ルーキー加藤が優勝!目標に向け好スタート

陸上競技

表彰台で笑顔を見せる加藤

 ついに幕を開けた、学生最高峰の舞台・日本学生対校選手権(全カレ)。ことし創部100周年を迎える競走部はここから3日間、関東学生対校選手権(関カレ)では成し遂げられなかったトラック優勝に向け、チーム一丸となって挑んでいく。初日はいきなり男子400メートルでルーキーの加藤修也(スポ1=静岡・浜名)が優勝。さらに男子1万メートルではダブル入賞を果たすなど目標に向け最高の出だしとなった。あすは九鬼巧主将(スポ4=和歌山北)を含む3人が決勝へ進んだ男子100メートルや予選で好タイムをマークした4×100メートルリレー(4継)の決勝が控える。目標達成に向け、この良い流れを切らすことなく最後まで突き抜けたい。

(記事 石丸諒、写真 加藤万理子)

★加藤の優勝を含むトリプル入賞を達成!

加藤はラストの直線で一気に抜け出し45秒台をマーク

 7月に世界ジュニア選手権男子400メートルで銀メダルを獲得した加藤修也(スポ1=静岡・浜名)。世界を経験した意地を見せ優勝を果たした。予選では加藤の磐石な走りに続き、木村賢太(スポ3=大分・杵築)と愛敬彰太郎(スポ2=三重・桑名)がそれぞれ自己新記録を出し、三選手が良いレースで決勝へと進んだ。迎えた決勝。やはり力を見せたのは加藤だった。7レーンでスタートした加藤は前半ではいつものように中位につけ、上位をうかがう。後半にかけては前を走る田村朋也(中京大)を追いかけるかたちになる。競った展開は終盤までもつれたが、この展開に持ち込んだら強いのは加藤。ラスト50メートルで大きなストライドが田村を捉え、そのままゴール。タイムも大学に入学して以来初の45秒台を出す貫禄の走りとなった。木村は粘りの走りで4位、愛敬は序盤の遅れを取り戻すことが出来ず8位だったが、トラック優勝を目指す競走部にとってトリプル入賞という最先の良いスタートとなった。

(記事 山田周史、写真 松田萌花)

★4継、悔しさ晴らす好記録で決勝へ

2走・九鬼主将から3走・橋元へのバトンパス

 関カレでのまさかの失格から約4カ月。よもやの苦杯をなめた熊谷の地で、ワセダがその実力を遺憾なく発揮した。前回から出場者、出走順を変えて臨んだきょうの予選。1走を任された竹下裕希(スポ4=福岡大大濠)は慣れない第一走者ながら好スタートを決め、流れに乗った走りでバトンを2走・九鬼巧主将へと運ぶ。順番こそ逆ながら前回のミスが思い出されるバトンパスに緊張が走ったが、今回は無事にバトンが渡りレースは続く。「先輩方の4継に対しての成績や思いを壊してしまった」と前回のレース後には責任を背負い込んだ主将も、その思いを晴らすべく力走。エースとしての役割をきちんと果たして見せた。その後カーブでの加速を得意とする橋元晃志(スポ2=鹿児島・川薩清修館)が九鬼の勢いを損なうことなくアンカーへとつなぐと、最後は後半に強みのある三原浩幸(スポ4=千葉東)が他の追随を許さず余裕のゴールイン。2位に約1秒の差を付け、早大記録にもあと一歩の好成績で貫録の予選通過となった。試行錯誤の中でつかんだ今回の記録は、学生記録も視野に入れる選手たちの成長を感じさせる。全ては前回果たせなかった頂点に立つために。この勢いそのままにワセダが悲願の頂点に向け疾走する。

(記事 三井田雄一、写真 戸田郁美)

★1万メートルで2年連続のダブル入賞!

共に競い合いながら前を追う山本(左)と柳

 短距離陣が順調に好結果を収めた大会初日。その流れに乗るように、長距離陣も悲願のトラック優勝への思いを結果で示した。
「駅伝主将としてしっかりと結果を残さなければならない」(山本修平駅伝主将、スポ4=愛知・時習館)。ケガに苦しみ、今季はここまで思うように走れていない主将の意地が見えたレースだった。序盤から積極的に前に出て留学生の後ろにぴたりと付けると、表彰台を射程圏内に捉える走りでチームを鼓舞していく。終盤は崩れたものの8位入賞を果たし、貴重な得点を加算した。
一方、序盤は抑え目にレースを進めていた柳利幸(教3=埼玉・早大本庄)。持ち味の粘りの走りで徐々に順位を上げていき、6番手で迎えた残り400メートル。「とにかく無我夢中で抜かしたことも気づかなかった」。課題のスパート力を克服するために死に物狂いでゴールラインを駆け抜けると、結果は昨年の順位を一つ上回る5位に。これがチーム最高順位となり、山本と二年連続でW入賞を成し遂げた。
「短距離と長距離が一緒になって創部100周年をいいかたちで締めくくれる全カレにしたい」(柳)。駅伝シーズンを控えた長距離陣にとってはこれからが本当の戦いとなることは確かだが、その前にやらなければいけない仕事がある。部が一体となって目指すトラック優勝――。あすの5000メートルでもこの思いをつないでいきたい。

(記事 中澤佑輔、写真 加藤万理子)

結果

1日目

▽男子100メートル

予選

九鬼巧  10秒40(+0.7)(1組1着)

竹下裕希 10秒45(+0.0)(2組2着)

須田隼人(スポ2=神奈川・市橘) 10秒27(+2.0)(3組1着)自己新記録

準決勝

九鬼巧  10秒28(+0.5)(1組2着)

須田隼人 10秒35(+0.5)(1組3着)

竹下裕希 10秒38(+0.1)(2組4着)

▽男子400メートル

予選

加藤修也  46秒51(1組1着)

木村賢太  46秒88(3組1着)自己新記録

愛敬彰太郎 46秒73(5組2着)自己新記録

決勝

加藤修也  45秒88(1位)

木村賢太  46秒90(4位)

愛敬彰太郎 48秒27(8位)

▽男子1500メートル予選

池山謙太(スポ3=新潟・長岡大手) 3分53秒09(2組7着)

▽男子1万メートル決勝

柳利幸  29分06秒86 (5位)

山本修平 29分17秒47 (8位)

高田康暉(スポ3=鹿児島実) 31分49秒46 (28位)

▽男子4×100メートルリレー予選

早大(竹下ー九鬼ー橋元ー三原) 38秒90(4組1着)

▽女子棒高跳決勝

上原あずさ(教3=埼玉・不動岡) 3メートル50 (13位)

▽男子対校トラック得点(5日終了時点)

1位 早大  19点

2位 山学大 12点

3位 順大  12点

▽男子対校得点(5日終了時点)

1位 順大  27点

2位 日大  23点

3位 筑波大 20点

4位 早大  19点

コメント

山本修平駅伝主将(スポ4=愛知・時習館)

――最後の最後まで粘っての入賞でしたが、きょうのレースを振り返っていかがですか

いままでは上位を狙って逃すということが多かったですが、最低限入賞はできたので、全力を出し切ることはできたかなと思っています。

――きょうのレースに臨むにあたっての意気込みは

トラックのレースでエンジのユニフォームを着ることは最後だったですし、駅伝主将としてしっかりと結果を残さなければならないという気持ちで臨みました。

――序盤から積極的に攻めのレースでしたが、どのような意図だったのでしょうか

無謀なレースではなくて、調子もよかったし、優勝も狙えるかなというレースだったのですが、途中からお腹が痛くなってしまって、ずるずると落ちてしまったのは情けなかったと思います。でもそれでもやはり入賞しなければならないという気持ちを持って入賞することができたのは、やはり大きな違いかなと思うので、成長した姿を見せられたかなとは思います。

――調子がよかったとおっしゃいましたが、その好調の要因はどのように考えていますか

この夏の合宿で一度も練習を外さずにできていたので、そういった中で調子が上がってきているなとは感じていました。自分の調整で疲れが出てきているとは思いましたが、最後ということで気合いも入れてモチベーションも上がっていい状態だったと思います。実際スタートしてみてこれはいけると感じました。

――関東学生対校選手権(関カレ)でも前半から攻めの走りを見せたレース展開でしたが、今回はしっかり入賞を果たしました。関カレでの悔しさを晴らすことができたのではないでしょうか

そうですね。関カレも調子が上がってきていた中でのレースでしたが、上位入賞を狙って行った上で、結局入賞ラインから外れてしまうレースを2回もしてしまいました。今回もそのような展開になりそうではありましたが、しっかり切り替えて入賞ラインを確保できたというのは、関カレでの反省を生かして走れたかなと思います。

――ご自身のきょうのレースを振り返って、課題を挙げるとするならば

指導陣に言われたとおり、そして自分自身でも感じていますが、この結果で満足できるかといったら、今後駅伝シーズンを振り返っていく中でやはり8位という順位は満足できないですし、3位以内またはチャンスがあれば優勝を狙えたかなというきょうのレース展開で残り3000メートルで力尽きてしまったので、そこは課題だったかなと思います。

――タイムについてはいかがでしたか

タイムも今回は走りながら期待できるかなと思いましたが、タイムよりも途中から順位を意識することに切り替えた結果、終わったタイムをみて意外と記録は悪いと思いました。でもタイムがよくても順位が悪ければ意味がないので、しっかり入賞を果たせたのはよかったです。

――きょねんの日本学生対校選手権(全カレ)でも柳利幸選手(教3=埼玉・早大本庄)と出場し、入賞を果たしました。きょうのレースでも、いい意味での影響があったのでしょうか

もちろんありました。きょねんもそうでしたが、柳が前にいってくれたので、自分も入賞しなければならないという気持ちで、モチベーションを上げて走ることができました。

――全カレでの目標を最低でも入賞と述べられていました。これまでの調整を振り返っていかがですか

もちろん全カレだと順位がいい方がいいのですが、入賞するとしないのとでは大きな違いがあると思うので、しっかりここで入賞できて、これをきっかけとして駅伝シーズンに向けてさらに調子を上げて勝負できるかなと思います。

――高田康暉(スポ3=鹿児島実)選手の状態はいかがだったのでしょうか

自分は全カレを何回も経験してきましたが、高田は試合経験が少ないので、高田にとっても課題がまだまだ残ったのではないかと思います。まあ高田の本来の力はあんなものではないので、このような経験をプラスに変えていってもっと強くなってくれたらいいなと思うし、期待しています。

――全カレでのレースを終えて、今後は駅伝シーズンに向けてどういった調整をしていきたいですか

今つかみかけているものもありますし、ことし結果を出せていない中で、きょう入賞を果たせたのはプラスにできると思うので、この経験を生かして、駅伝も優勝を狙って、頑張っていきたいと思います。

柳利幸(教3=埼玉・早大本庄)

――昨年の6位を上回る5位という結果でしたが、どのようなお気持ちですか

きょねんこの場で6位という結果を出せたので、ことしは他大はベストなメンバーでは来ていなかったので表彰台を狙うつもりで走ったんですけど、やはり力通りの結果が出たのかなと思います。力通りというのはやはり表彰台に届かないというのがいまの自分の力だというのがわかったので。きょねんはここからケガをして出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)とずるずる引きずってしまったので、きょうの結果はこのまま自分でちゃんと受け止めてこの後の3次合宿はきょねんと違ういい方向に持っていけるようにやりたいなと思っています。

――きょうのレースに向けた調整は上手くいっていたのですか

ことしは2次合宿が妙高であって、その後半から調整だったんですけど、きょねんあった菅平の2.5次合宿(全カレ調整合宿)がない分所沢で調整していたので、順調といえば順調だったと思います。

――レース序盤からすごく汗をかいているなと思ったのですが、やはり暑かったですか

気温はそんなに高くないと思ったんですけど、走ってみると湿度とか汗をかきやすい環境だなと思いました。熊谷なので。途中の粘れなければ行けないところで粘れずに後方に下がってしまってきょねんよりも粘り切れていなかったなと思います。

――遅れた時はどのような心境でしたか

1周遅れの高田(康暉、スポ3=鹿児島実)を追い抜いてそこで調子が悪い高田がこれだけがんばって走ろうとしているという姿を見て、自分はもっと頑張らなくちゃと思ったんですけど、やっぱり途中先頭集団を追っていこうとしたときに追いきれずに一人で走るかたちになってしまいました。そこで自分の弱いところ、メンタル面の課題が見えたのかなと思います。

――昨年と同じく山本選手と二人で粘って前を追っていっているように見えたのですが

僕より前の集団で修平さんが戦っていてそれを追うかたちになったんですけど途中で修平さんと一緒になって二人で追おうとしたんですけど思うようにはいかず、途中でまた僕が修平さんを引っ張るかたちになりました。でも5位と8位でダブル入賞はできたのでそこは前を引っ張ってくださった修平さんがいたからまだ前を追おうという気持ちになれました。

――ラスト1週で一人交わして5位に上がれたのは大きい収穫だったのではないですか

そうですね。僕はラストが足りなくて関カレも6位だったところを8位に終わってしまったので、今回は無我夢中で上げられるところまで上げようと思ったんですけど、抜かしたことは全然わからなかったです。とにかく無我夢中だったのできょねんと同じ(6位)だと思っていました。

――タイムは29分6秒でしたがその点についてはどう感じますか

やっぱり29分台前半、28分台を夏合宿で距離を踏んでる時期でもしっかり出せないとこれからの出雲、全日本、東京箱根間往復大学駅伝で走れないのかなと思っているのでこれはノルマだったかなと思います。僕としてはきょねん3次合宿でこけていてこれからが課題だと思っているので、ここまでは通過点でここからしっかりやっていけるように頑張りたいと思います。

――チームとしても目標のトラック優勝に向けて良いスタートが切れましたね

短距離の加藤修也(スポ1=静岡・浜名)とか後輩たちが頑張っている中で長距離のAチームとしてこの結果は申し訳ない結果になってしまったんですけどあした、田口さん(大貴、スポ4=秋田)と光延(誠、スポ1=佐賀・鳥栖工)が残っていますし三千メートル障害の高橋さん(広夢、スポ4=東京・東大付)にもしっかり入賞してもらって短距離と長距離が一緒になって競走部として100周年をいいかたちで締めくくれる全カレにしたいなと思います。

――今回の結果を踏まえてどのような点を課題に練習していきたいですか

きょねん出雲と全日本で二つとも僕が出遅れを招いてしまったのでその点は必ず修正しなくてはいけないですし、全カレでチームトップで入賞したということでこれから始まる3次合宿でチームを引っ張っていけるようにそういう意識付けをしていけたらいいなと思います。