リーグ戦は6位で閉幕 中村は今大会の得点王となった!

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
早大 16
慶大 18
▽得点者
中村5、古谷3、永野3、曳地2、加納(恒)2、佐野

 約2カ月に及んだ関東学生リーグ戦(リーグ戦)も、ついに最終節を迎えた。順位決定戦初戦で日大を下した早大はこの日、5位決定戦で慶大と対した。今季の対戦はともに僅差でありながらも2勝0敗。有終の美を飾るべく、試合はやはりデッドヒートを見せた。試合開始直後からカウンター合戦の様相を呈し、間髪を入れずシュートが投げ込まれる。リードをするもピリオド(P)の後半で追いつかれる展開が続き、前半をタイスコアで折り返した。第3Pでようやく1点のリードをつけるも、第4P序盤で逆転。追いつき、引き離されの展開となり、最後は慶大に連続得点を献上。16-18でシーソーゲームを落とし、リーグ戦の最終結果は6位となった。

カウンターをひるがえされて得点を許す場面もあった

 センターボールを取るも、先制したのは慶大。だが、中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)がすぐさまスコアを返すと、続いてセットプレーから都田楓我主将(スポ4=鹿児島南)の的確な指示が飛び、加納恒心(スポ1=東京・明大中野)もゴール。さらに3分には、相手の攻撃ターン中に永野冬惺(スポ1=東京・明大中野)がインターセプトし、ボールは中村へ。中央から落ち着いてシュートモーションを取り、3連続得点を決めた。しかしその後は相手にペナルティスローや連続得点を献上。早大も追い越されまいと永野、古谷典也(スポ2=東京・明大中野)がゴールを揺らし、5-5の同点で第1Pを終えた。第2Pも終始接戦ベース。2分、カウンターから前線に上がってきた古谷が、左サイド近距離から自力でネットを揺らす。その直後のカウンターアタックでも、ゴール前で相手を左右に惑わし、前に詰めていた曵地孝太郎(スポ3=埼玉・秀明英光)が華麗にシュート。さらに次のカウンターでも、相手の退水(※)からの数的優位を生かし、中村が素早くボールを刺した。こうして3点をリードしたが、「ほころびが出た」(曳地)。慶大をゴール前で自由にさせてしまう時間が増え、このPでも2度の連続得点を奪われる。中村、そして佐野裕一朗(人3=長崎西)の今季初得点でなんとか粘りを見せ、このPでもスコアは同じまま。勝負の行方は後半に託された。

パスの機会を伺う永野と、指示を出す曳地

 10―10。勝利の契機をつかみたい第3P、まずはGK加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)がネットぎりぎりのシュートを厳しく処理するなど、落ち着いた立ち上がりを見せる。3分、慶大の退水からパスで連携し、最後に曳地が放ったボールはポストに当たりながらもゴールイン。4分には、相手GKのロングパスを都田が見事にカット。そのままドリブルを続け、パスを受けた永野冬惺(スポ1=東京・明大中野)がポイントに変えた。6分、加納(恒)が遠めの位置からループシュートを決め入れるなど、このPは計3得点。効果的なディフェンスを組んで失点は2に抑え、13-12と1点のアドバンテージを持って最終Pに臨んだ。センターボールの取り合いを制したのは早大。そのままスムーズにオフェンスの態勢に入ると、右サイドの加納(恒)がうまく位置を下げて曳地にパスし、シュートを決めた。ところが、「2点差って危ない、というのが顕著に出ました」(中村)。先制で安堵したのもつかの間、逆カウンターやループシュートから2分間で一気に3失点。まさかの逆転を許してしまう。なんとか追いつくため、まずは4分、転々としていたボールを古谷が管理し、遠めからであったにも関わらず力強く投げ入れ再び同点に。しかし直後にまた逆転の慶大ゴールを献上。5分には、曳地が相手ディフェンスを引き寄せて反則を誘い、中村がペナルティスローを成功させた。もう一度スコアを並べたものの、ラスト2分間で慶大に連続得点。最後は慶大が高らかにボールを突き上げ、ブザーが鳴り響く。屈辱のゲームセットの瞬間であった。 

ペナルティスローを決め入れる中村

 昨年のリーグ戦では、早大らしいプレーができずに苦しむ場面が多くあった。それに対して今年は、毎試合違った課題を見つけ、それをクリアし、試合を追うごとに深みを見せていったチームワーク力が印象に残っている。さらに中村は全試合を通して計42得点を記録し、今大会の得点王に。紛れもないエースぶりを証明した。リーグ戦が幕を閉じても、シーズンはまだまだ終わらない。早慶対抗大会(早慶戦)、その先の日本学生選手権に向け、チーム都田が歩みを止めることはないだろう。まずは早慶戦、悲願の3年ぶり勝利へ。唯一の4年生であるキャプテンに、全員で感謝を届ける。

 

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

 

※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません。

  

(記事、写真 中村凜々子)

コメント

  

曵地孝太郎(スポ3=埼玉・秀明英光)

――リーグ戦最終戦であるとともに、来週の早慶戦に向けてという部分もあったと思います。どんな気持ちで臨まれましたか

 絶対に負けられない戦いというのは、元々みんな頭の中にありました。特に早慶戦も控えているので、みんな波に乗るためにも勝ちたいという思いは強かったと思います。

――終始僅差で続いた試合でした。全体を振り返っていかがでしたか

 そうですね、今回の試合では日本代表もやっているパスラインディフェンスという新しい試みも取り入れていました。どうしてもまだチームの連携が取れていない部分もあるので、失点が目立った試合にはなりました。

――なぜ新しく取り組まれたのでしょうか

 U20の世界大会に出た2人が、世界を経験してそのディフェンスの強さを実感して、それをチームに持って帰ってきてくれたので、実践しようという形になりました。ですが、やはり難しいなという体感ですね。

――4ピリオド目は逆転されて、追いついて、という展開でしたが、どんな状況でしたか

 どうしてもディフェンスでしっかり守らないとその後のオフェンスに繋がらないので、そこの意識というのをもっと強く持っていこうと思ったのですが、どうしてもほころびが出てしまって、パスミスであったり相手の逆カウンターから失点してしまいました。早慶戦までには修正をして、自分達の持ち味である1対1の強さであったりに繋げていけたらと思います。

――具体的にはどこを修正していきたいですか

 人数が少ないので、どれだけうまく交代を使ったりして体力を残せるかが大事になってくるかなと思います。体力はどうしても上がらない部分なので、チームワークであったり、それこそ1対1での個人の力を上げていけるようにしたいです。

――改めてリーグ戦全体を振り返っていかがでしたか

 序盤で勝っていい波に乗れたかなと思ったのですが、中央戦であったりだとか大事な試合を落としてしまったので、そこの勝負強さというのはまだまだ足りないかなと思います。

――最後に、来週の早慶戦に向けて意気込みをお願いします

 勝ちます!

中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)

――今回の試合のカギとなったのはどこだと思われますか

 そうですね、全体的には自分達が少しリードして追いつかれる、を繰り返すような展開だったので、鍵というのは4ピリオド目の頭だったと思います。3ピリオド目までは競っていて、うちが1点だけリードしていたのですが、4ピリオド目の頭に自分達が先に得点していて、2点差は危ないよねというのが顕著に出ていたと思います。自分もプレーしていて、気づいたら同点、というような感じだったので、あまりよくなかったですね。

――相手を自由に動かしてしまう場面も多かったように見えました、課題はどんなところでしょうか

 個人的に守らなければならないところと、全体で守らなければならないところの区別があまりできていなかったかなと思っています。全体で引いてきて守るところがあまりできず、おっしゃる通り相手に自由にパスを出させてしまう場面が多かったので、そこは反省ですね。

――リーグ戦の集大成でもあったと思いますが、いい部分もありましたか

 自分達は人数が少なくて、カウンター練習というのが全然できていないのですが、決めるところは決めきれたかなと思います。またずっと課題であったセットからのオフェンスに関しては、自分が真ん中にいて後から周りで崩すという形が見えてきたのがよかったかなと思います。

――今年のリーグ戦はいかがでしたか

 全体的に、去年はコロナで出られなかったので、とりあえず今年は完走できてよかったです。あとは初戦の筑波戦に比べて、最後になってくると、自分達がどのように攻めたらいいのか、どのように守ったらいいのかの形が見えてきたので、去年よりは収穫があったかなと思います。逆に言うと、自分達の弱いところ、特に個人の守りの部分が見えてきたので、来週の早慶戦もありますが、インカレに向けて時間をかけて改善していけたらと思います。

――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします

 今年こそはと毎年言われているのですが、入学してからまだ1回も勝ったことがありません。本当にその気持ちを強く持って、今年4年生は(都田)楓我さんだけなので、しっかり勝利を届けられるように頑張ります。