集大成へ視界は良好

駅伝

 東京箱根間往復駅伝競走(箱根)までいよいよ10日を切った24日、早大所沢キャンパスにて公開取材が行われた。昨年は山本修平主将(スポ4=愛知・時習館)のケガがこの取材で発覚したが、ことしは渡辺康幸監督(平8人卒=千葉・市船橋)が「大きな故障はない」と主力の順調な調整ぶりをアピール。箱根本選に向けて期待は増すばかりだ。

 「区間配置はもう決まっている。」渡辺監督はそう高らかに語った。優勝の目安となる総合タイム11時間切りは十分に可能だという。そして、近年重要度を増す1区には「自分で1区を担当したいと言った選手を置く」と語った。その1区を希望すると宣言した選手は柳利幸(教3=埼玉・早大本庄)、中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)、井戸浩貴(商2=兵庫・竜野)の3名。特に中村は「一番練習できたのは自分。上尾シティマラソンから本当にずっと調子が良い」と自信を覗かせている。全日本大学駅伝対校選手権(全日本)でスターターを務め、まずまずの結果を残した柳は、以前に不安と語った長い距離への不安もふっしょくできたという。「いまは20キロを超える距離への不安は全くない」。安定感が光る井戸は全日本直後に戦列を離れたものの、「現在は全く問題はない」とのこと。集中練習にも途中から合流し、主力と同じメニューを消化。好調を意地して集中練習を打ち上げた。

チーム一丸で覇権奪回へ挑む

 そしてエース山本修平駅伝主将(スポ4=愛知・時習館)はいよいよ最後の山上りへと挑む。「77分台を狙いながら78分台は確実に出したい」。この一年はチーム全体を見渡しながら練習をこなしていったという山本。前回の箱根は直前の故障で欠場を余儀なくされただけに今回は慎重かつ冷静に練習量に積んできた。渡辺監督も「登りのペースだけなら柏原竜二(富士通)、服部翔大(ホンダ)にも引けをとらない」と太鼓判を押す。昨年山下りの6区で区間2位の好走を見せた三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)も「きょねんよりも走力は確実についている」と語り、夢の57分台に意欲を見せた。今季のワセダの最大の武器である山の上り下りは両者ともに万全のようだ。

 全日本を欠場したメンバーも戦列に戻ってきている。武田凛太郎(スポ2=東京・早実)、平和真(スポ2=愛知・豊川工)の2年生コンビは「十分使える状態にある」と渡辺監督が復活をアピール。特に平は「絶好調」と現状を説明した。全日本で奮わなかった光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)も徐々に距離に対応。集中練習終盤でもトップグループでゴールした。安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)も得意と語る上り区間での出走に向け調整を続けている。

 「キーマンは3年生4人」(渡辺監督)柳、三浦、中村に加え、昨年の「花の2区」覇者高田康暉(スポ3=鹿児島実)の好走が総合優勝には必須だ。その高田も周囲が揃って「調子が良い」と語るなど、2年連続の区間賞に向けて再びエース区間に挑むことが濃厚。文字通り集大成となる今季の箱根、「調子の良い選手を1、2、3、4区に並べる」と指揮官は前半勝負を想定している。その上で山で抜け出すのがワセダの必勝プランだ。4年ぶりの総合優勝に向けて、大手町のゴールに最初に飛び込む準備は整った。決戦は8日後、渡辺監督最後の戦いが幕を開ける。

(記事 井上義之、写真 中澤佑輔)