好調の中村駿が自己記録更新

陸上競技

 春の練習の成果を発揮するため、世田谷競技会には長距離ブロックから大学三大駅伝の経験が無い選手が多く出場した。男子5000メートルに登場した中村駿介(社3=愛知・岡崎城西)は10秒近く自己ベストを更新。自身の好調ぶりをアピールした。

 男子5000メートル最終組には中村駿を始めとする5名が出走。スタート直後から安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)が持ち前の積極性を見せつけ、力強く集団を引っ張る。1キロ2分50秒を切るペースでレースを進め、好タイムを予期させる走りを見せた。しかし「周りのペースアップで集団から後退して、やや気持ちが切れた部分があった」と語ったように徐々に苦しい表情を見せ始めた安井。3400メートル過ぎで次第に先頭から離れていった。

持ち味の積極性でレースをつくった安井

 一方ここで先頭に飛び出したのが中村駿だ。「途中でペースが下がった時に余裕があったので少し前に出た」と話した通り、表情を大きく変えることなく自らレースを作り出す。3600メートル付近では浅川倖生(スポ2=兵庫・西脇工)が1位集団のトップに躍り出るなど、早大の中で切磋琢磨(せっさたくま)しながら互いに好記録を出そうとする様子が見られた。その後浅川が遅れ始めるも、堅実な走りで先頭集団の上位を維持する中村駿。「前回の大会で自己ベストを出した時は最後に失速してしまった」と振り返ったように、以前のレースの反省を生かしラスト200メートルから懸命にスパートをかける。14分9秒でフィニッシュし、見事自己ベストをマークした。

調子の上がっている中村駿。キレのあるラストスパートを見せた

 北海道で行われているホクレンディスタンスチャレンジに出場している主力の選手たちも続々と好記録を残し、確実に長距離ブロックの中で良い流れができつつある。秋以降に控えた日本学生対校選手権や大学三大駅伝を勝ち取るためには自らの課題を見極め、克服することが必須であろう。鍛錬の夏を乗り越え、さらなる飛躍を期待したい。

(記事 八木瑛莉佳、写真 佐藤亜利紗、吉田勇輝)

結果

▽男子5000メートル

川村裕幹(基理2=和歌山・桐蔭)  14分32秒70(6組5着)

鳥山賢(教3=岡山城東)      14分56秒13(6組28着)

石田康幸(商1=静岡・浜松日体)  14分24秒87(7組11着)

臼田稔宏(基理4=長野・佐久長聖) 14分37秒80(7組22着)

中村駿介(社3=愛知・岡崎城西)  14分09秒87(8組5着)自己新記録

安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)  14分22秒07(8組14着)

浅川倖生(スポ2=兵庫・西脇工)  14分27秒81(8組16着)

佐藤淳(スポ2=愛知・明和)    14分34秒86(8組19着)

藤原滋記(スポ1=兵庫・西脇工)  14分55秒82(8組23着)

コメント

中村駿介(社3=岡崎城西)

――レースを振り返っていかがですか

きょうは調子が良かったので、ベストが出ると思っていました。前の試合でベストを出していたというのもあって、失敗できないという気持ちでした。失敗できないという気持ちが自己ベストに繋がったのかなと思います。

――10秒近く自己ベスト更新となりましたが

自分の中で、調子がいいなという感覚がありました。好調の感覚を掴めていたことが、タイムにあらわれたのだと思います。

――好調の要因というのは

自分の中の感覚として、重心移動がスムーズに行えるようになってきていることだと思います。一歩で大きく進めている気がします。

――ワセダの仲間が集団を引っ張っていたことについてはどう思っていましたか

安井が引っ張ってくれていたので、それについていこうと思っていました。途中でペースが下がった時に余裕があったので、少し前に出ました。

――レースプランについてはどのように考えていたのですか

最初に前に出て、誰かについていこうと決めていました。途中で抜かされても、集団に食らいついて、ラストの200メートルで上げようと思っていました。前回の世田谷競技会でも同じようなプランでうまくいったので、今回も同じようにやろうと試合に臨みました。

――今回の目標タイムはいくつぐらいだったのですか

14分14秒くらいを目標としていました。ですので、一桁のタイムを出せて良かったです。

――ラストスパートについてはどう捉えられていますか

前回の大会で自己ベストを出した時は、残り300、400メートルあたりからスパートをかけて、最後に失速してしまいました。なので、今回は200メートル以降でスパートをしようと思っていました。その反省が自己ベストという結果に結びついたのではないかと思います

――きょうのタイムについてはいかがですか

14分10秒をきりたいとは思っていました。今回の走りが、上のチームと練習できることにつながったのではないかと感じています。今回の良かった点を継続させていきたいです。

――夏に向けての課題と意気込みをお願いします

きょねんの夏は全く走れず、Cチームの中でも一番下でした。暑いのが苦手ではありますが、ことしこそは、一つ一つの練習をこなしていきたいと思います。

安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

直前に渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)から春シーズンの夏合宿前最後のレースということで、積極的に行けと言われていました。中学のころから積極的なレース運びが僕の持ち味だったので、それを発揮したいと思って序盤、先頭を引っ張りました。

――前半はトップでレースを運び、言葉通り積極性が見られました

3000(メートル)まではしっかりと自分でレースを引っ張れたのは良かったのですが、後半タイムが上がらず全体的なタイムが思うようにいかなかったので、後半さらに上げていくレースをしていかなければならないと思います。

――中盤から苦しくなってしまった原因はなんでしょうか

3400すぎたあたりから中村駿介(社3=愛知・岡崎城西)さんが前に出てくれて、「付いてこい」と言ってくださったので付いていこうと思いましたが、駿介さんと自分の周りの選手もペースアップをして、だんだん集団から後退してしまいました。また、やや気持ちが切れた部分がありましたね。

――同じ一年生の光延(誠、スポ1=佐賀・鳥栖工)選手への意識は

光延は毎回14分00秒以内で安定してタイムを出していますが、光延だけ頑張っても一年生のスポーツ推薦選手としていけないと思ったので、14分10秒を切ろうという意識で積極的にいきましたが、今回は失速していまいました。

――夏合宿以降のレースをどう迎えたいですか

夏合宿が終わると、日本体育大学長距離競技会、そしてハーフのレースも控えているので、1万メートル、そして20キロを走れるように頑張りたいです。

――夏合宿に向けての抱負を教えてください

僕は長い距離を走ることが苦手なので、しっかりと距離をふめるように練習して、ケガ無く1カ月を過ごしたいと思います。