箱根駅伝展望

駅伝

 相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)が就任し、新体制を始動させた早大。今シーズンは『三冠』を目標に掲げながらも、出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では優勝争いに絡むことができなかった。総力を結集し、学生三大駅伝の最終戦・東京箱根間往復大学駅伝(箱根)へと挑む。

 早大が苦手としていた鬼門の1区を任されたのは中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)。区間賞クラスの快走を見せた全日本1区と同じく、レース序盤から主導権を握る戦略だ。続くは3年連続で花の2区となった高田康暉駅伝主将(スポ4=鹿児島実)。各校のエースが集うが、熟知しているコースだけに混戦を抜け出したい。3区は武田凜太郎(スポ3=東京・早実)が選出。さまざまなレースパターンへの対応力を武器に、区間賞争いに絡めるか。武田からタスキを渡されるのはルーキー永山博基(スポ1=鹿児島実)だ。トラックシーズンに見せた持ち前のスピードを生かし、最短区間を駆け抜ける。天下の険には安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)が名乗りを上げた。渡辺康幸前監督(平8人卒=現住友電工監督)にその適性を認められ、今季は山上りの練習をしてきたという安井。近年は5区の重要性が高まっており、ここで他大に差をつけられるか。

1区にエントリーされた中村信。再び快走を見せたい

 山下りのスペシャリスト三浦雅裕(スポ4=兵庫・西脇工)は今大会も6区を務める。「(前との差が)1分以内なら逆転できると思う」と自信をのぞかせた。7、8、9区にはそれぞれ前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)、石田康幸(商2=浜松日体)、三井泰樹(人4=山形東)が学生三大駅伝で初のエントリー。しかし安定感を武器とする井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)、上りの練習を積んできた佐藤淳(スポ3=愛知・明和)、9区区間新を狙う柳利幸(教4=埼玉・早大本庄)ら駅伝経験者が補欠に回っているため、当日変更となる可能性もある。そしてアンカーには夏合宿から急成長を遂げた藤原滋記(スポ2=兵庫・西脇工)が選ばれた。伊勢路に続く二度目の駅伝で真価を見せつけたい。平和真(スポ3=愛知・豊川工)、光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)ら力のある選手も控えており、層の厚さにも注目だ。

前回大会に続き6区区間新を狙う三浦

 故障者もなく集中練習を終えられたため、大エースは不在だが往路だけでなく復路にも同等の戦力を並べることができた。青学大、東洋大、駒大の3強は手ごわいものの、『全員駅伝』というスローガンの下、ブレーキなくタスキをつなげれば勝機はあるはずだ。逆襲を誓う古豪が大手町でエンジ旋風を吹かすことはできるのか。1月2日午前8時、戦いの火ぶたが切られる。

(記事 八木瑛莉佳、写真 菅真衣子、三上雄大)

直前インタビュー

☆区間エントリー発表(12/29)

関連記事

『全員駅伝』で総合優勝へ/箱根駅伝直前公開取材(12/24)

関連特集

【連載】『栄冠への走路』/第92回東京箱根間往復大学駅伝(12/18~25)