4年ぶりに観客が帰ってきた!強豪を相手に、初戦は黒星発進

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
筑波大 11
早大
▽得点者
中村2、加納(恒)2、都田、古谷

 大学水球が最も盛り上がりを見せる時期がやってきた。シーズンの山場となる関東学生リーグ戦(リーグ戦)が、7日開幕した。今大会のチーム目標は「優勝」。昨年は1部7位と苦しんだだけに、選手達の熱量はより一層高まっている。まず勢いに乗りたい初戦で、対したのは筑波大。昨季の日本選手権で準優勝を果たした実力校だ。第1ピリオド(P)ではカウンター合戦となり、3-4と互角の争いを見せた。しかしその後は、シュートを打つも相手GKに阻まれる展開が続き、得点が伸び悩む。結局チャンスをつかめないまま追いつくことはなく、6-11で黒星スタートとなった。 

GK加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)と、腕を伸ばしてゴールを守る永野冬惺(スポ1=東京・明大中野)ら。チームは今季、新たなディフェンスシステムに取り組んでいる

 古谷典也(スポ2=東京・明大中野)が受けたセンターボールから、中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)が鮮やかなロングシュートを放ったのを合図に、会場の空気が締まる。第1Pは、両者カウンターからの攻撃がスムーズに織りなされていく展開に。開始30秒で不意にゴールを突かれるも、すぐさま都田楓我(スポ4=鹿児島南)が返し切る。3分半には加納恒心(スポ1=東京・明大中野)からのパスがゴール前で待つ中村へ届き、ワンタッチで押し込んだ。さらに5分、今度は中村から受けたボールを加納(恒)が難しい角度から決め打ちするなど、「個の強さを生かすオフェンス」(加納(凪))に成果を得た。しかし、筑波大ももちろん引かず、速さのあるシュートを決め込んでいく。早大は最後に訪れた退水のチャンスをものにできず、3-4と一歩出遅れて第2Pへ向かった。スタート直後から、古谷やルーキー永野などからゴール付近にボールが供給されるが、得点には結びつかない。しかし、早大が膠着(こうちゃく)気味な中で、竹内遥音を筆頭とした筑波大攻撃陣が止まらない。「第2ピリオドが今回の1番反省すべきところ」(杉山哲也監督、平18人卒=埼玉・伊奈学園総合)。3分半に竹内にゴールを献上すると、そこから3連続失点。たまらず早大はタイムアウトを取り形勢を整えようとするが、ここでもGK木之下歩夢(筑波大)の鉄壁を割ることはできなかった。6分半にようやく中村が1点を返したものの、4-7と差を広げられて前半を折り返した。

左サイドからシュートを打つ都田

 アタックの糸口をつかみたい後半第3P。1分半に先制を許したが、そのカウンターから中村がゴール前で退水(※)を誘い、古谷が着実にペナルティースローを成功させた。しかし、その後もペナルティーシュートのチャンスが2度訪れるが、どちらも失敗に終わり、流れを変えることはできない。ラスト3秒でもう1点を重ねられてしまい、スコアは9ー5。最終Pに全ての望みをかけた。第4P2分、加納(恒)が十分に間をとって余裕のあるゴールを決める。ルーキーながらすでに貫禄まで見える姿だった。だがここで反撃の息は途絶える。筑波大にダメ押しの2点も許してしまい、6ー11で試合終了。健闘したシーンもあったものの、筑波大の流れを奪うことができず、攻略には至らなかった。

ペナルティスローを決める古谷

 パスミスやチャンスを生かしきれない場面が散見され、惜しい展開となった今回の敗戦。杉山監督が指摘するように、相手の退水を11も取れたにも関わらずロースコアが並んだ。戦いはこれから、6月末までの約2カ月間続いていく。来週の相手は不動の日本一チームである日体大だ。序盤から強豪との対戦が続くが、新たなメンバーも加わり、今年の早大チームはすでに成長を遂げている。優勝に向け、ヒントを得られるか。

 

 ※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

 

(記事、写真 中村凜々子)

コメント

  

杉山哲也監督(平18人卒=埼玉・伊奈学園総合)

――想定していた戦略と、実際の試合内容の振り返りをお願いします

 戦略としては、元々接戦になることは分かっていたので、前半を同点くらいで折り返して、後半はうちの強みであるカウンターや、アーリーオフェンスといって人数が少ない状態で点を取るということを狙っていました。1クォーター目は、点を取って取られてというよりもロースコアで抑えられたので、予定通りでした。2ピリオド目が、今回一番反省すべきところだと思います。3-1で取られて、第1ピリオドと合わせて4点差になるという結果でしたが、点を取れないのはそこまで問題ではなくて、失点をもう少し抑えられなかったのが敗因です。もう1つは、相手の退水を11とたくさん取れた中で、そのうちの半分くらいの点を決めるのが理想、つまり6点は取るべきでしたが、実際は2点くらいしか取れていません。これが3、4点上乗せされていればほぼ同点の試合だったので、そこの2つが今回の反省すべきところです。本来であれば、筑波大は去年の(日本選手権)準優勝チームなので、チーム全体で言うと一枚上手かもしれないものの、個々のメンバーではトントンかうちの方が優位だと思っています。それでも勝ち切れなかったのは、この2つの要因かなと思います。

――よかった部分もありましたか

 フィールダーのメンバーが全員試合に出ることができました。昨年まではスターティングメンバーをあまり変えることができず、入れ替えができなくて後半が苦しくなる試合も多かったのですが、今回は計画的に交代をしながらチーム力で戦うことができ、スターティングメンバーでない選手がちゃんとチャンスを作ってくれたところもよかったです。加えて、向こうの攻めはこちらも分かっていて、それをどのように封じるかについては成果が出て、そういった部分での失点は防げたと思います。

――リーグ戦への意気込みをお願いします

 このリーグ戦は優勝という目標を掲げています。黒星スタートしてしまっているものの、まずは8チーム中4位までの上位リーグに行けば優勝のチャンスはまだ残っています。来週は日体大戦、慶大との因縁の対決と続きますが、そこをしっかり頑張って勝ち星を続けて、最低限上位リーグに進むこと、そして上位リーグでは優勝をしっかり狙っていきたいと思います。

加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)

――チーム全体の戦い方を振り返っていかがでしたか

 僕らの戦術としては、個の強さを活かすオフェンスを目指していました。そのために、引いて守ってカウンターに持って行って、一対一につなげるディフェンスをしていました。ただ、システムの穴がまだあってそこを突かれて失点してしまったのがよくなかったところだと思います。

――個人面では

 立ち上がりから集中力に欠けたのが悪いところだったと思います。ただ、ディフェンスの組織の部分などを客観的に指示できたのかなとは思います。

――筑波大GKの木之下歩夢選手は実力のある方ですが、意識したりはしましたか

 大学日本代表にも選ばれている方なので意識はしていますし、目標でもあり超えていかないといけない人だと思っています。

昨年まで正ゴールキーパーであった谷健太朗氏(令4スポ卒)が卒業されて、現在はスタメンに定着していますか

 今は僕が出ていますが、実力にそこまで遜色があるわけではないので、これからも頑張っていきたいと思います。

――最後に次戦以降の意気込みをお願いします

 僕たちのリーグ戦の目標は優勝なので、初戦を落としてしまったのは痛いですが、切り替えてしっかり自分の役割を果たして、全部勝っていきたいなと思っています。