成長と課題を感じる9位

陸上競技

 全国の強豪たちがここ福岡・海の中道海浜公園に集い、日本選手権クロスカントリーが行われた。ことしは前回大会である福岡国際クロスカントリーとは一味違い、距離が10キロから12キロに変更され、優勝者は日本選手権1万メートルの参加資格を獲得する。早大からは今季駅伝主将を務める平和真(スポ3=愛知・豊川工)が出場した。前半は他大のエースたちと互角に渡り合うも、後半に失速し9位に終わり、自身の成長と課題を見つけるレースとなった。

 「先頭集団でしっかり勝負ができていれば、競り合って(優勝を)狙っていこうと思っていた」、「どれだけ先頭集団につけるか」(平)。この言葉通り、序盤から平は積極的に前でレース運びをする。茂木圭次郎(旭化成)や青学大の神野大地などの実力者たち10人ほどが形成する先頭集団につき、1キロを3分切るハイペースな展開。アップダウンを利用し前に出る選手やペースの上げ下げでの揺さぶりなど、さまざまな戦略が混ざり合う中、冷静に対応し前へと進み、一時は先頭の選手に並び勝負を仕掛ける場面も見られた。

悪天候の中のレースを進める平

 レース終盤の8キロ地点。10人ほどで形成されていた先頭集団が徐々に崩れ始めていく。市田孝(旭化成)や青学大の神野らが飛び出し、ペースを上げると前についていた平は徐々に差を開けられ後退。相手が名の知れた強豪だけにその後に詰めることができず9位でのフィニッシュとなった。これを受け、試合後「先頭集団から離れてしまうようじゃまだまだ力不足」(平)。そのように振り返ったが、前半の走りも総じて「唐津(唐津10マイルロードレース)やこのクロスカントリーで力はついてきていると実感しています」、「自信を持って春先の記録会1発目で(記録を)出したい」と語り、平自身にとって、これから突入するトラックシーズンにつながるレースとなったはずだ。

終盤に失速し、入賞はかなわなかった

 東京箱根間往復大学駅伝から約2カ月が経過し、冬季シーズンのレースも終盤を迎え、徐々にトラックシーズンへと移行していく。平は今季の駅伝主将を務め、その責任や周囲からのプレッシャーは重くのしかかってくるだろう。まずはトラックシーズンで『背中で見せる』走りをし結果を残して、チームに良い刺激を与えていきたい。新主将として、平和真の特別な1年間が始まろうとしている。

(記事 本田京太郎、写真 中村朋子、茂呂紗英香)

結果

▽シニア男子12キロ

平和真(スポ3=愛知・豊川工) 36分49秒(9位)自己新記録

コメント

平和真(スポ3=愛知・豊川工)

――レースを振り返ってみていかがですか

今回のレースに臨むまでの位置づけとしてはしっかりと練習をして、12キロかつアップダウンのあるこのコースで足腰を作れたかとか高さが出てきたとか、そういうことが確認できた試合だったと思います。どれだけ先頭集団につけるかっていう気持ちで臨んだんですけど、もっと先頭集団についてかないといけないと感じました。

――日本選手権男子1万メートルの出場権獲得というのは狙われてましたか

そうですね。試合に出るからにはそこを狙っていかないと上位には組み込めないですし、自分自身、日本選手権1万メートルの標準記録を切ってないので先頭集団でしっかり勝負ができていれば、競り合って狙っていこうと思っていました。まあそうは思ってはいたんですが、先頭集団から離れていってしまうようじゃまだまだ力不足だと思うのでタイムで日本選手権出場を狙っていくしかないのかなと思います。

――レース展開については

クロスカントリーなのでペース配分というよりも最初から突っ込んで、どれだけ先頭についていけるかというものすごくシンプルなレースなのでプランは特に無くて、先頭にどれだけつけるかというのだけ考えていました。

――レース前半は先頭集団でハイペースなレース展開にうまく対応できていました

そうですね。体の動きが良かったのできょうはいけるんじゃないかって思っていました。でも、やっぱり4周目くらいで青学大の神野(大地)選手であったり、強い選手たちとの力の差が出てしまったのかなと。

――先頭集団では何か駆け引きなどはありましたか

何回も仕掛けてくる選手がいたり、アップダウンを利用して、そこが得意な選手はそこで前に出たり、2キロの中でもいろいろな戦略が混ざり合ってたので途中苦しい場面が何度かありましたね。

――天候については

予想はしてなかったんですが、クロスカントリーというのは雨でぐちゃぐちゃになって余計に、いろいろなフィジカルの面にきたり、コンディションが悪くなればなるほど、各選手の力の差というものが出てくると思います。その中で最低限、粘ることができていたのはまだ良かったのかなと思います。

――日本選手権の標準記録にまだ5000メートル、1万メートルともに届いていない状況ですが、記録突破の自信はありますか

唐津の10マイルロードレースとこのクロスカントリーで力はついてきていると実感しています。なので、自信を持って春先の記録会一発目で出したいと思います。

――今後の予定は

冬のレースはもうこれで終わりなので、これから合宿に入ってスピードを磨いていって4月のトラックシーズンに入っていくといった感じです。

――トラックシーズンでの意気込みをお願いします

早大長距離ブロックの主将として存在感を見せていけるように、シーズン初レースからガンガンいきたいなと思っています。