まさかの1回戦敗退

水球男子

 予選を勝ち抜いた8チームが全国から集い、日本一を決する日本選手権大会。稲泳会として出場した早大の1回戦の相手は、高校生ながら予選を勝ち上がった秀明英光高。予選では勝利している相手だけに、「基本的に負けるとは誰も思っていなかった」(中嶋孝行監督、平13教卒=福岡工)と難なく初戦突破かと思われたが、秀明英光高の速攻主体のスタイルに終始主導権を握られ、まさかの敗北を喫する。平成12年以来13年ぶりの頂点を目指して臨んだ昨季3位の早大であったが、思わぬところで足をすくわれた。

エースの活躍をみせた戸張

 分のあるフィジカル面を生かしセットプレーで得点を重ねたい稲泳会であったが、相手の組織的なディフェンスに苦戦。ファールに乗じてペナルティースローやパワープレーから辛うじて得点をあげる。逆に秀明英光高のカウンター主体の攻撃に翻弄され、退水(※)から多くのピンチを作ると前半4―6、まさかの2点ビハインド。嫌な空気のまま試合を折り返した。

 このままでは終われない早大。第3ピリオド、深川幹徳(スポ1=福岡工)のアシストから右サイドの武田望(スポ3=富山北部)が得点、1点差に迫る。更に戸張真寿(スポ3=埼玉・秀明英光)が個人技からシュートを叩き込み同点。エースの豪快なゴールにチームは勢いづき、流れは早大に傾くかと思われた。しかし、深川がこの日3回目の退水でこの試合出場停止。直後に速攻から逆転を許すと、試合は再び秀明英光高のペースで進んだ。

女子部も含めての集合写真

 第4ピリオド。もう後がない場面でGK加藤廉也(スポ4=埼玉栄)が好セーブを連発した。早大は戸張の2得点などで必死に追い上げるも、徐々に焦りの色が見え始めなかなかシュートが枠内を捉えない。次第に残り時間は少なくなり、捨て身の攻勢に出たところで点差を空けられ勝負あり。昨季3位の早大が、まさかの1回戦で姿を消した。

 思わぬ形で今季を終えることとなり、選手たちは悔しさをにじませたが、「みんなで楽しく、ケラケラ笑いながら終われたらいいなと思っていたので、そう意味では僕は後悔はないです」(植田竜平、文構4=東京・城北)と、この試合で引退する4年生からは口々に「楽しかった」という声が聞かれた。一方で、三浦悠佑主将(スポ4=京都・鳥羽)は「楽しいだけじゃ日本一目指せないというのは痛感しました」「優勝できる力は絶対にあると思うので、それを見届けていきたい」と後輩たちに自らの思いを託した。引き継いだ思いと悔しさをばねに、戸張新主将率いる来季の飛躍を目指す。

※重大なファウルを犯した選手は20秒間ディフェンスに参加できない。

(記事 森健悟、写真 村上夕季)

結果

●稲泳会9―13秀明英光高

コメント

中嶋孝行監督(平13年教卒=福岡工)

――きょうの試合を振り返ってください

負けたので、僕たちが格下だとは思うんですけど…基本的に負けるとは誰も思っていなかったですし、そういう意味では、悔しいプラス、高校生相手だったので恥ずかしいというのもあります。それは本当です。でも、彼らが最後まで紳士的に、プレーをしてくれたことはすごく誇りに思えるなと思うし、後輩たちもそれを見て来年以降またいいチームを作ってくれるんだろうなという期待はすごくあります。

――引退していく4年生は、どんな代でしたか

僕は監督4年目なので彼らが1年生の頃から見ています。頼りない面もありましたけど、こういった最高のチームを作ってくれたというのは、それは4年生の力なくしてはできなかったと思いますし、ある意味すごく愛おしい代だったのかなと思います。

――次代には、どのようなことを期待しますか

やっぱり優勝はしてもらいたいです。優勝を目標に毎年やってますから。なんですけど、もう少しじっくり選手と話し合いたいと思います。ここ3年、インカレでは2位で終わっているという現状もありますから、何が足りないのかっていうのはわかっているんですけど、それをどうするかを真剣に向き合って考えていかないと、もう一皮剥けられないのかなと思うので、そこは1日で終わるのか1か月かかるのかわからないですけど、じっくり話し合っていきたいと思います。

三浦悠輔(スポ4=京都・鳥羽)

――きょうの試合を振り返って

本当にもう、完敗、というかんじなんですけれど、これは多分、監督も言っていたんですけど、偶然じゃなくて必然なんだと思います。やってきたことが足りなかった、ただそれだけだと思います。

――この一年間、主将としてやってきて

今までの中で本当に楽しいチームで、楽しく水球できたのは、ひとついい点だと思います。ただ、監督からも指摘はあったんですけれど、楽しいだけじゃ日本一目指せないというのは痛感しましたし、最後こういう結果で終わったのも、それが表れたと思います。

――早大水球部での4年間、いかがでしたか

最高でした。すごく楽しかったですし、いい経験をさせてもらったし、みんなにいい経験をさせることができたかな、と少しは思います。

――後輩たちにメッセージを

本当に頼りない先輩だったんですけど、本当に頼りになる後輩たちだったと思います。優勝できる力は絶対にあると思うので、それを見届けていきたいと思います。

植田竜平(文構4=東京・城北)

―――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

本当にまさかこういうことになると思っていなくて、僕自身もきょうは出番があるとしても良い方で、大差で勝っているところで出るものかなと思っていたので、僕自身も準備も全然できていなくて本当にふがいなくて、何にもできないで終わってしまって、ショックといえばショックなんですけど、僕は後悔は特にしてないです。

―――今大会はどのような意気込みで臨みましたか

水球を10年間やってきて最後なんですけど、結果は特に意識していなかったので、みんなで楽しく、本当にケラケラ笑いながら終われたらいいなと思っていたので、そう意味では僕は後悔はないです。

―――試合では主導権を常に握られる展開だったのですが、どこに要因があったと思いますか

高校生相手ということだったので、少しうぬぼれというかそういうものがあったのかなと。それは反省しないといけないと思います。

―――今シーズンが終わりましたが、振り返ってみていかがですか

練習もきつくて大変なこともあったんですけど、本当にこのメンバーでやれて良かったなっていうくらい楽しいチームで、凄く良いチームだったなというのが一番の感想で、引退するのが寂しいです。

―――後輩たちにはどのようなチームを作ってほしいですか

もちろん強いチームだったり結果も必要なんですけど、とにかく楽しいチームで、引退するときにもうちょっとこのメンバーでやりたいな、とみんなが思えるようなチームを来年も作ってほしいと思います。

加藤廉也(スポ4=埼玉栄)

――今大会が四年間で最後の大会でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか

自分は正直負けるとは思っていなかったので、足元救われたかなと。でも、あってあと3試合だったので、1試合1試合悔いの残らないようにという気持ちで臨みました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

負けるべくして負けたかなと。負けましたけど、最後のさいごまで後輩が頑張ってくれたので、たくましい後輩に恵まれて良かったです。

――きょうの試合で意識したことは

意識したことは、ただ皆の背中をしっかりと目に焼き付けておくことだけです。

――4年間の部活を振り返って

水球はマイナー競技なので、もっと発展すればいいなと思うのですが、早稲田大学の水球部門というのは他にないくらい楽しいです。4年間このチームでできて良かったと心から思います。

――後輩に向けてメッセージをお願いします

一言だけで言うと、ただ、「強くなれ」ということだけです。

戸張真寿(スポ3=埼玉・秀明英光)

──きょうの試合を終えて一言お願いします

情けないな、という感じでした。僕の母校の高校なので、後輩に負けたっていうのが恥ずかしいですし、情けないなと思います。

──試合全体の流れについてはどう感じていますか

ミスが多かったのかなと思います。終始相手のペースだったし、カウンターも相手はよく出ていました。

──チームの9得点のうち6得点が戸張さんの得点でした

でももっと決めるべき場面はあったので。結局自分が外して、カウンターで決められちゃったりとかあったので、それも含めて反省ですかね。

──4年生の先輩方とはチームとしてきょうで最後の試合になりましたが、先輩方への思いは

やっぱりいちばん近い先輩であって、水球面でもそうですし、寮生活でも色んなことを教えていただいた人達なので、感謝の気持ちと、迷惑かけた部分もあります。弱音吐いたり文句言ったりとか、生意気な後輩だったので。寂しいですね。

──これからチームを引っ張っていく立場になると思いますが、きょうの結果をどのようにつなげていきたいですか

やっぱり、どんな試合も一戦一戦、全力で戦えるような。なんて言えばいいんだろうな・・・。(きょうの試合は)おごった部分があったと思うんですよ。高校生とやるっていうことで。おごりだったりとか、そういうものが無いようなチームを作りたいと思います。頑張ります。

※掲載が遅くなり、申し訳ございません。