16年ぶりの金メダルに貢献

陸上競技

 アジア40億人の頂点を決めるアジア競技大会で日本が悲願を成し遂げた。4×400メートルリレー(マイル)で16年ぶりの金メダル獲得。その日本チームのアンカーを務め、一番でゴールラインに飛び込んだのは早大のルーキー加藤修也(スポ1=静岡・浜名)だった。

日本学生対校選手権での加藤

 今大会には強化育成部推薦選手という特別枠で代表に選ばれた加藤。しかし、7月の世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得するなど代表内定後から着実に力をつけ、このアジア最高峰の舞台に挑んだ。

 個人種目の男子400メートルでは予選、準決勝と順当に駒を進める。特に準決勝では後半の走りで前に出るなど、シニアの国際大会でも持ち味を存分に発揮した。さらにタイムも45秒88のシーズンベストをマーク。45秒台は日本学生対校選手権以来今季2度目、ことしの目標の一つに掲げた「高いレベルでのタイムの安定」を達成しつつあり、春からの成長を感じさせた。
決勝では前半の遅れが響きメダルを逃したが、日本の第一人者であり、日本選手権10連覇中の金丸祐三(大塚製薬)に肉薄。及第点と言える結果で個人のレースを終えた。

 日本の名を背負って走るマイル。予選から出場した加藤は普段走ることのない1走を経験。400メートル5位の実力を発揮し、トップでバトンを渡すなどチームの決勝進出に大きく貢献した。そして迎えた決勝。1走にエースの金丸を起用する攻めの布陣で挑んだ日本は前回王者のサウジアラビアを引き離し、大きくリードを奪う。アンカーを任された加藤はバトンを受け取ると、先輩方のつくった大きなリードの後押しもあり、危なげない貫禄の走り。ゴールラインを一番に駆け抜け、歓喜の輪が広がった。

 400メートル5位という結果から今後は学生陸上界に留まらず日本のエースとしての活躍が期待される加藤。大エースの金丸と共に、来季の世界陸上、そして2年後のリオデジャネイロ五輪とロングスプリント界を盛り上げていく。

(記事 石丸諒、写真 松田萌花)

★大迫OBも16年ぶりのメダル

日本選手権での大迫OB

 歓喜のマイル優勝から約1時間後に行われた男子1万メートル決勝には今春、ワセダを卒業した大迫傑(平26スポ卒=現日清食品)が出走した。約3週間前に3000メートルの日本新記録を叩き出すなど、スピードを磨いて臨んだ今大会。序盤から先頭集団でレースを進め、ラスト1周を先頭で通過したが最後の直線でバーレーンのエルハサン・エルアバシに抜かれ、2着。しかし、この種目16年ぶりのメダルを獲得した。

(記事 石丸諒、写真 藤川友実子)

結果

▽男子400メートル

予選

加藤修也 46秒72(4組2着)

準決勝

加藤修也 45秒88(2組2着)

決勝

加藤修也 46秒13(5位)

▽男子4×400メートルリレー

予選

日本(加藤ー藤光ー高平ー金丸) 3分5秒53(1組1着)

決勝

日本(金丸ー藤光ー飯塚ー加藤) 3分1秒88(1位)

▽男子1万メートル決勝

大迫傑OB 28分11秒94(2位)