いよいよ、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を迎える。今季の早大は出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)では10位、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では15位に沈み苦しい戦いが続いている。他大学を見れば、史上初の学生駅伝三冠に挑戦する青学大、昨年往路優勝を果たした東洋大、全日本では青学大に中盤までリードを作った東海大ら『三強』が総合優勝を狙う。そんな中でも早大は、当初から掲げていた『総合3位以内』の目標は変えず。『三強崩し』のために早大はどのような布陣で挑むのだろうか。
1区には伊澤優人(社3=千葉・東海大浦安)が抜てきされた。12月10日の監督トークバトルにて「今季で一番成長したのは伊澤」と相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)が語るほど、今季好調の選手だ。特に先日の上尾シティマラソンのハーフマラソンでは63分台で走り切った。他大学には昨年区間賞の西山和弥(東洋大)や鬼塚翔太(東海大)など各校の主力が投入されているが臆することなくエンジデビューを果たしたい。2区には吉田匠(スポ2=京都・洛南)が選出された。3000メートル障害で複数の世界大会で入賞の経験をした吉田。ただ、秋以降の出雲、全日本と出場はかなわず。箱根に向けては5区の山登りを念頭に鍛錬を積んできた。2区への出走となれば予定外のことではあるが、アップダウンの激しい2区で得意の上りを生かして早大に良い流れをもたらしたい。また、1、2区では当日変更の可能性も否定できない。2区経験者の永山博基(スポ4=鹿児島実)、太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体)らや、スーパールーキー中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)が変更メンバー筆頭か。どちらにせよ、1、2区での出遅れは禁物。『総合3位以内』にはここで良い流れをもたらし、3区以降につなぎたい。
スーパールーキー中谷、箱根デビューなるか
3区にはルーキーの千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)が出走予定だ。入学当初から大崩れしない安定感で数々の結果を残してきた。「ハーフマラソンもいい感じで走れたので20キロを超えても走れる自信」と千明。この区間で集団から抜け出し、できるだけ前でタスキをつなぐ。4区では清水歓太駅伝主将(スポ4=群馬・中央中教校)が自身初の往路に挑む。これまで、2、3年時と10、9区を務めた清水。特に昨年の9区では流れが悪い中でもしっかりと前を追い、区間賞の走りでチームの流れを変えることに成功した。今年は4区で流れを変える働きができるか。主将としての誇りを胸に最後の箱根路に挑む。この3、4区ではあとの区間である5区が山未経験者なだけに、大きなアドバンテージを作れるかがポイントとなる。
清水は主将の意地を見せ、チームに貢献したい
昨年まで3年連続で安井雄一前駅伝主将(平30スポ卒=現トヨタ自動車)が区間上位の成績を収めていたため、大きなアドバンテージ区間だった5区。ただ、その安井が卒業した現在では早大の不安区間となっていた。そこに名乗りを挙げたのは大木皓太(スポ3=千葉・成田)だ。「山に対する準備は1年生の時からしているので自信を持っている」と大木は語っており、ケガによる前半シーズンの遅れもしっかり取り戻しているようだ。大木が早大の新たな山男になれるか注目だ。他大学では昨年区間賞の青木涼真(法大)や、青学大の竹石尚人など昨年の5区経験者が多く残っている。箱根においてこの区間のウエイトが大きいだけに、他大学との差は最小限に抑えたい。
補欠メンバーに多くの主力を残した早大。直前まで永山、太田智らケガ明けのエースたちの調子を見極めていく姿勢であろう。出雲、全日本とエース級の選手を欠いたことが大きな敗因となった早大。『総合3位以内』にはこのエースたちの復活が必要不可欠だ。
(記事 平松史帆、写真 齋藤夏生、岡部稜)
直前インタビュー
区間エントリー発表!/第95回東京箱根間往復大学駅伝(12/29)
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