上位リーグ進出へ――。予選は厳しい滑り出し

水球男子
TEAM 1P 2P
早大
日体大 12 19
▽得点者
吉村1 ※大会規定により、第2ピリオド以降10点差がついた場合はコールドゲームとする。
TEAM 1P 2P 3P 4P
日大 19
早大 14
▽得点者
山田5、眞板3、田中3、中安1、吉村1、土橋1

 4年生が引退し、新たな体制で臨む初めての公式戦・関東学生新人戦(新人リーグ)がこれから1か月に渡り開催される。土曜日に行われた大会初戦では、インカレの覇者であり、水球界の絶対王者・日体大と対戦した。どの大学も新体制となり初めての公式戦であるため、実力は未知数だったものの、王者の強さを実感することとなった。序盤から日体大の強力なオフェンスに苦戦し、0-7で第1ピリオドを終える。迎えた第2ピリオドでは、吉村崇(スポ3=大分商)のシュートで一矢報いたものの、相手に圧倒され、1-19と完敗。「自分たちのミスから日体大に少人数でカウンターを仕掛けられてしまい、第2ピリオドまでに対策を講じることが出来ませんでした。」と吉村は敗因を語った。

 初日の日体大戦は完敗したものの、前日の敗戦から得た課題を克服する気持ちで、大会2日目の日大戦に臨んだ。序盤は点差をつけられてしまったものの、第2ピリオドでは攻撃がテンポよく決まり、9-9の同点に追いついて前半を折り返した。しかし、連携ミスから生まれた守備のほころびを相手に突かれ、第3ピリオドで6失点。これが結果に響き、早大は14-19と点差を開かれて日大に敗戦。上位リーグ進出を目指している早大にとって落とせない試合だったため、今後の戦いがより一層厳しいものとなるだろう。

第2ピリオド得点を量産した山田太一主将(スポ3=埼玉・秀明英光)

 先制点を挙げた早大だったが、日大に隙をつかれて連続失点。序盤から点差を開かれてしまう。第2ピリオドでも相手のカウンターを防ごうとして退水(※)からピンチを招き失点。しかし、吉村や眞板晃生(スポ2=東京・明大中野)の好セーブが光る。日大の攻撃を退けると、早大に好機が巡ってきた。チャンスでしっかりと得点を決め、6-8とする。外側に開いてから中にパスを出し、最後は山田や田中要(スポ1=埼玉・秀英光)がシュートを決めるという一連の攻撃が機能し、3連続得点。9-9の同点に追いついて前半を終えた。

日大の選手に強く当たる吉村

 そのままの勢いに乗りたい後半戦だったが、「守備の前の攻撃に問題がありました。練習の成果もよく出ていて、後半に入ってからも泳げていたのですが、攻めてから自陣に戻ってディフェンスをすることが十分に出来ていなかった。」と土橋玄(教1=埼玉・秀明英光)は後半からのプレーを分析した。第3ピリオドで6失点した早大は、逆転することができないまま14-19で日大に敗戦。試合後、山田主将は「今年のスローガンに『勝ちにこだわる』と入れました。最終的には1点差であっても勝ちは勝ち、負けは負けです。ひとつでも多く勝利を重ねて上位リーグに進めるように、気持ちを切らすことなく、残りの試合を戦いたい。」と話してくれた。敗戦から得た経験をこれからの戦いで生かす姿勢が、とても心強く感じた。これから上位リーグに進出するためには、一対一のマッチアップで、いかに力負けしないかという点が重要になってくる。今後は個の強化を図っていく方針だ。

(記事、写真 上野真望)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

成長し続ける田中の鋭いシュート

コメント

中嶋孝行監督(平15教卒=福岡工)

――試合前にどのような戦略を練られていましたか

特別なことはないのですが、目の前の相手に負けによう、一対一のプレスをしっかりとすることを話しました。

――4年生が引退して、チーム内で選手の役割に変化はありましたか

個人個人の変化は特にないです、連携という点でも大きな変化はありませんね。実力的に足りていない部分は各選手ありますが、選手層が薄い中で戦っていかなければなりません。なので、個のレベルアップを図っていく必要性を感じます。

――守備、攻撃面で課題となった点をお聞かせください

守備に関してはノーマークの相手を作られてしまっているので、カウンター攻撃を出されてしまいました。早大のミスが相手の攻撃の起点を作ってしまっている状況だったので、一対一で負けないことが課題です。

――明日からの大会に向けての方針をお聞かせください

練習に関しては昨年より量、質ともに充実しているのですが、結果が伴っていない状態です。とはいえ、すぐに強豪に勝てるようなチームになるわけではなくて、昨年のリーグ戦を通じても、上位チームには一回も勝てていません。この大会を最終日までしっかりと戦い抜くためにも、上位チームをどこかで倒さなければいけないと考えています。

吉村崇(スポ3=大分商)

――試合前に練った戦略をお聞かせください

この試合に向けて全員で泳ぎ込んできて、王者である日体大に一対一で守りながら、自分たちの実力を確かめることを意識して試合に臨みました。

――4年生が抜けて、チーム内での変化はありましたか

4年生が引退して、昨年度以上に少数精鋭のチームになりました。試合内で個人にかかる負担がこれまでよりも大きくなった分、いつ試合に出てもいいように準備する必要があります。その中でもキーパーが変わったのが最も変化の大きい部分ですが、決して悪い意味ではなく、去年よりも強いチームになるための足掛かりで、一人ひとりが自分の役割を自覚してきてると思います。

――守備または攻撃面での課題は何でしょうか

日体大はカウンターの強いチームだったので、自分たちがどれくらい押し込んでパスを回したりシュートを狙ったりできるか、という点に勝敗がかかっていました。しかし、自分たちのミスから日体大に少人数でカウンター攻撃を仕掛けられてしまい、第2ピリオドまでに対策を講じることが出来なかったのが敗因だと考えています。これは個人の実力差の問題でもあり、チーム全体としての連携にも問題があると思います。

――この試合からどのような収穫がありましたか

大会の最初に強豪・日体大と対戦できたことは課題を見つけることが出来たので、すごく良かったと思っています。やれる部分とやれない部分というものが明確になったので、これからの大会で生かしていくことが出来ると思います。

――今後に向けての意気込みをお願いします

全員で守って全員で攻めるというプレーの中で、明日からの試合は点取り合戦になることが予想されるので、得点の意識と守りの意識を高いレベルで持ちつつ、試合に集中することが大事だと思います。

山田太一主将(スポ3=埼玉・秀明英光)

――試合前にどのようなお話をされましたか

今年のスローガンの中に勝ちにこだわるというのがあります。上位リーグに入るためには落とせない試合だと分かっていたので、勝つことを大前提として臨みました。

――今年のスローガンを具体的に教えてください

『不撓不屈』という大きなスローガンに、サブタイトル的に『勝ちにこだわる』と掲げています。

――新主将となりましたが、どのようなチームにしていきたいですか

『勝ちにこだわる』と入れたのは、昨年は1点差で負けた試合やペナルティースロー戦を経て1点差で勝った試合が多かったからです。最終的には1点差であっても勝ちは勝ち、負けは負けなので、ひとつでも多く勝利を重ねて上に進めるように、一試合一試合取れるチームにしていきたいです。

――かなり泳ぎ込んでこられたそうですね

昨年よりも人数が少ないので、試合の中で背負わなければならない部分が多くなってしまいます。その分しっかりと動けるように、2倍とまではいかないですが、泳力の強化は図っています。

――フローターの山田選手を起用した攻撃がうまくいったように思ったのですが、攻撃面での課題または収穫は何でしょうか

攻撃に関しては、ある程度競技歴の長い選手が多いので、あまり決定事項を設けていません。一人ひとりが気持ちよく攻撃ができれば良いピリオドになりますし、動きがぎこちないときは流れがつかめないときが多いので、コミュニケーションが大切だと思いました。

――勝たなければいけない相手でしたが、5点差をつけられて敗戦という結果をどのように受け止めておられますか

この大会はまだ2試合目で、残りの試合をしっかりと消化できれば再び日大と対戦することもあると思います。なので気持ちを切らさないことが大切だと思います。

――最後となりますが、来週は専大と筑波大と対戦しますが、意気込みをお願いします

両チームとも強豪なので、勝ち星を取れるように頑張ります。

土橋玄(教1=埼玉・秀明英光)

――試合前に練られた戦略をお聞かせください

日大のフローターの選手が強かったので、基本は一対一なんですけれども、高い位置から帰ってきて、全員で守って全員で攻めるということを意識するように話し合いました。

――序盤に点差を開かれてしまったことと、第3ピリオドの6失点が結果に響いた印象を受けました。カウンター攻撃で失点することが多かったですが、守備での課題は何でしょうか

守備の課題なんですけれども、それにつながる前の攻撃を変えていかなければいけないと思っています。攻撃をして守備に戻るか、またオフェンスからの再開からかという違いが大きいです。練習の成果もよく出ていて、結構泳げてはいたんですけれども、後半は攻めてから自陣に戻ってディフェンスをするという流れがうまくいきませんでした。

――勝たなければいけない相手であったように感じるのですが、どのように受け止めておられますか

昨年までであれば負けていたと思うのですが、点差を開かれても自分たちの攻撃ができた第2ピリオドでは同点に追いつきました。負けたのは悔しいですが、今後につながるいい経験ができたと思います。

――来週は専大と筑波大と対戦しますが、意気込みをお願いします

どこも新チームになって実力の底が知れないので、しっかりと第1ピリオドから攻撃守備を徹底して、そこから流れを作れるように頑張りたいと思います。