まさかの9位で予選通過 箱根での名門復活に暗雲

駅伝

 東京箱根間往復大学駅伝競走予選会(箱根予選会)が、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし国営昭和記念公園でゴールするハーフマラソンコースで行われた。予選会には各大学最大12人が出走し、上位10人の合計タイムが少ない10校が本戦へ進むことができる。上位で確実な通過が予想された早大だが、結果はまさかの9位。44年連続89回目となる箱根の出場権を獲得したものの、本戦での3位以内を目指す早大にとって、厳しい前哨戦となった。

 エース・中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)が足の負傷で欠場する中、予選会に挑むこととなった早大。相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)の「設定タイムは決めず、まとまって走らない」という指示のもと、予選会突破のための定番の戦略である集団走はせず、それぞれが流れを見ながらレースを進めていった。序盤は駐屯地内の平坦な滑走路を、大きな集団の中でペースを刻む。10キロの地点ではトップと1分46秒差の総合6位で通過。そして13キロすぎ、国営昭和記念公園に入り、アップダウンのあるコースが選手を待ち受ける。「前半は抑えめに行って、後半で上げる」というプランのもと、さらにペースを上げたい早大だったが、前半の疲れや暑さに苦しみ、他大学の猛追を受ける。15キロ地点では、10キロ地点より1つ順位を落とし、トップと3分6秒差の総合7位で通過。つづく17.4キロ地点ではトップと5分12秒差の総合8位と、順位をさらに下げる。その後も思うようにペースを上げられないまま、粘りを見せられずレースを終えた。

太田智は日本人トップ付近でレースを進めたがその後失速。個人・チームともに納得いく結果にはならなかった

 太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)は「日本人先頭集団についていく」という目標通り、早大1番手で東京国際大の伊藤達彦や、城西大の荻久保寛也らとともに日本人先頭付近で積極的にレースを進める。途中、5キロ過ぎで明大の手嶋杏丞が前に出たときも、落ち着いて集団内で様子をうかがっていた。しかし「前半でだいぶ足をつかってしまって、(足が)残っていなかった」と、公園に入る14キロ付近から徐々に離れてしまう。最終的に学内トップではあるが「キャプテンとしての走りがしっかりとできなかった」(太田智)と16位(日本人10位)、63分58秒でフィニッシュした。

 2番手以下は序盤、千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)、宍倉健浩(スポ3=東京・早実)、吉田匠(スポ3=京都・洛南)らが1キロ3分ペースを刻んでいった。しかし例年以上の暑さが選手たちを苦しめる。「もともと決めていた設定タイムにこだわってしまった」(宍倉)と気象条件にうまく対応できなかったことも響き、ずるずるとタイムを落としていく。最終的にルーキーの井川龍人(スポ1=熊本・九州学院)と鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体)が44位、60位で早大の2、3番手でゴール。上級生の引っ張る走りが期待されたが、下級生に助けられるかたちとなってしまった。

 緊張の順位発表。選手たちは不安な表情で掲示板を見つめる。結果は10時間55分26秒で9位。目標とは程遠い結果に、ほっとため息をつく選手もいるものの、そこに笑顔はなく、一様に厳しい表情を崩さなかった。

厳しい表情で9位の結果を受け止めた選手たち

 名門復活に向け厳しい滑り出しとなった今大会。十分な練習が積めていたと選手が口をそろえて語るだけに、9位での通過は到底納得のいく結果ではない。その一方で選手ら自身も「予選会を甘く見ていた雰囲気があった」と認めるように、油断があったのも事実だ。この結果を真摯に受け止め、来週の全日本大学駅伝対校選手権は反撃ののろしを上げることができるか。

(記事 朝岡里奈、写真 高鳥希実、杉崎智哉)

結果

▽総合結果

1位 東京国際大 10時間47分29秒

2位 神奈川大  10時間50分55秒

3位 日体大   10時間51分09秒

9位 早大    10時間55分26秒

▽個人結果

太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)1時間3分58秒(16位)

井川龍人(スポ1=熊本・九州学院) 1時間4分50秒(44位)自己新記録

鈴木創士(スポ1=静岡・浜松日体) 1時間5分07秒(60位)自己新記録

千明龍之佑(スポ2=群馬・東農大二)1時間5分10秒(63位)

遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)1時間5分27秒(85位)

吉田匠(スポ3=京都・洛南)    1時間5分41秒(103位)

山口賢助(文2=鹿児島・鶴丸)   1時間5分56秒(115位)

太田直希(スポ2=静岡・浜松日体) 1時間5分59秒(118位)

三上多聞(商4=東京・早実)    1時間6分33秒(160位)

尼子風斗(スポ4=神奈川・鎌倉学園)1時間6分45秒(172位)自己新記録

向井悠介(スポ2=香川・小豆島中央)1時間7分27秒(223位)

宍倉健浩(スポ3=東京・早実)   1時間8分11秒(254位)

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