上り調子の早大 箱根総合3位以内へ挑む! 

駅伝

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)があと12日までに迫った21日、早大所沢キャンパスにて合同取材が行われた。相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)は「ここまでの仕上がりは概ね順調。準備はそれなりのものができている」と手応えを口にした。早大のエントリーは4年生が5人、3年生4人、2年生5人、1年生2人と、バランスの取れたオーダー。駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)はこのメンバーについて、「一番いい16人を選んだので、自信はあります」と話した。12位に終わった前回と比較して、良好な状態で箱根を迎えられる布陣が整いつつあるようだ。

16人のエントリーメンバー。前列左から3人目が駅伝主将を務める太田智

 最上級生の意地を見せられるか。エントリーが5人を占めた4年生は駅伝主将の太田智樹(スポ=静岡・浜松日体)と新迫志希(スポ=広島・世羅)のエリートメンバーと、長い距離が得意な一般組の選手が3人名を連ねた。関東学生対校選手権(関カレ)1万メートル6位や全日本大学駅伝対校選手権(全日本)2区区間4位など安定感のある太田智は、「自分の任された区間をしっかり走りたい」と明言は避けたが、過去2回経験している2区への出走が濃厚だ。持ち前の勝負強さを発揮し、他大学のエースとの戦いに注目が集まる。

 一般組では三上多聞(商=東京・早実)の走りに期待が高まる。今年は3月の日本学生ハーフマラソン選手権で1時間3分46秒をマークすると、関カレや箱根予選会にも出場。集中練習では推薦組に絡んで行えたようで、指揮官やチームメートからの信頼は厚い。積み重ねてきた努力を、復路区間で披露したいところだ。

 下級生には勢いがある。4年生と同じく5人がエントリー入りしたのは2年生だ。中でも全日本4区で区間3位の好走を見せた千明龍之佑(スポ=群馬・東農大ニ)は昨年よりも余裕を持って集中練習をこなすことができたそうで、希望する4区では2大会前の区間記録である1時間2分前半を目論んでいる。また昨年度はルーキーながら学生三大駅伝で好走を見せた中谷雄飛(スポ=長野・佐久長聖)は、前回1区4位のリベンジを誓う。1年生は箱根予選会で学内2、3位を占めた井川龍人(スポ=熊本・九州学院)と鈴木創士(スポ=静岡・浜松日体)が入った。特に1万メートルのチームトップの28分48秒26を持つ鈴木は、初めての集中練習でも、「思った以上に楽にこなすことができ自信がついた」と調子の良さをうかがわせる。状態次第では往路区間の出走もありそうだ。フレッシュなメンバーが、チームに勢いと流れをもたらしてみせる。

グラウンドでは練習風景の撮影が行われた

 特殊区間を攻略できるか。名物区間・山上りの5区には、吉田匠(スポ3=京都・洛南)と尼子風斗(スポ4=神奈川・鎌倉学園)が名乗りを上げる。特に吉田は前回、直前にアクシデントに見舞われて出場を逃しただけに、懸ける思いは強い。ラストイヤーでチャンスをつかんだ尼子も、「登りが得意なので5区しか考えてない」とその思いは同様だ。山下りの6区のメンバーは駒野コーチの考えでは決まりつつあるそうで、「日に日に楽しみな部分が増えてきている」と期待を寄せている。両区間ともに区間一桁順位で走破したのは第92回大会以降見られないが、今回こそは『鬼門』を克服したい。

 前回大会のシード落ちは、けが人が出たときに代わりの走者が出なかったことに大きな要因があった。しかし今回は違う。一丸となって声を掛け合い、大きな故障者や体調不良者を出さずに練習に励んできた。そして箱根を目前とした今、チームには緊張しすぎず、でも緩くもない適度な緊張感が漂いつつあるという。

 箱根予選会9位でもぶらすことなく掲げてきた『総合3位以内』を手にするために。『エンジの誇り』を胸に、早大は最後の調整期間に入る。

(記事、写真 岡部稜、取材 青山隼之介、斉藤俊幸、宅森咲子)

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