【連載】『栄冠への走路』 第15回 駒野亮太長距離コーチ

駅伝

 学生三大駅伝での三冠を目標に掲げてきた早大。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)6位、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)4位と優勝にはまだ手が届いていないものの、調子は右肩上がりだ。監督が変わり新体制のチームで、主にBチームの指導などを行ってきた駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)にことし1年の選手たちの歩みについて伺った。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「金太郎あめのようなチーム」

今季を振り返った駒野コーチ

――現在のチームの状況はいかがですか

 しっかり練習を積むというのはほぼ終わったので全員がまとまっています。かつ例年よりも多くBチームの選手をことしはつかせているのでかなり良い状況で来ていると思います。

――現在のチームの雰囲気はいかがですか

 やはりエントリーが終わったことで多少いよいよだなという緊張感と、16人は特に戦う準備をしているのかなという雰囲気は感じます。

――集中練習が始まっていますが手応えは

 手応えはあります。練習の流れ自体はそんなに大きく変わっていないのですがただ中身的にかなりいまの駅伝のレースパターンを意識しています。青学大や東洋大が得意とするようなレースパターンに追随できるような練習ができているので、例年のすり直しというより、いまの駅伝のトレンドに合った練習ができていると思います。

――ケガ防止のために何か気を付けていることはありますか

 これは最近に限ったことではなく夏合宿ぐらいからトレーナーの方に付いていただいて、効率的な動きや足に負担をかけない動きや体の使い方というのにA、B関係なく全員が取り組んでいてだいぶそれがいまかたちになってきていると思います。

――ことしのチームの戦力をどのように分析されていますか

 良くも悪くもエースがいない全員駅伝ができる金太郎あめみたいなチームですね。実力が拮抗(きっこう)している分誰が出ても結果にそこまで遜色ないレースができるというか、結果がそこまで大きく変わらないという点でエース頼みのチームじゃない分、全員がしっかりやってくれているという印象があります。

――いま現在、調子の良い選手をあげられるとすればどなたですか

 やはり中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)が全日本で1区を走ってから自分の中で何かつかんだようですね。結構良いかたちで来ているので、彼を筆頭にいま彼にしっかり追いついていけば自分たちもあれぐらいの走りができるという意味で目標ができたので、2、3年生を中心に中村に追いすがっているというか、食らい付いていっているという状況ですね。

――トラックシーズンを振り返っていかがですか

 関カレ(関東学生対校選手権)の入賞やハーフで井戸(浩貴、商3=兵庫・竜野)が2番になったりという良い材料もあれば、全日本の予選会(全日本大学駅伝対校選手権関東学生連盟推薦校選考会)が4番だったという反省材料もありました。変に良すぎるよりは、かえってその反省材料をちゃんと夏合宿でこうしましょうという課題が浮き彫りになったトラックシーズンだったので、そういった点では良かったと思います。

――全日本予選は4位に終わりましたが、その後選手に何と声をかけられましたか

 そもそもことしのチームが掲げていた目標は三冠だったのですが、それは選手たちが自発的に決めたことですし、三冠するためにやることをやろうと言っているのでそれをサポートするのが私と相楽監督(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)の役割だと考えていました。そのような中、予選会で4番、つまり上にシードの6チームがいて、予選会の3チームがいて本戦だと10番になってしまうので、三冠を目指すチームの結果では(ないのでは)というのは終わった後に苦言を呈しました。それまでに至るチーム状況も主力が出ていなかったり、走った主力の選手も多大の選手に競り負けるということがあったので、そこは三冠を目指すチームがやるべき取り組みには足りないと思いましたし、選手たちにも言いました。

――夏合宿ではどのような練習をされましたか

 距離に対しての不安をなくしてもらうというのがまず一つありました。これは例年と全く変わらないのですが、ポイント練習とプラスアルファの練習をしっかり積んで走りこむというのを全員が徹底してやっていたのでそれはすごく良かったと思います。後はさっきお話ししたトレーナーのトレーニングを、本当に全員が無意識のうちにでもできるぐらい刷り込んでやっていたので、その走り込みと動きの効率性をあげる、ランニングエコノミーをあげる取り組みがちょうど2次合宿の後半とか3次合宿辺りからかみ合ってきたなという印象はありました。

――具体的にどういったトレーニングをされているのですか

 体幹を鍛える練習、鍛えて付けた筋肉や筋力をちゃんと走りの動きに落とし込むというか使いこなせるようにする練習の2つです。基礎的な体力をつけるということとそれを走りに転化するというか応用するような体作りと動きづくりです。

――夏合宿ではどのような点が伸びたと感じますか

 上の選手たちは夏合宿に入る前から強かったし、夏合宿も強かったし、そういった面では伸びたというよりしっかりやるべきことをやってくれたという印象です。私はBチームの選手を主に担当していたのですが、これはかなり夏合宿で食らい付いているという印象があり、実際いま集中練習にBチームから多くの選手が入っているので、夏合宿からのつながりが大きいと思います。

――相楽監督体制になりいかがですか

 コーチ時代からそんなに変わっておらず、監督になったからといって片意地を貼って何か取り組みを変えたということはないです。選手に寄り添うということもコーチ時代からしっかりされていましたが、折に触れて自分の考えやこのチームが目指すべき姿をビジョンとして言葉にして伝えているのは傍から見ていても頼もしいと感じるし、それを言われると選手もそこにしっかりといついていこうと思えるので、そういった点で監督になられてからはしっかり選手を動かす言葉掛けをされるようになったと感じます。

――駒野コーチは昨年まで主にCチームを見られてきましたが、2人体制になっていまはどういった指導をされていますか

 ちょうど2014年度の箱根(東京箱根間往復大学駅伝)が終わった直後にBチームの選手たち、いわゆる16人に外れた選手たちにはこの中から次の代の集中練習にどのくらいの人数が入っていけるかが勝負になると思うということを言ってあったので、それを見越した夏合宿の過ごし方をさせました。Bチームは2軍とはいえ上に絡んでいく選手が含まれているので、そこはただ練習をさせるだけというよりはどういうステップでいつ追いつくかをこっちが示しました。これまでは単にCチームには早くBチームに上がれるように頑張ろうとか基礎体力をつけようとか言っていたのをBチームの選手にはこの時点でAチームに合流するなど明確に伝えるようにしてきました。

「シード権で安心して喜んでいるようなチームではない」

――出雲の6位という結果はどう分析されていますか

 夏合宿で手応えはあったのですが、選手たちの中で自信というか夏合宿をやったからいけるという手応え、練習をちゃんと裏付ける結果が出雲の前になく、記録会などもなかったので、出雲が合宿後初のレースだったのですが、自分たちの力を疑ってかかってしまっている部分があったのかなと思います。もっと自信を持って良い選手もいたし、もっと勝負してほしい選手もいたしというのが6番という結果になったのかなという感じです。

――この結果を受けて選手にはどのようなことを話されましたか

 どちらかというと出雲の1週間前に記録会で良い雰囲気ではなかったので、3次合宿が終わったら切り替えて駅伝で戦う準備というか心構えができていてほしかったのです。走った選手もそうですし、周りの応援している選手の雰囲気に若干違和感を覚えていて、選手たちには直接は言わなかったですが「多分だめだと思うな」ということはマネージャーとかには言ってありました。案の定、ふたを開けたら6番だったので、やっぱりなと思うところはありました。後は彼ら自身がそこで気づいてくれたので、全日本に向けてはかなり4年生が主導して雰囲気をがらっと変えてくれました。出雲が終わってからしばらく練習に来られなかったのですが、久しぶりに来ると結構良い緊張感があって、出雲の前と全然違うなと感じました。それがやはり4番、あわよくば3番を狙えた(全日本の結果に)つながったので、何となくレース前からこれぐらいかなというのはわかるなと思いますね。

――出雲市陸協長距離記録会に2年生が3名出場されていましたが、そちらの結果についてはどう見られていますか

 光延(誠、スポ2=佐賀・鳥栖工)とか藤原(滋記、スポ2=兵庫・西脇工)に関しては夏合宿もすごく良かったのですが、決め手に欠いたというか練習の取りこぼしがあって、記録会に回ってもらいました。ただ2人とも積極的なレースをしてくれて、その2人を使ってもそんなに遜色なかっただろうなと感じました。まさにいまのうちのチームのメンバーとメンバー外の選手の力の差が本当に拮抗(きっこう)しているというのを象徴するような記録会だったと思います。

――出雲が終わってから全日本までの短い期間でどのように修正を行ったのですか

 技術的、体力的な修正はできないのでそれを見越して3次合宿や夏合宿をしっかりやっていました。だからもっと気持ち高ぶらせるというか、三冠はもう成し遂げられないけれど全日本をどうまとめ、良いかたちで終えて箱根につなげるかというのが必要でした。さっきお話しした通り4年生が中心になって雰囲気をガラッと変えてくれました。駅伝のトレンドにしっかり合わせられるように練習を一部加えてみてもやはり選手たちはついていくことができるんですね。ちゃんとできるんだから自信持って行きなさいというような自信をつけさせるような練習と、戦う意識の切り替えの2つですね。

――全日本の4位という結果はどう受け止められましたか

 3番になれた4番なので喜びはしないですが、距離が長くなれば強みを発揮できるということがわかったのでそれは一つ収穫だったと思います。あと駅伝デビューの選手である藤原と永山(博基、スポ1=鹿児島実)の力を試せたことや、中村信一郎や武田凜太郎(スポ3=東京・早実)などしっかり走ってほしい選手が力通り走ってくれたので、そういった意味ではそれまでの根拠のない自信をしっかり根拠を持たせられるようになったので良かったと思います。

――中村信選手を1区に起用した決め手というのは何だったのでしょうか

 本人から1区に行きたいという申し出もありましたし、練習を見ていても一番調子が良かったので、どんなレースになっても対応できる選手となると中村だと思いました。やはり1区で出遅れるともう立て直せないのがいまの駅伝なので、出遅れないために一番安心して任せられる選手ってなったときに相楽さんと一緒に「信一郎だよね」とそんなに迷うことなく決まりました。

――エントリーは2人で決められているのですか

 相楽さんが「だいたいこんな感じで組む予定だけどどうかな」と一応意見は求められますが、基本的に文句を言うことはないし、考えていることはだいたい同じなので、すんなりそれで決まっていくという感じですね。

――全日本では昨年の雪辱を果たし、シードを獲得されました

 三冠を目指しているチーム、しかも3番を狙えたレースでの4番なのでシード権(獲得)は安心していました。しかしあくまで優勝を狙っての4番なので、それはシビアに受け止めなければいけないです。シード権で安心して喜んでいるようなチームではないので単純に負けたという悔しさの方が選手たちは強かったと思います。

――全日本の結果を受けて選手たちにはどのような話をされましたか

 3番になれた4番なので最後にとりこぼしたのはどこにあるのか、ラストで競り負けることが多いとうちは前々から言われていたので、それは練習の中で克服していなければならないし、東洋大が勝った要因はそこだったので見習うべきところは見習って、残されている箱根に悔しい気持ちをちゃんとぶつけられるようにしようと話しました。

――長い距離での4位というのは箱根への自信になりましたか

 なったと思います。出雲よりは箱根寄りの練習をしているのでその中間的な位置づけの全日本で出雲より結果が良かった、区間順位が良かった中で手応えを得られたというのは箱根ならもっといけるんじゃないかという自信にはつながったと思います。

――駅伝デビューを果たした藤原選手と永山選手の走りはいかがですか

 永山に関してはつなぎ区間ではあったのですが本人も「区間賞が取れなくて悔しい」と言っていたので、それだけ自信があったんだろうし、我々から見ていてもさすがだなと思わせるような堂々とした走りだったので、来年、再来年はエース候補として期待していますし、そういった意味ですごく良いデビューになったと思います。藤原に関しては全日本では4区までで主導権を握らないといけないのですが、3区という軽んじられているようで結構重たい区間に藤原を置いたのは練習ができていたからです。ただ青学大とかが後ろからついてきたときに行かせてしまったというのは自信をつけきれていなかったからだと思うので。もったいないというかもっと自分の力を信じて走ってほしかったなという感じです。

――2レースとも高田康暉駅伝主将(スポ4=鹿児島実)の出走がありませんでしたが、チームへの影響は

 夏合宿を通してですが、高田頼みのチームではなくなったと思います。高田が実績的にはエースと見られていますが、実際いま練習においては高田より強い選手もいますし、高田がいないことによる戦力的な面での影響は特になかったと思います。それだけ高田がいなくても戦えるチームをつくれたということでもあると思うし、これで高田が万全な状態で戻って来てくれればさらに上乗せされるとに考えられるようになりました。一方で精神的な面で言えばやはり彼はキャプテンですし、高田は別格だ、高田は強いよねという場面もたくさん見てきています。もしここに高田がいてくれれば流れが変わっただろうなということもありました。

――上尾シティマラソン(上尾)を振り返っていかがですか

 これまでとレースに臨む上での監督の指示が変わりました。きょねんまでは集団にしっかりとついていって早いタイムで帰って来るというのが上尾で求めることだったのですが、ことしは最初から突っ込んでいって自分たちでレースを組み立て、かつ早いペースでしっかり入って我慢するという指示でした。最初はその通りに入ってくれたのですが結果的に他の大学に先行されている選手が多かったですし勝負には負けてしまっています。収穫もありますが足りない部分が上尾で見えたので、突っ込んだ後で我慢する力やもう一段階上げる力がまだない、だからそれを集中練習でつけようというまた課題が見つかりました。まさにうちは課題を見つけてたたいていくというチームなので、課題が見つかった後必ず良くなるというように考えると、タイムとか順位以上の収穫があったと個人的には感じています。

――1万メートル記録挑戦会での高田選手と車田颯選手(スポ1=福島・学法石川)の走りはいかがでしたか

 高田に関してはあれだけの選手が集まった中だったのですが、欲を言えばもう少し前の方で勝負してほしかったし、物足りなかった部分はありました。車田に関してはケガをして入ってきて、夏合宿でもまた少しケガがあり本人もうまくかみ合わないなというもどかしさを感じながらやっていた中でのああいうレースだったし、本人も久しぶりに気持ちいいレースができたという点では良かったと思います。

――ロードシーズンで得た収穫と課題は

 収穫は夏合宿でやってきたことが間違っていなかったという手応えと自信を得られたことです。全日本の結果もしかり、上尾の結果もしかり、右肩上がりでチームの状態も来ているのでつながっているんだなと実感できました。課題は他大学に競り勝つためには速いペースで入って、そこからさらに押して我慢して最後また上げ切るというレースが必要になるのですが、それができなかったというところが課題として残りいま集中練習でたたいているところです。

「全員が要の駅伝」

――先日発表されたエントリーメンバー16人はベストですか

 ベストメンバーです。いまのうちのチームのベストメンバーをエントリーしました。

――上級生が多く入った印象を受けました

 やはり箱根になると上級生の方が積み上げがあるので、そういった意味では自然なかたちかなと思います。他大もそうですが、箱根になると上級生の経験やこれまで積み上げてきたものが生きるということは我々も理解していますし、意図してそうなったというよりは、自然とそうなったという感じです。

――前野陽光選手(スポ4=神奈川・多摩)や三井泰樹選手(人4=山形東)などたたき上げの選手もエントリーに入りましたが、そちらについてはいかがですか

 三井に関してはきょねんから入る力はあったのですが、きょねんは上尾後にケガをしてしまってうまくいきませんでした。前野に関してはトラックシーズンからずっとこつこつと、彼の場合一段飛ばしができないので、ステップを踏んでかめさんのように遅いのですが、それだけ着実なのでワセダっぽい選手2人が入ってくれて素直に嬉しいですね。彼らがこれからエントリーされたことに満足しないで上の選手たちを食うつもりでやっていってくれれば、本来うちが目指している上の選手を脅かすような緊張感が出てくると思うので、彼らには残り3週間歯を食いしばって頑張ってもらいたいなと思います。

――区間配置はもう決まってきていますか

 まだ全く決まっていません。山に関しては経験者の三浦(雅裕、スポ4=兵庫・西脇工)もいますし、上りに関しても当てはあるのでそこはだいたい確定していますが、それ以外の平地の区間に関しては全くで今後の練習次第です。

――ポイントとなる区間はどこだと思いますか

 全区間です。金太郎あめのチームなので全区間で全員が120パーセントの走りをすれば十分優勝も見えてくるのでそういった意味では取りこぼしをしない10区間というよりは責める10区間で組めないとつなぎの区間がうちにはないのでやはり全区間です。

――キーマンとなる選手はどなただと思いますか

 よく監督は『全員駅伝』とおっしゃっていると思うのですが、この全員駅伝に一言付け加えると選手たちにも言っているのですが、全員が要の駅伝をしようということです。全員というのはエントリーされた16人だけではなく外れたメンバーも含め全員がキーになれるように練習なり生活なりをしてレースに臨むことが大事なのでキーマンも決められません。全員なのでキーメンですね(笑)。

――警戒している他大はどこですか

 警戒というか、うちはチャンピオンではないので王座を脅かすという意味で警戒する立場のチームではないので。どちらかといえば全日本のときに上にいた3チーム(東洋大、青学大、駒大)を食わないと勝てないというのは選手たちもわかっていると思いますし、そこをしっかり崩すというのは大切かなと思います。

――青学大、東洋大、駒大の印象はいかがですか

 強いです。速いというより強さがこの3校にはあって、競り負けないとか苦しいところで押し切れるとか、うちの選手たちにまだ十分身についていない部分があるという印象はあります。でもできないことがあるということはできるようになる余地もあるので、うちができるようになれば十分戦えると思います。うちはまだまだ良くも悪くも未完成のチームなので、1月2、3日の時点で完成に近づいていればいいなという感じです。

――青学大の神野大地選手についていかがですか

 同じ上りの経験者としてあれだけ上れるのはすごいなと思う一方で、やはりそれなりの準備をして前回大会の快走があったのだと思います。いまもあまり準備ができていないので目標を修正したという話も出ていますから、あのクラスでも準備ができなければ走れないということだと感じました。うちの山上りの選手に私から伝えているのは、他の選手たちよりも長い時間走っていられるような準備、マラソンとか30キロレースに出るくらいのつもりで準備をしなさいということです。準備さえしてくれれば、神野くんほどではないと思いますが、うちの選手も走ってくれるのではないかと思います。

――今回の箱根でカギを握るものは何でしょうか

 スタートラインに立ったときに落ち着いていられることというか変に不安になるというよりは集大成なのでやってきたこと全部出し切ればいいんだというある意味達観するというか悟りの境地に入るみたいなかたちであまりスタートラインに立ったときとか立つ前にああだこうだ考えるのではなくて堂々と胸を張って全員がスタートラインに立つことがカギになるのではないかと思います。

――箱根まで残り少しでどういったところをつめていきたいですか

 ほぼほぼ集中練習で力をつける練習は8割終わったので、ここから劇的に力を伸ばすことはできないと思います。むしろこの3週間は夏合宿から積み上げて来たものプラス集中練習で積み上げて来たものを、良いかたちで研ぎ澄ましてレースに臨めるかだと思います。体調管理はもちろんですが、研ぎ澄ませることが3週間で重要になってくると思います。

――どのようなレースプランで箱根に臨まれますか

 とにかく前でレースをすることです。全日本でも中村があれだけ良い滑り出しをして前でレースをしたので、それ相応の結果と個人の記録もついてきました。前でレースするための駆け引きであったりとかタスキを渡す瞬間までの頑張りであったりとかというのを、レースでちゃんと出してくれればと思います。

――最後に箱根の目標と意気込みをお願いします

 選手が総合優勝と言っている限り我々も総合優勝を疑っていませんし、正直いま本当に伸びてきているというか、ここにきて力がついてきていると思います。きょうもかなりレベルの高い練習をしたのですが、選手たちも我々もその力を実感しているので、1月2、3日が楽しみです。全日本とはまたさらに違ったレースができると思うのでそれを見ていただきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 吉村早莉)