近年注目を集める若い世代によるマラソン挑戦。先日行われた東京マラソンでも、青学大の下田裕太や一色恭志、東洋大の服部勇馬ら学生たちが積極的にレースを作り、上位入賞を果たした。リオ五輪最終選考レースとなる今回のびわ湖毎日マラソンには、早大から井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)と佐藤淳(スポ3=愛知・明和)がエントリー。天候は曇りで気温はさほど上がらず、ほぼ無風という絶好の条件の中、レースは始まった。
並走する佐藤(左)、井戸
井戸、佐藤はそれぞれ並ぶようにして集団の中腹からスタート。リオ五輪最終選考レースだけあり、日本人の先頭集団はペースメーカーに積極的につき、1キロ3分を刻みながらレースは推移した。一方井戸、佐藤の2人は自分のペースを守りながら走り続ける。20キロまでは1キロ3分10秒前後で押していき、その後はフリーという指示のもと、序盤は安定したラップでレースを進めた。中間点では佐藤は1時間8分09秒、井戸は1時間9分52秒で折り返し、後半戦に入っていった。
ここから、佐藤が徐々に伸びを見せる。序盤の比較的スローなペースで走ったために開いた上位グループとの差を少しずつ回収していくレース運びを展開。マラソンの鬼門とされる30キロ過ぎにも佐藤は安定したペースで走りを進め、40キロ手前で順位を大幅に上げた。ゴールのトラックに入ってきたときには「もう足が動かなかった」と言うが、2時間16分33秒の、招待選手も多く含まれている中で日本人14位と健闘。対する井戸は「足が30キロ過ぎから動かなくなってしまった」と語り、後半に課題を残す苦い初マラソンに。しかし、最低限の目標とした2時間20分切りを達成したことは、次のトラックレースへの弾みとなることだろう。
思い通りとはいかなかった井戸
東京マラソンに出走した安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)とともにマラソンという新たな取り組みを行った井戸、佐藤。この経験が、春以降のトラックレースにどのようにつながってくるか。「トラックシーズンでは最初から自己ベストが出せるように仕上げていきたい」(佐藤)。マラソン練習によって培われたスタミナ、脚力。その真価が発揮されるまで、そう遠くはないだろう。
(記事 平野紘揮、写真 杉野利恵、吉村早莉)
結果
▽男子マラソン
佐藤淳(スポ3=愛知・明和) 2時間16分33秒(19位) 自己新記録
井戸浩貴(商3=兵庫・竜野) 2時間19分44秒(39位) 自己新記録
コメント
井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)
――この試合の目標と意気込みは
最低限の目標が2時間20分切りで2時間15分から17分を目標にやっていましたが、少し届きませんでした。
――この試合はどのような位置付けでしたか
今までやっていなかったことに挑戦するという位置付けでした。1月の中旬からマラソン練習というかたちで走らせていただいて、その成果を試す試合でした。
―― レース展開を振り返ってみていかがですか
淳(佐藤、スポ3=愛知・明和)と20キロまで3分10前後でいって、そこからできるならビルドアップしていくつもりでした。ちょっとうまくいきませんでしたね。
――マラソンの後半はどうでしたか
後半はハーフ過ぎたあたりからきつかったです。呼吸はきつくなかったのですが、特に足が30キロ過ぎから動かなくなってきました。
――どのようなレースプランでしたか
理想のレースプランとしては20キロまで3分10前後でおして、自分はゆっくりでいいから3分一桁ぐらいまであげていければいいなと思っていました。
――初マラソンはどうでしたか
不安はありましたが、なんとなくいけるだろうと思っていたものが、あまりうまくいかなかったです。やはり自分たちの知らなかったものなのかなと素直に感じました。
――もう一度マラソンを走りたいですか
次は競技者ではなくて普通に楽しく走れる人になって走りたいですね。
――トラックシーズンに向けての意気込みをお願いします
トラックシーズンでは1万メートルのタイムと5000メートルのタイムは持っていないので、1万メートルのタイムは一応全カレ(日本学生対校選手権)のは切っているのですが、青学大に比べれば負けているのでその分を補わなければならないなと思っています。関カレ(関東学生対校選手権)もあるので狙っていこうかなということで、ちゃんと結果を残していきたいです。
佐藤淳(スポ3=愛知・明和)
――今回のレースの目標タイムと意気込みはどうでしたか
箱根(東京箱根間往復大学駅伝)が終わってから足にだいぶ不安があり練習もすごく気にしながらだったので、監督からは特にタイムというのは言われていなかったのですが、このマラソンが終わってトラックシーズンに入るからマラソンを走って脚が痛くなっちゃってその先のシーズンを棒に振らないようにとだけは言われていました。
――実際の結果についていかがですか
初めてだったのでどこまで行けるかわからなかったのですが、20キロまでは井戸と2人で一定のペース刻んで20キロからはフリーにするからそこからは調整してこいっていう監督からの指示でした。やはり20キロ以降ペースをあげることができなくてそのままでいっちゃったのでそこはまだまだ実力不足かなと思いました。
――今回のレースの位置付けはどのようなものでしたか
この1月、2月でチームとしては個別性を重視したような練習ばかりで、僕の場合はスタミナに自信があるのでそのスタミナをさらに伸ばしていくようなマラソン練習だったと僕は捉えています。
――レース展開はどのようなものでしたか
最初はつかずに2人でいけという指示だったので最初は抑えていって後半たぶん前から落ちてくるからそれを拾って行けというような指示でしたけど前半でもっと楽にいかないといけなかったのですが足を使っちゃって。後半は多少は粘れましたが、そうですね…もっと粘りたかったです。
――1キロのラップはどのくらいに設定されていたのですか
3分15秒前後と言われていてそのぐらいでは行けました。
――目の前に大先輩の佐々木寛文選手(平25スポ卒=現日清食品)がいらっしゃいましたがいかがでしたか
ラスト抜けるかなと思ったのですがもう足が動かなくて。惜しかったですね(笑)。
――初マラソンを振り返っていかがですか
もう走りたくないです(笑)。
――これからのトラックシーズンに向けての意気込みをお願いします
とりあえずきょうの疲労を完全にとってリフレッシュしてトラックシーズン入って、トラックシーズンでは最初から自己ベストが出せるようにこれから仕上げていきたいと思います。