でした。決勝進出が確定するまでどのようなお気持ちでしたか
4着だったっていうのもあるのですけれども、まだ1組目だったので、2組目3組目の2着以降の記録が気になって、すごくドキドキしていました。
――この大会に向けて、具体的にどのような調整をしてきましたか
個人選手権で後半勝負できなくて、先頭から離されてしまった部分があったので、少し走りの追い込みのメニューをやって、自分の持ち味の後半を生かせるレースができるように練習しました。
――きょうの決勝の走りを振り返っていかがですか
自分が描いていたレースプランができなかったのが悔しいです。歩数自体は守れたのですけれど、最後直線に入ったときに、隣のレーンの選手と並んで、相手が高校生だったので負けたくないという気持ちがあったのですけれども、そこで勝ちきれなかったところがまだまだ力不足だなと感じました。
――次の出場予定を教えてください
実業団の試合がまだわからないのですけれども、学生の上位3人が出られるので、もしチャンスがあれば出場することができますし、出られなかったときは全カレになります。初めての日本選手権で決勝に残れたっていうことは良かったかなと思うのですけれども、またレベルの高いところで力を出せるように、今回勝負できなかったというところを克服できるように、トレーニングを積んでいきたいと思います。