第99回東京箱根間往復大学駅伝(箱根)往路を5位で終えた早大。往路に出走した選手5人のコメントをお届けする。
1区
間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工)/区間14位
――初の箱根駅伝となりましたが、スタートラインに立つ時はどのような気持ちでしたか
1年生で1区ということもあって緊張していた部分もありましたし、やっぱりずっと憧れてきていた舞台でもあったので、楽しみな気持ちもありました。
――自身の調子も踏まえて自信はありましたか
全日本(全日本大学駅伝対校選手権)が終わってから箱根までの練習はほとんど完璧にできていたので、自信はありました。
――花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)からはどのような指示がありましたか
練習はできているから自信を持っていけというところと、スロー、ハイペースどっちになっても落ち着いていくようにと言われました。
――集団内での走りやすさや、ペースについてはどのように感じていましたか
スローペースになることは予想していたので結構走りやすく感じていました。1人が飛び出して走っていたのですが、気にせず集団で余裕を持って走るということを考えていました。
――集団から選手が1人飛び出した中で他の大学もあまり追わなかった状況をどのようにとらえていましたか
優勝候補である駒沢さんだったり青学さんだったり、そういった大学の選手たちが追わなかったというのもあって、集団でけん制し合う感じになったのかなと思います。
――ペースが上がってきた終盤でのご自身の走りを振り返ってください
スローペースということもあって、最初は余裕を持って走っていたのですが、やっぱり六郷橋を超えてから脚が止まってしまって、六郷橋の下りのペースが上がるところでうまく対応できなかったというのが課題点ではあります。そこを走る前からポイントだと分かっていて対応できないというのは、自分の力不足というのもあるので悔しい結果になりました。
――区間順位やタイムを見てどのような印象をお持ちですか
先頭と38秒差でタスキをつなげたので、タイム的にはまとめはしたのかなという気はしました。でもやっぱり区間順位を見た時に、下から数えた方が早いですし、そういった面では悔しさが大きいので、来年は1区でリベンジできたら良いなと思います。
――全日本に引き続き1区での起用となりましたが、1区という区間を走ることへの手応えなどは感じられましたか
正直自分的には1区はあまり好きではないのですが、全日本、箱根と1区を経験させてもらって、チームに流れをつくるという重要な区間で走らせていただいたことは良い経験になりましたし、この経験があるからこそ自分の練習や生活を頑張ろうと思えたので、本当に良い経験になったなと思います。
――他の区間の選手の走りはどのように映りましたか
石塚さん(石塚陽士、教2=東京・早実)が前との秒差を詰めてくださって、井川さん(井川龍人、スポ4=熊本・九州学院)でごぼう抜きをして、そこから地道に順位を上げていってという感じだったので、今回は先輩たちに頼り切ったレースになってしまったと思っています。来年は先輩に頼るのではなくて、自分でレースの流れをつくっていけるような力をつけていけるようにしたいなと思いました。
――復路のメンバーに期待したいことは何かありますか
往路5位ということで、非常に良い位置でスタートすることができると思うので、6区から10区までしっかり走ってもらって、チームの目標である総合5位以内を絶対達成してもらいたいなと思います。
2区
石塚陽士(教2=東京・早実)/区間10位
――今日のコンディションはいかがでしたか
ずっと上り調子で来ていたので、比較的調子の良い状態で、気象条件もかなり良かったので、良い状態で迎えられたのではないかなと思います。
――2区を言い渡されたのはいつ頃ですか
11月の下旬から12月の頭くらいに、花田さんに正式にもらったという感じです。正式ではないところも含めたら、直接は言われていないのですが、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)が終わったぐらいから、ある程度は雰囲気的に「石塚2区だろ」みたいな流れがあって、その段階でほぼほぼ決まっていたという感じです。
――今日のレースプランはどのように考えていましたか
最初はすごくフラットで走りやすいコースなのですが、そこで飛ばすと、権太坂とか戸塚の壁で垂れてしまうということがあるので、前半10キロはややゆっくりめで走って、後半の坂で勝負しようと考えていました。
――花田監督からはどのような指示がありましたか
花田さんからは、67分フラットで行って欲しいという話がありました。1キロ、3キロ、5キロ、10キロという感じで5キロ毎ずつくらいにこれぐらいで行けたらいいねという想定表をもらっていて、それを目安に走っていこうという話をもらっていました。
――初めての花の2区はいかがでしたか
意外と前半走りやすいと言われている割には、タイムが出ないなというところがあって、そこでやや自分の中で焦りがあったというか。自分では結構速いペースで走っているつもりなのに、2分56秒とかキロ2〜3秒遅いペースでずっと走っていたので、そこが焦りになってしまいました。権太坂とか戸塚とかの上りも、本当はもうワンステップ速く走れれば良かったのですが、あまりうまくいかなかったというところで、全体的に想定より1ランク下の走りになってしまったのかなと思います。
――個人のタイムや区間順位についてはいかがですか
本当は区間5番前後を狙っていたので、全然満足できる結果ではないのですが、他校のエースが走る区間でしっかり順位を落とさずに走り切れたのは評価していいポイントなのかなと思っているので、来年リベンジしたいなと感じる順位でした。
――往路の順位についてはいかがですか
間瀬田もそこそこいい位置で持ってきてくれて、井川さんのいい走りがあっての5番というところで、目標の3番には届いていないのですが、早稲田の力を出し切っての5番なので、そこに関しては評価できる点かなと個人的には思います。
――明日の復路のメンバーに向けたメッセージをお願いします
練習ができているメンバーが全員走るので、自分の力を出し切って、5番以内という目標を達成できるように頑張って欲しいというのと、自分もしっかり応援していきたいなと思っています。
3区
井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)/区間2位
――区間2位となりましたが、走りを全体的に振り返っていかがでしたか
14位から5位まで上げられたということに関してはチームの仕事を果たすことができたかな思います。個人としてはやはり区間賞を狙っていたので、あと7秒詰められなかったのはすごく悔しいなと感じました。
――調子はいかがでしたか
調子は良かったとは思います。
――自信はありましたか
そこまで強い選手が3区に集まらなかったので、とにかく自分の力を信じて走ろうと思っていました。
――3区の出走を言い渡されたのはいつでしたか
結構早めに決まりました。
――1区、2区の後輩の走りはどのようにご覧になっていましたか
2人ともよく耐えてくれたなと感じました。
――その区間は耐える想定だったのですか
石塚はほんとうに耐えてもらってという感じで、純平(間瀬田純平、スポ1=佐賀・鳥栖工)に関してはもうちょっと僕の中では期待していたので(区間順位)1桁くらいで来ても良かったんじゃないかなとは思っていました。
――3区の走りで監督から言われていた役割はありますか
どんどん順位を押し上げて、できるだけ先頭に近いところに僕でもっていくことが計画でした。
――1年生以来となる3区出走でしたが、そのことに対して特別な思いはありましたか
1年生の時に失敗しているので、最後もう一回同じ区間を走れるということで最後は成功させたいなという思いがすごくありました。
――1年生での経験が生きた部分はありましたか
最初の下りで飛ばしすぎると後半かなりきつくなるので、そういうところを考えながら走っていました。
――最後の箱根路での走りはいかがでしたか
9人抜きできるとは思っていなかったので、そこまで押し上げることができたうれしさと、今年はやっぱり2位の呪いにかかっていたなと感じて(笑)、今後はしっかり1位を取れるようにしたいなと思います。
――最後の箱根が個人としては終わりましたが、今はどのような気持ちですか
今まですべての駅伝において結果が出ていなかったので、今回少しでも目立つような走りができて、早稲田としてしっかり活躍できたので良かったなと思います。
――往路のチームの結果についてはどのように考えていますか
耐えたのかなと思います。
――後輩の走りを見て感じたことはありましたか
大志(伊藤大志、スポ2=長野・佐久長聖)は昨年よりかなり成長していました。航希(佐藤航希、スポ3=宮崎日大)も駅伝になると走れないということが昨年まではありましたが、今回はしっかり力通りの走りをしてくれたので、僕的には今後航希に期待していきたいなと思っています。
――最後に明日復路を走る選手たちへメッセージをお願いします
早稲田の場合は復路の方が往路より順位が良いことがあり、自分のペースで刻んで走ることが得意な選手がそろっていると思うので、しっかり無理をせず設定通りの走りをしてほしいなと思います。
4区
佐藤航希(スポ3=宮崎日大)/区間6位
――昨年に引き続き、自身2回目の箱根出走となりましたがどのような気持ちでスタートラインに立ちましたか
昨年よりも良い状態で来られたので、昨年よりは自信を持って臨むことができました。
――3区までのチームメイトの走りはどのように見ていましたか
往路のメンバーは一緒に練習してきた選手なので、心配というのは全くなかったです。
――ご自身の調子はいかがでしたか
12月に入って腹横筋を痛めてしまって、それが完治しないまま臨むことになったのですが、そこ以外は絶好調でした。脚は動いたのですが、腹横筋に痛みが出てブレーキにならないように、上げ過ぎず、少し抑え気味で走りました。
――実力者が揃った4区に臨むにあたって自信はありましたか
焦りとかがなく、非常に落ち着いて準備できていましたし、アップの段階でも冷静にいれたので、こういうのが自信の現れだったのかなとは思っています。客観的に自分の力が7、8割出せれば十分戦えると思っていました。
――花田監督はどのような声掛けがありましたか
井川さんがいい位置で来てくれて、その後ろに他の大学が付くというかたちで、(自分が)スタートしてすぐに後ろの選手に付かれて集団になったのですが、焦らず行こうという声を掛けてもらいました。これまで練習をしっかりやってきているから、自信を持っていけということは言われていたので、その通りに臨みました。
――全体的に自身の走りを振り返っていかがでしたか
よく花田さんが「1=1」と言われていますが、今日はそうではなかったかなと思うので、来年は今日よりももっといい走り、「1=1・2以上」 を出せるようにまた1年準備したいなと思います
――後からスタートしたヴィンセント選手(東国大)に付いていかないのはあらかじめ決めていましたか
どこかしらで必ず抜かれると思っていたので、(ヴィンセントは)意識せずに走っていました。
――途中集団を率いる場面がありましたが、どのような意図で位置取りをされましたか
途中で探り合いがあって、集団の後ろで様子を見ていました。隣に東海大学、明治大学の選手がいたのですが、二人ともレースの序盤からかなり発汗していて、あまり余裕はないのかなと感じたので、ここで自重したり、けん制したりするのは少しもったいないかなと判断しました。だったら前を追おうということで、前に出て引き離そうと思いました。
――後半、集団から抜け出し、序盤に抜かれた嶋津雄大選手(創価大)を抜き返しましたが、その際、余力はありましたか
気温が上がってきたことや、コースの起伏を踏まえて、前半少し様子を見て入って、後半自分のアドバンテージとなった時間帯になったら(嶋津を)抜き返してやろうと思っていました。後半に余力があったというよりは適正などの条件が自分に味方してくれたのかなと思っています。
――6位という区間順位や4区の早大記録となった1時間2分18秒というタイムについてはどのように捉えていますか
1時間1分30秒くらいを狙った中で1分台も出なかったですし、区間順位も6位止まりというところだったので、もう一つ上の段階に行きたかったというのはあります。自分の力をフルで出すことができなかったので、悔しい気持ちの方が大きいです。
――9区で区間14位に終わった昨年の雪辱は果たせましたか
リベンジをしようという気持ちでこの一年練習に取り組んできたので、試合でそれができたかというよりも、それまでの過程にフォーカスすると、すごくいい一年だったのかなと思います。
――明日復路に臨むメンバーに向けてのメッセージをお願いします
自信を持って臨んで欲しいです。選ばれているのはそれだけの力だったり、練習ができていたりというのがあってのことなので、なにも恐れることは無いです。初の箱根になる選手もいると思うのですが、楽しんで走って欲しいと思います。
5区
伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)/区間6位
――2年連続での山上りでしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
一番は自分の仕事をすることが大事だと思っていました。前半1、2区はレース展開が難しい分、流れが乗り切れなかった部分がありましたが、井川さんがしっかりやってくれて、流れが良くなってきて、そこでの流れを崩さないようにするのと、やはり駅伝はチームの順位を狙わないといけないので、できるだけ前に前にとレース前は考えていました。
――花田勝彦駅伝監督から何か指示はありましたか
花田さんからは航希さんが上げてきて、創価の前に来て、すぐ近くに迫ってくるから自分のペースで序盤は入っていこうというのと、割と下りが得意な部分があったので、上りも大事だけど下りも(大事にしよう)という話はされました。
――事前のレースプランや走っている間に変更したことなどはありますか
創価大学に後ろに付かれる状態が長くて、正直怖いなという感じがあり、前半思った以上速く入ってしまいました。その分一番傾斜がキツいところでペースダウンしてしまったという感じがあります。それ以外は割と想定通りというか、タイムも想定通りでした。レース展開としても去年も前半3~5キロくらいまで抑えて、傾斜がキツくなるあたりから上げていくということを考えていましたが、それにプラスして、去年は上り切りの残り2~3キロくらいでペースダウンしてしまったので、そこを今年は抑えようと思っていて、練習でも中盤からのペースを意識してきました。そこはレース展開の中に組んではいたのですが、実際前半ハイペースで入っていたので、その分(後半で)キツくなってしまったかなと思います。
――今日の気候やご自身の体調はいかがでしたか
体調とか体の状態はかなり良く、気候はスタート前は若干(山の)下の方は晴れていたのですが、上の方は曇っていて、雨が降るかもしれないという予報もあったので、怖いなと思っていました。実際上りの残り2~3キロで雪もチラついたりとか、結局気になる程度ではなかったのですが、少しヒヤッとしました。
――昨年のご自身の走りと比べて、今回の順位とタイムの評価をお願いします。
一番はタイムがかなり成長できたことかなと思います。71分台で走ることができたので、タイムとしては花田さんから出してもらったものの想定通りでできました。レースの展開的にも昨年はつなぐだけというか、石塚陽士(教2=東京・早実)からもらった順位をギリギリ落とすか落とさないかくらいで、最後は吉田響(東海大)に抜かれてしまい、最低限の走りだったのですが、今年はそれ以上の仕事ができたかなと思っています。創価大学とほぼ同時にもらったところから、間を離したりとか、東京国際を抜くことができたり、前の国学院まで射程圏内まで収めることができたことが去年からの成長かなと思います。
――その成長の要因は何ですか
一番は走力が上がったことです。5区を走ったことによって走力がすごく上がったことを実感できました。去年は走力が無かった分、上りで使いすぎて、下りでペースを落としていたら後ろに追い付かれたということがあったので、今年はうまく改善して、前半は上りもですが下りも神経を置いておきました。下りが得意だと去年分かったので、下りでしっかりと(ペースを)上げることを意識して走れたのはすごく大きかったなと思います。
――創価大の選手から離れるタイミングで何か意識していたことはありますか
あまり意識はしていませんでしたが、強いていうなら自分のペースを維持していこうというのを意識しました。スパートしたり、創価の選手にペースを合わせようとするとやはり自分がきつくなってしまうと思っていたので、前に出させたくはなかったのですが、できるだけ自分のペース、リズムを意識するとだんだんと離れていきました。逆に一回離れたので宮ノ下の平坦なあたりで追いつかれてびっくりしました。他の選手が(近くに)いたので、怖い部分がありましたが、自分の走りに集中していました。
――同区間を走った選手と比較して、ご自身で感じている課題や成果はありますか
走る前には山川(拓馬、駒大)には負けられないなというのがありましたが、一番はチームで仕事をすることでした。いざ本番を走ってみるとそこまで意識を回せませんでしたが、その場で全力だったので、その分チームの仕事に集中できたのは良くも悪くも一番かなと思っています。逆に自分の結果にフォーカスできたら、順位も上だったかなと思います。5区の走り方というか、ペース配分が課題かなと思っていて、ちょっと上がりのペースが速すぎた部分があったので、来年走るかどうかは分かりませんが、そこが改善点かなと思っています。
――他の早大の選手の活躍を見ていかがでしたか
割とどの区間にも良し悪しがあったと思いますけど、その中でも最低限の仕事をしてくれたからこそ、この順位があると思います。ですが、やはり一番は井川さんかなと思います。やはり男だなと、最後やる時はやるんだなと思いました。
――復路の選手に向けてメッセージをお願いします
やることは一つだけというか、自分の仕事をするのがチームへの貢献だと思うので、自分の仕事に徹してほしいのと、往路でうまく流れに乗ることができたので、その流れのまま行ってほしいかなと思います。
(取材・編集 及川知世、湯口賢人、加藤志保、髙田凜太郎、星野有哉)