日本最高峰の舞台・日本選手権まで2週間。オリンピックイヤーとなることし、その注目度はいつにも増して強くなっている。今回の日本学生個人選手権には、日本選手権に出場予定の選手を含めた8選手が早大から出場。中でも男女の400メートル障害では石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)が優勝、南野智美(スポ2=山口・西京)が4位に食い込むなどの活躍を見せた。
(記事 平野紘揮)
★古谷が3位!竹吉は自己ベストを更新
自己ベストを更新した竹吉
大会側の配慮により、準決勝以降は追い風の吹くバックストレートで行われた男子110メートル障害。準決勝2組目に竹吉大記(スポ4=千葉・市船橋)と古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋)が駒を進めた。竹吉は追い風参考記録ながらも自己ベストをマークし、9位以下決定戦へ。古谷は終始先頭を走り、着順で決勝進出を決めた。9位以下決定戦で竹吉はスタートからスピードに乗り、14秒00の自己新記録。惜しくも13秒台は出せなかったが、「着実に力はついている」と自信の付くレースになったようだ。最後に行われた決勝。古谷はスタートで遅れてしまい、前を行く3人を追いかける展開に。最後には古谷は体勢を崩しながらも何とか3位に食い込んだ。「スタートはもう少し出られる部分があった」と課題が残るレースとなった古谷。日本選手権では課題を修正して、トップ選手との争いに加わりたい。
(記事 杉野利恵、写真 鎌田理沙)
★高橋和、惜しくも表彰台には届かず
気温の高い中でのレースとなるも粘りの歩きを見せた高橋
2日目、朝一番の種目である1万メートル競歩には、関東学生対校選手権(関カレ)で6位入賞を果たした高橋和生(社2=岩手・花巻北)が出場。高橋和は、早大競走部OBである小林快(平27社卒=現ビッグカメラ)が持つ大会記録40分31秒36という数字に少しでも近づこうと、気合を入れて試合に臨んだ。レース序盤は先頭集団の後方に食らいつく歩きを見せる。しかし気温が高いこともあり、今回記録を狙うのは難しいとレース中盤で判断。3位以内に入り、勝負に勝つということにシフトチェンジした。6000メートル地点を過ぎると、レースは山田康太(順大)が1位で独走、2人で構成された2位集団がそれを追い、その後ろに高橋和が1人で歩を進めるという展開に。ここで3位以上に食い込みたいところであったが、ペースを上げ始めた2位集団の2人に追いつくことができない。だんだんと開いていく差に「途中で気持ちが切れてしまった」と振り返った高橋和。単独で前を追うという厳しい状況を強いられた高橋和は、そのまま4位でのゴールとなった。今回は表彰台を逃してしまい目標達成とはならなかったが、レース前半で先頭集団から置いていかれてしまった関カレでの反省点は確実に生かされていた。経験値を確実に積んでいる高橋和。40分台を目指して意気込んでいる次戦での活躍が気になるところだ。
(記事 鎌田理沙、写真 杉野利恵)
★次につながるダブル入賞
南野(左)、兒玉ともに日本選手権へ向けて修正点をつかんだ様子
女子400メートル障害に出場したのは兒玉彩希(スポ1=大分雄城台)と南野智美(スポ2=山口・西京)。南野は予選を全体トップ、準決勝を全体2位で難なく通過した。期待のルーキー兒玉も着順で順調に決勝へ。兒玉は関カレで400メートル入賞も果たしているが、タイムに対しては満足していない。今大会も60秒を切ることを目標にしていたが、その目標には届かなかった。しかしこの結果を受け止め、「これから試合やその雰囲気に慣れて満足できるレースをしていきたいと思います」と前向きに語っている。一方、南野は関カレの反省を踏まえて今回のレースに臨んでいたが、走り込み不足という新たな課題を発見したようだ。また、「うれしさ3割、悔しさ7割」と語るように60秒を予選・決勝で二度切れたことを喜びつつも、58秒台を目指す姿勢を見せた。入賞という功績を残しつつも両者は次戦に向け士気を高めている。次のレースは2週間後の日本選手権。2人とも初出場となるこの大会で、どのような活躍が見られるか楽しみだ。
(記事 朝賀祐菜、写真 茂呂紗英香)
★石田裕が自己新記録で優勝!
見事優勝した石田裕
男子400メートル障害では石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)が出場した。先日の関カレでは50秒66と自己ベストを更新したが、惜しくも日本選手権の参加標準記録に及ばなかった。タイムを出すことを目標と定め挑んだ今大会。大会2日目の準決勝はラストで粘りの走りを見せ50秒台を出し、組2着で決勝進出を決める。迎えた3日目の決勝、前半こそ上位の選手に後れをとったが、第3コーナーから徐々に周りをかわし10台目付近でトップに出るとそのままゴール。自己ベストとなる50秒33で見事優勝した。しかし石田裕は「中野先輩(直哉、スポ4=長野吉田)や野澤さん(啓佑、平26スポ卒=現ミズノ)と並ぶにはもう一つ段階を踏まなければいけない」と語る。日本学生対校選手権まであと約3カ月。偉大な先輩に近づくべく、石田裕は練習を積んでいく。
(記事 平松史帆、写真 尾澤琴美)
結果
▽男子100メートル
予選
欠畑岳(早大院2=岩手・盛岡一) 10秒63(+1.5)(2組5着)
▽男子800メートル予選
飯島陸斗(スポ1=茨城・緑岡) 1分53秒50(1組6着)
廣出和樹(教4=愛知・豊丘) DNS
永井大己(スポ4=神奈川・横須賀) DNS
谷原知己(スポ2=神奈川・希望ヶ丘) DNS
西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園) DNS
▽男子110メートル障害
予選
竹吉大記 14秒41(ー1.9)(1組3着)
野本周成(スポ3=愛媛・八幡浜) DNF
古谷拓夢 14秒17(ー1.7)(7組1着)
金井直(スポ1=神奈川・市橘) DNS
準決勝
古谷拓夢 13秒83(+2.3)(2組1着)
竹吉大記 14秒05(+2.3)(2組3着)
決勝
古谷拓夢 13秒89(+1.2)(3位)
9位以下決定戦
竹吉大記 14秒00(+1.0)(12位) 自己新記録
▽男子400メートル障害
予選
石田裕介 51秒03(1組1着)
中野直哉(スポ4=長野吉田) DNS
準決勝
石田裕介 50秒88(1組2着)
決勝
石田裕介 50秒33(1位) 自己新記録
▽男子1万メートル競歩決勝
高橋和生 41分54秒49(4位)
▽女子400メートル障害
予選
南野智美 59秒96(2組1着)
兒玉彩希 61秒21(4組1着)
長田彩楓(スポ4=早稲田佐賀) DNS
準決勝
兒玉彩希 60秒32(1組2着)
南野智美 60秒07(2組1着)
決勝
南野智美 59秒74(4位)
兒玉彩希 61秒02(5位)
コメント
竹吉大記(スポ4=千葉・市船橋)
――予選・準決勝とレースを振り返りいかがですか
いま教育実習の期間でして、難しいコンディションの中ではあったのですが、そういう中でも良い結果が出せれば自分の中で自信がつくと思って臨んでいました。そういった意味では、追い風参考とはなってしまいましたが準決勝で自己ベストのタイムで走れたということで、それが最終レースの前に良い流れで臨める要因になったかなと思います。
――9位以下決定戦のレースでは見事正式記録で自己ベストを更新されました
6月までに日本選手権の標準記録を切るという目標でやっていたのですが、達成できずに悔しい思いをしていたので、なんとかここでまずは13秒台を出そうという思いでやっていました。結果的に13秒台は出ませんでしたが、日本選手権A標準を破るタイムを出すことができ、着実に自分の力が付いているということは確認できたと思います。これ以上調子を下げることなく、どんどん(調子を)上向いていけるようやっていきたいと思います。
――関東学生対校選手権(関カレ)では準決勝で転倒というアクシデントがありましたが、あの時を振り返っていかがですか
最後の年ということで懸ける思いは強いものがあったのですが、ああいう結果になってしまいチームに迷惑をかけてしまった以上、もう取り戻すことはできないし、これからの試合で成績を出すということが自分にできることだと思っています。後ろを見ず、前だけを見てやっていきたいと思います。
――次のレース予定は
今の段階では決まってないですね。
石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)
――優勝おめでとうございます。今の率直な感想を聞かせてください
素直にうれしいという思いがあります。自己ベストも出し今回、予選・準決・決勝とうまくつなげられたということが僕の中でありまして、その中で自己ベストが出たことはもちろんうれしいんですが、一個上の先輩には中野先輩(直哉、スポ4=長野吉田)もいますし、OBの野澤さん(啓佑、平26スポ卒=現ミズノ)も含めてやっぱり僕があの人たちと並ぶにはもうひとつ段階を踏まなければいけないのかなというのが正直な思いです。
――今日の試合に向けての目標やレースプランなどいかがですか
今回の試合は関カレと日体大記録会(日本体育大学競技会)を通して、前半に詰まりすぎの部分があり、14歩から13歩に(インターバルを)変えました。前半を13歩でつなげて後半切り替えるというかたちで今回のレース展開を考えていました。
――それを踏まえて今日のレースはいかがでしたか
予選・準決・決勝を通して、予選・準決をしっかりまとめられたのかなというのが決勝のレースでした。
――今回の記録は自己ベストですがそれに関してはいかがですか
もちろんうれしいということもありますが、上の人たちの中は、「この学年でどれだけタイムを出すかというのが来年度またもう一段階あげるためのカギ」と言います。まだ成長しているのかなという実感も沸いたのでここで一つまた全カレ(日本学生対校選手権)に向けて成長できたらなという思いがあります。
――関カレでは50秒66という記録で、日本選手権の標準記録(50秒60)にギリギリのところで届きませんでしたが、関カレのレースを振り返っていかがですか
もちろん日本選手権に届かなかったというのもあったんですけれど、関カレはタイムというよりかは、ワセダの一人としてトラック優勝に貢献するというのを第一の目標としていたので、しっかり順位に絡めたということが関カレでの良かったところだと思っています。その結果を含めて今回はしっかりタイムを出せたということもありましたので、この先の大会につなげられる良い展開にもっていけたと思います。
――次戦以降の予定は
県選手権があり、それが終わって夏(の練習を)積んでから全カレというかたちになります。今回準決・決勝と50秒台が出ましたので、県選手権では3本50秒台を出せるという結果が一番ですが。県選手権にしっかり考えて望むのと、県選手権を踏まえて全カレにどんな課題があるのかを見つけるというのが自分の中での一番の考えです。なので、次戦に関しては県選手権を終えて、全カレをしっかり挑むというのが今のプランです。
高橋和生(社2=岩手・花巻北)
――今回の試合は、どのような位置付けで出場されましたか
まず40分台を出すというのと、出来れば表彰台を狙っていました。けれど、想像以上に気温が高くなっててタイムは正直厳しくなってしまって。3番以内を狙っていこうかなと思っていました。
――では今大会に出場された目的は
この大会も全国規模の大会ということで、自分がいまどれだけの位置にいるか、全国レベルの大会でどれだけの順位を出せるかを確かめ、表彰台を確実に狙っていこうと思っていました。
――レース展開について、1位集団から離れた時や、その後1人で歩き続けていた時のお気持ちは
離れた後は、ラスト3000メートルで前の2人に追いついて、その後残り2000メートルで自分が前に出て2、3位を狙っていければいいなと思っていました。けれどあっちも僕が後ろにいるということに気づいたみたいでペースアップして、それで僕がばててしまいました。途中で気持ちが切れてしまったのは反省点です。もう一段階上にいくためには、あそこで付いていって競り勝たなければいけないと思いました。
――4位に位置していた時点で、3位に食い込むのは厳しいと感じていたということでしょうか
そうですね、こちらもいっぱいいっぱいで歩いていて、(残り)3000メートルで追いつけれなければきついなと思った時点で、この順位をキープする後ろ向きな気持ちになってしまっていたのだと思います。
――では課題以外に、手応えや収穫などはあるでしょうか
この前の関カレは最初の1000メートルで第2集団からはぐれてしまったのですが、今回は中盤まで先頭集団につけていたので、そこは良かったのです。しかし中盤からの6000〜7000メートルの歩きは関カレのときにも反省点にあげていたのですが、そこはまだ直っていないなと思います。
――高橋選手が書かれた部員日記に、大会記録に近づけるようにしたいとおっしゃっていましたが
最初の5000で、20分40秒近くかかってしまっていたので、少し厳しいかなと思いました。
――では次戦の予定は
次は7月上旬に、地元の岩手で国体の予選会があり、1万メートルを歩きます。7月ということであっちも暑いと思うのですが、そこで1着をとって国体の選手に絡めればいいなと思います。リオデジャネイロ五輪に内定している富士通の方がいて、その選手が国体は第一候補だと思うのですが、しっかり1着を取って、暑い中で40分台を出せればいいかなと思います。
――では意気込みとしては、やはり40分台でしょうか
そうですね、夏までにはしっかり出したいと思っています。
古谷拓夢(スポ2=神奈川・相洋)
――今回のレースを振り返って
タイムを狙うつもりで来て、勝負もしっかりしたいなと思っていました。結果3位ということで、タイムに関してももう少し出したかったなというところではあります。スタートももう少し出れるような部分があったと思うのですが、まだまだ課題が残るレースになりました。
――決勝ではスタートが遅れられたように見えましたが
少し遅れてしまったので、そこを修正していきたいなと思っています。
――日本選手権に向けての意気込みをお願いします
最後まで行くのと、社会人の人だとか学生のトップとも決勝で勝負できるように、反省を生かして日本選手権までの2週間をやっていきたいと思います。
南野智美(スポ2=山口・西京)
――今回の目標や意気込みを教えてください
関カレで大きくベストを更新できたので、それがまぐれとならないように、自分が今でもある程度のタイムが出せるかということと、2週間後に日本選手権があるので、それに向けてどう良い流れを作っていけるかを目標に挑みました。
――レースで意識したことがあれば教えてください
うまく走りきることと、関カレで前半遅れるということがあったので、前半をどううまく出しながら後半につなげていけるかを試してみました。
――試してみた結果はいかがでしたか
前半うまく走れると後半につながってくるんですけど、やはり前半に速く走らないといけないと意識してしまうと、どうしても力んで力を使ってしまう部分や最後走れてない部分があって、試合続きで練習を積めてないというところが課題に出てきたので日本選手権までにしっかり走り込んでいきたいと思っています。
――予選ではなかなかスタートができないというアクシデントがありましたが、うまく切り替えられましたか
私はあまりアクシデントとかを気にしないタイプなので、スタートの方もピストルが鳴らないことに戸惑っていることがあったので、学生で運営してくださっているんだなというありがたさを感じました。なので、そのトラブルは全然気にすることなくスタートできたので良かったと思います。
――予選や決勝では60秒を切る走りでしたが、いかがですか
あまり調整していない中で自分がどれくらいで走れるんだろうという不安もあり、去年は一度も60秒を切ることができなかった中で今回60秒を切ることができたので、そこは去年よりは力がついていると思う部分はあるんですけど、やっぱり58秒を出さないとまだ上では勝負できないというのはあるので、嬉しさ3割、悔しさ7割というところです。
――先ほども話に出ていた日本選手権の具体的な目標や意気込みを教えてください
去年は参加記録を切ってはいたんですけど出られなくて、初めて日本選手権という舞台に立つことができるというのと、シニアの方と初めて400メートル障害を走らせていただくので、挑戦者という気持ちで思い切って走りたいなと思います。予選でベストが出れば決勝も見えてくると思いますし、守るものもないと思っているので、決勝を目指して自分が持っているものを出して、積極的なレースをしたいと思っています。
兒玉彩希(スポ1=大分雄城台)
――2週間後には日本選手権も控えていますが、今回のレースはどのようなスタンスで臨みましか
日本選手権があるので、そこにつながるよう、良い感覚をつかめるようにしようと思っていました。関カレでもあまりタイムが良くなかったので安定して60秒を切って走れるようにしようと思い、レースに臨みました。
――今回のレースを振り返って
まだまだ、練習が足りていなかったのというのを痛感したので、日本選手権までに練習を積んで、しっかりと勝負できる準備をしていきたいと思います。
――関カレでは1年生ながら入賞されました
入賞という点ではチームに貢献できたかなと思うところはあるのですが、タイムとしては満足できていない部分があるので、しっかりとこれから試合やその雰囲気に慣れて満足できるレースをしていきたいと思います。
――今回、日本選手権に向け得た収穫はありますか
あまり良い感覚では走れていないので、日本選手権では良い感覚をつかめたらなと思います。
――日本選手権での目標をお願いします
まずはベストを出すということです。しっかりと上位の選手に食らいつけていけるように、体づくりの面でも精神的な部分でも準備をして臨めたらなと思います。