新春の温かい陽光の下行われた、第48回千葉国際クロスカントリー。絶好のコンディションの下、大会記録を更新する好記録が多く飛び出した。しかし残念ながらワセダの選手から入賞者は現れず、一般男子12キロに出場した柳利幸(教1=埼玉・早大本庄)が21位でフィニッシュしたのがワセダから出場した4名の選手の中では最高位。それでも順位以上に確かな手ごたえを感じる結果を残し、先週の神奈川マラソンに続き、戦力の底上げを感じさせる。
一般男子12キロには柳と田中鴻佑(法3=京都・洛南)が出場。序盤から外国人選手が飛び出し、柳は後ろの集団で様子を伺う展開。中盤から「引っ張られるよりも引っ張って自分のリズムで前を追っていこうかなと思って前へ出ました」と語るように、徐々にペースアップし、前にいた他大学や実業団の選手を次々と交わしていく。終盤再び集団に取り込まれた柳は集団からこぼれ落ちそうになるが、ここで粘りを見せ、集団の上位でゴールイン。それでも「ラストのスパート合戦で勝ちたかった」と反省しきり。次の日本学生ハーフマラソン選手権に向けてレースの締めくくり方という課題を見つけたようだ。一方の田中は序盤から上位集団に付いていけず、終始後方で苦しい走り。早期の復調が待たれる。
始終積極的にしかけた柳
その後行われた一般男子4キロの部に出場した三浦雅裕(スポ1=兵庫・西脇工)と中村信一郎(スポ1=香川・高松工芸)。三浦は、序盤から飛び出した鎧坂哲哉(旭化成)などの有力選手とともに突っ込んで入り、有力選手たちを射程距離に留めながら追っていく。しかし、本人が「後半の2キロ粘ることができなかった」と語るように、中盤から終盤にかけてペースダウン。結局15位でレースを終えた。「身体がしぼりきれていなかった」と語った中村も序盤から遅れて30位という結果に終わり、悔しさが残るレースとなった。
序盤は健闘を見せるも終盤ペースダウンした三浦
近年、各大学、高校で比重が高まっているクロスカントリー。大学内にクロスカントリーコースを新設し、練習に積極的に取り入れる大学も多い中、他校の主力選手に遜色ないタイムでゴールした柳には今後の飛躍を期待したい。三浦が今大会を「これまでの駅伝シーズンから今後のトラックシーズンに移行するためにここで一回流れを変えるためのレース」と位置付けるように、選手たちは今大会を含め、先日行われた神奈川マラソンから3月の日本学生ハーフマラソン選手権までのレースなどでトラックシーズンへの移行を図る。今後のレースでも好成績を残して、春のトラックシーズンに弾みをつけて迎えたいところだ。
(記事 井上義之、写真 中澤佑輔、石丸諒)
大型ルーキーとして活躍が期待される平
★期待の新入生も出場
今春早大競走部に入部予定の4人がジュニア男子8キロの部に出場した。なかでも注目は9位に入った平和真(愛知・豊川工)だ。今年度のインターハイ5000メートルでは日本人トップの3位入賞を果たすなど、実績は十分。今回の入賞はあと一歩のところで逃したが、入学後、まずはトラックシーズンでどのようなレースを見せるのか非常に楽しみだ。また、浅川倖生(兵庫・西脇工)も上位で走り切り、新戦力の充実ぶりを伺わせた。主力選手が抜け、新戦力の成長がカギとなる来季。さらなる飛躍を求めて入部してくる選手たちがどう活躍していくのか。今後も早大競走部から目が離せない。
◆結果
▽一般男子12キロ
柳利幸 36分46秒(21位)
田中鴻佑 38分57秒(65位)
▽一般男子4キロ
三浦雅裕 12分14秒(15位)
中村信一郎 12分34秒(30位)
▽ジュニア男子8キロ
平和真 24分14秒(9位)
浅川倖生 24分51秒(27位)
臼田康一郎(長野・佐久長聖) 25分17秒(56位)
鈴木洋平(愛媛・新井浜西) 25分26秒(69位)
◆コメント
柳利幸(教1=埼玉・早大本庄)
――今日のレース展開を振り返っていかがですか
前半突っ込んで入って、そこから自分のペースでどれだけ持っていけるかというプランで行ったのですが、前半から他大の力を持った選手に置いていかれてしまいました。自分のペースで走ることはできましたが、東海の早川さんや中央の新庄さんにラストスパートで競り負けてしまったので、次への課題として改善したいと思います。
――途中、後方集団を引っ張る場面が見られましたが、どのような考えがありましたか
このような大会でも積極的なレースをしたいし、しなければいけないと思って、引っ張られるよりも引っ張って自分のリズムで前を追っていこうかなと思って前へ出ました。
――箱根駅伝後初めてのレースとなりましたが、どのような調整をして挑みましたか
箱根が終わってから疲労もありましたが、新チームになってこれからは僕たち新二年生もチームを引っ張っていかなければならない存在になったので、自分が妥協してしまったらチーム全体に悪影響が及ぶと思い、そこは自分に厳しくというかストイックに練習を積んできました。
――きょうの結果について満足はしていますか
やはりラストのスパート合戦で勝ちたかったですし、もっと前の方で早稲田の選手として勝負していくにはまだまだ力が足りないと思うので、これから立川ハーフを始め、春先のトラックシーズンに向けてしっかり練習を積んでいきたいと思います。
――今日は普段とは違うクロスカントリーのレースでしたがいかがでしたか
クロカンの大会は初めてで自分がどのくらい走れるか未知数だったのですが、夏に菅平でやった合宿ではクロカンの練習の中で自分なりにいい感じに走れていたので、ある程度の自信はありました。
――今季のトラックの目標、ロードの目標をそれぞれ教えてください
トラックでは自己ベストを更新する(5000メートルで)13分台、(1万メートルで)28分台を目指して、インカレに出場できたら入賞を狙いたいです。ロードでは三大駅伝を全て走って、区間上位でタスキをつないでチームに貢献できればと思います。
田中鴻佑(法3=京都・洛南)
――レースの感想をお願いします
最初の2キロで足が止まってしまって、チームにプラスになる走りがまったくできませんでした。
――失速したようにみえましたが、その原因はなんですか
この1週間あまり練習が積めていなくて、調子自体が良くなかったです。箱根のあとは順調に練習ができていて、調子が良かったのですが、ここ1週間くらいあまり調子が上がらず、練習が積めませんでした。
――では、このレースに向けて調整などはしていなかったのですね
これに向けての調整が特別していません。ただ、この1週間の調子が悪かったという感じです。
――次は3週間後の立川ハーフに出場されるということで、意気込みをお願いします
練習できる時間も決まっているので、できれば63分台を出して、チームにプラスになる走りがしたいです。
三浦雅裕(スポ1=兵庫・西脇工)
――今日のレースプランはどういったものでしたか
前半から前について、後半をその流れで粘っていって最後に飛び出せればいいなと思っていました。
――このレースの位置づけとはどういったものでしたか
これまでの駅伝シーズンから今後のトラックシーズンに移行するためにここで一回流れを変え、良い感覚で臨むためのレースだったと思います。
――今日の結果はいかがでしたか
後半の2キロ粘ることができなかったのは課題となって残りましたが、前半の2キロは良かったのでこれを生かしていきたいと思います。
――トラックシーズンの目標をお願いします
5千メートル13分台、1万メートル28分台が目標です。インカレでは1万メートルに出場したいと思います。
中村信一郎(スポ1=香川・高松工芸)
――きょうの走りについて、いかがでしたか
やはり自分としてもまだまだ納得いくような結果ではないので、悔しいです。監督からは「前半攻めていけ」と言われていたので、結構飛ばして入りましたが、練習不足と力不足によって後半粘れなかったということが課題です。
――粘りがまだ足りていなかったということでよろしいですか
そうですね。あとはやはり身体がしぼりきれていなかったですね。
――調子自体はいかがでしたか
調子は悪くもなく、かといってとても良いというわけでもありませんでしたが、やはりレース展開の中で粘りたかったという一言に尽きますね。
――箱根後にはどのような練習を積んでいましたか
ケガ明けだったので、Bチームでじっくり余裕を持ちながら練習をしてきました。クロカンに向けての練習ではあまり調子が良くなかったので、練習もきちんとこなせていないとやはりきついな、と感じました。
――今後のレース予定は
3月の立川ハーフに出るのであれば、初めてのハーフマラソンになるので、まずは楽しみたいです。まだ1年生なので怖さを感じない攻めのレース展開にしたいです。
――今季の目標をよろしくお願いします
きょねんはチームに貢献することもできなかったので、次は2年生になりますし、ワセダという伝統あるチームの練習にも慣れてきたので、1年目の経験を生かしてとことん結果にこだわっていきたいです。