春らしい暖かい気候に包まれた23日と、冬に逆戻りしたような寒空の冷たい空気の24日に行われた日本体育大学長距離競技会。鈴木洋平(スポ4=愛媛・新居浜西)が「勝負しなければいけないところで、自信がなくて勝負できなかった」と言うようにそれぞれが設定していた目標にはなかなか届かないレースとなった。しかし、1500メートルと800メートルでは新入生たちが堂々とした走りで素晴らしいタイムを出し、5000メートルでも多くの選手が積極的なレースを見せ好記録をマークするなど調子は上向いてきている。
1日目の23日、期待のルーキーたちの活躍が目立った。齋藤雅英(スポ1=東京・早実)は1500メートル、西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園)は800メートルで日本選手権のA標準記録に近いタイムを叩き出す。一方で、いまの自分の状況を真摯(しんし)に受け止めたのは1万メートルに挑んだ4選手。石田康幸(商3=静岡・浜松日体)、車田颯(スポ2=福島・学法石川)は自己ベストを更新するも、両者とも納得できる記録が出ていないことを厳しく評価した。「もう一回しっかりと練習をこれから積んでいきたい」と佐藤淳(スポ4=愛知・明和)が語るようにシーズンのヤマ場はこれから。今レースの反省を踏まえ、軌道修正する時間はまだ残されている。
1分50秒台で走りきり、いきなり自己記録を更新した西久保
2日目の5000メートルには光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工)をはじめとした9名が出走。光延を含む最終組は外国人選手を先頭にレースが進められた。序盤は集団の後方につき安定した走りを見せた光延。少しずつ集団がばらけ始めると、第3集団の先頭に出て積極的に自らペースを作り、落ちてきた選手を一人ずつ拾っていくというレースプランで着実に前を追う。ラスト1周でペースを上げ、日本学生対校選手権A標準記録を切る13分53秒08の自己新記録でゴール。しかし「もっといきたいというのが本音」と満足はしていない。他にも、ルーキーの伊澤優人(社1=千葉・東海大浦安)と西田稜(政経2=東京・早大学院)が自己記録を大幅に縮め、今季初の5000メートルのレースとなった鈴木も自己ベストを更新するなどさまざまな収穫もあった。
光延のペースは最後まで落ちることはなかった
好調な滑り出しの新入生を筆頭に、今回の試合で多くの選手が自己記録を更新した。「下からの突き上げができていた」と光延が語るように、チーム全体としても確実に調子が上がってきている。関東学生対校選手権までの残り約1カ月でさらに練習を積み走りに磨きをかけ、全員でトラック優勝を目指していく。
(記事 朝賀祐菜、吉村早莉、写真 吉村早莉、杉野利恵)
結果
▽男子800メートル
坂本優人(スポ2=早稲田佐賀) 1分58秒65(15組6着)
徳永翼(人1=岡山操山) 1分52秒52(17組3着)自己新記録
廣出和樹(教4=愛知・豊丘) 1分51秒56(19組2着)自己新記録
永井大己(スポ4=神奈川・横須賀) 1分54秒23(20組6着)
西久保達也(スポ1=埼玉・聖望学園) 1分50秒07(21組1着)自己新記録
飯島陸斗(スポ1=茨城・緑岡) 1分52秒63(21組6着)
谷原知己(スポ2=神奈川・希望ヶ丘) 1分52秒82(21組7着)
▽男子1500メートル
谷口耕一郎(スポ3=福岡大大濠) 4分13秒25(15組15着)
齋藤雅英(スポ1=東京・早実) 3分48秒00(18組7着)自己新記録
浅川倖生(スポ4=兵庫・西脇工) 3分55秒48(18組18着)
小澤直人(スポ2=滋賀・草津東) DNF
▽男子5000メートル
三上多聞(商1=東京・早実) 15分00秒42(18組16着)
金森博至(スポ1=徳島・鳴門) 15分28秒32(18組32着)
川村裕幹(基理4=和歌山・桐蔭) 14分52秒32(21組15着)
遠藤宏夢(商1=東京・国学院久我山)14分37秒25(22組2着)
伊澤優人(社1=千葉・東海大浦安) 14分45秒06(22組9着)自己新記録
河合祐哉(スポ3=愛知・時習館) 14分45秒08(25組23着)
西田稜(政経2=東京・早大学院) 14分29秒68(26組10着)自己新記録
鈴木洋平(スポ4=愛媛・新居浜西) 14分18秒06(30組23着)自己新記録
光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工) 13分53秒08(31組19着)自己新記録
山内敬仁(先理1=熊本) DNS
白石達郎(人1=東京・日大第二) DNS
井上翔太(スポ2=愛知・千種) DNS
永山博基(スポ1=鹿児島実) DNS
▽男子1万メートル
石田康幸(商3=静岡・浜松日体) 29分42秒09(6組6着)自己新記録
車田颯(スポ2=福島・学法石川) 29分37秒44(7組15着)自己新記録
武田凜太郎(スポ4=東京・早実) 30分07秒16(7組27着)
佐藤淳(スポ4=愛知・明和) 30分30秒39(7組36着)
藤原滋記(スポ3=兵庫・西脇工) DNS
安井雄一(スポ3=千葉・市船橋) DNS
▽女子5000メートル
堀明日香(スポ3=広島・世羅) 17分52秒84(2組25着)
コメント
佐藤淳(スポ4=愛知・明和)
――今回の試合を振り返っていかがですか
途中までは良かったですが後半ぼろぼろになってしまったので、しっかりと関カレ(関東学生対校選手権)までには修正したいと思います。
――このレースへの意気込みはどのようなものでしたか
ここ1、2週間くらい前に少し調子を落としてしまって、うまく練習が積めていませんでした。3分を切るくらいで29分台を出して関カレにつながるような走りをしようと思いましたが、後半うまくいかなかったので、もう一回しっかりと練習をこれから積んでいきたいと思います。
――レースプランはありましたか
後ろからいって前から落ちてきた人を拾っていこうと思っていました。最初後ろで楽に走っていたのは良かったのですが、中盤落ちてきた選手と一緒になって走ってしまったので、そこで前につけなかったというのがきょうは駄目だったと思います。
――次回のレースの予定を教えてください
このままいったら関カレに出場するつもりなので、それまでにしっかりと走れるようにしたいと思います。
――最後に関カレでの目標をお願いします
ハーフマラソンで勝負するとマラソンが終わった後から決めていたので、しっかりと表彰台に乗れるように、これからうまく合わせていきたいと思います。
鈴木洋平(スポ4=愛媛・新居浜西)
――今回の目標タイムはどのように設定されていましたか
14分1桁を目標に望みました。
――どのようなレースプランを考えていましたか
あまりタイムを気にせず集団についていって、ラストで勝負をしようとは思っていました。
――レースを振り返っていかがですか
途中で集団(のペース)が上がったときに反応することはできましたが、そのときに後ろについて休んでしまいました。本来は先頭付近で勝負するところだったのですが、先頭に出れなかったことは自分の自信のなさや弱さが出てしまったと思います。
――今回のタイムは自己ベストでしたが
自己ベストにこだわっていないので、あまりうれしくはないですが、おまけかなという感じです。
――課題点と収穫点は見つかりましたか
収穫点は3000メートル過ぎまで2分50ちょっとのペースを楽に刻めたことです。改善点としては終盤の(ペースが)上がって自分が出て勝負しなければいけないところで、自信がなくて勝負できなかったところです。
武田凜太郎(スポ4=東京・早実)
――久しぶりのレースになりましたが、今回のレースの位置付けは
復帰戦ではあるのですが、関カレに出るために標準記録を切るというのが1番の目標でした。ですが積み重ねがない分、こういう結果になってしまったのかなと思います。
――ケガをされてからいままでどのような練習をされてきましたか
練習を本当に中断したのは数週間なのですが、練習に復帰してからもメニューを自分で考えて、チームとは別の形で練習してここまでやってきました。
――チームに合流しての練習はまだされていないのですか
そうですね。ポイント練習を誰かとやるということはなくて、一人でやってきました
――1年半ぶりの1万メートルとお聞きしましたが、レースプランはどのようなものでしたか
7000、8000メートルまで先頭についていって、ラストいけるところまで上げていこうと思っていたのですが、前半からかなり余裕がなくて、中間過ぎたあたりからも1キロ3分を超えるペースになってしまいました。
――これから練習の方はどのようにされていきますか
関カレの方はもう厳しいと思うので、次大きなレースとなると、他の記録会や、ホクレン(ホクレンディスタンスチャレンジ)になってくると思うので、そこに向けてモチベーションをしっかり保って練習の方に取り組んでいきたいと思います。
――次のレースの予定となると、関カレの後でしょうか
そうですね、まだめどは立っていないですが、その辺りで記録会などに出ると思います。
石田康幸(商3=静岡・浜松日体)
――今回の記録会はどのような意気込みで臨みましたか
他のみんなより組が一つ前で、少しペースは遅くりますが、その組トップで29分30秒、20秒を出すのを目標に臨みました。
――今回のレースはタイムを意識されていたのですか
関カレ標準を切るというのはありましたが、タイムよりも組トップを取ることを自分の中では考えていました。
――どのようなレースプランで進めていこうとされましたか
ラスト1000メートル、2000メートルまではちゃんと5番手以内に付けて、ラスト1000メートルで勝負するというのが今回のプランでした。
――序盤から集団の先頭についていて攻めの姿勢が感じられましたが、スタートはいかがでしたか
最初で前に行かないと人数が多くて転倒とかが怖かったので前にすぐ出て、もともと前でレースを進めると決めていたのでそのように(序盤から攻めて)いきました。
――ラスト1000メートルで勝負するとおっしゃっていましたが、ラストの部分はいかがでしたか
ラスト1200メートルくらいから前の5人くらいが出ていったのですが、そこでうまく切り替えられませんでした。結局ラスト1周はかなり上げて抜き返すことはできましたが、その一つ前の段階の軽いスパートの部分がまだできていないので、そこを修正したいと思います。
――早稲田大学競技会に続いての自己ベスト更新となりましたが、その点についてはどのようにお考えですか
前の自分を超えたという点では最低限のことはできたので良かったのですが、毎回納得のいかない自己ベストが続いているので、10秒以上大幅に更新できるような自己ベストを次から狙っていきたいと思います。
――コンディションはいかがでしたか
前回の早大競技会の時よりは確実に調子は上向いてきていたので、調子は普通くらいかなという感じで、もう少し行けるかなとは思いました。
――次のレースの予定は決まっていらっしゃいますか
このあと監督が関カレのメンバーを決めていくので次に何を出るのかというのはまだ決めていないのですが、まだ関カレを諦めていないので、関カレで勝負できるようにやっていきたいです。
――改めて感じた収穫と課題を教えていただけますか
ラスト1周の力がついてきたというのはあるので、1万だったら8000、7000あたりの力の出し方、5000だったら3000すぎというところを課題に取り組みたいです。課題が明確になったので、それに向けて取り組んでいきたいと思います。
光延誠(スポ3=福岡・鳥栖工)
――今回の試合を振り返っていかがですか
日本選手権標準記録を目標にこの大会に臨んで、9秒足りなかったのが悔しいところなんですけど全カレ(日本学生対校選手権)標準のA記録を切れたので良かったかなと思います。
――集団がばらけた後も前の選手を拾っていくことができていたと思うのですかその点についていかがですか
最初からハイペースになると思っていたのに、最初の1キロから思っていた以上にスローペースだったのでちょっと焦った部分もあったんですけど少しずつ前を追うことができたので良かったと思います。
――今回自己ベストを更新されましたがいかがですか
もっといきたいというのが正直な本音なんですけど、ベストを出すことができたのでまずはほっとしています。
――チームとしても今大会は自己ベストを出された選手が多いですが
B、Cチームの人たちがベストを結構更新してやはりAチームでやっている僕がその勢いを崩しちゃいけないという場面だったのでベストを出せたことは良かったなと思いますし、下からの突き上げができていたのでそれも良かったと思います。
――最後に関カレでの目標をお願いします
きょねんケガで出られなかった分ことしは表彰台が1番の目標で最低目標がやはり得点を取ることなので、まずは表彰台を目標にやっていきたいと思います。
車田颯(スポ2=福島・学法石川)
――今日のレースの意気込みを教えてください
最低、関カレの標準を切ることが目標で、そこは通過点として考えていて、個人としては全カレのA標準はもっとはるか高い28分台にあるので28分台を出すことを目標にしていました。ですが、自分の想像以上に体が動かなくて挑戦が失敗した理由が今はまだ見つかっていません。もう一度ゆっくり反省して何が駄目だったのか、次の試合に向けては何を修正していけば良いのかを考えていきたいと思っています。
――今日のレースプランはいかかでしたか
前に出た六大学対校レースでは順位をこだわるレースだったということで、自分から仕掛けていって最終的に仕掛けたせいで動かなくなってしまって、結果的に言えば自滅してしまったので、今回は最後の勝負どころまでは体力をためて最後に爆発させて勝ちにいくというレースをするつもりでした。僕は長い距離が得意だと自分で思っているにもかかわらず、前回走った5000メートル手前で少し動きが自分の思うようにいかなくなってしまいました。そこで動揺せずにペースを保ち続けてずるずるとタイムが落ちていくという結果にはならなかったおかげで、自己ベストという結果は出せたのですが、その数字は(自分の中で)最低ラインの関カレの標準に満たない数字で、正直走り終わった後に不完全燃焼してしまった感じがありました。今もレースで出し切れなかった感じがしています。今回は試合として失敗したかなと。
――今後のレースの目標を教えてください
最近自分で満足できるレースがないというか、合格点のレースが一つもないので、自分のこれはやるといったことをしっかり次はやれるようにしたいと思います。もちろん僕はワセダとしても大学陸上界の中でもまだまだ位置が低いところにいるので、自己ベストだとか今までの自分の立ち位置よりも上でゴールすることは難しいことではないので、絶対にケガや大きな失敗をしてしまって後退することだけはないように、まだチャレンジができる大学2年生だと思うので、それを踏まえてこれからのレースに挑んでいきたいと思います。
――最後に具体的なレース予定はありますか
関カレになるとは思うのですが、選考に引っかかるかは分からないタイムでしたので、違う試合になるということもあります。どのレースにしろ、この2年目で1度はしっかり自分の殻を破れるような姿勢とレースを見せていきたいと思います。
西田稜(政経2=東京・早大学院)
――今回のレースを振り返って
目標としては14分20秒、ないし関カレ(関東学生対校選手権)の標準記録である14分22秒というのを目指していました。
――レースプランはありましたか
後半のところでレースペースが落ちてしまうことが多いので、そうなる前にしっかりと自分で引っ張るということを考えていて、最後もいけるところまでいこうと思っていました。割とレースプラン通りに進められたと思います。
――実際に先頭に出るシーンも見受けられました
集団が大きく(差が)開いて、自分が遅れる前にしっかりと自分で引っ張るということが必要だと思っていたので、そうしました。
――14分29秒というタイムについてはいかがですか
目標としていたところには届かなかったのですが、プラン通りにレースを進められたという意味では及第点は与えられた内容だったかなと思います。
――今回の記録は自己ベストとなりますが
高校からどんどん自己ベストを出せてきていて。はじめは15分17秒とかで、どんどん更新できてはいるので、次のレースも大きく飛躍できるようにやっていきたいなと思います。