ルーキー古谷が躍動!

陸上競技

 日本グランプリシリーズ第4戦となる静岡国際大会(静岡国際)がエコパスタジアムにて開催。高校記録保持者である期待の新星・古谷拓夢(スポ1=神奈川・相洋)は「タイムには納得していない」と語りながらも、110メートル障害で2位という好成績を収めた。また4月に行われた織田幹雄記念国際大会(織田記念)にて準優勝を果たした橋元晃志(スポ3=鹿児島・川薩清修館)も、ノングランプリ200メートルで総合3位に入賞。冬季練習の成果を十分に発揮し、好調さをアピールした。

★木村が総合7位に

先頭争いを繰り広げた愛敬(左)と木村

 ノングランプリの男子400メートル2組には木村賢太(スポ4=大分・杵築)と愛敬彰太郎(スポ3=三重・桑名)が出場した。木村は前半からスピードに乗り、先頭でラストの直線に入る。最後の直線でも粘りを見せ、少しずつ後続を引き離しそのまま1着でゴール。「シーズンが始まってうまく移行できた」と冬季練習の成果に手ごたえを感じる結果となった。一方、愛敬も前半から飛ばし先頭争いをしながら最終コーナーに。しかしラストで伸びず徐々に後退。4着でレースを終えた。織田記念では決勝に残るも前半でスピードに乗れず8位に終わった木村。今大会まで2週間という短い期間の中で前半の加速部分の課題を修正することができた。目前に迫った関東学生対校選手権(関カレ)に向けてさらに調子を上げていくことができるか。

(記事 戸田郁美、写真 藤川友実子)

★首位逃すも、次戦へ向け気合い十分

スパート勝負で一歩及ばなかった伊澤

 男子800メートルには田中言主将(スポ4=東京・早実)と伊澤賢人(スポ4=栃木)が出場。両者ともにグランプリシリーズ初参戦を果たす。長らくレースから遠ざかっていた田中であったが、気負うことなくリラックスして臨んだ。一方の伊澤は集団の先頭を位置取りレースを進める。タイムを意識して臨んだ大会であったが、ゆったりとしたペースで1周目を通過。記録よりも着順に目標を切り替え、2周目に突入する。500メートル付近で先頭が入れ替わると、伊澤がすばやく反応し後ろにぴったりと付く。しかし田中は徐々に集団中ほどへと後退し、苦しい展開に。途中接触があり流れが崩れるアクシデントに見舞われたが、最後まで粘りをみせた伊澤が2着でフィニッシュ。久しぶりのレース復帰となった田中は5着とまずまずの結果に終わる。次なる戦いは関カレだ。他大の選手としのぎを削るために、まずは部内でのメンバー争いを制することが大前提となる。そして主将の田中がどのように全体をまとめあげるかがカギとなるだろう。チーム一丸となって戦う最後の一年が幕を開ける。

(記事 菅真衣子、写真 藤川友実子)

★橋元がエースの走り見せる

好調さをアピールした橋元

  200メートルタイムレース決勝には、1組に木村、2組に橋元がそれぞれ出走した。400メートルに続いての出場となった木村は序盤の出遅れが響き、スパートで追い上げるも5着でフィニッシュ。400メートルに続く組1位とはならなかった。一方、一年時に同大会で世界選手権A標準を突破した橋元は、今大会でも好調ぶりをアピール。序盤から一気に加速しスピードに乗り、積極的なレース運びでトップへ。ラスト100メートルでさらに後続を引き離すと、貫禄の走りで1番にゴールを駆け抜け、総合3位に入った。先日の織田記念で銀メダルを獲得するなど、好調な走りを見せている橋元。「次の関カレに向けた走りをしようと思っていました」(橋元)と、その瞳は目前に控えた因縁の舞台を見据えている。今まで思うように結果を残すことができなかった関カレでの完全燃焼を期すため、スピードのさらなる向上を目指す。ルーキーからエースへと成長を遂げた橋元の走りが、エンジの起爆剤となるはずだ。

(記事 副島美沙子、写真 菅真衣子)

★古谷、初のエンジで堂々の2位!

ルーキーながら2位入賞した古谷

 伝統のエンジのユニフォームに初めて袖を通した古谷拓夢(スポ1=神奈川・相洋)。この日は110メートル障害でその勇姿を多くのファンに見せつけた。午前に行われた予選では思うようなスタートが切れず、勢いに乗ることができない。「間延びしてしまった」と本人も振り返る不本意なレースであったが、なんとか決勝に駒は進める。しかし迎えた決勝の舞台で、古谷は早くも問題点を修正し本領を披露した。予選で出遅れの原因となったスタートを決め、序盤から飛び出す。中盤過ぎに昨年のアジア競技大会にも出場した増野元太(国際武道大)にかわされ順位を落とすも、その後の粘りで2位の座を死守。「勝負の走りができた」と自身の想像を超える結果に、レース後は喜びをあらわにした。

 東京五輪を筆頭に、世界を目指して叩いたワセダの門。この日刻んだ足跡が、自らの夢への確かな第一歩となったのは間違いない。いざ、高き目標へ――若きハードラーの物語が今幕を開けた。

(記事 三井田雄一、写真 菅真衣子)

結果

▼グランプリ男子

▽800メートル(タイムレース決勝)

伊澤賢人 1分53秒05(1組2着、総合9位)

田中言  1分53秒67(1組5着、総合12位)

▽110メートル障害

予選

古谷拓夢  14秒12(-1.6)(1組4着)

決勝

古谷拓夢  14秒93(-0.8)(2位)

▽棒高跳決勝

笹瀬弘樹OB 5メートル20(11位)

土井翔太OB 5メートル00(15位)

決勝

木村賢太  47秒60(1位)

▼グランプリ女子

▽100メートル障害
予選

紫村仁美OG 13秒39(-0.2)(2組2着)

決勝

紫村仁美OG 13秒32(+0.2)(2位)

▽走高跳決勝

仲野春花(スポ1=福岡・中村学園女) 1メートル70(11位)

▼ノングランプリ男子

▽200メートル(タイムレース決勝)

木村賢太   21秒65(-0.1)(1組6着、総合16位)

橋元晃志   20秒91(-0.5)(2組1着、総合3位)

竹下裕希OB 21秒80(-0.5)(2組7着、総合19位)

▽400メートル(タイムレース決勝)

木村賢太  47秒15(2組1着、総合7位)

愛敬彰太郎 47秒94(2組4着、総合13位)

コメント

田中言主将(スポ4=東京・早実)

――どのようにレースプランを考えていましたか

とにかくタイムを出したかったので、なるべく前の方を走ってフィニッシュしたいと思っていました。

――久々のレースとなりました

いつも通りやることは変わらないので淡々と気負わずに、この大会を足掛かりにしようと思っていました。

――今季の個人としての目標をお願いします

関カレ(関東学生対校選手権)、全カレ(日本学生対校選手権)の表彰台と、日本選手権では昨年の順位以上の結果を残したいと思っています。

――部全体の目標をお願いします

関カレと全カレでトラック優勝や多種目優勝することです。あとはリレーを確実に取っていきます。主将としてどのようなことができるかについてはまだ試行錯誤していますが、ここから頑張っていきたいです。

伊澤賢人(スポ4=栃木)

――本日のレースを振り返って、感想をお願いします

通過タイムが遅かったのでタイムは狙えないと思って、1着は取ろうと思っていたのですが、残り120、30メートルのところで後ろの選手と接触があって、少しバランスを崩してそれが原因で流れに乗れずに2着になってしまいました。試合前に脛の痛みがあったので、不安に思いながら走っていたのですが、痛くはなかったので良かったかなと思います。

――接触前までは、ラストスパートでトップに出るというレースプランで走っていらっしゃったのでしょうか

そうですね。

――静岡国際大会は初出場となりましたが、どのような意気込みで臨まれましたか

記録を狙うつもりで、1分49秒を切るぐらいのタイムを狙っていました。

――関カレに向けて目標をお願いします

中距離の800メートルが拮抗(きっこう)しているので、まずはメンバーに入ることを大前提として、去年2人入賞しているので、ことしは3人入賞を目標とするのと、なるべくなら表彰台を独占できるようにしたいなと思います。

木村賢太(スポ4=大分・杵築)

――400メートルのレースを振り返って

今シーズンは冬季から今週にかけて、うまく良い流れで練習できていました。その中でうまくシーズンが始まって移行できたかなという感じがします。

――どのようなレースプランを考えていましたか

もともと僕は前半型なので、今シーズンは最大速度の向上を目標にやってきていました。その中で400は最大速度で流れるように走ろうと思っていたのですが、2週間前の織田(織田幹雄記念国際記念大会)で思うようにレースをできなくて。それもあって、冬季からやってきたことの核となる部分を見つめ直して、前半から行くという気持ちで臨みました。

――200メートルのレースはいかがでしたか

200は走力がないので、その中でも200で力が付くというのは400でのスピードにもつながってくると思うので、400のためにも200もそこそこ走れたら良いと思います。

――200メートルではどのようなレースプランを立てていたのでしょうか

先ほども言った通り、うまくスピードに乗れていなかったので、200の中でスピードに乗っていけるようにしました。

古谷拓夢(スポ1=神奈川・相洋)

――きょうのレースを振り返られていかがでしたか

予選はきちんと決勝につなげて走れたので良かったのですが、走りがあまり良くなく、ハードルに少しぶつかって間延びしてしまったので後半失速してしまいました。ことしはそこを直して行こうと思っています。決勝のタイムはあまり良くないのですが、しっかり勝負の走りができたのでよかったです。

――決勝2位という結果に関してはいかがですか

(決勝で)2位という順位は大満足で、正直予想以上でした。タイムはあまり良くなくて勝負に勝ってはいないですけれど、良い位置につけられたので良かったです。

――もともと目標はどのくらいに設定されていたのですか

表彰台を目標にしていました。

――早大での練習はいかがですか

3月に入ってすぐに入寮して、そこからずっと練習しています。いろいろと環境が変わって大変ですが、周りのレベルが高いのでとても刺激を受けています。特にワセダは短距離が速くて、その速い先輩方と練習から一緒に走れるのでスプリント力も上げられるかなと思っています。

――冬季に関しては順調に練習できましたか

ケガもなくやれていて、後はこの後に関カレがあるのでもう1回調整し直します。

――昨年と比べて成長した部分はありますか

まだまだなのですが、スプリントは若干上がったのかなと思います。筋力がついて少し絞れたかなという実感はあります。

――結果を踏まえ、今季のビジョンを教えてください

ユニバ(ユニバーシアード)に出場できるかどうかで変わってくると思うのですけれど、ユニバに出場出来たら国際経験を積んでいきたいです。また大学1年生という一番下の立場なので、競技力だけではなく大学での役割もたくさんあるので、その役割をしっかり果たしていけたらいいかなと思います。

――大学4年間の目標を教えてください

(早大を)卒業した1年後が東京オリンピックなので、出場できるように4年間しっかり国際経験を積んでいきたいです。そこに向けて途中にある世界ジュニアやリオのオリンピックにも少しでも絡んで東京オリンピックを目指します。

――早大を選んだのも世界を目指してという思いからだったのですか

はい。『ワセダから世界へ』という競走部のキャッチコピーがあると思うのですが、それに自分が少しでも貢献できるように頑張っていきます。