須田が決勝進出も、悔しさの残る結果に/大会5日目

競泳

 日本選手権も終わりに近づきつつある。5日目のこの日は、須田悠介(スポ3=神奈川・湘南工大)が、男子50メートル自由形で今大会自身初の決勝に進出。予選からタイムも順位も向上させたが目標としていた自己新、表彰台には届かなかった。

★須田が2年連続の決勝も、「満足はしていない」

 男子50メートル自由形には早大から4人が出場し、須田が決勝に進んだ。予選最終組に登場すると、5レーンを泳ぐ須田の隣、4レーンには現日本記録保持者の塩浦慎理(イトマン東進)の姿があった。予選について「うまく泳げなくて、もっと上げられるところがあった」。浮き上がりまでは塩浦の横につけていたが、ストロークを重ねるごとにじわじわと差が浮き彫りになっていく。須田は予選組を3位、全体を8位で通過した。思うような泳ぎではなかった中でも、「学生最速」の名にふさわしくこの種目でただ一人学生での決勝進出者となった。

スタートから飛び出す須田

 表彰台を目標に見据えて臨んだ決勝。レース直前、自身の泳ぐレーンに向かって歩く途中では、早大のメンバーの声援に向けて笑顔でガッツポーズして応えるなど、リラックスした様子を見せた。決勝のレースでは、得意のスタートから浮き上がりで力を発揮する。リアクションタイムはトップ。その後浮き上がりから25メートルほどまでで、上位争いに食い込んでいく。しかし、苦しくなってくる後半15メートル付近からわずかに腕の回転と泳ぎの伸びが減り、22秒36で5位。予選から泳ぎを修正して挑んだ決勝の舞台だったが、目標としていた場所には届かなかった。須田のベストタイムは22秒09。確実に表彰台を狙える記録だ。インタビューの間、「悔しい」という言葉が何度もこぼれた。それでもインカレ(日本学生選手権)に向けて、「学生最速だけは譲らずに、格の違いを」と強気の笑みを見せる。須田にとってさらに一歩先のレベルに進むための、大きな布石になるレースとなっただろう。

★山本、小原 ともに自己ベストで進出したB決勝では、力を見せられず

小原は出場3種目でベストを出した

 前日に女子800メートル自由形で、自己記録を更新してB決勝に残った小原天寧(スポ3=東京・目黒日大)。そのB決勝のレースは最初の100メートルを1位で通過するなど、予選と同様に前半から攻める泳ぎを見せる。しばらくして先頭の選手が一人抜け出し、複数の選手がほぼ横並びで2位争いを繰り広げる中、小原もそこに食らいついていった。100メートルから400メートルの通過時まで、2位をキープ。500メートルのターンではやや遅れ5位となる。そして、そこからだんだんと他の選手に引き離されていった。それでもずるずると順位を落とすことなく5位を維持し続けてのゴール。この種目は予選での自己ベストを上回ることができなかったが、この大会出場した種目は全てベストタイムを更新。大舞台で力を発揮して見せた。さらにこの日は男子100メートルバタフライの山本拓武主務(スポ3=千葉・成田)も、200メートルバタフライに続き、自己新記録でB決勝に進出した。山本は予選2組目に登場して、50メートルの降り返しを1位で通過し後半へ。疲れが出てくる後半にも山本のペースは落ちず、残り25メートル過ぎにはさらにギアを上げて速いテンポでゴールに向かい、1位でフィニッシュした。ベストタイムを出し、全体では12位の順位でB決勝に進んだ。B決勝では浮き上がりでやや出遅れ、50メートルのタッチが6位。しかしタイムは予選よりも速く入った。予選ではここから他の選手の疲れが出る中ピッチを上げてられたのだが、B決勝では上げきることができず8位でレースを終えた。

(記事、写真 新井沙奈)

結果

◇決勝

男子50メートル自由形

須田悠介 22秒36 【5位】

◇B決勝

女子800メートル自由形

小原天寧 8分52秒75 【5位】

男子100メートルバタフライ

山本拓武 53秒25 【8位】

◇予選

男子100メートルバタフライ

山本拓武 53秒00 【12位】自己ベスト
山口遼大 54秒12 【28位】

男子50メートル自由形

須田悠介 22秒54 【8位】
田中大寛 22秒93 【19位】
山口遼大 23秒17 【34位】
菅野遼  23秒28 【38位】

女子50メートルバタフライ

松本信歩 27秒43 【18位】

男子1500メートル自由形

米山毅 15分45秒00 【25位】
金星洋将 15分45秒95 【26位】

コメント

須田悠介(スポ4=神奈川・湘南工大)

――レース全体を振り返ってみていかがでしたか

 ちょっと悔しい結果で終わってしまったかなと思います。自分にはもっと速く泳げる力がありますが、今の時点ではこれが現状なので、慢心している暇はないなと。もちろん慢心するつもりはないですが。50メートル、100メートルどちらも2回泳ぐことができたので、経験を積むことはできましたが、それに伴った結果が出ませんでした。あまり満足はしていないです。

――調子がうまく上げられなかったということですか

 調子自体はピークを持ってこられたと思います。ただ練習の積み重ね方が間違っている部分と足りていない部分があって、それが結果につながったのかなと思います。

――このレースではどんな目標を立てて臨みましたか

 ベストタイムでは今日の記録でも3番くらいはとれる記録を持っているので、メダル獲得を目標にここまでやってきました。

――予選から決勝に向けての中で、意識したことはありましたか

 予選はあまりうまく泳げなくて、もっと上げられるところがあったんじゃないかなと思っていたのですが、そこはしっかり修正して上げられたので、予選から決勝の動きは良かったと思います。

――個人の競技日程を全て終えられましたが、須田選手にとってどのような大会でしたか

 本気で取り組む初めての代表選考会でした。昨年までは実力もあまりなく、僕なんか代表には入れないから自己ベストを狙って頑張ろう、という取り組みだったのですが、今年は見える位置に日本代表があって、それをつかむ難しさも分かりました。悔しいですが、同時にもっとすごい世界があるんだと知れたので、そこについては達成感を感じています。

――これからの意気込みをお願いします。

 ここからはインカレに向けて練習も積んでいくので、学生最速だけは譲らずに、格の違いを見せられるように頑張りたいと思います。