関東学生対校選手権(関カレ)と日本学生対校選手権(全カレ)での複数入賞。この目標を掲げ戦ってきた今季の早大中距離ブロック。関カレでは田中言(スポ3=東京・早実)と出口翔(スポ3=東京・開成)が共に入賞を果たしたが、全カレでは決勝進出者を出せず悔しさを味わった。その全カレから約3週間。中距離ブロックは自己記録を狙いに日体大長距離競技会に挑んだ。
4年生としてブロックをまとめてきた亀田
まず最終組の一つ前の15組に出場したのは今季、中距離のブロック長を務める亀田卓志(基理4=栃木)。序盤からハイペースで進む先頭集団になんとか食らいつき、上位を伺う。だが「練習では長めの距離を踏んでいたので、スピードにうまく乗れるか心配だった」という不安が的中してしまい、先頭から引き離される。残り200メートル付近から粘りを見せるも5着、自己記録更新とはならなかった。
現在、3年生に主力選手が集まる中距離陣。亀田はその中でただ一人の4年生としてブロックを引っ張ってきた。この4年間を振り返り、目標にしていたインカレでの入賞は叶わず「本当に心残り、あともう1年やりたい」と語った亀田。一方で実力のある後輩に関しては「らいねんワセダのユニフォームが大舞台の決勝で一人でも多く見られることを期待しています」とブロック長らしい言葉でエールを送った。
その亀田が期待を寄せる3年生は最終組に大量エントリー。中でも伊澤賢人(スポ3=栃木)が躍動した。最初は集団の中盤で様子を伺うが、残り300メートル付近からスパートした出口を直線の手前で捉えそのままゴール。目指してきた1分49秒台のタイムをマークし、納得の表情でガッツポーズを見せた。また同組には今季、ケガに苦しんだ吉田貴洋(スポ3=和歌山・田辺)も出走。タイムこそ低調に終わったが「これを駄目と見るのではなくステップだと思ってやっていく」と復活に向けた一歩を踏み出した。
キレのあるスパートで今季チーム最高タイムを叩き出した伊澤(右)
高校時代に高校総体で優勝している吉田を中心に1年生の頃から互いに高めあってきた中距離の3年生もいよいよ来季がラストシーズンとなる。田中が日本選手権で入賞を果たすなど年々、力をつけ学生陸上界でも存在感を増してきた。今回出場しなかったその田中や池山謙太(スポ3=新潟・長岡大手)、復活を誓う吉田らの足並みをそろえ、来季は中距離界に早大旋風を巻き起こす。
(記事 石丸諒、写真 川嶋悠里、加藤万理子)
結果
▽男子800メートル
亀田卓志 1分53秒60(15組5着)
伊澤賢人 1分49秒77(16組2着)自己新記録
出口翔 1分50秒93(16組3着)
永井大己(スポ2=神奈川・横須賀) 1分52秒63(16組5着)
吉田貴洋 1分54秒52(16組7着)
コメント
亀田卓志(基理4=栃木)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
早慶対抗競技会(早慶戦)、早大対関学大対校大会(早関戦)で1500メートルに出場するため、練習では長めの距離を踏んでいたので、スピードにうまく乗れるかなと心配だったのですが、その心配が的中してしまいました。あまり1周目が楽に行けなくて、2周目はきつくて体が硬くなってしまって、最後は動かなくなってしまいました。
――どのようなレースを目標にしていたのでしょうか
今回に限らずラスト200メートルで切り替えて走れるようにということを目標にしていたのですが、最近ラスト200メートルが思うように動けなくて、今回はダメだったかなという感じです。
――現在の中距離ブロックの状況はどのように感じていますか
ケガ人が多く、まだまとまっての練習や全員がそろっての練習ができていない状況です。比べると、日大がワセダの次に中距離が強いですが、日大は皆ケガもなく走れていて、タイムも出せているので、そこを目標にしていきたいですね。
――今シーズンも残すところわずかとなりましたが、中距離ブロック長として今シーズンを振り返っていかがですか
きょねんよりかは確実に力をつけていると思っていて。今回も伊澤(賢人、スポ3=栃木)も1分50秒を切ってくれて、49秒台を出した選手が3人いるという状況で、確実に力はついていると思うのですが、日本学生対校選手権(全カレ)の結果を見てもわかる通り、入賞者もいないという状況なので、タイムはついてきているのですが、勝負になったところでまだ力が発揮できていないというところが来シーズンに向けての課題かなと感じています。ただ、記録は伸びてきているので、らいねん僕はいないですが(笑)、楽しみだなと思っています。
――では、競走部での4年間はどのような4年間でしたか
僕はケガが多くて、毎年ケガをしていて。今回も全カレのエントリーの前にケガをしてしまい、エントリー争いに参加できなかったのですが、そこが本当に心残りですね。僕の目標が全カレなりインカレで得点を取るということで、それを目標にやってきていたので、達成できなかったということが心残りというか、もう一年やりたいという気持ちもありますが、4年間だからこそこうやって全力でやってこれたということもあると思うので、それに関しては本当にここでやってきて良かったと思っています。
――それでは最後に後輩へメッセージをお願いします
僕の代では結果を残すことができなかったので、らいねん関東学生対校選手権(関カレ)でも全カレでも日本選手権でも、ワセダのユニフォームが決勝で一人でも多く見れることを期待しています。
伊澤賢人(スポ3=栃木)
――念願の1分50秒切りを達成して、いまのお気持ちはいかがですか
ずっと狙っていた50秒切りなので素直にうれしいというのと、レースをしていて途中余裕がある部分もあったのでまだまだ伸ばせるなという印象があります。
――積極的なレース展開でしたが、振り返っていかがですか
全日本インカレでは後ろにいてスパートが届かずに着順を取れなかったのが自分の中での反省点だったので、きょうのレースは記録を狙うことはもちろん速い人が多い組で競り勝つという意味で積極的に前の方でレースを進めて勝てるレースをしようというのが目標でした。
――タイムも気にした中でのレースでしたか
タイムはあまり気にしないというか見ていませんでした。というより走っている途中で残り100メートルに入った時に50秒を切れる気がしていたのであとはどこまでいけるかっていうところとそのまま1着でいけるかっていうことを考えていました。余裕があって残り200メートルから出たんですけど、最後まで粘り切れずに結果的には2着になってしまいました。レース展開的にはもうちょっと改善すべきところがあったのかなと思います。
――それでもこのタイムは今季チームトップです
そうですね。前半シーズンは同期の田中言(スポ3=東京・早実)がずっと引っ張ってくれていて一人任せにしてしまっていたところがあるので、同期で一緒にやっていく仲間ですけどライバルという意識もあったので言の記録を抜くことができたのはうれしいです。でも仲間内だけで勝負していたら駄目で、大学でいったら日本大学さんが速いのでらいねんこそはワセダが中距離を引っ張れるようにみんなで切磋琢磨(せっさたくま)しつつ頑張っていきたいと思います。
――1分50秒を切ったことで今後出場できる大会も増えたのではないですか
らいねんは日本選手権に出れます。自分がずっと目標にしていた大会でもあるので日本選手権のA標準を切れたことはとてもうれしいです。
――ケガなどもありましたが今季を総括すると良いシーズンを送れたのではないですか
前半シーズンはケガをしてしまってチームに貢献もできない状態だったので、人一倍悔しさがありました。全日本インカレもあまり貢献はできなかったんですけど、一応きょうの日体大記録会でベストが出たのでそういう意味ではらいねんにつなげられたかなと思います。
――一つ目標を達成されましたが、今後はどんなことを目標にやっていきたいですか
個人的な目標としてはもちろんタイムを伸ばすことなんですけど、中距離ブロックとしてはまだまだチームに貢献しきれていません。関カレ、全カレ、日本選手権で複数入賞できるようなチーム力、ブロックの強さを見せていければいいかなと思います。
出口翔(スポ3=東京・開成)
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
結構調子も良かったので、またことしに入ってまだ自己ベストを出していなかったのでベストを狙いにいったのですが、少しラスト200(メートル)でスタミナ切れで、あまり良いタイムが出せなかったです。
――では最近のレースについて、まず全カレを振り返っていかがでしたか
夏にしっかり練習を積めていて調子が良かったので、決勝に行くことを目標にしていましたが、まさかの予選落ちで正直未だになんでダメだったのかという思いがあって、レース展開に無理があったとは思うのですが、結構落ち込んでて何とかきょうのレースでベストを出していけたらと思っていましたがやっぱり何とも言えないレースだったので、もしかしたら練習方法なども問題があったのかなと思います。
――早慶戦や早関戦についてはいかがでしたか
早慶戦は1500(メートル)を走る段階で僕らが1、2、3位を取らないとかなり(勝利が)厳しいという状況でしたが、まさかの慶大の中谷浩崇くんに1着を取られるというミスというか失態を犯してしまって、その時もやはり全カレもダメてわ早慶戦もダメで落ち込んだのですが、早関戦でなんとか僕は1着に入れたので、少しずつ調子が上向きになってきたのではないかと思います。
――もうすぐ今季が終わりを迎えますが、出口選手個人として今季を振り返っていかがでしたか
タイムはまだ(自己)ベストは出ていないのですけれど、関カレで7番に入れたということはチームに貢献できて良かったと思います。日本選手権にもしっかり出場できたので今シーズンではそこが良かったと思います。悪かった点は全カレで予選落ちしてしまったことと早慶戦で1着を取れなかったことです。
――中距離ブロックとして、今季を振り返っていかがでしたか
関カレでは田中言が4着、僕が7着ということでチームが期待していたよりも得点できたと思うのですが、その期待が高まった中での全カレで3人とも決勝に行けなかったのはかなりチームとして問題ではないかと思うので、そこはらいねんのインカレで得点が取れるように頑張りたいですし、早慶戦と早関戦でもワンツースリーが期待された中でできなかったので、1500メートルもしっかり走れるように、僕なり池山(謙太、スポ3=新潟・長岡大手)なりが頑張っていきたいですね。
――来季への意気込みや目標をお願いします
まだ標準を破れていないので何とも言えないのですが、僕の4年間の目標が日本選手権入賞なので、個人的にはそれを目指していきます。また競走部としてインカレというところは外したくないので、しっかりらいねんのインカレは表彰台を狙って頑張りたいです。
吉田貴洋(スポ3=和歌山・田辺)
――東京六大学対校大会(六大学)後にケガをされてしまったとお聞きしました。どういったケガだったのか具体的に教えてください
六大学で足をスパイクされて少しケガしてしまいました。その傷が結構深かったので3日ほど明けて、そこから走り出して、すぐだったので。六大学から本当に1週間しないくらいでアキレス腱の付着部が痛くなってしまって、7月まで全く走ることができませんでした。8月前に走れるようにはなったのですが、今度はアキレス腱の上の方が痛くなって、そこの痛みと付き合いながら9月まできて。やっと、いま痛みを抑えた状態で走れるというのが続いているという感じです。
――試合に出られない時期はやはり苦しかったですか
そうですね。やはり関カレ、全カレ、日本選手権も全部出られる試合だったので、それを全て走らずに、外から見るというのは少し辛かったですね。
――いつごろから走れるようになりましたか
8月は本当に走ったり走らなかったりだったので、まともに走り出したのは8月下旬の最後の1週くらいでしたね。
――その頃はどういう意識で過ごしていましたか
ケガを再発しないようにだとか、他のところを痛くならないようにだとか、ケアをしながら体のことを考えながら練習していました。
――いま現在の状態はいかがですか
いまはアイシングもしているんですけど、これは予防としてやっていて。走っていて痛くないので、これから練習をしながら残りのシーズンで記録会に出ていくという感じですね。
――きょうのレースを振り返っていかがでしたか
タイムだけで見ると1分54秒、7番というのは自分の目指すところには全然届かないんですけど。さすがに半年近いブランクがあって、初めて試合に出たのが先週なのですが、それを考えると無難というか、とりあえずはこれを駄目と見るのではなくステップだと思ってやっていこうかなと思っています。
――ここまでの3年間を振り返るといかがでしたか
1年の時は本当に苦しくて、全然走れませんでした。2年の時はやっと軌道にも乗ることができて、走れて。3年は出だしこそ良かったんですけど。故障さえしなければ納得のいく1年を過ごせたかなとは思うんですけど、もう後ろを振り返っても仕方ないので、らいねんはいままでのことを注意しながら、これも経験だと思ってやっていこうかなと思いますね。
――ついに最終学年になると思いますが、これからの1年はどのように過ごしていきたいですか
インカレで自分も含めて中距離が無得点でトラック優勝したので、しっかりと自分もワセダのトラックの一員であることを後輩たちにも他大学にも示せるように、走れるようになりたいです。
――同期の存在はやはり刺激になりますか
なりますね。入学した当初は僕が一番速かったんですけど、いまはほとんど差もなくなってきて。自分があまり伸びていないというのもあるんですけど、やはりここで力を見せなきゃなと思っています。