出場さえも叶わず涙をのんだ昨年度から1年、花田駅伝監督率いる早稲田が出雲全日本選抜駅伝(出雲)に帰ってきた。学生三大駅伝3位以内をチーム目標に掲げる早大は1区の伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)が区間4位、2区の山口智規(スポ2=福島・学法石川)が区間3位と好発進したが、中盤での他大の追撃に応じきれず6位で大会を終えた。
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レースを走る伊藤大志
1区にはチームのエースのひとりである伊藤大志が起用された。向かい風が吹く中、序盤からアイビーリーグ選抜のヒューゴ・ミルナーが集団を引っ張るハイペースなレース展開。4・5キロを過ぎ大集団が崩れた後も伊藤は先頭集団で粘りの走りを見せ、ラスト2キロでミルナー、駒澤大学の篠原倖太朗に離されたものの、表彰台を狙える4位で2区にタスキを渡した。2区では今季調子を上げている山口が出走。「ハイペースで入りつつ、後半もしっかり体を動かしたいと考えていた」という山口は言葉通りスタートから積極的な走りを見せ、2キロ過ぎには2位に浮上する。ラストで青山学院大学の黒田朝日に抜かれるも、区間3位でレースをまとめた。続く3区の石塚陽士(教3=東京・早実)はプラン通り青山学院大学の佐藤一世の後ろについて好機を伺うが、創価大学と城西大学の留学生ランナーに挟まれる難しい展開となり、最後までペースを上げきれずトップと1分39秒差の6位でタスキリレー。石塚は「全く満足のいく結果ではないが、これが今の自分の実力」と厳しく自らの走りを振り返った。
タスキリレーをする2区・山口(写真左)と駆け出す3区・石塚(写真右)
4区は、春先からトラックで好タイムを連発のルーキー、工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松陰)が起用された。小刻みなアップダウンがあり攻略が難しいといわれる4区のコースを難なくこなし、残り1キロで前を走る國學院大学との差を4秒にまで縮める。前方では熾烈(しれつ)な3位争いが繰り広げられていたが、6位から順位を上げることはできず、5区にタスキを渡した。そのタスキを受け取ったのは間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)。前後にランナーが見えず、風の影響を受けやすい単独走となった。タスキを受けた時は「前との差を詰めることだけを考えていた」という間瀬田。2キロ過ぎからは夏合宿中から気にしていたという胃の痛みに見舞われ、思うようにペースを上げられない。しかし、その差を広げられることは無く区間5位の安定した走りでレースを終えた。アンカーにはロードを得意としている安定感抜群のルーキー、長屋匡起(スポ1=長野・佐久長聖)が起用された。序盤はなかなかペースを上げられず、1位との差を30秒ほど広げてしまうが、残り3キロ地点では前の青学大の姿をはっきりと捉え、最後まで粘りの走りを見せる。惜しくも順位を上げることはできず、6位でフィニッシュとなった。
懸命に走るアンカー・長屋
学生三大駅伝3位以内という目標へのスタートであった本大会は、好調な出だしを見せたものの中盤での他大の追撃に応じきれず、6位という結果に終わった。迫る全日本大学駅伝対校選手権(全日本)に向け、この結果をどう生かしていくのか。臙脂の完全復活へ、ここで足を止める訳にはいかない。
(記事 佐藤玲、写真 戸祭華子、草間日陽里、植村皓大)
第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走 | |||||
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区間 | 距離 | 名前 | 記録 | 区間順位 | |
1区 | 8・0キロ | 伊藤大志 | 23分08秒 | 4位 | |
2区 | 5・8キロ | 山口智規 | 16分26秒 | 3位 | |
3区 | 8・5キロ | 石塚陽士 | 25分18秒 | 7位 | |
4区 | 6・2キロ | 工藤慎作 | 18分04秒 | 10位 | |
5区 | 6・4キロ | 間瀬田純平 | 18分32秒 | 5位 | |
6区 | 10・2キロ | 長屋 匡起 | 30分08秒 | 6位 | |
早大 2時間11分36秒 6位 |