昨年同様トップに立ち見せ場を作るも、課題の残る結果に

駅伝

 6位に終わった出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)での借りを返すべく挑んだ全日本大学駅伝対校選手権(全日本)。1区で流れを作り、2〜4区で着実に前を追い、出雲4区区間賞の石塚陽士(教1=東京・早実)がトップに立つ。しかし6区での失速も響き、最終的には昨年から順位を1つ下げ、悔しい6位でのフィニッシュとなった。

険しい表情でゴールする山口

 1区は出雲からの巻き返しを誓う伊藤大志(スポ1=長野・佐久長聖)が起用された。レースは、序盤から第一工大のアニーダ・サレーと札幌学院大のローレンス・グレの留学生コンビが先頭を引く展開となる。伊藤は駒大や青学大らと第2集団を形成し中盤に位置取り、落ち着いて先頭をうかがう。その後集団は縦長となり、伊藤はラスト1キロで集団から離されたが6位でタスキをつないだ。スタート前笑顔を見せるなど、終始リラックスした走りを見せた。

 その伊藤からタスキを受けた2区は井川龍人(スポ3=熊本・九州学院)。1・8キロ過ぎに牽制(けんせい)する集団の先頭に出る。6.・3キロ過ぎ、昨年の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)1区区間賞の鎌田航生(法大)が仕掛けたのに反応を見せると、8キロ過ぎにトップに立ち、抜け出しを図る。しかし、他の有力校を離すには至らなかった。10キロ過ぎの木曽川大橋で、スパートをかけた東京五輪3000メートル障害7位入賞の三浦龍司(順大)にかわされはしたが、「自分で引っ張っての区間2位だったので、80点」という走りでチームを勢いづけた。第2中継所で、トップ順大と11秒差、法大とほぼ横並びの3位で、昨年3区区間賞の中谷雄飛(スポ4=長野・佐久長聖)へつないだ。

集団を引っ張る井川

 万全ではなく、「体の調子を見ながらリズムを作ろう」と臨んだ中谷。順大の伊豫田達弥と協力しながら前を追い、最初の5キロを14分ちょうどで通過。2キロすぎに抜かれたトップの東京国際大には1分1秒差をつけられたが、順大とほぼ横並びの2位、区間4位で4区へ。4区は出雲1区2位と好走した菖蒲敦司(スポ2=山口・西京)。「前半落として後半上げていく」というレースプランで、6キロの定点を、順大とともにトップと53秒差の2位タイで通過。8キロ過ぎから苦しい顔を見せるが、最後は順大との差を広げ単独2位でタスキをつないだ。

 5区に起用されたのは、石塚。「前半から突っ込んでいって、追いついてからはどれだけ後ろと差をつけられるか」を意識し、中継所で37秒あったトップ東京国際大との差を5・5キロ過ぎで15秒にまで詰める。8・2キロ過ぎで追いつくと並ぶことなく前に出て、首位でタスキリレー。出雲に続き全日本でも好走し、大器の片鱗を見せつけた。

前を行っていた東京国際大をかわしトップを走る石塚

 6区は大学駅伝デビューの佐藤航希(スポ2=宮崎日大)。「落ち着いて準備できていた」佐藤だったが、ここしばらく悩まされていた差し込みを発症し苦しい走りに。タスキを受けた時に1分51秒の差があった駒大など6チームに抜かれ、7位まで順位を落とす苦しい走りとなった。 7区は昨年同様、駅伝で圧倒的な安定感を誇る鈴木創士(スポ3=静岡・浜松日体)。「最低限の走りしかできなかった」と辛口評価だったが、堅実な走りで区間5位。後続をはなし、順位も1つ上げてシード安全圏へ。

 最終8区は、昨年の大学駅伝デビュー以来、全てでアンカーを務めている山口賢助(文4=鹿児島・鶴丸)。3・5キロ過ぎで区間賞を獲得した伊地知賢造(国学院大)にかわされる。中間点の11・6キロは昨年より速い35分29秒で通過した。その後は同郷の加藤大誠(明大)と「きつくなったらお互いに引っ張りあったりして」前を追う。後半はユニホームが横になびくほどの強い風を受け「思いの外早く苦しくなって」しまうが、昨年の経験を生かし、同じラスト2キロ過ぎでスパート。加藤を離し、6位でフィニッシュした。

 今回、1万メートル27分台ランナーの一人である太田直希(スポ4=静岡・浜松日体)、千明龍之佑駅伝主将(スポ4=群馬・東農大二)が大事をとって欠場。主力を2人欠きながらも一時トップに立つなど見せ場は作った。しかし、今季3冠を目指していた早大にとって「もうこういう順位はいらない」(中谷)。11年ぶりの箱根制覇へ。今年は1万メートル27分台ランナーを3人擁(よう)するなど戦力は整っている。勝負の2カ月後までに、足並みを揃えることはできるか。

(記事 戸祭華子、写真 陸上競技社)

結果
第53回全日本大学駅伝対校選手権
区間 距離 名前 記録 区間順位
1区 9・5キロ 伊藤大志 27分18秒 7位
2区 11・1キロ 井川龍人 31分48秒 2位
3区 11・9キロ 中谷雄飛 33分57秒 4位
4区 11・8キロ 菖蒲敦司 34分21秒 5位
5区 12・4キロ 石塚陽士 36分25秒 4位
6区 12・8キロ 佐藤航希 39分50秒 17位
7区 17・6キロ 鈴木創士 52分32秒 5位
8区 19・7キロ 山口賢助 1時間00分18秒 9位
早大 5時間16分29秒 第6位

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