表彰台で笑顔を見せた岡崎(左)と大迫
関東学生対校選手権(関カレ)の男子1部総合優勝からおよそ3カ月半が経過し、『五冠』を狙う早大競走部に2つ目の関門がやって来た。日本学生対校選手権(全カレ)だ。学生日本一を決めるこの大会で、関東王者である早大が53年ぶりの全カレ総合優勝に挑む。。
全国の精鋭が集う今大会は関カレ以上の厳しい戦いが予想された。しかし大会初日の決勝種目では各種目とも順調に得点を重ね、早大は快調な滑り出しを見せる。1日目に特に目立ったのが中・長距離勢の活躍だった。男子1500メートルに出場した大迫傑(スポ2=長野・佐久長聖)と岡崎達郎(人4=岡山・西大寺)のワンツーフィニッシュに加え、平賀翔太(基理3=長野・佐久長聖)と山本修平(スポ1=愛知・時習館)が男子1万メートルでそろって入賞。2種目だけで22点を投じ、チームに大きく貢献した。
1日目終了時点で男子は40点を獲得し、いきなり首位に。2位は23点の日大、3位は15点の東海大と続く。
(記事、カメラ 大道瞳、菅原理紗子、杉山幸美、辻安洋、浜雄介、和田真朱乃)
★400メートルで男女共に自己新ラッシュ
大幅自己記録更新のメダルには笑顔を見せる蔭山
女子400メートルに出場した蔭山愛(教3=神奈川・相洋)は予選から積極的な走りで自己ベストを更新すると、順当に決勝進出を決める。続く決勝でも自己新記録となる54秒46を記録し、見事3位入賞を果たした。一方の男子400メートルには浦野晃弘(スポ3=広島皆実)と牧野武(スポ3=愛知・時習館)が出場。最後までバテることなく1着でフィニッシュした浦野、前半控えめな走りながらもスパートを決め3着に入った牧野は、蔭山同様自己ベストを塗り替え決勝に進んだ。迎えた決勝。前半から攻めの走りを見せた浦野が一時首位に立つも、最後の直線で粘りきれず3位となった。400メートルに出場した3選手全員が自己新記録をマークした今大会。今後のさらなる飛躍に期待が高まる。
★圧巻の試合運びでディーンが優勝
全カレ初優勝のディーン
男子やり投げでは、今季79メートル20の早稲田記録を樹立したディーン元気(スポ2=兵庫・市尼崎)が、2位に8センチ差の僅差ながら優勝を決めた。疲労がたまり、ベストとはいえない状態だったが6投目で75メートル71を投げ逆転。決勝投てきでは自身が最も重視するクロス動作に「集中できていた」と語り、平凡な記録ではあったものの、収穫をつかんだ。なお、早大からは神崎真吾(スポ4=山口・西京)も出場したが、神崎は本来の力を発揮できず、68メートル36の7位に終わった。
★好調見せた1500メートル
余裕の表情でフィニッシュする大迫
男子1500メートルでワセダが優勝・準優勝を勝ち取った。予選から1組で大迫、2組で岡崎が共に1位通過を決めて他大を圧倒し、決勝を迎える。岡崎、大迫はスタートの合図で飛び出した順大・的野の後ろにピタリとつき、冷静に好機をうかがう。しかし、レースは1周61秒のイーブンペースで進み、最後の鐘が鳴っても、先頭集団の順位に変動は見られない。試合が動いたのはラスト200メートル。大迫が一気にスパートをかけると岡崎も負けじと反応し、トップに躍り出る。岡崎が逃げ切るかと思いきや、フィニッシュライン手前で大迫の猛追を許し、大迫が1位でゴール。関カレに続きワセダがワンツーフィニッシュを果たし、ワセダの対校得点に大きく貢献した。
★平賀、山本がダブル入賞!
激走を繰り広げた平賀と山本
第1日の最後に行われた男子1万メートルでは、志方文典(スポ2=兵庫・西脇工)が欠場するなか平賀翔太(基理3=長野・佐久長聖)と山本修平(スポ1=愛知・時習館)が奮走し、見事入賞を果たした。
序盤、二人はともに先頭付近で様子をうかがっていたが、2800メートル付近で山本が前に出て、集団を引っ張る展開に。その後山本は4400メートルを過ぎたあたりでペースが落ち、第2グループに吸収されるがそこから粘りを見せて日大・田村らと並走。最後の一周でも置いて行かれそうになったところから巻き返し、前を走っていた平賀に続いて6位に食い込んだ。
5位ながら「3位以内に入りたかったので満足はできない」という平賀と、6位も「前に出られてプラスになった」という山本。レース後のコメントは対照的だった。上級生の責任感と下級生の積極性。この2つがうまく噛み合えば、これから始まる駅伝シーズンでの2年連続三冠に近づくはずだ。
結果
▽男子400メートル
浦野晃弘 46秒61(3位)
牧野武 47秒75(7位)
▽男子1万メートル競歩
小林快 44分23秒47(12位)
▽男子1500メートル
大迫傑 3分45秒06(1位)自己新記録
岡崎達郎 3分45秒17(2位)
▽男子1万メートル
平賀翔太 29分29秒45(5位)
山本修平 29分33秒57(6位)
▽やり投
ディーン元気 75メートル71(1位)
神崎真悟 68メートル36(7位)
▽女子400メートル
蔭山愛 54秒46(3位)自己新記録
▽女子1万メートル
天児芽実 34分55秒93(27位)自己新記録
コメント
ディーン元気(スポ2=兵庫・市尼崎)
――きょうを振り返っていただけますか
決して調子が悪いわけではなくありませんでしたが、疲れていました。ユニバーシアードが終わってからずっと中京大に行って投げ込みをしていたのですが、台風の影響でそれがずれてしまった結果、疲れが残ってしまいました。
――ご納得がいかなかった
今回は短助走を試していました。短助走は体に元気がある状態でないと飛ばない助走です。決勝からいつもの助走に切り替えたところうまくいったので、そこは収穫です。76メートル台の記録は良いとは言えませんが、いまの状態ではまあまあかなと思います。
――6投目では大きな手応えを感じていたようですね
6投目は投げとしては良かったですが、疲労で体のバネがなかったのでやりは飛びませんでした。勝ててよかったなと言うのが正直な感想です。
――ユニバーシアードはいかがでしたか
予選は通過しましたが、決勝で自分の理想の投げができないまま終わらせてしまいました。助走がうまくかみあわなかった。いつもと違うタータンで、違和感を気にせずに投げることができず、クロス動作という重要な最後の動作が薄れていました。
――きょうのクロス動作のタイミングは
決勝に入ってからは集中できていました。
――今後について
秋に一発大きな記録を狙うためにはトレーニングを積んでおかないといけません。とりあえず80メートル台を出したいです。
神崎真悟(人4=山口・西京)
――最後の全カレを終えていかがですか
全カレには3回出させてもらって、去年はたまたま良い結果だったんですけど、どうもたまたまな感じが拭えなくて。去年の4位から今回の関カレまで記録が良かったんですけど、自分の中でそれが本当にたまたまで、雰囲気に記録を出させてもらったかなという気がします。
――今回の記録に関してはいかがですか
当たり前のように良くはないですよね。やはり関カレで73mを投げて期待されていたのもあって、それ以上を投げたかったです。でも練習があまり良くなかったので、練習通りの結果かなという感じです。
――関カレまでは体づくりがうまくいっているとのことでしたが、それ以降の練習が良くなかったのですか
そうですね、どうも噛み合っていないというか。
――どういった点で噛み合っていなかったのですか
関カレの時も自分でどうやって自己ベストを投げたかまだ分かっていないんですよね。どうやったら飛ぶかというのが全然分からないので。なんとなく賭けで1本1本投げているような感じが練習でもあったので、その通りの結果だなと思います。
――日本選手権の時もそういった状態だったのですか
そうです。体調が良くてもどうやって投げていいのかが分からなかったですね。
――大会前のチームの雰囲気はいかがでしたか
今回そもそも出場できる人が少ない上に、出場者以外は熊本に来ていないので、いつもと雰囲気が違いますね。
――やはり競走部の皆さんの応援があった方が心強いですか
そうですね。それがインカレの醍醐味でもあるので。
――今大会にはどのようなお気持ちで臨まれたのでしょうか
これが10年間の最後と言っても過言ではないので、やはり最後くらいはメダルを取りたかったですね。関カレでのワンツーフィニッシュが全カレでもできればいいなと思っていたのですが。
――今後の試合の予定は
早慶戦と早関戦、あとは国体におそらく出られると思います。
――今後の試合に向けて意気込みをお願いします
記録としては75mを超えたいですね。あと早慶戦と早関戦に関しては、ワセダで1~3位を取りたいです。それで最後に国体でしっかり投げられれば、個人的には良いかなと思っています。
平賀翔太(基理3=長野・佐久長聖)
――きょうのレースを振り返って
自分としては、あまり良くなかったですね。
――それはタイム、順位どちらですか
タイムも順位も両方です。
――目標はどのくらいでしたか
3位以内には入りたかったので、5位という結果には満足はできないですね。
――タイムについては
タイムよりは順位を意識していたので、具体的なタイムについてはあまり考えていませんでした。
――きょうのレースプランは
先頭にしっかりとついていこうと思っていたのですけど、早い段階で離れてしまいました。
――夏合宿はいかがでしたか
昨年、一昨年に比べたらあまり良い練習ができなかったかなと思っています。距離は積めたんですけど、内容が良くなかったです。
――納得のいかなかった点は
スピードが速めの練習とかであったり、思うように走れなかった練習が多かったです。
――出雲駅伝が控えていますが、どのようなレースをしたいですか
昨年以上の走りができれば良いと思っています。
山本修平(スポ1=愛知・時習館)
――きょうのレースはいかがでしたか
今回は記録よりもしっかり順位を取っていくということだったので、目標だった入賞を果たせてよかったです。自分としては満足いく結果でした。
――いつもと違って前で集団を引っ張る展開でしたね
そうですね。夏休みの期間中の合宿でしっかり練習が積めて、結果的に少しだれてしまったのはあるんですけど、前に出るという自信があって挑むことができたのは自分にはかなりプラスで、積極的な走りでした。
――合宿はかなり充実していたということですか
はい、かなり練習は積めました。距離走とスピード練習を交互にこなしたり、朝のペース走をしたり、充実していました。実力的には大迫さん、矢澤さん、平賀さんたちに比べれば落ちるところがありますが、しっかりこれから三大駅伝に向けて力はついてきていると思います。
――三大駅伝に向けての目標はありますか
なかなか出場メンバーに選ばれる争いも難しいと思いますが、出雲駅伝からレギュラー取れるように先輩方と戦っていきたいと思います。