総合3位以内に向け、前半で勢いづける走りを/箱根駅伝展望<往路編>

駅伝

 正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)はついに明日、1月2日に幕を開ける。今シーズンは、学生3大駅伝の一つである全日本大学駅伝対校選手権(全日本)で5位となった早大。中盤では首位に立ち、レースの主導権を握った一方で、後半区間で後続に追いつかれるなど層の薄さを露呈した。箱根での目標は『総合3位以内』。高速化が進み、混戦が予想される箱根で、早大はどのように戦っていくのだろうか。ここでは12月29日発表の区間エントリーをもとに、箱根駅伝往路の展望をお伝えする。

 レースの流れを左右する重要な1区には、ルーキー辻文哉(政経1=東京・早実)が起用された。辻は全日本でも1区に出走。各大学のエース級と互角に渡り合い、6位でタスキリレーした。他校では、青学大のエース?田圭太や、順大のスーパールーキー三浦龍司など主力の選手も集まっている。ハイペースな駆け引きが予想されるが、全日本のような堂々とした走りが期待される。往路最長区間であり、各校のエースが集う2区に配置されたのは、3年の太田直希(スポ=静岡・浜松日体)。太田は昨年日本選手権に出場し、1万メートルで27分台に突入するなど、エースの中谷雄飛(スポ3=長野・佐久長聖)と肩を並べるまでに成長した。昨年卒業した兄・太田智樹(令2スポ卒=静岡・浜松日体)と兄弟で4年連続の2区出走となる見込みだ。「今年はゲームチェンジャーとしての役割があると自覚している」との言葉通り、往路での早大の勢いに大きく関わってくるだろう。続く3区にエントリーされたのは1年の菖蒲敦司(スポ=山口・西京)。近年は2区とセットでエースが配置されることも多い区間だ。後半からは海沿いを走るため、風や気温など気象状況への対応が必要となる。菖蒲は全日本で5区に出走し苦しい走りとなったが、その悔しさを箱根の舞台で昇華させられるか。日本学生対校選手権(全カレ)1500メートルで6位に入賞したスピードを武器に、2区からもらった流れをうまく次につなげたい。

日本選手権で1万メートル27分台をマークした太田。エースとしての走りに注目が集まる

 終盤に向けて重要な4区には、鈴木創士(スポ2=静岡・浜松日体)がエントリーされた。昨年区間2位の好走を見せた7区の、裏区間での起用となった。鈴木は今季、全日本では後半7区に出走。1万メートルでも自己ベストを更新したものの、これまで満足のいく走りはできていないと振り返っている。冬の集中練習でさらに磨きをかけたスピードと持久力を、箱根路で見せることができるか。そして、相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)が「鍵となる区間」と話した5区には、諸冨湧(文1=京都・洛南)がエントリー。山上りの特殊区間である5区の結果は、往路や総合の順位に大きく関わってくる。諸冨は今年度の全カレ3000メートル障害で3位入賞を遂げた実力を持つが、全日本では首位を明け渡した。経験者が多く配置されるこの区間で、山への適性を見せ、好順位でゴールへタスキを届けたい。

11月末の早大競技会にて、1万メートルで自己記録を更新した鈴木

 控え選手にも実力者がそろう。絶対的エース中谷雄飛(スポ3=長野・佐久長聖)、井川龍人(スポ2=熊本・九州学院)といった主力陣や、昨年5区を経験した吉田匠駅伝主将(スポ4=京都・洛南)は補欠登録となっているが、往路で起用される可能性が高い。今年はルールが改定され、当日の区間変更が4人まで可能となった。戦況を大きく左右するであろう当日変更からも目が離せない。

 前回大会では、全10区間のうち7区間で区間新記録が更新された。だが今大会では、さらなる高速化にともない、昨年以上のハイペースも予想される。「3強」と呼ばれる青学大、東海大、駒大のほか、明大をはじめ各大学の力が拮抗(きっこう)しており、混戦は必至だ。「往路で遅れないことは大前提」(相楽駅伝監督)だが、序盤から勢いに乗り、優勝を狙えるほどの立ち位置につけることが重要になる。そのために、中谷、太田のWエースの爆発力に加え、全日本に出走した下級生らとの総合力で立ち向かっていくことになるだろう。臙脂の誇りを取り戻す――。『総合3位以内』に向け、異例の1年でも積み重ねてきた努力は、ついに結実の時を迎える。

(記事 朝岡里奈、写真 布村果暖、朝岡里奈)

直前インタビュー

区間エントリー発表!/第97回東京箱根間往復大学駅伝(12/29)

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