1月の箱根駅伝で駅伝シーズンを終えてから約2ヶ月の間、各選手が数々の大会に出場し、練習を積んできた。そして、3月3日に行われた日本学生ハーフマラソン選手権、ワセダからは22人の選手が出場し、ロードシーズンの集大成を示すレースとなった。田口大貴(スポ2=秋田)、高田康暉(スポ1=鹿児島実)、柳利幸(教1=埼玉・早大本庄)などをはじめとし、さらに大学駅伝未出場の選手らが自己ベストを続々と更新。チームの底上げは感じられたが、部内1位、全体で10位の山本修平(スポ2=愛知・時習館)は、自分自身の結果に悔しさをにじませるなど、ロードシーズンの締めくくりは明暗分かれる結果となった。
今大会はユニバーシアード選考も兼ねていたため、ハイレベルな戦いが予想された。山本自身は「63分前後のスローペースで最後の勝負になる」とレース展開を考えており、その対策として「前半から攻めて途中で放して決めようと思っていた」と述べている。その言葉の通り、先頭集団の一人として走り続けたものの、思い描いていたレースプランを体現することはできず、後半にはさらに先頭集団からはやや遅れをとる展開となった。結果として、思うような走りができず、全体の順位は10位。ユニバーシアードの出場権を逃したことに加え、タイム的にも「62分台にはまとめたかった」と、表情からは悔しさが見られた。
相次ぐレースの疲れもあってか好走はならなかった山本
箱根駅伝ではアンカーも務め、主力としての期待がかかる田口は、今大会を、他大学の主力選手に対して「自分をどれだけ試せるか」ということに重点をおき、レースに臨んだ。序盤から、先頭集団やや後方で、レース変化に対応。その結果、山本に続く部内2位でフィニッシュし、自己ベストを更新した。自らの走りにも自信をつけ、今後も主力選手としてのさらなる成長が見られるはずだ。田口のあとには、1年生の高田・柳・三浦雅裕(スポ1=兵庫・西脇工)の3人が続いてゴール。三浦は初のハーフマラソン出場にしては、充分の走りをみせ、自己の目標とするタイムも達成。「他の大学の選手と闘えるような力をつけたい」というように、ワセダの主力選手になるだけでなく、チーム全体の底上げとして、さらなる活躍が望まれる。
初ハーフながら堂々たる走りを見せた三浦
ロードシーズンの集大成となった今大会。それぞれの順位をみると、全員が好成績を残すことができたとはいえないが、主力だけでなく、今後は大学駅伝未出場の選手がどれだけ力を伸ばしていくかがカギとなる。トラックシーズンに向けて、チーム全員でさらなるステップアップを目指す。
(記事 松田萌花、写真 細矢大帆、手塚悠)
◆結果
▽ハーフマラソン男子学生の部
山本修平(スポ2=愛知・時習館) 1時間03分12秒(10位)
田口大貴(スポ2=秋田) 1時間03分16秒(14位) 自己新記録
高田康暉(スポ1=鹿児島実) 1時間03分26秒(16位) 自己新記録
柳利幸 (教1=埼玉・早大本庄) 1時間03分26秒(17位) 自己新記録
三浦雅裕(スポ1=兵庫・西脇工) 1時間03分31秒(20位) 自己新記録
志方文典(スポ3=兵庫・西脇工) 1時間03分50秒(29位)
相原将仁(教3=東京・早実) 1時間04分00秒(40位) 自己新記録
田中鴻佑(法3=京都・洛南) 1時間04分30秒(67位)
臼田稔宏(基理2=長野・佐久長聖) 1時間04分31秒(68位)
高橋広夢(スポ2=東京大付) 1時間04分52秒(88位) 自己新記録
山田侑矢(スポ2=三重・伊勢) 1時間05分36秒(134位)自己新記録
中村信一郎(スポ1=香川・高松工芸) 1時間05分58秒(168位)自己新記録
中村駿介(社1=愛知・岡崎城西) 1時間06分31秒(215位)自己新記録
徳留駿(法2=埼玉・早大本庄) 1時間06分40秒(219位)自己新記録
小林快(社2=秋田工) 1時間07分12秒(266位)自己新記録
山下尋矢(スポ1=静岡・浜松西) 1時間07分14秒(269位)自己新記録
中山幸治(文構1=神奈川・関東学院) 1時間07分28秒(286位)自己新記録
岡田健志(スポ2=奈良) 1時間07分30秒(291位)自己新記録
鳥山賢(教1=岡山城東) 1時間07分35秒(299位)自己新記録
前野陽光(スポ1=神奈川・多摩) 1時間08分05秒(346位)自己新記録
藤澤怜欧(スポ1=神奈川・多摩) 1時間09分10秒(427位)自己新記録
関口直人(商3=埼玉・浦和) 1時間27分20秒(819位)
◆コメント
山本修平(スポ2=愛知・時習館)
――きょうのレースを振り返って
調子が良くなかったのですが、ユニバーシアードの権利だけはとらなければいけないと思っていたので、それがとれなくて申し訳なかったなという気持ちと、悔しさでいっぱいです。
――先日の福岡国際クロスカントリー大会を終えてからの調整はうまくいきましたか
まず、年明けからずっと調子が良くなくて、そこから思うようにいかなかったので、それがやはりだめだったなと思います。
――不調の要因は
自己管理能力ができていなかったと思います。
――きょうのレースプランは
おそらく、63分前後のスローペースになって、最後の勝負になると思っていました。それをひっくり返して、前半から攻めて途中で放して、決めようかと思っていましたが、なかなか思うようにいかなくて、残念です。少し、甘かったですね。
――ご自身のタイムを振り返って
やはりまだまだいけたと思います。
――目標タイムは
勝負のレース展開になるので、はっきりとした目標タイムはわかりませんでしたが、61分台は出したいと思っていました。でも、こんなレース展開になるとは思っていなかったので、最低限62分台にはまとめたかったです。
――先頭集団を走る他大学の選手はやはり意識されましたか
そうですね。もちろん、これから他大学との勝負になってくると思うので、しっかり意識して勝負していきたいと思います。
――ロードシーズンを終えて、トラックシーズンが始まりますが、意気込みをお願いします
ロードシーズンは自分でも何をやっているのかよくわからない結果になってしまったのですが、終わっていることに目を向けても意味はないので、トラックシーズンに切り替えて頑張ろうと思います。
田口大貴(スポ2=秋田)
――きょうのレースを振り返って
今回の立川ハーフはユニバーシアード選考も兼ねていてレベルが高いので、自分がどのくらい付いていくことができるかということを考えていました。自分をどれだけ試せるかを目的として参加して、自分の力がどの程度なのかということを感じることが出来たので自分としては良かったと思います。
――考えていたレースプランは
どこで仕掛けるというよりも、先頭集団の他大の主力の選手と走って、自分はどの程度なのかということを知ろうと思っていました。具体的にレースプランを上げるのであればいくつもレースが変化していく中でどれだけ対応出来るかを一つの目的としていました。
――自己新記録でした
タイムに関しては満足しています。初めて3分台、それも3分前半を出せました。どれだけ2分台に近づけるかが問題だったのでそこはクリアしたのかなと思っています。
――ここまで走る度に自己ベストを更新しています。要因はなんですか
ここ1年くらい継続して練習が出来ているので、継続してきたものが試合で結果として出てきているのかなと思います。あとは試合の合わせ方じゃないですけど、自分自身で試合を合わせていくやり方が自分の中でだんだん上手くなってきているのかなと思います。その二つですね。
――学内2位でした
一応、学内2番ということに関しては良かったかなと思いますが、学内2番であるのであればもう少し順位は上の方がいいのかなと思います。あまり学内の順位は意識していなかったのですが、良かったかなとは思いますね。
――今日は競走部全体的でも結果がよかったと思います
そうですね。皆ここの立川ハーフを目標としてやってきた中で、それぞれ思うことはあると思うのですが、僕自身は全体的に力が付いているなと実感できた大会でした。僕としては個人の順位よりもチームとしての底上げを実感できたことが嬉しいです。
――チームの状態は良いですか
そうですね。悪くはないと思います。
――次のレースを教えてください
もうトラックシーズンに入るので次は六大学対校戦ですね。トラックはトラックであくまで駅伝を見据えた中で、駅伝に繋がるトラックの結果を出していきたいかなと思います。
――トラックシーズンの目標は
具体的な数字を上げるとそれに固執してしまって良くないので挙げたくはないのですが…。駅伝に繋がる過程の中でやってきた結果が28分台に繋がったら良いかなと考えています。そこまで記録にはこだわっていません。しかし、主力としてやっていかなければならない身だと思っているのであくまでそれに恥じないくらいの結果は欲しいかなと思います。
高田康暉(スポ1=鹿児島実)
――きょうのレース内容を振り返って
2月はハーフに始まりクロカンもあり、途中合宿に参加させていただいて少し疲れはありました。ですがひとまず1年目の最後のレースだったので関係なくしっかり前で走ろうと思い走りました。もう少し前へ頑張っておけば集団も見えていたのですが、10km過ぎから離れそこでやはり力が足りていないなと感じました。どうしたらいいかということが見えているので、あと一ヶ月トラックに向けて課題を克服していきたいと思います。
――順位やタイムなどで具体的な目標は
(順位は)10番以内です。タイムは63分前後を狙っていたので、まとめたといえばまとめたとは思います。ですがあともうひとランクいかないと他の大学にも強い選手がいるので、そこがまだだめだったなと思います。
――柳選手とはずっと併走されていたのですか
15km前後くらいから追いついてきました。そこで行くぞと声をかけてくれたので僕も頑張れて、結果を出せたと思います。
――これからのトラックで特に力を入れたい種目は
関東学生対校選手権でまずは入賞したいと思っています。ハーフで63分台を2回だ出してスタミナにも自信がついたので、一万メートル、5000メートルで最初は記録会に出ます。5000メートルが好きなのでそれでしっかり入賞したいなという目標はあります。
――今季のタイム目標は
高校2年生のときのベストのままなので、今シーズンは13分台と28分台をしっかり出して、そこからどんどん自信をつけて戦っていきたいと思います。
柳利幸(教1=埼玉・早大本庄)
――きょうの目標は
Aチーム全体として63分半以内にどれだけの人数が入れるかという目標があって、昨年は6人いました。今年はそれと同等もしくはそれ以上の人数が入れなければきついということで臨んだのですが、僕を含めて4人しか入れなかったのでそこは次に課題が残りました。
――レース展開を振り返って
前半、先頭集団の山本修平さんにどれだけついていけるか挑戦したのですが、5キロぐらいから先頭のペースが速くて少しきつくなったので自分のペースで刻んで行きました。そこからは自分のペースで行けたので順位も上げられましたし、いい感じに行けました。
――千葉クロカン後にラストスパートが課題とおっしゃられていましたが、きょうはいかがでしたか
後ろに高田と三浦がいるのはわかっていました。高田のラストスパートはキレがあるのでそれを警戒してロングスパートをしたのですが、それに対応されてラスト100mぐらいのスパート合戦で負けてしまいました。高田に勝てればほかの人にも勝てると思うので、切磋琢磨していきたいです。
――同学年の3人で良い競り合いが出来ていましたね
三浦が初ハーフで、途中まで僕の前を走られるとは思っていませんでした。言い方は悪いですけど、こんなやつに負けちゃだめだと思って意地でラストは勝ちました。そこまでは高田と抜いたり抜かれたりで自分たちでレースをつくって先頭を追えたのでチームとしてはよかったかなと思います。
――千葉クロカン後はいい練習が積めていましたか
千葉クロカンの後、自己管理がおろそかになっていて一週間ぐらい練習が詰めなかったのですが、復帰してからはAチームで練習をこなせていました。今回の結果は、自分の今現在の力は出せたのかなと思います。
――タイムに関してはどう捉えていますか
63分半という課題はクリアできたので、もっと自己ベストを更新できるようがんばります。
――もう一段階上のレベルに行くためには何が必要だと思いますか
普段の練習から早稲田大学には大迫傑さん(スポ3=長野・佐久長聖)とか山本修平さんいう学生トップの方がいるので、そこに食らいついていって自分の力をどれだけ伸ばしていけるかということと、これからのトラックシーズンで自己ベストを出し続けることが競技力の向上には大事なのかなと思います。
――4月から力のある新入生も入ってきますが、チーム内の競争も激しくなるのではないでしょうか
早稲田実業から武田凛太郎、ほかにも平(和真、愛知・豊川工)という強力な一年生が入ってくるのですが、自己ベストでも負けたくないですし、先輩として引っ張っていけるようにがんばります。
――これでロードシーズンが終わりとなります。全体を総括してください
出雲から始まってこの立川までロードの試合ではあまり結果が出せなかったので悔いは残っています。このリベンジをするためにもそれまでの期間でしっかり練習を積んで、来年はもっといい結果を残せるようにがんばりたいです。
三浦雅裕(スポ1=兵庫・西脇工)
――今日のレースを振り返って
先頭につけて、離れてからは粘るという想定通りのレースが出来たので良かったです。
――練習から調子は良かったのですか
調子はそこまで良くなかったですが、練習をこなせていたので走れるという自信はありました。
――千葉国際クロスカントリーは満足行く結果ではなかったと思いますが、どう修正したのですか
千葉国際クロスカントリーはこの大会の調整だと思っていました。1月からこの大会に向けて調整して走ってきたので、まずまずの結果が得られたので良かったです。
――初ハーフで63分31秒ですが
僕の目標が64分ちょうどだったので、それがとりあえずクリア出来て良かったです。
――長い距離のレースは初めてですが、長い距離にはどのような意識を持っていましたか
正直、不得意だと思っていました。ただ練習はずっと積んできていたのでどれだけ走れるかなという期待はありました。
――今回の結果からワセダの主力選手として期待がかかると思いますが
ワセダの主力でも他の大学に比べたら、力はまだ及ばないのでもっともっと他の大学の選手と闘えるような力をつけたいです。
――他の1年生も同じくらいのタイムでしたが
僕はずっと柳(利幸、教1=埼玉・早大本庄)と高田(康暉、スポ1=鹿児島実)に先をいかれていましたが、今回のハーフの結果から少しですが差がつまってきたと思います。これからは僕がもっと前に出て3人で競いあえるようにしたいです。
――今後の目標をお願いします
トラックシーズンでは1万メートルで関東学生対校選手権に出場したいです。
志方文典(スポ3=兵庫・西脇工)
――きょうの試合を振り返って
Aチームの上位の選手は良かったのですが、僕自身はあまり良くなかったので悔しいです。
――ワセダの選手は意識していましたか
負けたくないなとは思っていました。でも他大学との勝負が一番なので、他大学をできるだけ意識して前を追っていました。
――きょうはどのようなレース展開でしたか
5キロまでは前に付いていけたのですが、そこからダメになり、もう一回7キロぐらいから自分で作り直していくようなレース展開でした。
――箱根後の取材では調子が上がってきているとおっしゃっていました。その後の丸亀ハーフの結果は志方さんにとって手応えがあるものでしたか
あのときもあまり調子が良くなかったというか、調子は良かったのですが少し悪くなり始めていました。でもその中でも自己ベストに近いまずまずの走りができたので良かったです。でも記録の出やすいコースだったので、過信してはいけないなとは思っています。
――丸亀ハーフが終わってから調子はどうでしたか
結構疲れていてあまり走れない時期が多かったので、今回うまく走るには少し難しいかなとは思っていました。でもチーム全体としてはこの大会に合わせてやってきているので、自分もそれに合わせてやらないといけないなと思っていました。一応自分なりに調整をして、なんとか走れるようにしてきました。
――つぎのレースの予定は
まだわからないのですが、六大学やそのあたりの試合に出れたらと思っています。
――これからのトラックシーズンに向けて意気込みをお願いします
2、3年とあまり良い結果が出せていないので、ことしこそはと思っています。でも毎年、ことしこそはと思っていて結果が出せていないので、何かを変えていきたいなとは思っています。なんというか、少し迷いがあると思うのでそれを振り切っていきたいなと思います。