調子上向かず、不本意な結果に

陸上競技

 大学トップクラスの選手や実業団の選手が多数出走する兵庫リレーカーニバル、男子アシックスチャレンジ1万メートル。ワセダからは山本修平(スポ3=愛知・時習館)が出場した。調子が良くないこともあり、山本は本来の走りができず先頭から周回遅れ、30分オーバーの悔しい結果となった。

 日中は晴れ間ものぞかせていた天気が一転、男子アシックスチャレンジ1万メートルのレースが始まる頃には本降りの雨になる。ナイターの試合ということもあり気温も急激に下がり、悪条件下でのレースとなった。序盤、先頭を引っ張るのはエノックオムワンバ(山梨学院大)、服部翔大(日体大)。山本は集団半ばを走行し入りの1000メートル、2000メートルとラップタイムをそれぞれ2分53秒ほどで刻む。良い位置につけて走っているかに見えた山本だが、3800メートルあたりから集団から徐々に遅れはじめると、4800メートル付近では完全に単独走に。後ろから来る選手に次々とかわされ表情も苦しくなる。

雨の中懸命にもがく山本

 一方、駒沢大・村山謙太、服部らライバル校の選手らが形成する先頭集団は中間以降ペースアップ。ラスト2キロ付近、ついに山本は先頭集団に捉えられ周回遅れになってしまう。結局フィニッシュタイムは30分08秒96。4000メートル以降の1キロ毎のラップタイムはすべて3分を超えるなど、本来の山本の走りからは程遠かった。

 ハーフマラソンの自己ベストを出した2月初旬の香川丸亀国際ハーフマラソン以降は不本意なレースが続く山本。なかなか調子が上向かない中、本格的なトラックシーズンが到来する。不安材料が多い現段階だが、渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)はこう語る。「疲れが抜けてくれば関東インカレでは勝負できるのかなと」。来週も5千メートルのレースに出場する山本。悪い流れは、なんとしてもここで断ち切りたい。

(記事 松岡文、写真 川嶋悠里)

★実業団での飛躍に期待

スパートをかけゴールする天児

 本大会では、社会に出てなお走り続けるOB・OGの姿も。つい先日ワセダを飛び立ったばかりの天児芽実(平25スポ卒=キヤノンAC九州)は、真っ赤なユニフォームをまといスタートラインに登場。入りの1000メートルが3分14秒とややスローペースで進むレースの中、一時2番手につけるなど積極的に挑んだ。しかし次の1000メートルでペースを引き上げることはできず、それ以降は後方から出てきた選手に交わされる苦しい展開に。縦に伸びる先頭集団の一番後ろに必死で食らいついたものの、後半は先頭から少し離れた位置での走りとなった。しかし、天児の競技人生における新章はまだ始まったばかり。今後の活躍に期待がかかる。

★試練のシーズンイン

中盤以降単独走となった三田

 2日目に登場したのは三田裕介(平24スポ卒=JR東日本)。外国人選手たちが先頭でレースを引っ張る中、序盤は果敢に攻める走りを見せた三田だったが、4000メートルを目前に遅れをとっていく。7000メートルを通過する頃には、先頭を行くパトリック・ムトゥンガ(トヨタ紡績)に周回遅れを許し、日本人トップで走っていた上野裕一郎(DeNA)にも8000メートルを通過するところで抜かれてしまう。結局ゴールしたのは、最後から2番目。最後まで懸命に走った三田は悔しそうな表情を浮かべながらトラックを後にした。実業団に進み2度目のシーズンを迎えた三田。真価が問われる今季、この経験を生かして成長した姿を見せてほしい。

◆結果

▽アシックスチャレンジ男子1万メートル

山本修平 30分08秒96(23着)

▽アシックスチャレンジ女子5000メートル

天児芽実(OG) 16分23秒04(9着)

▽グランプリ男子1万メートル

三田裕介(OB) 29分43秒74(33着)

◆コメント

渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)

――山本選手はレース後足を引きずっておられましたが

特に故障などはないと思います。

――春休みの合宿なども順調にこなされていたのでしょうか

調整は良くはなかったのですが、練習自体はしていたので今日の結果が足が痛くて駄目だったということはないと思います。

――練習はどの位消化できていたのでしょうか

調子が良くないなかでスタートに立っているので、今日は良くはなかったのですがしょうがないかなというか悪い方向にいったという感じです。

――丸亀ハーフでベストを出されて、その後レース自体は良くない結果が続いています

長い距離の結果はそこそこ出ていて短いトラックの結果がなかなかついてきていないので心配は心配ですね。

――それはどこに原因があるのでしょうか

基本的に状態がよくなく、箱根終わってからの疲れが抜けていないままトラックに入っている、そこではないですかね。山登りの影響はやはりあるのかなと思います。

――(箱根が終わって)すぐに丸亀ハーフもありました

そうなんですね。それも結局言い訳にはなるので本人にはそういう理由にはしてほしくないのですが、噛み合ってないかなというのはありますね。

――先ほど山本選手とお話されていましたが、どのようなことを話されましたか

きょう走れなかった理由はなんなのかということですが、本人は「噛み合わなかった」という言葉こを使っていました。狙った試合で噛み合わなかったということは練習の調整の流れの段階でスケジュールの問題、試合への合わせ方の問題があったのかなというのは反省のなかにあります。

――試合へはどのように合わせておられましたか

いろいろな調整方法があって、1万メートルのレースなのでそれに対応できるだけのスピード持久力の練習はけっこうやらせてきましたが、少しうわべだけの練習になってしまって中身が伴わなかったためにこのようなレベルの高い学生のトップが集まるレースだと実力が出てしまったかなという感じです。

――要は調子が悪い中で表面上のメニューだけをこなしてしまったということですか

そうですね。

――このあと広島の織田記念の5千メートルにもエントリーされていますが出場はされますか

出ます。選考レースなので出ないと話になりません。

――一ヶ月後には関カレもひかえていますがこれからどのように調子を上向けていこうとお考えですか

春に陸連の合宿に行ったのですが、練習自体は積めたので、その疲れが抜けてくれば関東インカレでは勝負できるのかなと考えています。主力なので、してもらわないと困るというのもあります。現実的には日体大や東洋大、優勝目指すチームがきちっと主力が走っていますから本人にはしっかりしてもらいたいというのはありますね。

――山本選手は山も走っておられますし、メンタルが強いというイメージがあります。本日は周回遅れになってしまいましたがそこは相変わらず問題ないのでしょうか

そうですね。これを2回連続で続けると問題ですし、きちっと気持ちを切り替えてやってほしいです。