女子が10年ぶりの総合優勝! 男子は3位も、記録ラッシュ

競泳

 第31回東京六大学春季対抗戦が開幕。立大セントポールズ・アクアティックセンターに、東京六大学のスイマーたちが集結した。今大会では、女子が目標の総合優勝を達成。実に10年ぶりに頂点を奪還した。男子も総合順位は3位となったが、目標の人ベスト率55%に到達している。また早大の選手たちは八つもの種目で短水路の学生新記録や大会記録を樹立。「大会の雰囲気が良かった」(田丸敬也主将、スポ4=大阪・太成学院)という言葉通り、会場全体が一体となって選手を応援する、活気に満ちた大会となった。

★女子は10年ぶりの総合優勝!

 女子は近年法大の力が強く、2位に甘んじてきたが、今回は目標に掲げた総合優勝を2013年以来につかみ取った。特に今大会で優秀選手に選出された松本信歩(スポ3=東京・東学大付)の活躍が光る。リレー2種目を含め、出場した5種目で全て1位を獲得。そのうち100メートルの自由形で大会新、バタフライでは大会タイ記録をマークした。また50メートル自由形では、今牧まりあ女子主将(スポ4=長野・飯田)と船越彩梛(スポ2=東京・淑徳巣鴨)がともにそれまでの大会記録を上回って、早大勢で上位を独占。今牧女子主将は今大会で初めて長水路の記録を上回り、「良い収穫」と振り返った。この他にも亀井涼子(スポ2=東京・淑徳巣鴨)が50メートルと100メートルの背泳ぎで、小原天寧(スポ2=東京・目黒日大)が400メートルと800メートルの自由形でそれぞれ日本選手権(25m)の参加標準を破った。

女子優秀選手に選ばれた松本

★男子は総合3位も、日本選手権(25m)標準突破者多数

 男子は今大会の目標を人ベスト率55%と掲げ、一人一人のレベルアップを目指した。総合成績は1位の明大から84点離されての3位だったが、チャレンジレースも含めてのべ20人が日本選手権(25m)の標準記録突破を達成。中でも原空輝(スポ2=東福岡)は100メートルと200メートル自由形で2冠を果たした。また1番手を任された4×100メートルフリーリレーでは通常レースで出したタイムを大きく縮め、大会記録を47秒台に押し上げる活躍を見せる。須田悠介(スポ3=神奈川・湘南工大)は得意の50メートル自由形で、自身が保持していた大会記録を0秒05上回って優勝。メドレーリレーとフリーリレーにも出場し、チームに貢献した。山本拓武(スポ2=千葉・成田)は100メートルバタフライに登場し、早大出身の幌村尚(令2スポ卒=現あいおいニッセイ)が持っていた大会記録を0秒01更新しての優勝となった。

後続の選手たちを引き離していく原

★リレーとチャレンジレースは記録に沸いた!

 今大会で特に大きな盛り上がりを見せたのがリレー種目だ。大会の幕開けを飾る女子4×100メートルメドレーリレーでは、亀井が頭一つ抜け出して船越にバトンをつなぐ。船越の平泳ぎで一時トップを譲るが、続くバタフライで松本がすぐに先頭を取り返しアンカーのルーキー二宮歌梨(教1=東京・早実)へ。2位との差を保ったままゴールし、早大が最初の種目を1位で終えた。その直後の男子4×100メートルメドレーリレーは、学生新記録をたたき出した明大と終始競りあうが、僅かに及ばず2位でのフィニッシュとなった。そして通常レースの最後には4×100メートルフリーリレーがある。「学生新記録を目指していた」(今牧女子主将)という女子は、1番手に今牧女子主将、2番手に松本が入りレース序盤から他大学との差を広げていく。3番手はこの日8レース目の船越で、最後はメドレーリレーと同じく二宮が締めた。スタートからゴールまで早大のペースでレースを運び、学生記録を3秒以上も上回って、見事目標の学生新記録を成し遂げた。男子もこの流れに続き、1番手を務めた原は100メートル自由形の大会新記録で一番最初に戻ってくる。メドレーリレーではバタフライを泳いだ須田が2番手に入り、2位の明大との差を保ったまま3番手の長牛太佑(スポ2=京都外大西)へとつなぐ。本来の専門は個人メドレーだが、任された場所でしっかりと力を出しアンカーの菅野遼(スポ4=大分・佐伯鶴城)に託す。菅野は追いすがる明大を振り切ってゴール。同じく学生記録ペースだった明大に競り勝って、早大がこの種目の新しい学生記録保持者となった。

 また早大からはチャレンジレースに3種目のエントリーをかけた。男子200メートルバタフライで挑戦した金直輝(スポ3=群馬・高崎)は、残念ながら日本選手権(25m)の標準記録を突破することはできなかったが、男子50メートル平泳ぎでエントリーした松田藍青(スポ2=愛知)と原がそろって参加標準を切った。また、混合4×50メートルフリーリレーのメンバーを組んで、チャレンジレースに出場。第一泳者の須田が自身が通常レースで記録した大会記録よりも速いタイムで戻ってくると、男子フリーリレーでアンカーを務めた菅野が残る女子2選手に最後の100メートルを渡す。100メートル自由形で1位の松本、50メートル自由形で大会新の船越がきっちりと役割を果たし、学生新記録を樹立した。

集合写真

 男女とも目標を達成した今大会。チームの集大成となるインカレ(日本学生選手権)に向けて、大きな成果を挙げたことは言うまでもないだろう。一人一人が力を見せ、ベスト更新も相次いだ。ルーキーたちの加入も、チームに様々なかたちで刺激を与えている。ここから秋に向けてさらに一人一人が進化し、最高の締めくくりを迎えられるよう、期待したい。

(記事 新井沙奈、写真 荒井理沙)

※掲載が遅くなり申し訳ありません

結果

◇総合成績

▽男子 3位 ▽女子 優勝

◇個人各賞

女子優秀選手 松本信歩

◇タイム決勝

※なお日本選手権(25m)の参加標準記録突破者には★を記載

男子50メートル自由形

須田悠介 21秒47 【1位】★大会新
山口遼大 22秒28 【4位】★
菅野遼  22秒32 【5位】★

男子100メートル自由形

原空輝 48秒11 【1位】★
須田悠介 48秒29 【2位】★
菅野遼  48秒79 【5位】★
林大輝 50秒11 【10位】

男子200メートル自由形

原空輝 1分45秒22 【1位】★
林大輝 1分48秒91 【13位】

男子400メートル自由形

金星洋将 3分52秒61 【6位】
林大輝 3分53秒35 【11位】

男子1500メートル自由形

金星洋将 15分03秒69 【2位】★
飯田光達 15分06秒89 【3位】★
林大輝 15分24秒43 【8位】

男子50メートル背泳ぎ

村上汰晟 24秒78 【4位】

男子100メートル背泳ぎ

米山毅 52秒39 【3位】
村上汰晟 53秒56 【7位】

男子200メートル背泳ぎ

米山毅 1分54秒92 【3位】★

男子50メートル平泳ぎ

松田藍青 27秒39 【6位】
原空輝 27秒48 【7位】
菅野遼 28秒07 【9位】

男子100メートル平泳ぎ

松田藍青 58秒47 【1位】★

男子200メートル平泳ぎ

田丸敬也 2分07秒94 【5位】★
松田藍青 2分08秒16 【6位】

男子100メートルバタフライ

山本拓武 51秒26 【1位】★大会新
山口遼大 52秒31 【3位】
新開誠也 52秒69 【5位】
金直輝 53秒70 【8位】
入江崇也 55秒32 【12位】

男子200メートルバタフライ

新開誠也 1分54秒62 【3位】★
山本拓武 1分55秒59 【5位】★
金直輝 1分57秒06 【6位】
入江崇也 2分00秒25 【11位】

男子200メートル個人メドレー

田丸敬也 1分56秒65 【2位】★
長牛太佑 1分57秒32 【5位】★
米山毅 1分59秒13 【8位】

男子400メートル個人メドレー

長牛太佑 4分07秒81 【2位】★
飯田光達 4分13秒44 【5位】

女子50メートル自由形

今牧まりあ 25秒01 【1位】★大会新
船越彩梛 25秒13 【2位】★大会新

女子100メートル自由形

松本信歩 53秒47 【1位】★大会新
今牧まりあ 55秒05 【3位】★
内田さくら 57秒00 【6位】

女子200メートル自由形

二宮歌梨 1分59秒69 【2位】
内田さくら 2分03秒56 【6位】
高橋実花 2分05秒67 【9位】

女子400メートル自由形

小原天寧 4分10秒22 【3位】★
高橋実花 4分25秒57 【8位】

女子800メートル自由形

小原天寧 8分34秒59 【2位】★
松﨑りん 8分39秒57 【5位】

女子50メートル背泳ぎ

亀井涼子 27秒46 【1位】★
柴田菜摘 28秒19 【3位】

女子100メートル背泳ぎ

亀井涼子 59秒51 【1位】★
柴田菜摘 1分00秒79 【3位】

女子200メートル背泳ぎ

木崎京香 2分14秒61 【3位】
柴田菜摘 2分16秒89 【5位】

女子50メートル平泳ぎ

船越彩梛 32秒01 【1位】
二宮歌梨 32秒90 【4位】
小原天寧 34秒39 【9位】

女子100メートル平泳ぎ

今牧まりあ 1分09秒81 【3位】
二宮歌梨 1分10秒12 【4位】

女子200メートル平泳ぎ

松本信歩 2分23秒46 【1位】★
木崎京香 2分36秒50 【8位】

女子50メートルバタフライ

船越彩梛 27秒32 【3位】
亀井涼子 27秒59 【6位】
内田さくら 27秒61 【7位】

女子100メートルバタフライ

松本信歩 57秒48 【1位】★大会タイ
高橋実花 1分02秒72 【6位】

女子200メートルバタフライ

船越彩梛 2分11秒80 【3位】
松﨑りん 2分12秒90 【4位】

女子200個人メドレー

船越彩梛 2分13秒10 【2位】★
木崎京香 2分14秒02 【3位】

女子400メートル個人メドレー

松﨑りん 4分43秒76 【4位】
船越彩梛 4分45秒71 【5位】

男子4×100メートルメドレーリレー

早大(村上汰、松田、須田、田中) 3分30秒05 【2位】

女子4×100メートルメドレーリレー

早大(亀井、船越、松本、二宮) 4分01秒47 【1位】

男子4×100メートルフリーリレー

早大(原、須田、長牛、菅野) 3分11秒46 【1位】学生新

原空輝 47秒87 大会新

女子4×100メートルフリーリレー

早大(今牧、松本、船越、二宮) 3分37秒25 【1位】学生新

◇チャレンジレース

男子200メートルバタフライ

金直輝 1分58秒87 【1位】

男子50メートル平泳ぎ

松田藍青 26秒95 【1位】★
原空輝 27秒34 【2位】★

混合4×50メートルフリーリレー

早大(須田、菅野、松本、船越) 1分32秒15 【1位】学生新

コメント

田丸敬也主将(スポ4=大阪・太成学院)

――今大会はどういった目標設定をしていましたか

 今回は男子は「人ベスト率55%」女子は「総合優勝」を目標に設定していました。

――チームの結果を振り返っていかがですか

 男女共、目標を達成することができたので良かったと思います。

――大会新記録や学生新記録が相次ぎましたが、メンバーの泳ぎを見ていてどう感じましたか

 泳ぎはもちろん素晴らしいものでしたがそれよりも大会の雰囲気が良かったと思います。チャレンジレースでは大学関係なくみんなで応援して盛り上がる事ができました。

――一年生も加わり、チームの様子に変化はありますか

 一年生が入ってこれまでのメンバーの姿勢が変わったと思います。後輩にいいところを見せたい、先輩として何か出来ることはないか、そんな雰囲気が感じられました。

――自身の泳ぎの振り返りをお願いします

 今回はエントリーした2種目ともで自己ベストを更新することができました。その点はすごく満足のいく結果でしたが、レース内容を見ると後半に課題が見受けられたので今後はその点を修正していきたいです。

――今後の戦いについてチームを代表して意気込みをお願いします

 まずは、全員が個々の実力を上げることが大切です。そこからチーム1人1人のつながりを強固にして、インカレ本番では実力以上の力を発揮できる雰囲気を作りたいですしチーム目標を達成したいです。

今牧まりあ女子主将(スポ4=長野・飯田)

――今大会でのチーム目標を教えてください

 女子総合優勝です。

――チーム全体の結果について、特に目標の女子の総合優勝という部分に関してはどう思いますか

 エントリーを組む段階から総合優勝を目指していたので、チームとしての結果はほぼ満点に近いと思います。夏のインカレ本番に向けて弾みをつけることができました。

――一年生も入ってきて、その活躍も随所に見られる大会でした。新入生の合流でチームの雰囲気はどうですか

 今年の女子の新入生は現時点で5人と例年よりも多く入部してくれました。初のチーム戦でも「チームのために」という意識を全員が持っていてくれて、チームに勢いを与えてくれています。また同期同士でもすぐ打ち解けていますし、先輩達に対しても人懐っこくも礼儀正しく接してくれて、チームにポジティブな影響を与えています。

――リレー種目での強さが光りましたが、要因は何だと考えていますか

 1人1人がリレーで最大限の力を発揮してくれたことが1番の要因です。またフリーリレーでは学生新記録を目指していたので、そのために必要なタイム、泳ぎを全員が発揮することで達成できました。

――ご自身の泳ぎの振り返りをお願いします

 成果は専門2種目で自己ベストを更新できたことです。特に50mはずっと短水路で長水路の記録を割れていなかったのですが今回初めて越えることができて、良い収穫になりました。課題としてはスタート局面で離されてしまうことなので、引き続き練習していきます。

――これからの大会に向けてチームを代表して意気込みをお願いします

 インカレは女子総合230点獲得することを目標としています。今回の春六での成果をインカレに繋げられるように頑張ります。