仲野春が自己新!トラック種目は不調に終わる

陸上競技

 日本グランプリシリーズの最終節が、静岡・エコパスタジアムの地で行われた。早大からは400メートル障害に中野直哉(スポ4=長野吉田)、石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)、400メートルには愛敬彰太郎主将(スポ4=三重・桑名)、女子走高跳には仲野春花(スポ2=福岡・中村学園女子)が出場した。仲野春は自己記録更新となる179センチをマークし優勝に輝く。対してトラック種目は思うような記録を出すことができず、不振に終わった。

 「3回目に足がしっかりと合えば跳べると思った」。仲野春はいたって冷静であった。1メートル70センチから、すべて3回目の試技で成功を収めていた仲野春。通常ならピンチと思われる場面にも落ち着いた跳躍を続け、記録を刻んでいく。最終的に1メートル79センチを成功させ、自己記録と自身が持っていた早大記録を見事更新。また日本選手権のA標準記録を破り参加資格をも得た。さらに今回は失敗に終わった1メートル83という高さにも、「他にも試合はたくさん出るので、そこで挑戦していきたい」と、上へ向けて早くも気合いは十分だ。
 一方トラックでは、400メートルに出場した愛敬が序盤は積極的な走りを見せた。「リラックスできた」というバックストレートでの走りを後半戦でも出したいところであったが、ケガで練習を積めなかった影響かラストで踏ん張ることができず、目標であった47秒前半は出すことができなかった。

2年ぶりに自己ベストを更新し見事優勝した仲野

 400メートル障害に出場した石田裕は、関東学生対校選手権(関カレ)に向け、走りの確認という位置づけで今大会に臨んだ。スタートには成功したものの、その後の2、3台目のハードルで減速し、課題をつかむレースとなった。中野は先日の東京六大学対校大会で自己新記録を出して上がり調子と思われたが、今回は粘り切れず自己ベストを1秒近く下回り、本領発揮とはならなかった。その一方で、同じく400メートル障害に出場した野澤啓佑(平26スポ卒=現ミズノ)が大躍進を見せる。前半の勢いそのままに、ホームストレートでさらにスパートをかけ、自己ベストを0.01秒上回る49秒07をたたき出す。これはオリンピックの参加標準記録を超える快走。リオデジャネイロオリンピック(リオ五輪)出場を近づけた。

総合で7位となるも、本来の走りとはいかなかった中野

 リオ五輪の選考会を兼ねているハイレベルな大会に挑んだ早大の選手たち。トップレベルの選手のパフォーマンスを肌で感じることで、自分の課題や不足している部分に気付くきっかけになったに違いない。また、春シーズン最大の大会の一つである関カレは2週間後にまで迫っている。「前半の200メートルを自分の持ち味であるところも確認したかった」(愛敬)、「関カレにつながるようなレース展開とレースパターンをやっていけたら」(石田裕)と言うように、選手の中では先に向けて改善の見通しが立ったことだろう。今大会であらわになった問題点を修正した早大の選手が、大舞台で躍動することに期待がかかる。

(記事 鎌田理沙、写真 中村朋子)

★リオパラリンピックへーー。早大OBたちの戦い

並走する芦田OB(左)と多川OB

 今大会特別種目として行われた男子パラ100メートルに、早大OBであり、現在はTOYOTAに所属している芦田創OB(平28政経卒)と多川知希OB(平22先進院卒=現AC KITA)が出場。芦田OBは大学時には主に走幅跳、三段跳でT47クラスの日本記録を更新するといった結果を残してきたが、100メートルでも4×100メートルリレーで日本代表に選出されるなど、その実力は折り紙付きだ。対する多川OBは過去にロンドンパラリンピック100メートルで5位入賞した経歴を持っている。
 二人は隣合ったレーンからスタート。自己ベストの上では多川OBに軍配が上がっていたが、スタート直後はほぼ横一直線で並走する。後半に大きく伸びた多川OBが11秒31の好タイムで2位に入り、芦田OBは11秒80でその後塵(こうじん)を拝することとなった。オリンピックイヤーとなることし、パラリンピックの陸上競技を盛り上げる早大OBたちの戦いも熱を帯びてきている。

(記事 平野紘揮、写真 大庭開)

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結果

▽男子200メートル

橋元晃志(スポ4=鹿児島・川薩清修館)  DNS

徳山 黎(スポ3=神奈川・相洋)  DNS

▽男子400メートルタイムレース決勝

愛敬彰太郎(スポ4=三重・桑名) 47秒80(2組5着、総合19位) 

▽男子800メートルタイムレース決勝

出口翔OB(平28スポ卒=現千葉陸協) 1分53秒38(1組6着、総合12位) 

▽男子400メートル障害タイムレース決勝

石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)  51秒16(1組4着、総合13位)

中野直哉(スポ4=長野吉田)   50秒16(4組6着、総合7位)

野澤啓佑OB(平26スポ卒=現ミズノ)       49秒07(4組1着、総合1位)

▽男子パラ(T44・47)100メートル決勝

多川知希OB(平22先進院卒=現AC KITA) 11秒31(+1.6)(2位)

芦田創OB(平28政経卒=現TOYOTA) 11秒80(+1.6)(3位)

▽女子400メートル障害  

兒玉彩希(スポ1=大分雄城台) DNS

▽女子走高跳決勝  

仲野春花(スポ2=福岡・中村学園女子) 1メートル79(1位) 自己新記録、早大新記録


コメント

愛敬彰太郎主将(スポ4=三重・桑名)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きょうは前半の200メートルを自分の持ち味であるところも確認したかったので、スピードを上げたところから、それをいかにリラックスして維持できるかというところが課題でした。250メートルまではレースがうまく運べたのかなと思います。残り50メートルから80メートルくらいで、ケガの影響もあってつめれない部分もあったので、そこは最終的な修正部分かなと思います。

――きょうは一発決勝でありましたが、そのあたりはどのようにお考えでしたか

僕は1本目にベストパフォーマンスができないことが多い傾向にあるので、しっかりと一次アップでいつもよりも刺激をいれて二次アップ、というかたちで1本目に合わせられればいいかなと思っていました。

――前半を積極的にいっていたような印象を受けましたが、そのあたりを振り返ってみていかがでしたか

自分の中では前半にとばしたという感覚がなくて、今の自分がどれだけ気持ちよくいったときに、タイムがどれぐらいになるのかなというのが知りたかったです。きょうは前半は欲張らずにそれをリラックスして維持していくという風にしていたので、タイムがどれくらいかということに興味があります。

――47秒80というタイムについてはいかがですか

まだまだいいタイムではありませんし、今回の大会も47秒2、3から6秒台というのを狙っていました。自分の練習不足が表面的に出たのかなと思うレースでした。すべてが悪いというわけではなかったので、その反省も含めて関東学生対校選手権(関カレ)に合わせていきたいです

――最後に関カレに向けての意気込みをお願いします

関カレでは主将としても自分のラストイヤーとしても最後なので、しっかりとしたかたち、マイルも400メートルも優勝で残せるようにこれから1つ1つ課題をクリアしていきたいと思います。

石田裕介(スポ3=千葉・市船橋)

――きょうのレースを振り返って

きょうのレースとしては、最初は自己ベストを狙う大会にしていこうと思っていたのですが、先生と話しまして、今回は関カレにつながるというポイントを持っていました。自己ベストが出ればそれはそれで良いのですが、関カレにつながるようなレース展開とレースパターンをやっていけたらなということを考えて走りました。

――今回はタイムレース決勝ということで、1本勝負となりましたが

いままで1本でなかなかタイムが出てこなかったのですが、最近は1本目からのアベレージが段々と上がってきていて、そこは良かったかなと。今回は一発ということはあまり意識しないでやっていこうと思っていました。

――東京六大学対校大会(六大学)、そして今回の静岡国際大会を終えていかがですか

六大学はどちらかと言うと同じ大学の中野さんが一番の相手でした。中野さんは同じ大学でありライバル、目標としている人でもあるので、六大学に関してはタイムと同時に順位を目指すという感じでやっていきました。今回の静岡に関しては、持ちタイムの順で言えば僕は下から数えた方が早かったので、勝つというより上の人に挑戦していくという強気のレースをしていこうと思ってレースをしました。

――今回のレースはは前半のスタートが決まった印象を受けました

そうですね。前半は2年の時に比べると上がってきてはいるのですが、いまひとつ2台目、3台目というところがまだ僕の中ではもうひとつというところがあります。関カレまでにそこを持ち直すというのもそうなのですが、その先の試合を見据えて、しっかりと合わせていこうかなと思います。

――野澤啓佑OB(平26スポ卒=現ミズノ)もいらっしゃいましたが、何かお話はされましたか

特にレースの話はしていませんが、自分の走りもいつも見て話をしてもらっていて。それを踏まえながら自分のレース展開につなげられればと思っています。それと同時に気持ちの面でも、他愛もない話をしてもらっているので落ち着けています。高い目標の選手として憧れの選手でもありますし、これから陸上をやっていくにあたって越えていかなければならないカベという存在でもあるので、野澤さんを目指す、そして越えていくということを下の学年としてはやっていかなくてはいけないと思っています。

――最後に、関カレへの意気込みをお願いします

関カレには1年生の時には出れなかったのですが、2年で2位という結果があります。ですが去年と違ってハイレベルな戦いになると思うので、それを考えた上でもちろん決勝にいく、自分のレースをしていくということと、早大として、たくさんの支援も受けていますし、家族からも後押ししてもらっているので、そういう人たちのためにも一本一本しっかり走っていこうと思います。また、ことしはオリンピックイヤーでもありますので、世界を目指すワセダとして、僕も一選手としてそこを目指していけるようにまずは(関カレを)頑張っていきたいと思います。

仲野春花(スポ2=福岡・中村学園女)

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちは

シーズン初戦ということで不安もあったんですけど、冬季練習積んできたのが結果に結びついて本当に良かったなと思います。

――今回の記録である1メートル79は3回目での成功となりました

1回目と2回目にも、感覚的には体がしっかり浮いていたので「いける」と思っていました。3回目に足がしっかり合えば跳べると思っていて、結果的にも跳べて良かったです。

――1メートル83センチの跳躍にただ1人挑みましたが、振り返っていかがですか

183センチは初めての挑戦で。でも、いけない高さではなかったので、関カレだったり、他にも試合にはたくさん出ると思うのでそこで挑戦していきたいなと思います。

――今回の記録は日本選手権のA標準記録も上回る記録でしたが

いえ、特に意識はしていませんでした。一番大きかったのはベストが出て良かったなというところでしたね。

――関カレでの目標をお願いします

関カレでは優勝して、いつも支えてくださっている先生方とみんなに、結果で恩返しできるように頑張っていきたいと思います。