武田が攻めの走りで2位の好走!

陸上競技

 10マイルはおよそ16キロ。主としてトラックの5000メートルや1万メートル、あるいはハーフマラソンなどに取り組んでいる選手たちからすれば感覚をつかみにくい距離と言える。日本では比較的珍しいこの10マイルのロードレースが、ことしも佐賀県唐津市のコースで行われた。早大からは武田凜太郎(スポ3=東京・早実)や平和真(スポ3=愛知・豊川工)をはじめとした主力陣が出走。中でも武田は終始レースをけん引し、社会人ランナーを抑え見事2位に入った。

 川内優輝(埼玉県庁)などの社会人ランナーも多く出走した今大会だったが、序盤レースを動かしたのは武田と光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)だった。前半から先頭で集団を引っ張り、1キロ3分のペースを刻み続ける。スローペースなことも相まって、折り返し地点では30人ほどの大集団となった。早大の他のメンバーもその集団についたが、10キロを過ぎて光延と柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)が集団の動きに対応できず後退してしまう。レース後、二人は共通して後半の走りを課題に挙げた。

レースを作った武田(右)と光延

 一方、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)のメンバーに入れず悔しい思いをした車田颯(スポ1=福島・学法石川)は積極的なレースを展開。12キロ過ぎには先頭に出る場面もあった。しかし3分を切るペースが続くと車田や平はゴール間際でわずかに後退。対応できたのは箱根でも好走が光った武田だった。武田はそのまま5人ほどの集団で最後のトラック勝負に挑む。油布郁人(富士通)がトラック手前でラストスパートをかけるとそのまま1着でゴール。武田はそれを追うことはできなかったものの、他の選手との競り合いを制し2着でフィニッシュした。

車田は部内3位と健闘

 「変な話だが、『失敗できる』レースだった」(武田)。自分の目標を設定し、失敗を恐れない積極的なレース運びが目立った今大会。次戦の日本学生ハーフマラソン選手権や、その先のトラックシーズンを見据えた上での10マイルの経験はまたひとつ大きな糧になるはずだ。冬季シーズンの一つ一つのレースを経て、これからも選手たちは力をつけていく。

(記事 平野紘揮、写真 杉野利恵、平野紘揮)

結果

▽10マイル一般男子の部

武田凜太郎(スポ3=東京・早実) 47分50秒(2位)自己新記録

平和真(スポ3=愛知・豊川工) 47分56秒(7位)自己新記録

車田颯(スポ1=福島・学法石川) 47分58秒(10位)自己新記録

光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工) 48分15秒(14位)自己新記録

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀) 49分24秒(21位)自己新記録

コメント

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)

――きょうの試合の目標と意気込みは

48分を目標としてレースに挑みました。先頭集団から離れても、自分でペースが落ちすぎないように粘ろうと思っていました。

――どのようなレース展開でしたか

ちょうど1万メートル過ぎてから先頭集団を離れてしまいました。

――どのようなペース設定でしたか

自分の中では1キロ3分ペースで押していこうと思っていました。

――結果についてはどのように思われましたか

まだまだ目標をクリアできておらず、きょう出た課題として後半きつくなってから落ちてしまったというところがあるので、次の3月にある立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)で改善できればいいなと思います。

――東京箱根間往復大学駅伝(箱根)ではエントリーされながらも走ることはできませんでしたが

ことしの箱根は16人には入ったのですが、走れなくて悔しい思いをしました。ことしは僕たちが最上級生になるので、次の箱根では絶対に走ってやろうという気持ちと、チームで優勝するためにもっと自分自身が他の大学のエースの選手たちとともに戦える力をつけないといけないなと思っています。

――今回は地元でのレースとなりましたがどうでしたか

両親も応援に来てくれていて、母校が近くにあるので高校の顧問の先生やお世話になった人たちが応援してくれていたのですごく嬉しかったです。

――立川ハーフでの目標を教えてください

立川ハーフは62分台が目標です。

武田凜太郎(スポ3=東京・早実)

――きょうのレースの目標はありましたか

タイムは46分台から47分台前半を目指していて、順位としてはトップを取ることが目標でした。

――思い通りのレース展開だったのでしょうか

序盤からペースが全体的に遅かったので、せっかくですし、変な話ですけど失敗もできるレースだったので、自分の殻を破るという意味でも光延(誠、スポ2=佐賀・鳥栖工)と一緒に自分が引っ張ってレース作っていこうというのは思いましたね。

――レースを振り返ってうまくいった点などありますか

ラストまで前で戦うことができたのが収穫かなと思うんですけど、自分が引っ張った時に思うようにペースが上がらなかったので、そこはやはり課題というか、まだまだトラックのスピードとかそういう面が足りないのかなというのを思いました。

――他の選手との競り合いはいかがでしたか

競り合ったのは最後だけなんですけど、やはりラスト3キロや2キロで光延が仕掛けたりしていたので、そこは思い切りの良さとかまだ僕に足らない部分なのかなと思いました。

――次のレースに向けて意気込みを教えて下さい

福岡クロカン(福岡国際クロスカントリー、次大会から日本選手権クロスカントリーへ変更)に出るか出ないか迷っていて、出ない予定だったんですけどレースでしかできない経験がたくさんあるので。出るとなったら社会人選手たちや大学のトップ選手たちと前の方で戦いたいなと思いますし、出ないとなればトラックシーズンに向けて結果を残すことが第一なので、そこに向けて頑張っていきたいなと思います。

光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)

――今回のレースを振り返っていかがですか

高校が佐賀だったので、4年ぶりのこのレースで、沿道の応援もすごかったんですけど、後半勝負に加われなかったというのがこの試合の反省点です。

――今回の試合の目標はありましたか

今シーズン二試合目ということで、一試合目はまあまあの出来だったので今回の試合では上位でゴールしたかったのですが、10番台の順位というのは自分の力の無さを改めて実感しました。

――後半に順位を下げてしまっていましたが、スタミナ不足などがありましたか

そうですね、10キロくらいまでは先頭の方にいて。ペースが上がった時に対応することができず、後半のスタミナというのもそうなんですが対応力不足という2つの面が他の選手と比べて劣っているので、練習で補っていかなくてはと感じました。

――次のレースについては

3週間後の立川ハーフに出るのですが、そこでは学生の選手も多く出るのでそこで負けないようなレース展開をして、チームに勢いをつけたいなと思います。

車田颯(スポ1=福島・学法石川)

――今回のレースではどのような目標を持って挑まれましたか

今回ワセダからエントリーして出場した5人のうち僕以外の4人の先輩方は箱根にエントリーされていたので、その先輩方に僕がどれだけ挑めるかということを一つの目標としてやっていました。調子の悪い先輩もいた中で全体としてもなかなか悪くない順位で終えることができたので、それは一つの成果だと思います。

――目標タイムなどはありましたか

48分を切って47分台が目標でした。10マイル、16キロは僕にとって未知の距離でしたが、レース展開を感じて、3月に出場する立川ハーフの21キロを見据えての16キロをしっかりまとめて走り切れて良かったと思います。

――今回どのようなレース展開でしたか

今回のレースはスタートから5キロ、中間点と1キロ当たり3分ペースで、集団がばらけることがありませんでした。スローペースが幸いして、調子が悪かった中でもスローペースに自分の走りを合わせて走ることができたので、1キロ3分で10キロ過ぎまで押すことができて。そこで(集団の)動きが固まってきたので、12キロあたりで先頭に出ることができたのは自分にとっても収穫だったと思います。

――大学に入って以降、初めての10キロ以上のレースでしたが、どうでしたか

僕は長距離の中でトラックレースの5000メートルや1万メートルよりも、ロードレースでの10キロやハーフマラソンの方が向いているという自覚があったので、自分はできるんだという気持ちで試合に臨みました。大丈夫かな、というような心配はありませんでした。

――次の立川ハーフやことしの目標をお願いします

トラックよりロードレースの方が得意というイメージは自分で持っているのですが、やはり陸上選手である以上、トラックでの結果を残していければと思っています。もちろんハーフマラソンは今回の結果を踏まえてこれ以上の成果を残せるようにして63分を切れるような状態までやっていければと思っています。2年生になってから六大学(東京六大学対校大会)や関カレ(関東学生対校選手権)などの対校戦が控えており、1年生では一度もエンジのユニホームを着ることはなかったので、トラックシーズンの最初である六大学からエンジのユニホームを着られるようにこのまま上を目指して頑張っていきたいと思います。