箱根メンバー入りへ、競争は激化

陸上競技

 東京箱根間往復駅伝競走(箱根)の1次エントリー発表が12月10日に迫る中、選手たちにとっては最後の実戦でのアピール機会となる1万メートル記録挑戦競技会が23日行われた。早大からは13名が出場し、11名が自己ベストを記録。中でも志方文典(スポ4=兵庫・西脇工)や浅川倖生(スポ1=兵庫・西脇工)らがそれぞれの組の上位でフィニッシュ。確実に選手層の底上げが進んでいることを感じさせる大会となった。

故障明けのレースながらも序盤から前方につける志方

 復活を期する志方と鈴木洋平(スポ1=愛媛・新居浜西)が11組に登場。レースは1キロ3分のペースで進んでいく。志方は終始先頭に近いポジションを守り、レースを展開。レース前、相楽豊長距離コーチ(平成15人卒=福島・安積)に「タイムは気にせずにしっかりした内容のレースをしてこい」とアドバイスされた通り、落ち着いた走りを見せる。鈴木も前半は後方で様子を伺う。しかしレースが動くと感じ、8千メートル付近で前方へ。一方の志方は中盤から顔が歪み、重い走りに。レースが動いたのは残り2週。二人は先頭の切り替えに対応できない。ここで最終学年の意地を見せたのは志方だった。ラストスパートで順位を上げ、3位でゴール。鈴木もなんとか粘り切り、11位で走りきる。自己ベストを29分台に乗せ、納得の走りを見せた。

 その直前の12組に出場したのは浅川。浅川も序盤から3番目辺りのポジションをキープし、積極的な走りを見せる。5千メートルは14分53秒で通過。予期せぬスローペースに浅川は「自分でペースを作って行こう」と先頭へ。集団は浅川を先頭にペースアップし、7人前後まで絞られていく。しかし浅川は7千メートル過ぎて失速。「ラスト3千メートルで垂れてしまった」(浅川)と、先頭を明け渡し、集団から遅れをとってしまう。それでも浅川は終盤、持ち前のスピードを見せる。ラスト1周で切り替え、4人を交わし、7位でフィニッシュ。自己ベストを更新するも課題が残る結果となった。他にも6組に登場した中村駿介(社2=愛知・岡崎城西)が組1位で走りきる好結果を残した。

終盤先頭集団から離されるも、この日部内トップのタイムを出した浅川

 今年度の早大の課題である選手層の薄さ。しかし今回の結果で確かな手応えを首脳陣はつかんでいるはずだ。出場13名中、11名が自己ベスト更新という事実が何よりも物語っている。今週から早大伝統の集中練習は始まっている。過酷な練習の中で、箱根メンバー入りへ名乗りを上げるのは誰なのか。勝負の12月がいよいよ始まる。

(記事 井上義之、写真 松田萌花、細矢大帆)

結果

▽男子1万メートル

本郷淳 (スポ1=岡山城東)     31分55秒21(3組14位) 自己新記録

柄本勲明(スポ1=福岡・早稲田佐賀) 31分14秒34(4組4着)

改発智也(スポ1=兵庫・明石城西)  31分15秒73(4組7着)  自己新記録

佐藤征昭(スポ1=福島・安積)    31分40秒73(4組15着) 自己新記録

箱田幸寛(スポ1=広島・世羅)    31分49秒91(4組18着) 自己新記録

今井開智(スポ1=神奈川・桐光学園) 30分55秒10(5組9着)  自己新記録

川村裕幹(基理1=和歌山・桐蔭)   31分33秒38(5組19着) 自己新記録

中村駿介(社2=愛知・岡崎城西)   30分12秒48(6組1着)  自己新記録

前野陽光(スポ2=神奈川・多摩)   30分40秒76(6組11着) 自己新記録

志方文典(スポ4=兵庫・西脇工)   29分50秒88(11組3着)

鈴木洋平(スポ1=愛媛・新居浜西)  29分57秒58(11組11着)自己新記録

浅川倖生(スポ1=兵庫・西脇工)   29分47秒25(12組7着) 自己新記録

▽女子1万メートル

納谷恵(文3=青森東)        36分28秒97(32着)

コメント

志方文典(スポ4=兵庫・西脇工業)

――きょうのレースを振り返って

途中きつかったのですが、最後まで粘って走ることができたので、復帰レースとしてはまずまずの結果だったかなと思います。

――復帰レースとなったきょうのレースはどのような意気込みで臨まれましたか

目標タイムは、29分20秒が目標タイムとされていたレースだったので、29分20秒から30秒あたりで走れればよいと思っていました。ただレース前、相楽豊長距離コーチ(平成15人卒=福島・安積)にタイムは気にせずにしっかりした内容のレースをしてこいと言われたので、スタート直後はあまりタイムを気にせずに走れました。

――レースの内容はどう受け止めていますか

途中がきつくて、6000メートルから7000メートルのところでペースアップできなかったところが課題だとは思いますが、先頭集団に食らいつく走りはできたのでまずまずだと思います。

――今季を振り返っていかがですか

きょねんの箱根駅伝を終えてから全然調子が上がらなくて、不調の状態が続いています。つらい思いをする日々が半年ほど続いたのですが、ケガをしたことによって吹っ切れたというのもあって、ケガをしてから自分の中で、いまはいい走りが徐々にできるようになってもいます。苦しんだ分いい勉強になったシーズンだったと思います。

――出雲全日本大学選抜駅伝、全日本大学駅伝対校選手権は、どういった心境でレースを見ていましたか

いつもは悔しい思いをして見ていましたが、ことしは4年生の立場としてみんなに頑張ってもらいたいと思って、自分もやらなければならないと思いつつ応援していました。

――最後にラストイヤーにかける思いを聞かせてください

走る走らないに関わらず、チームの力になりたいです。

浅川倖生(スポ1=兵庫・西脇工)

――きょうのレースの感想をお願いします

思っていたよりもペースが遅かったので、5千メートルを通過して余裕がありました。自分でペースを作って行こうと思ったのですが、結局走りきれなくて、ラスト3千メートルで垂れてしまいました。離れてから粘ることができたので自己ベストは出すことができましたが、課題が多く見えたレースだったと思います。

――中盤は先頭に立つ場面もありました

ペースが良ければ、(前に)出るつもりもなくて流れに乗って行き、ラストで出て、きょうのレースでトップを取ろうと思っていました。ただ余りにもペースが遅かったので、レースプランを変更した感じです。

――終盤、先頭がスパートした際の心境は

集団から落ちかけたところでスパートされてしまったので、対応できませんでした。

――その後は先頭との差を広げられずに粘りの走りを見せられたのではないでしょうか

粘りというよりも、自分の武器であるスピードが生かせただけと思います。ラスト一周の通過が28分後半ぐらいで、一周を60秒ちょっとで走らないと自己ベストがでないことが分かっていたので、行くしかないなと思って最後は切り替えました。

――タイムに関してはどう考えていますか

もっと良いペースの組に入れば、もっと良いタイムが出たとは思います。きょうのようなな展開でどれだけタイムを出せるかで、強い選手との差が出てくると思うので、まだまだだなと思います。

――今後の集中練習に向けて一言お願いします

食らいつくだけではなく、箱根の16人のメンバーを勝ち取れるように狙っていきたいです。

鈴木洋平(スポ1=愛媛・新居浜西)

――ベスト更新おめでとうございます。ガッツポーズが印象的でしたいかがでしたか

ことし、大学に入ってからまともに走れていませんでした。関カレ(関東学生対校選手権)などでも使っていただいたのに、結果としてはドベでした。悔しくて悔しくて何で走れないのかをずっと悩んでいたので、きょうは久々に良い走りができて嬉しかったです。

――ペースはいかがでしたか

最悪、自己ベストを出せればいいかなと思っていたので余裕はありました。自己ベスト自己ベストと思って、楽に楽にと考えて走りました。

――どの辺りまでは楽に走れていたのですか

7000くらいまでは比較的楽にいけて、そこから少しペースが上がったのできつくなりました。ラスト1000メートルでペースが上がった時に練習をもっとやらないとダメかなと思いました。

――レースの位置取りはいかがでしたか

コーチからは、前の方でレースを進めるようにと言われていました。でも僕は田舎出身で、あのような大人数で走るの初めてだったので、後ろのほうからのスタートになってしまいました。ラスト2000メートルくらいで動くかなと思ったので、徐々に勝負できる位置に移動して、対応できるように備えました。

――きょうのレースの位置づけは

本当なら上尾ハーフに出場させていただく予定だったのですが、貧血があまり治っていなくて、ロード練習は少し控えるということで今回の方に回していただきました。ずっと走れていなくて、チームにも迷惑をかけていたので、結果を出さないといけないと思って走りました。1年生というのは関係なく、スポーツ推薦なので、自覚を持って走ろうと思っていました。

――これから集中練習なども始まると思いますが意気込みを

現時点では厳しいと思われていると思いますが、練習から先輩方に喰らいついて下剋上するような気持ちでやりたいと思っています。