実りある冬季練習、おのおのが収穫をつかむレースに

陸上競技

 冬も終わりに差しかかった2月21日、東京都青梅市で開催された青梅マラソンに、早大からは8名の選手が出場した。冬季練習の一環として臨み、25キロ地点までは1キロ3分20秒から30秒のペースを守り、ラスト5キロでスパートをかけるというレースを展開。一定のペースを保ちつつ、終盤は自らの走りを実現しなくてはならないレースで、選手もそれぞれ課題と収穫を得た。

 レース開始直後からエンジの集団は冷静な走りを進める。押川祐貴選手(トヨタ九州)やギザエ・ミッチェル選手(スズキ浜松AC)らが序盤からハイペースな先頭集団を形成する中でも、早大はペースを乱すことはなかった。今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園)が「自分が集団を引っ張っていて余裕があった」と振り返ったように、自らの走りで集団をけん引する選手、そしてそれについていく選手それぞれが、起伏の激しい青梅のコースに対応。ほぼ設定タイム通りの49分40秒ほどで折り返しの14.5キロを通過する。

序盤は集団でペースを作りレースを進めた

 

 折り返し地点を過ぎ、残り5キロの地点に差しかかったところで早大の集団に動きが見られた。25キロまでのペース走から一転、残り5キロは『フリー』。それぞれのペースで走ることになっていた。ここで頭一つ抜けたスパートを見せたのが柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)と箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)だ。箱田は「フリーということでしっかり(ペースを)上げることもできた」と語るように、確かな手ごたえを得た。一方前の2人を追うかたちになった西田稜(政経1=東京・早大学院)は「ペースが上がった時についていけなかったところが課題の一つ」と振り返り、スタミナ面など個人の強みと問題が浮き彫りになった。

チーム内トップでゴールした柄本(左)とそれに続いた箱田

 長い冬季練習を着実にこなし、力を付けている早大競走部。ロードでは直近に迫った日本学生ハーフマラソン選手権(立川ハーフ)に照準を合わせている選手が多い。また箱田はこの冬季練習の期間を『鍛錬期』と位置付けている。立川ハーフ、そして来る春シーズンでこの『鍛錬期』の成果を出せるか。この時期の練習の積み重ねが、ことしの早大の重要な場面につながることは間違いない。

(記事 鎌田理沙、写真 尾澤琴美 本田京太郎)

結果

▽30キロの部 男子

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀) 1時間39分40秒(17位)自己新記録

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅) 1時間39分40秒(18位)自己新記録

今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園) 1時間40分6秒(22位)自己新記録

清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校) 1時間40分15秒(24位)自己新記録

西田稜(政経1=東京・早大学院) 1時間41分31秒(29位)自己新記録

谷口耕一郎(スポ2=福岡大大濠) 1時間42分23秒(36位)自己新記録

河合祐哉(スポ2=愛知・時習館) 1時間42分32秒(37位)自己新記録

浅川倖生(スポ3=兵庫・西脇工) 1時間43分23秒(41位)自己新記録

コメント

浅川倖生(スポ3=兵庫・西脇工)

――きょうの試合の目標と意気込みは

とりあえず完走することと、立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)を想定して25キロくらいまでは(1キロ)3分20秒から3分30秒のペースだったので、その練習の一貫として走れたらいいなと思っていました。

――どのようなレース展開でしたか

全体的に25キロくらいまでは(1キロ)3分20秒から3分30秒という設定のペースでいきました。そこからは足に不安があったのでペースは落としたのですが、収穫のあるようなレースにはなったと思います。

――きょうは久しぶりのレースとなりましたが

2週間前に地元の駅伝には出たのですが、長い距離のレースに出るのが半年振りだったので距離に対する不安をこのレースで解消して、立川ハーフにつなげようと考えていました。

――ラスト5キロまでのチームでの集団走自体はどうでしたか

比較的きつくもなく、余裕をもって走ることができました。立川ハーフではもっと速くなると思うので、きょう25キロまで一定のペースでいけたということを、どうやってペースを上げて前半15キロに使えるのかというのを、あと2週間しかないのですが取り組んでいきたいと思います。

――きょうのレースでの収穫や改善点などはありましたか

収穫としては集中練習などで25キロを(1キロ)3分20秒とかでやるのですが、昔はできなかったのがきょうはできたというのが収穫であり、立川ハーフにもつながると思います。まだ距離走のように距離を踏んでいないので、また距離を踏んでいって足を磨いていければ立川でハーフも結果を出していけるかなと思います。

――立川ハーフでの目標をお願いします。

立川ハーフでは63分台を出すということと、ワセダのなかでもAチームの人を1人でも多く抜けるように粘り強く走りたいです。

今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園)

――レースを振り返ってみて

今日は練習の一環としてレースに参加させていただきました。25キロ地点まではペースを決められていてペース走感覚のレースだったんですけど、今回は自分で積極的に集団を引っ張っていくことができ、ペースを作れたというのは収穫でもありました。そして、2週間後の立川ハーフに向けても自分の中では大きな一歩になるのではないかなと思いました。

――レース展開については

25キロ地点までは自分が集団を引っ張っていて余裕があったんですけど、足を使ってしまい、ラスト5キロで前に出た柄本(勲明、スポ3=早稲田佐賀)と箱田(幸寛、スポ3=広島・世羅)に置いてかれてしまいました。そこが今後の課題なのかなと感じました。

――30キロという距離に関して

初めて30キロという距離を走ったんですけど、立川ハーフでの距離に対する不安を拭うには良い機会だったとレースを通じて感じました。

――ことしの東京箱根間往復大学駅伝(箱根)でメンバー入りを果たすことができませんでした

コーチや監督からも16人のメンバーに限りなく近い17番目の選手だ、お前をメンバーに入れたかったが直前でやめたと言われて、ものすごく悔しかったですし、この大学に入学して3年目、ようやく箱根本番に絡めるチャンスをつかんだにも関わらず、直前で逃してしまったことは自分に対して甘さや、弱さを実感しました。それに上の16人との差を改めて実感させられた瞬間でもありました。ことしはこういった悔しい思いがあるのでラストの4年目は結果を出せるよう全力でやっていきたいと思います。

――その悔しさから今の自分をどのように変えていこうとお考えですか

変えたいことは結構あります。私生活の面であったり、自分自身のトレーニング内容、距離であったり、あとはこういったレースで集団を引っ張っていく姿勢を見せたりですかね。自分自身がやれることはやっていって、しっかりと結果につなげていきたいと思います。

――最上級生として、ことしはどのような走りをしていきたいですか

まあ4年目なので結果を残すということが1番だと思います。結果を出すことによって後輩たちもついてきてくれると思いますし、それが監督やコーチへのアピールとなって試合で使ってもらえる機会が増えていくと思います。とにかく、この4年目は結果にこだわってやっていきたいと思います。

――立川ハーフでの目標をお願いします

積極的に先頭集団についていき、自分自身が目標とする63分30秒を切ることを目標にやっていきたいと思います。

――来シーズンの目標をお願いします

来シーズンは学生三大駅伝出場を目指して頑張っていきたいと思います。

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)

――きょうを振り返っていかがでしたか

25キロまでは設定タイムがあって、それ通りにいけたというのと、最後の5キロに関しては、フリーということでしっかりあげることもできたので、練習の一環として出たレースだったので良かったのかなと思います。

――冬の間の練習はどのようなことを行いましたか

代替わりをして、自分たちの代になってから次の箱根までの1年間で考えた時、この1、2、3月は『鍛錬期』ということで、練習をしっかり積む期間で。距離を積むことを重視しながら、自分の基礎の筋肉だったり、そういうところを鍛えている段階なので、それの成果のひとつとして30キロという距離も楽に(1キロ)3分30秒というペースは走れたかなと。

――坂が多いコースでした

あまりそういうところは自分は気にしなくて。実際坂あったのですけど、坂があるからきついとかそういうことはなく走れて。全体的に前半が登って後半が下る感じだったので、そういう点ではきつい後半できつい登り坂が続くというわけではなかったので、そういう点では楽でした。

――30キロを走り終えて、どのような収穫がありましたか

実際次の立川ハーフまでの段階で出ているレースで調整の一環ではあるので、そういう点では立川に向けていい弾みになったかなと思っています。

――課題の方は

強いて言うなら後半、(最後の)5キロをしっかり3分切っていけるかなと自分では思っていたのですが、最初の1キロだけで。結局(1キロ)3分5秒前後のペースに落ちてしまったので、しっかりそこは走れないと今度の立川ハーフでラスト5キロでまた3分5秒のペースになってしまうというのがあるので、これを立川までの2週間でしっかり3分ペースでも押していけるようにしたいと思います。

――春シーズンに向けては

今は『鍛錬期』ということなので、そういう点でも3月の鴨川合宿まではしっかり走り込んで、そのあとのトラックシーズンで結果を残していきたいと思います。

河合祐哉(スポ2=愛知・時習館)

――きょうは久しぶりのレースでしたが

きょうは練習の一環という形でしたので、特に緊張とかもなく臨めました。

――今回のレースは30キロということで、レース展開の組み立てはどのように予定されていましたか

25キロ地点までは設定のペースが決められていたので、チームでまとまって25キロまで行けたらという感じでした。

――今回のレースは練習の一環ということですが、課題や収穫はありましたでしょうか

調整などしていなかったのですが、ラスト5キロは良いイメージでペースを上げることができなかったので、その辺りはスタミナという面でハーフとしては軽いかなと思います。収穫としては、25キロまでは上りと下りのアップダウンがきつい中で楽にフォームとかも意識してリラックスして走れたところかなと思います

――今回のレースでの手ごたえはありますか

ラスト5キロが疲れてペースを上げることができなかったので…。でもきょうだけではなく練習全体としては調子も上手く上がってきていると思うので、きょうだけというよりかは、きょうまでときょうの結果を通して、自己ベストが狙えるように調子が上がってきているのではと感じました。

――冬練習ではどのような課題を設けているのですか

箱根も含め、20キロ・ハーフマラソンに向けた練習をやってきたのですが、自分としては最初の5キロなど3分を切る早いペースになるときつくなるところがあります。いまは春休み期間ということで時間もありますし、午後練習などもやり、そこでスピードをつける練習をしています。それで最初の5キロを早いペースで入っても乗り切れるように課題と目標にしています。

――来シーズンの目標は

まず2週間後に立川ハーフがあるので、そこでしっかり自己ベストを出すというのと、僕はトラックの自己ベスト、特に1万メートルのタイムがあまり良くないので、春一発目からしっかり自己ベストが出せるようにやっていきたいと思います。

谷口耕一郎(スポ2=福岡大大濠)

――きょうのご自身の走りを振り返っていかがですか

年明けからあまり調子が良くなくて、正直不安もありましたが、最低限の走りはできたかなと思います。その反面、大学に入ってから自分の納得できる結果を出せていないので、これからもっと上を目指さなければならないと思います。

――どのようなことを意識してレースに臨みましたか

今回は設定タイムでできるだけ走ろうということと、後半離れてしまったのですが近くにワセダの選手が2人いたので、ラストスパートで絶対に抜くということを意識しました。

――今回の収穫はどのような点ですか

調子が悪かったのでその中では立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)やトラックを見据えたときに、次につながって自分の調子を上向きにする要因にはなったと思います。

――結果についてはどのようにお考えですか

満足は絶対にしてはいけないと思っています。3年生の春シーズンのトラックで自己ベストを出せるようにと考えると、全然納得のいかない結果だったと思います。

――新体制になってチームの雰囲気はいかがですか

1つ上の先輩が最上級生になって変わったこともありますが、主将を中心に練習だけでなく集合の連絡などもひとつひとつがしっかりとできていて、頼りになると思っています。

――今季の目標は

まずは高校時代からトラックの5000メートルの自己ベストが出ていないので、そのベストを更新して13分台を狙えるようになることと、秋から冬の駅伝シーズンで1、2年の時は箱根のエントリーの16人にも選ばれなかったので、ことしは3年になるのでしっかりと走って貢献できるようになりたいと思います。

清水勧太(スポ1=群馬・中央中教等校)

――レースを振り返ってみていかがですか

今日は2週間後の日本学生ハーフマラソン選手権大会(立川ハーフ)に向けての練習の一環で走ったレースでした。なので、勝負やタイムをあまり意識せずに余裕をもって走ろうと臨みました。

――レース展開については

ラスト5キロで先輩方がペースを上げられました。それに僕もついてこうとしたのですが、なかなか対応できず、まだまだ自分はその部分が弱いなと思いました。

――見えた課題などは

スタミナの面ですかね。後半で余裕を持って勝負をするために前半で足を使わないというのが課題だと感じました。

――収穫はありましたか

ラスト5キロで周りに離されてから大幅に遅れることなくしっかり走れたことです。離されてはいるんですけど、離されてからペースが落ちることなく一定のペースで走れたのも収穫かなと。

――30キロという距離に関して

正直、長すぎます(笑)。21キロ地点くらいのところで急な坂道があって、そのあと25キロ地点くらいでフリーで先輩方が前に出られました。25キロ地点のところが1番キツかったですね。

――ことしの箱根ではメンバー入りを果たすことができませんでした

悔しかったですね。同じ競走部でやっているのに僕が駅伝に参加できないっていうのは悔しさもありましたし、むなしいというか情けないなとも感じました。だから、ことしの悔しさっていうのを来年につなげられるようにしっかりやっていきたいです。

――同年代ですでに活躍している車田颯選手(スポ1=福島・学法石川)や永山博基選手(スポ1=鹿児島実)について思うことはありますか

2人のことはすごいなって印象です。でも、悔しさもあります。すごいって思ったり、悔しさをただ感じているだけでは2人との差は縮まらないと思うので日々2人から盗めるものがあったら盗もうといった姿勢でやっています。特に練習に対する姿勢を見習いたいと思うことが多いですね。車田とかは練習に対していつもストイックにやっていますし、僕自身それを見習って、車田たちはこんな姿勢でやっているんだというのを自分に考えさせています。

――今シーズンの目標をお願いします

トラックシーズンの最初から自己ベストを更新するような走りをしていきたいと思っていて、トラックシーズンにも重点を置いてやっていきたいと思っています。でも、ことしは学生三大駅伝にしっかりデビューして2年生として良い走りをするという駅伝での目標もありますし、ことしは駅伝をメインにやっていこうと考えています。

――立川ハーフでの目標をお願いします

きょうのレースを終えてみて、たくさん課題が見えたんですけど、自分の中では63分台という明確な目標があるので、それに向かって行こうと思います。

西田稜(政経1=東京・早大学院)

――今回のレースの意気込みを教えてください

今日は立川ハーフに向けたポイント練習としての位置付けで、30キロをしっかり走りきることを目標にしていました。

――今回のレースで上手くいった点を教えてください

25キロまで集団についていてラスト5キロのフリーになったところで集団からは離れてしまいましたが、自分のペースを守りペースを落とさずに走れたところが良かったところです。

――逆に今回見つけた課題があれば教えてください

自分のペースでいけたことは良かったですが、勝負をしていく上ではペースの上げ下げに対応しなければいけないので、ペースが上がった時についていけなかったところが課題の一つだと思います

――25キロ以降で集団から離れた時に意識したことを教えてください

距離表示が細かくあったので、その中で自分のタイムを確認しながらペースが落ちすぎないようにしました

――新体制になりましたが練習の雰囲気はいかがですか

4年生がAチームもBチームも結構抜けた中で、人数の少なさというのは最初感じました。でも、その中でワセダの練習というところで雰囲気はしっかり作れていると思いますし、うまくいっている選手とうまくいっていない選手いろいろあると思うのですがチームとしては雰囲気を落とさずにできていると思います。

――今後、2年生になるにあたっての意気込みを教えてください

いろいろなレベルの選手が入ってくると思うのですが、練習の中でも生活の中でもしっかり大人になれるように、尊敬される選手になれるような先輩となっていきたいと思います

――最後に今後のレースの目標を教えてください

今Bチームの中でも、なんとか練習についていっているという状況なんですが、目先の目標では3月に控えている立川ハーフでBチームやAチームに刺激を与えるような結果を残すことです