下級生の奮闘で、往路3位を死守

駅伝

 正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)が2日行われ、全20チームが芦ノ湖を目指して新春の箱根路を駆け抜けた。前哨戦の出雲全日本選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では、ともに4位に終わったワセダ。学生三大駅伝の最後だけは譲れないと挑んだ箱根だったが、3位で往路を終えた。

下馬評を覆し見事区間賞を手にした高田

 1区に登場したのはワセダの絶対的エース大迫傑(スポ4=長野・佐久長聖)。スタートを切ると、落ち着いた走りで先頭集団を引っ張る。しかし、レース序盤は区間新記録ペースで走るも18キロを過ぎた辺りで集団の後方に。1区で流れに乗り後続に貯金を残したいところで、まさかの失速。徐々に遅れ始め、第1集団からこぼれると5位でタスキをつないだ。華の2区を任されたのは箱根初出場の高田康暉(スポ2=鹿児島実)。積極的な走りで前を行く明大、日体大を交わすと、勢いそのままに前を行く東洋大を捉え一時は2位に浮上する。終盤、ラストスパートを仕掛けた東洋大に引き離されたものの、3位まで順位を押し上げた。競走部OBの竹澤健介(平21スポ卒=現住友電工)から受けたアドバイス、「後半を恐れずに前半突っ込め」を忠実に再現し、ワセダでは竹澤以来となる2区区間賞を獲得。試合で実力通りの結果を残せないという課題を克服した走りを見せた。

 好走した高田は、3区の武田凜太郎(スポ1=東京・早実)にタスキを託した。1年生ながら学生三大駅伝全てで出場を果たし、着実に成果を出している武田。前を行く先頭集団からは離されるも、堅実な走りで3位を死守した。続く4区でもルーキー平和真(スポ1=愛知・豊川工)が1年生ながら快走する。前を行く東洋大を猛追すると、初めての箱根で区間歴代5位の走りを披露。果敢に前を追う好走でチームに勢いをもたらす。天下の険、山上りの5区を任されたのは高橋広夢(スポ3=東京・東大付)。2年連続で5区を務めた山本修平(スポ3=愛知・時習館)の故障によりエントリーされた高橋も何とか前を追いたいところだったが、力及ばず東洋大、駒大にはより大きなリードを許してしまう。後続の日体大などには詰め寄られるも必死に順位を守り抜き、ワセダは3位でフィニッシュした。

急きょ5区を任された高橋も、なんとか順位を守り通した

 往路に主力選手をつぎ込み、先行逃げ切りを目指したワセダ。「1区の大迫が負けるということで、みんなにも動揺があったと思う」(渡辺康幸駅伝監督、平8人卒=千葉・市船橋)。またしても1区で失速するなど思わぬ誤算が見られたほか、山上りを有力視されていた山本の欠場もあり、駒大、東洋大には大きく水をあけられた。それでも、下級生の奮闘を受け、往路3位で走りきったことは評価できるだろう。あすの復路でも何とか3強に食い込み、3位を守り抜きたい。

(記事 野宮瑞希、写真 石丸諒、細矢大帆)

第90回東京箱根間往復大学駅伝競走(往路成績)
区間 距離 名前 記録 区間順位
1区 21.4キロ 大迫傑 1時間02分14秒 5位
2区 23.2キロ 高田康暉 1時間08分18秒 1位
3区 21.5キロ 武田凜太郎 1時間04分00秒 5位
4区 18.5キロ 平和真 55分03秒 2位
5区 23.4キロ 高橋広夢 1時間22分47秒 12位
早大 往路 5時間32分22秒 第3位
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コメント

渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)

――きょうの往路を振り返って

1区の大迫傑(スポ4=長野・佐久長聖)が負けるということは失敗でした。その動揺がみんなにあって影響するかと思ったんですが、2区以降下級生の力によってしっかりと支え、立て直しを図ることができたので、その点は良かったと思います。

――あしたの復路への意気込みを一言お願いします

昨年は下りで波に乗ることができなかったので、その反省を活かしたいです。そのために6区には秘密兵器もいます。そして7区以降はまた若いメンバーで試合に臨んでいきたいです。

高橋広夢(スポ3=東京・東大付)

――きょうのレースを振り返って

応援が力になるということを感じられたレースでした。応援してくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。ただ一人で走るのは辛かったですし、まだまだ力不足です。前との差が開きすぎたことが、チームには申し訳ないです。いまはもっと走りたかったという、悔しい思いだけです。

――山本修平選手(スポ3=愛知・時習館)の故障を受け、5区に抜擢された理由はなぜですか

(山の)準備はしていませんでした。1年間を通して練習が積めていたのが一番の理由だと思います。

――あすの復路はどのようにご覧になりますか

あしたは精一杯応援します。みんなを信じています。