攻めの走りで逆襲へ/箱根駅伝展望<復路編>

駅伝

 早大は、1万メートル27分台を持つ二枚看板、中谷雄飛(スポ3=長野・佐久長聖)と太田直希(スポ3=静岡・浜松日体)を往路に投入。他にも主力選手を多く起用したが、エンジのユニホームが芦ノ湖に現れたのは11番目だった。『総合3位以内』を目標に掲げ、あわよくば優勝を狙いたいと口にする選手も多くいたことを鑑みれば、あまりに厳しい結果だ。だが落ち込んでいる時間はない。巻き返しは決して容易ではないが、レース前から相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)は層の厚さに自信を持ち、「復路でも攻めるレースをできれば」と意気込んでいた。現在3位の駒大までは4分43秒。早大の反撃は、あす午前8時7分4秒に始まる。

 反撃ののろしを上げるのは6区を任されたルーキー、北村光(スポ1=群馬・樹徳)だ。11位でのスタートとはいえ、前の拓殖大までは11秒、その前の国学院大までは20秒の僅差。前が見える位置で走り出せることは追う立場として大きなアドバンテージだ。昨年は山の2区間で区間下位に沈み、上位進出への道が閉ざされた。今年は同じ轍を踏まないために、6区で先手を握ることが必要不可欠だ。冒頭5キロの上りの勢いと、残り3キロから続く平地での粘りが鍵になる。7区を担うのは半澤黎斗(スポ3=福島・学法石川)。昨年は6区で区間19位に沈み、悔しさを味わった。今季は5000メートルで3年ぶりに自己記録を更新し、長く続いた雌伏の時を抜け出した。持ち味のスピードで流れを加速させたい。

前回大会4区を力走する千明

 8区には千明龍之佑(スポ3=群馬・東農大二)が起用された。相楽監督が「全日本では中谷、太田、千明のうち誰か1枚は後半区間に残して優勝争いをする作戦を考えていた」というほど、信頼を置いている選手。長い間けがで戦線を離脱していたが、「往路も走れる状態に戻ってきた」(千明)といい、全日本では実現ならなかった配置がここで叶いそうだ。9区には向井悠介(スポ3=香川・小豆島中央)がエントリー。2年ぶりにメンバー入りを果たした。今季着々と力を伸ばしており、駒野コーチも「集中練習全体をしっかりこなしてきた」と高く評価する。人一倍の走り込みで培ったスタミナを、復路の最長区間で存分に発揮したい。アンカーとして早大の命運を託されたのは、室伏祐吾(商3=東京・早実)。トラックでは走るたびに自己記録を更新しており、いま勢いのある選手だ。課題としていた後半10キロの粘りも、集中練習で克服した様子。初の箱根路で躍動し、笑顔で大手町にタスキを届けたい。なお、補欠には宍倉健浩(スポ4=東京・早実)、山口賢助(文3=鹿児島・鶴丸)ら確かな実力を持つ選手が控えており、当日の交代も十分予想される。

前回アンカーを担った宍倉。今回も出走なるか

 切り札を大胆に配置した往路で11位に終わったのは、早大にとってあまりに不本意な結果だった。今季チーム全体が確実に力をつけ、『総合3位以内』が現実味を帯びて聞こえていたからだ。だからこそ、このまま引き下がるわけにはいかない。大事なのは往路の結果を受けて、これまで培ってきた自信を失わないこと。復路を走る5人全員が目標を見失わず、一心に攻め続ければ、光明が差し込むはずだ。

(記事 町田華子、写真 杉﨑智哉、岡部稜氏)

直前インタビュー

区間エントリー発表!/第97回東京箱根間往復大学駅伝(12/29)

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