念願の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)出走を果たした清水歓太(スポ2=群馬・中央中教校)。6年ぶりの優勝テープは彼に託されたが結果は総合3位。天を仰いでゴールした瞬間、彼は何を思っていたのか――。当時の心境や今後について伺った。
※この取材は1月18日に行われたものです。
「箱根は絶対走ろう」
丁寧に質問に答える清水
――箱根を終えてから約2週間が経ちましたが、きょうまでどのように過ごされましたか
箱根が終わったあとは解散期間があったので、地元に帰ってリラックスして、今練習が再開して1週間くらいたったっていう状況ですね。
――帰省された際の周囲の反応はいかがでしたか
(地元が)群馬だったので結構回りの人がエントリーをみて応援に駆けつけてくれていて、色々と声かけてくれたりしたので、「箱根ってでかいな」と思いました。
――きょうはどのように過ごされましたか
きょうはポイント練習をやったんですけど、箱根後から自分の思うような走りができてなくて、今ちょっと苦しんでます。箱根前には簡単にできていた練習が苦しくてできなかったりしているので、疲れが溜まっているかなって感じがします。
――まずは昨シーズンについてお伺いします。全日本大学対校駅伝選手権(全日本)はエントリーされながらも出走とはなりませんでした
正直、全日本はエントリーされている13人中13番目だと自分では思っていたので、余程のことがない限り走らないだろうと思ってました。でも伊勢に一緒に行ったことは自分にとってプラスだった思うし、箱根は絶対に走ろうと思っていたので、チームで勝つという意味でも勉強になりました。
――上尾シティマラソンでは自己記録を大幅に更新されました
箱根の選考に絡む非常に大切な大会になるとわかっていたので意気込んで臨んだんですけど、結局走る前に自信をもってスタートラインに立つことができなくて、とても不安でした。でも走ってみたら自分が想像した以上のタイムが出て、正直自分でも驚いたっていう感じです。
――箱根前の集中練習の出来はいかがでしたか
多少の痛みはあったんですけど、練習を中断することなく継続してできました。なかなかついていけなくなる練習もありましたけど、総合的に見たら良かったかなと思っています。
――10区を走ると決まったのはいつ頃だったのでしょうか
エントリーのときに「お前で行く」みたいなことを言われてたんですけど、エントリーを見て、復路のメンバーは本当にわからなかったので、行くとは言われていても、それもうそなんじゃないかと自分で思っているような感じでした(笑)。監督とかコーチはもっと前から固めてたかもしれないんですけど、僕が本当に任せてもらってるなと思えたのは前日でした。
――希望の区間はありましたか
集中練習が終わってから、「8区と10区をみておけ」と言われていて、そのどっちかだったら、僕のなかでは10区だと思っていました。イメージも出来ていましたし、東京のすごい場所なので走りたいなという気持ちがあったので、10区を走れたのは嬉しかったです。
――去年10区を走られた藤原滋記選手(スポ3=兵庫・西脇工)から何かアドバイスはありましたか
「15キロ以降で粘らないと、そこで順位変動もあるぞ」という指示はもらっていて、あとは「笑顔で走れ」みたいな言葉は頂きました。
正直「やってしまった」という思いが強かった
――レース直前のチームの雰囲気はいかがでしたか
特に目立った問題もなく順調に進んでいたので、本当に優勝が狙えるチームだなと思ってました。凄くいい雰囲気だったと思います。
――往路の日はどのように過ごされていましたか
最終調整をこっち(所沢)でやって、午後に日本橋へ移動した感じなので、テレビで3区の途中ぐらいまで見ていました。
――33秒差での2位という往路の結果をどう受け止められましたか
もつれたら10区勝負だなと思っていて、結構不安というか緊張していました。
――復路の前日はよく眠れましたか
2時間おきとかに起きてしまって、朝起きたときに眠いとかはなかったんですけど、寝れたか寝れてないかでいったら寝れてなかったかもしれないです(笑)。
――レース当日のコンディションはいかがでしたか
自分の体は結構良くて、どこも悪いところはなかったので、コンディション自体は結構良かったと思います。
――待機中にチームメイトと何か言葉は交わされましたか
なかなか他のチームメイトと会う機会がなかったんですけど、ラインで往路のメンバーの方から「気負わずに頑張れ」みたいなメッセージは頂きました。
――タスキを受け取った際に光延誠選手(スポ3=佐賀・鳥栖工)から何か声はかけられましたか
期待してたんですけど(笑)、本当に疲れていたみたいで、肩をたたいたりというのもなく、何もなかったです(笑)。
――どのようなレースプランで臨みましたか
10区は長いので後半勝負だと思っていたので、前半舞い上がって突っ込みすぎることがないように、「後半勝負」というのを意識して走りました。
――他の大学との差はどれほど意識されていましたか
最初は前を1分くらいでもらったので、前を抜いてやろうという気持ちで走っていたんですけど、ラスト3キロくらいで監督から後ろ30秒以内という話があって、そこから後ろは結構意識しました。
――終始単独走となりましたが
集中練習のときも集団で練習することが非常に多くて、正直、単独走で力が発揮できなかったという反省点はあります。
――沿道の声援は力になりましたか
最初の方は応援していただいている雰囲気を味わいながら走れていたんですけど、後半はきつくなってしまって、なかなか回りの雰囲気を力に変えることができなかったですね。後半の方は街のなかで人がたくさんいたのに殆ど覚えていないので、非常にもったいないことをしました(笑)。
――レース中には相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)からどのような言葉をかけられましたか
終始優しい言葉で的確な指示を出していただきました。最初の方はタイムとかどうやって前を抜いていくかという話で、最後の方は「ここまで良かったからあと少し頑張ろう」みたいなことを言われて、力になりました。
――一番苦しかったのはどのあたりだったのでしょうか
15キロ以降は全部辛かったんですけど、ラスト3キロで相楽さんから後ろが30秒以内にいると聞いたときは精神的にも肉体的にもかなりきつかったです。でも「絶対抜かれないぞ」という気持ちでできることはやりました。
――天候の状況は気になりましたか
みんなは暑かったって言うんですけど、僕はそんなに感じなかったです。都内に入ってからはビル風があったので風が強かった印象があります。時々いきなり吹いてくる風に煽られたりしました。
――ゴールの瞬間の心境は
「終わった」という感じでした。タイムが良くなかったので、正直「やってしまった」という思いが強かったんですけど、そのあと4年生に抱えられて、頭の中でこの1年間が思い出されて、「いいチームだったな」って思いました。
「自分への期待を込めて往路を走りたい」
3年生となることしは、積極的にタイムも狙っていく
――区間9位、1時間12分30秒というタイムについて
もう全然駄目です。そのタイムは本当に良くないので、来年リベンジしなければならないなと走り終わった瞬間から思いました。
――次の箱根で走りたい区間などはありますか
正直10区で区間賞をとってリベンジしたい気持ちはあるんですけど、来年3年生になるにあたってチームの主力にならなければいけないという自覚があるので、最初から復路を狙うのではなくて、自分がしっかり往路でチームに流れを作ってやるという気持ちで、この1年間取り組んでいきたいです。そうしたなかで復路になったら、そのときは区間賞狙いに切り替えたいです。10区を走りたい気持ちはあるんですけど、自分への期待を込めて往路を走りたいです。
――4年生が抜けてしまいましたが
まだあまり実感はないんですけど、集合するときの輪が小さかったりするので、そういうところから抜けたなって感じがします。
――特にお世話になった4年生はいらっしゃいますか
洋平さん(鈴木、スポ4=愛媛・新居浜西)ですかね。部屋が一緒だったので、ときには本気で真面目な話をしたことありましたし、普段は本当にうるさくてストレスを感じる毎日でした(笑)。でも本当に大好きな先輩です。僕がこの1年で箱根を走るまでに成長できたのは洋平さんのおかげだと思っているので、こういうときしかあんまり言えないんですけど、感謝しています。
――今でも交流はありますか
練習とかには来ているので、普段は会えないんですけど、ご飯とかも一緒に行きますし、あまり変わってないですね。
――新チームの雰囲気はいかがですか
今のところは出るレースによってバラバラのメニューを組んでいるので、特にここが変わったとかというのはまだないんですけど、去年のチームと違って個々は自由にやれそうなので、違った良さがあると思います。
――安井雄一選手(スポ3=千葉・市船橋)が駅伝主将になられましたが
僕の1個上の学年だったら安井さんしかいないと思うので、みんなからも信頼度は高いと思います。
――ロードとトラックそれぞれの今後の目標をお願いします
ロードは3月の立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)がユニバーシアードに繋がるので、実力的にそこに絡めるかはわからないですけど、挑戦する権利はあるので、入賞を目標にして3月まで練習していこうと思っています。来年の駅伝シーズンは箱根でリベンジしたい気持ちが強いです。トラックは去年一昨年と結果が出ていないので、まずは自己ベスト更新。欲を言えば、13分台、28分台ですね。特に1万メートルはタイムがかなり遅いので、1万メートルでしっかり勝負できるタイムを出すことが目標です。
――最後に2月に控える神奈川マラソンへの意気込みをお願いします
最近あまり調子がよくないので、最低限は走りたいです。神奈川ハーフ(神奈川マラソン)は気候があまり良くないらしく、なかなかタイムが狙えるハーフマラソンではないらしいんですけど、しっかり順位を狙ってやろうと思っているので、入賞を目標に頑張ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 萩原大勝)
◆清水歓太(しみず・かんた)
1996(平8)年5月3日生まれ。168センチ、52キロ。群馬・中央中等校出身。スポーツ科学部2年。自己記録:5000メートル14分08秒97。1万メートル29分49秒47。ハーフマラソン1時間3分08秒。2017年箱根駅伝10区1時間12分30秒(区間9位)