出雲駅伝6位に散る

駅伝

 学生三大駅伝の幕開けとなる、出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)。優勝候補が軒並みブレーキを見せる中、活躍が期待されたワセダだが、最終6区で2つ順位を落とし、6位に終わった。

区間10位と力を出し切れなかった大迫

 1区、けん制が続き、留学生ランナーすら飛び出さない状況を打破したのは、ワセダのエース大迫傑(スポ3=長野・佐久長聖)。日本人トップの快走を見せた昨年に続き区間賞獲得の期待がかかった。しかし中継所を目前にしてまさかの失速、10位で2区・高田康暉(スポ1=鹿児島実)にタスキリレーとなる。初のエンジをまとった高田は無難にまとめ、順位を1つ上げて3区・山本修平(スポ2=愛知・時習館)へ。昨年もこの3区を走り、渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)に「主要区間を任せたい」とまで言わしめる大学駅伝デビューを飾った山本。エースの不調を補うべく、5位まで順位を押し上げる。

 4区を任されたのは前田悠貴(スポ4=宮崎・小林)。最上級生の意地を見せたいところだったが、前との差を詰めることができないままタスキは5区で待つ田口大貴(スポ2=秋田)に渡った。3区を走った山本と同じく、浪人を経てワセダに入学した田口。山本の走りに応えるかのように前を走る順大に追い付き、激しい競り合いののち振り切って、観客を沸かせる。最終6区・アンカーは、日本学生対校選手権で好走した平賀翔太(基理4=長野・佐久長聖)。しかし序盤こそ5位順大を突き放すも、終盤にかかると駒大のエース窪田忍と山梨学院大のエノック・オムワンバの猛追を受け、6位に転落してしまった。

タスキをはずしスパートをかける山本

 学生三大駅伝のうちどれか1つで優勝することを、今年度の駅伝シーズンにおける最低限の目標としているワセダ。残された機会はあと2回だ。走り終わった選手たちの口からは、後悔の念しか語られなかった。まだ走れる。まだ上にいける。選手たちを信じて、栄冠をつかむその日を待ちたいと思う。

(記事 深谷汐里、写真 西脇敦史、浜雄介)

区間結果

1区(8.0キロ):大迫 23分57秒(区間10位)

2区(5.8キロ):高田 17分09秒(区間4位)

3区(7.9キロ):山本 23分46秒(区間3位)

4区(6.2キロ):前田 18分01秒 (区間5位)

5区(6.4キロ):田口 18分41秒 (区間8位)

6区(10.2キロ):平賀 30分32秒 (区間5位)

早大 2時間12分06秒 第6位

コメント

渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

もう1区が全てでしたね。やはりエースでとんだので、そこですね。

――大迫傑選手(スポ3=長野・佐久長聖)は予想外の結果となりましたが、今夏スピード練習を中心に行ったことが影響しているのでしょうか

言い訳になりますからあえてそれが原因とは言えないんですけど、ただ練習不足でダメだったということはないです。

――2区以降に関してはいかがですか

2区以降はあの順位でもらいながらもよく頑張ったと思います。

――高田康暉選手(スポ1=鹿児島実)、田口大貴選手(スポ2=秋田)が駅伝デビューを果たしましたが

高田にしろ田口にしろ最低限の仕事はできたので、使える目処は立ったかなと思いますね。

――山本修平選手(スポ2=愛知・時習館)は順位を押し上げました

ただ彼はまだまだ本来の力は出していません。区間3位でしたので、それで満足してほしくはないですよね。

――昨年に続きことしも最終区で逆転されてしまったことについてはいかがでしょうか

もう少し抵抗してほしかったですけど、毎年毎年アンカーで逆転されるというのはちょっと残念ですね。

――今大会で収穫と課題を挙げるとすればいかがですか

初めて走った選手がそこそこ仕事をしてくれたということで収穫はありましたけど、またまだこれから距離が延びて人数が増える駅伝になれば、もっともっと優勝を狙うためにチーム力であったり団結力であったり組織的なものを含めてまとまっていかなきゃいけないですね。全日本でそれがきちっとできるように頑張ります。

――注目されていた東洋大、駒大も優勝を逃す結果となりました

三強と言われますけど、優勝候補の大学が今回は優勝していないですし、明大にしろ青学大にしろ十分優勝を狙うだけの戦力を持っているとは思いますので、自分たちも優勝するためには何をしなければいけないのかということをよく考えて、あしたから頑張ります。

――全日本大学駅伝対校選手権(全日本)に向けて抱負をお願いします

優勝を目指して毎年やってきています。昨年度は無冠で終わっていますし、ことしは3つのうち1つと言っていますので、何とか獲れるように頑張ります。

相楽豊コーチ(平15人卒=福島・安積)

――きょうのレースを振り返っていかがでしょうか
やりたいことができなかったので、それなりの結果なのかなと思います。
――1区大迫選手の失速はどのように捉えていますか
風もありましたし気温も高かったので、前半はある程度余裕を持っていって自分でいけるところから勝負するという指示でした。その通りにやっていたので、この反省を生かして次以降に仕事してくれればいいかなと思います。
――脚の具合が悪かったなどというわけではないのでしょうか
おそらく腹痛だと思うので、原因をしっかり解決して同じことを繰り返さないで欲しいです。彼はエースなのでエースの役割というのを次以降果たして欲しいと思います。
――高田選手と田口選手が初駅伝となりましたが二人についてはいかがでしょうか
思っていたような展開ではなく動揺もあったと思いますが、そんな中練習でやっていたような力は出せていたので、次以降に向けても目処が立ったかなと思います。
――レースを通じての一番の収穫は何でしょうか
去年も同じようなことを言ったと思いますが、この負けが次の全日本、箱根を迎えたとき、負けてここから頑張れたねと言えるようにしたいです。それが収穫になればいいかなと思います。
――逆に課題は何でしょうか
大迫、平賀をはじめとする主力選手がしっかり仕事できるかというのが今後の課題だと思います。
――区間配置はどのように決めたのでしょうか
エースの大迫を置くことによって他大学は関係なく自分たちでできるだけ前にいって逃げられるところまで逃げようという狙いでした。ですが、1区からつまずいてしまいました。
――他大学の印象はいかがでしょうか
やはり優勝候補と言われている大学がもたついてしまうとどこの大学でも勝つチャンスがあるなという印象です。それだけ力が拮抗している証拠なので、反省材料にしたいと思います。
――夏を含めてこれまでどのような練習をこなしてきたのでしょうか
主力を絞って合宿をやったのですが、大きな故障もなかったのでそういった意味では昨年より良い練習ができたと思います。今回は優勝候補と言われていなかったのですが、密かに狙っていた大会でした。夏合宿をしっかりこなせているので、次の全日本まではまだチャンスがあるかなと思います。
――全日本に向けて一言お願いします

きょうの悔しさを忘れずに、しっかり優勝争いをしてきょうより良い順位で終われるように1カ月間頑張りたいと思います。

1区:大迫傑(スポ3=長野・佐久長聖)

――きょうの走りを振り返っていかがですか
情けない走りをしてしまったなというのが正直なところです。
――集団から抜け出したポイントについてはいかがですか
自分のペースで行こうと思っていたので出たところは良かったのですが、後半腹痛があったりして最後かなりかかってしまったので、そのあたりが反省点ですね。
――失速の原因は腹痛ということでしょうか
情けないのですが、たまに(腹痛が)あるので。痛くなったのは右の脇腹です。
――日本選手権後、何か意識の変化はあったのでしょうか
いまは、来年の世界選手権に向けて頑張って行こうという気持ちで前を向いています。
――夏の間は海外レースにも出場されるなどしていましたが、距離が踏めていなかったということはありますか
全然それはありませんね。トラック練習でも距離は踏めていましたし、直前の岩手合宿も良い状態で練習できていたので、練習状態としては良かったと思います。
――今後冬が明けるまでは駅伝、ロードに専念されるのでしょうか
そうですね。チームの練習がありますので、それを優先してやりたいと思います。
――チームとして残っている駅伝での目標をお願いします
まだチームがこれからどう仕上がってくるかわからないのですが、今回全然(優勝に)絡めなかった分、僕も含めて次はしっかり状態を上げていって、少しでも優勝に絡めたらいいなと思います。
――ご自身の、残っている駅伝での目標をお願いします
今回単純に悔しい結果に終わってしまったので、残り2つでこの分をカバーできたらいいなと思います。

2区:高田康暉(スポ1=鹿児島実)

――大学初駅伝でしたが振り返っていかがですか
優勝を目指していたので悔しいです。自分の走りとしても東洋大にもっと詰めて渡せていれば展開も変わったのかなと思います。
――レースはいかがでしたか
前半にオーバーペースにならないように抑えたのですが、後半伸びなかったことは課題かなと思います。
――10位でのタスキリレーは思いもよらなかったのではないでしょうか
そうですね、予想してはいなかったです。
――直前の調子はいかがでしたか
調子は良かったです。
――ルーキーとして臨んだ大学での駅伝はいかがでしたか
そんなに緊張も無くて勝つことだけを思い出しました。やってやるぞという気持ちの方が大きくて、他大学の一年生も活躍していたのでもっと頑張らないとと思いました。
――コースは5.8キロの向かい風でしたが走ってみていかがでしたか
向かい風でも後半しっかり伸びるような強さを身につけたいと思います。
――全日本に向けて一言お願いします
全日本ではチームの一員としてしっかり走って優勝争いに絡んでいきたいです。あと1カ月ほどあるのでそれまでしっかり調整して臨みたいです。

3区:山本修平(スポ2=愛知・時習館)

――6位という結果を受けていかがですか
残念、というか力を出せなかったですね。
――佐々木寛文駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)を欠く中のレースでした
駅伝の前にごたごたしたところがあったんですけど、それでも駅伝主将としてチームをまとめてくださってチームのムードは良かったと思います。
――山本選手は2年連続の3区を走りましたが
2回目にしては情けない走りをしてしまいました。ずっと向かい風の中一人で追いかける展開だったので、なかなか難しかったです。
――トップでタスキをもらうと想定していたのですか
大体上位集団で来ると予想していて、自分がトップに立って後続と差をつけたかったのですが、予定通りにいきませんでした。そこでプラン変更をできなくて、ばたばたいってしまったという感じですね。
――結果、区間3位ですが
区間賞を狙っていたのですが、久保田くん(和真、青学大)の方が強かったですね。気持ちが向こうの方が上だったということだと思います。それでも(力で)負けてるとは全然思っていないので、全日本で借りを返したいです。
――全日本に向けて
直すべきところ、課題は色々とあるんですけど、まだ1カ月あるので気を引き締めてリベンジしたいですね。
――個人的な抱負はいかがですか
主要区間を任された以上はしっかり走らなければ勝てないということは痛感したので、次は失敗しないように区間賞を狙っていきたいです。

4区:前田悠貴(スポ4=宮崎・小林)

――タスキをもらったときの状況を教えてください
それほど前とも離れていなかったので、田口も初めてだったので抜くか、詰めて渡すか考え直して走り出しました。
――レースはどのように進んでいましたか
最初は追い付くつもりだったので、速いペースで入っていったのですが、中間で少しペースが落ちてしまって、全体を通していまひとつだったと思います。
――調子はいかがでしたか
合宿もまあまあできたので、悪くはなかったです。
――走っているときも悪くはありませんでしたか
結果的になかなか前との差を詰められなかったので、まだまだ力不足です。
――6位という順位についてはいかがですか
1区は悪かったですが、それでも挽回できる力はあったと思うので悔しいです。
――全日本ではどのような点を修正していく必要がありますか
大迫に頼りきっているのがきょうの結果に出てしまったので、大迫がプレッシャーを受けないくらいのチーム力をつけて、大迫には気持ち良く走ってもらって、それ以外でもしっかり区間賞を取れる状態にならないと厳しいと思っています。

5区:田口大貴(スポ2=秋田)

――きょうのレースを振り返っていかがですか
渡辺監督から前にいる順大と中大に追い付くようにと指示を受けていたので、自分の中では前半からと思っていました。最初に順大と競ってその後自分1人になったのですが、1人のときの走りが自分では納得できていないですし、もう少し粘ることができたと思うので、そこは今回のレースでの反省点です。ただ三大駅伝を走れたという経験は間違いなく収穫になりました。なので、このレースをこれからどう生かしていくのかというのも課題にしてこれから練習に取り組んでいきたいです。
――今大会が初駅伝となりましたが
まわりの人から初駅伝なので緊張してるだろうけど落ち着いて走ってくれと言われていました。なのでその点を意識してリラックスして走るのを心がけました。また走りながらも客観的に自分を見ていくようなレースをしようと思っていました。
――調子はいかがでしたか
調子は悪くなかったので、自分の中でも自信を持ってスタートラインに立ちました。結果的に区間8位ということは、自分に力はついていたけれども、ちょっと過信しすぎてしまったところがあったかなと思います。なので、その点が反省です。
――全日本に向けて抱負をお願いします
6位という結果は反省しなければいけないので、残り2つの駅伝でリベンジする機会があるので、まず全日本をしっかり走って出雲のリベンジをきちっと果たしたいです。

6区:平賀翔太(基理4=長野佐久長聖)

――きょうのレースの感想をお願いします
優勝を目指してやってきた中で、このような順位に終わってしまったのは悔いが残ります。
――レース展開はいかがでしたか
タスキをもらう前に途中経過を見ていて追いかける展開だなとは思っていたので、もらってからすぐに前を追うような展開で走れればいいなと思っていました。
――駒大、山梨学院大の追い上げがありました
簡単に離されてはいけないと思っていましたが、このような順位に終わってしまって残念です。
――4年連続のアンカーでした
4年連続で走らせていただいたのですが、今回が一番タイムも良くなくて、残念な結果に終わってしまいました。
――きょうの調子はいかがでしたか
走る前はそれほど悪い感じはせず、調子良いかなと思っていたのですが、走ってみたら思うように走れませんでした。
――全日本に向けてどのように練習していきたいですか
今回は惨敗に終わってしまい、このままでは次も勝てないと思いますので、次からリベンジできるようもう一度気合いを入れ直し、気持ちを切り替えてやっていきたいと思います。