【連載】インカレ直前特集『DARE』第8回 伊東隼汰×今野太介×蓑田圭太

競泳

 今回インタビューをしたのは伊東隼汰(社4=東京・早大学院)、今野太介(スポ3=山形・羽黒学園羽黒)、蓑田圭太(スポ3=大阪・太成学院大高)。早大自由形を4年間けん引してきた伊東をはじめ、続く今野、蓑田はインカレに向けてどのような思いを抱いているのか――。インカレでの熱き戦いが期待される。

※この取材は9月22日に行われたものです。

「あまり考えすぎないで自分の泳ぎに徹する」(今野)

――今日は3選手へのインタビューということで、他己紹介をお願いします。まず、伊東選手への紹介をお願いします

今野 短距離の種目をやっているんですが、とりあえず隼汰さんはマイペースがすごくなって思います。

――マイペースのエピソードを何かありますか

今野 例えば試合前の招集所に結構僕たちは早く行くんですけど、隼汰さんは本当に直前までいなくて、リレーとかだとみんな集まってから入りますが、隼汰さんは本当に直前までいないのでみんな焦っています。

伊東 ごめんな(笑)。

今野 マイペースでいいなって思います。

蓑田 隼汰さんとスイミング練習が中心なんですけど。その部活の学内の練習に最近はよく参加してくださるので、その時によく思うのは、メニューとか全部終わった後に延々とスタート練習をしているんです。終わって30分を余裕で超えるぐらい練習していて。マネージャーさんに動画を撮ってもらったりとかしながら。本当にそういうところはすごくなって思います。でも前少し僕がスタートに関して隼汰さんに良いことをボソッっと言ってあげたら少し速くなりました。

――どのようなことをおっしゃったのですか

蓑田 スタートは短距離で大事になってくるので、入水の角度とかを隼汰さんはすごく研究してらっしゃるので、僕が動画を撮って見ている時に、入った後の水しぶきが上にというよりか後ろ向きに出た方がいいんじゃないですか、という感じでぼそっと言ったらすごく興奮していました(笑)。

――伊東選手は2人の話を受けていかがですか

伊東 マイペースのスタートおじさんみたいになっているのですが(笑)。
マイペースはよく言われているのですが、最近はスタートにハマっているので飛んでいます。でもさっき言っていた蓑田の話については、結構スタートしている時に体をどう動かすかにイメージで考えていたんですけど、自分が飛び込んだあとに水面がどうなるのかみたいな、体じゃないとこの意識はあまりありませんでした。そこは蓑田がボソッボソッと飛沫こうした方が速い選手いますよねって。良いこと言うなと、やるなと思いました。

――意識が少し変わった感じだったのですか

伊東 そうですね。あれは今も結構キーポイントになっています。

今日は緊張していると話した今野

――では今野選手について紹介していただいてもいいですか

蓑田 同じ学年でもあるので、本当に常に一緒にいるぐらいなんですけど。今野はすごくみんなにも優しいので、何かちょっとツンツンしている部分はあるんですけど、実は優しいみたいな。これはみんな言う印象だと思いますね。何かみんなでワイワイしている時とかは結構ツンツンしている部分が出るのですが、一対一とかだと優しい一面が出てきます(笑)。あとは水泳だけじゃなくて、走るのが速いです。
練習中から速いタイムでいつもコンスタントに泳いでいるので、そこもすごいと思います。

――伊東選手はいかがですか

伊東 今日は今野もですが、蓑田も緊張しているのかいつもよりテンションが90%くらい低いですね。猫かぶっていますね。

今野 いつもおとなしいですよ

伊東 いつもこんなじゃないですよ。昨日も学内練習に参加したのですが、そしたらいつも「隼汰さんちーっす」とか言って。いつもはそういうテンションなんです。でも結構恥ずかしがり屋な部分があるので、かしこまると何も話さなくなることはありますが(笑)。結構やんちゃな過去もあり、とは言っても練習中は熱くやっていますし、試合の時はより熱くなっています。最初にリレーを組んだ時も今野が一番泣いていたので、熱いやつだなと思います(笑)。熱くて恥ずかしがり屋なヤツです(笑)。

――そこの点は今野選手いかがですか

今野 おっしゃる通りだと思います(笑)。結構僕シャイなので。例えばこういうところでもすぐ緊張していますし、慣れてくれば素の自分を出せるんですけど、結構今も緊張しています。

――今日の対談はちょっと抑えめですか

今野 はい。真面目にいきます。

――蓑田選手の紹介をしていただいてもいいですか

今野 圭太は同じ学年で、3年間一緒にいるんですけど、お父さん感がすごくですね。同期でキャンプに行ったときとかも、本当に全部圭太がやってくれるので。めちゃくちゃ優しいので、すごくいいお父さんになりそうだなと思います。

――伊東選手はいかがですか

伊東 一個下の学年で一番周りをちゃんと見ているというか、達観している感じを醸しだしているのが蓑田かなと思います。ただ、意外と繊細なところもあるので(笑)。こう見えて繊細なので、そういうとこもかわいいなと思います。

――蓑田選手はお二人のお話を受けていかがですか

蓑田 よく周りからいいパパになるよねとよく言われるんですけど。みんなのためにやるのがすごく好きなので、そういう面でいいお父さんになるよねとか言われるのかなと思います。あとよく周りを見ているというのも言われるんですけど、人のことを見るのもすごく好きなのでそのように言われます。

「落ち着いて自分の泳ぎをして、狙うところは狙っていく」(蓑田)

――夏休みに入りグループに分かれて練習をしていると伺いました。皆さんはどのように練習をされていますか

伊東 僕は結構特殊なのであまり参考にならないですが。僕は基本クラブ練習というスタンスであまり学内にはいないのですが、最近は火曜日土曜日のメイン練習のみ参加しています。そこでは蓑田と同じインターチームというところで練習をしています。土曜日は朝6時とかでめちゃくちゃ眠いです。

――では蓑田選手はインターチームで練習をされているのですか

蓑田 そうですね。奥野監督のチームでやっています。朝の6時半くらいからやっていて、二部の時は午後の3時くらいから夜までしていますね。

――今野選手はいかがですか

今野 このような状況なので、インターチームが終わってから入れ替わりで練習をしています。メンバーは村上主将(雅弥、スポ4=香川・坂出)を含めたスプリントチームなんですけど、4人くらいで行っています。

――夏休み期間中特に力を入れた練習や修正された課題はありますか

伊東 例年は50メートルと100メートル自由形に出ていましたが、今年は後輩ちゃんたちが非常にたくましくて、50メートル自由形では四番手になってしましました。そしたら伊東隼汰はもう一本出るか、という形で200メートル自由形にも出ることになったんです。距離が4倍くらいになったので、体力面、持久力にフォーカスを当てて練習をしていました。

――この中で唯一早慶戦に出場されましたが、調子はいかがでしたか

伊東 学内で様々な事情がありまして、早慶戦の前日夜に出場することになりました。トレーニングレースの中で、ある程度のパフォーマンスとまた別の課題が見つけられたレースだったと思います。

――今野選手はいかがですか

今野 今回のインカレは個人種目が50メートル自由形だけです。400メートルフリーリレーにも出るのですが、去年そのフリーリレーで悔しい思いをしたので、今回は50メートルというよりも100メートルをメインで頑張っていました。僕は前半突っ込んで後半耐えるみたいな感じのレースが多いので、今は後半を耐える練習を頑張っていると思います。リレーは隼汰さんはめちゃくちゃ速いので大丈夫だと思いますが、

伊東 プレッシャーかけないでよ

今野 僕次第で優勝が関わってくるという思いでいます。僕が1泳だったら49秒中盤くらいでつなごうと思い、頑張っています。

――蓑田選手はいかがですか

蓑田 1年生2年生の時は200メートル自由形と400メートル自由形にでていたんですけど、今年は200メートル自由形1本に絞ってそれに集中しようと思っています。予想外だったのですが、400メートルフリーリレーの6番手ぐらいに入ってしまったので、予選で泳ぐかもしれないとささやかれました。僕としては出るつもりもなかったので、400メートルフリーリレーが楽しみだなと思っていたのですが、まさか予選要員ということで泳ぐかもしれないので、
結構スピードを意識した練習を意識していました。僕は水曜日と土曜日にウエイトトレーニングをしているんです、やっぱ100メートルになるとパワーも必要になってくるのでトレーナーさんと相談しながら練習をしています。

笑顔の蓑田

――ここまでのシーズンを振り返っていかがですか

伊東 日本選手権は自分の中でフォーカスを当てていた試合だったので、今までと比べたらそれなりタイムが出ていたんですけど、やっぱり自分の弱いところを強化しきれずに試合を迎えてしまったなというイメージがありました。ジャパンオープンはかなりモチベーションが低くなってしまい、千葉県で開催されたのですが、千葉旅行ぐらいの気持ちで直接笑ちょっとあまり評価がちゃんと評価でき出場しました(笑)。

今野 僕も日本選手権で結果を出そうと思って臨んだんですけど、大学に入ってトップ3に入るくらいタイムが遅かったので、その後は練習内容などを変えてジャパンオープンへ挑んだら、去年のインカレぶりに50メートル自由形でベストが出て、そのままの勢いで今は来ているって感じです。

――ジャパンオープンからかなり調子は良いという感じですか

今野 多分そんな感じだと思います(笑)。

――蓑田選手お願いします

蓑田 僕は日本選手権に出場していないんですが、ジャパンオープンの前くらいに、ずっと肩を痛めていたので、水中練習と陸上で自転車というかバイクをこぐということを半分半分ぐらいで行っていました。そこから少し調整してジャパンオープンに向かったのですが、その中でもベスト近いタイムで泳ぐことができて、すごく調子が良かったです。そのままいって、次の試合が関東学生選手権にオープン参加したのですが、その時はベストから0.1秒ぐらいで泳ぐことができて、その試合で100メートル自由形も1年ぶりぐらいにベストよりも1.1秒ぐらい更新したので、いい調子で今は来ていると思います。

――改めて、インカレでの具体的な目標を教えてください

伊東 あまり明言をしたくないのですが、最後のインカレで悔いが残らないようにしたいと思います。

今野 隼汰さんのためにも4継は絶対優勝したいです。

蓑田 僕も明言すると意識してしまうので避けたいところであるんですけど、まあ200メートル自由形は例年と比べてもすごくレベルが高くて、本当に日本選手権レベルぐらいなので、予選からしっかりベストを出してA決勝に残るというところを目標にしています。400メートルのフリーリレーは決勝を泳ぐ4人に割り込んでいくぐらいの勢いで頑張りたいなと思っています。あと800メートルフリーリレーは去年4番ですごく悔しい思いをしたので、今年は隼汰さんもリレーメンバーで一緒に泳げるので。隼汰さんは安心してみることができるので、そこにいい形でつないでいきたいなと思います。

――伊東選手は去年メドレーリレーで優勝がありましたが、今年も連覇への思いはありますか

伊東 あります。ないことはないです。今年はどのリレーもどの種目もあるんですけど、かなり他のチームもかなり強い大学も多いので、決して油断することなく、みんな一人一人力を合わせていきたいと思います。

――総合優勝が目標だと思いますが、そこに向けて現在のチーム状況というのはどのように捉えていらっしゃいますか

伊東 チーム状況は週2回行っている身としては、この社会情勢もあったりしていろいろ大変なことはありましたが、そこを乗り越えて、雨降って地固まるではないですが、インカレに向けて結束力が上がってきているように感じています。このままこの勢いを加速して、全員で突っ込んでいくだけなのかなと思います。

今野 練習はインターチームと違いますが、練習のタイムとか見るとみんな上がってきているかなって思うので、このままの勢いで優勝を目指して頑張りたいという感じです。

蓑田 インカレに近づくにつれて4年生の気持ちが高ぶっていっているのを目の当たりにするので、その4年生の思いを信じて僕らは練習からついていっているという感じですね。なので、いい感じだと思います。

――大学対抗で戦う特別な大会だと思いますが、皆さんにとってインカレとはどのような大会ですか

伊東 大学生にとってはやっぱり学年が上がるごとに一番大きい試合なのかなと思います。日本の中で一番レベルの高い試合は日本選手権だと思いますが、大学としての意地みたいなのが一番ぶつかり合うのが日本学生選手権だと思うので、大学生にとって一番大切な、重みのある試合かなと思います。

今野 ほとんど隼汰さんが言っていたことと一緒で、大学を懸けた一番大きな試合かなと感じています。

蓑田 今まで2回出場しましたけど、本当に個人だけじゃ到底戦えない試合になると思います。今までもそうですけど、チーム力というのが本当に試される場所だなと思います。

「いろいろな思いがある中で自分のパフォーマンスを出したい」(伊東)

――現時点でインカレに向けての課題だと感じている点やこれから詰めていきたい点を教えてください

伊東 先ほどもいったようにスタートが課題です。インカレまで残り15日ぐらいなので、ここから体力をいきなり強化するぜ、とか泳ぎ全部変えるぜというのはあまり現実的ではないので、スタートやターンの部分で事前の準備をすることで本番の0.1秒を分けると思っているので、そこを詰めていきたいと思います。

今野 僕も隼汰さんと似ているんですけど、今練習めちゃくちゃ頑張っても、体力面とかつかないと思います。なので、僕の場合は試合に持っていく気持ちを準備しているという感じです。

蓑田 あと明日明後日くらいで2週間前になるのでここからは調整期間ということで、疲労を抜きつつスピードをどんどん上げていって、大会に向けての気持ちなど、小さなことの積み重ねでコツコツと自信をつけていこうかなと思っています。

――伊東選手は最後の大会となりますがどのような思いがありますか

伊東 インカレって結構1年目2年目3年目って年を重ねるごとに重みが変わってくる試合なので、今3年生の時は4年生のために力を出していこうみたいなに思っていましたが、4年だったらもう上の人がいないので、自分の実力を出すのもそうなんですけど、自分を含めて大切な後輩のためにも、身を粉にして、へとへとになるまで泳ぎたいなと思っています。

――4年生にとって最後のインカレですが、4年生選手との印象的なエピソードはありますか

今野 圭太何かある?

伊東 なんか出してよ

今野 ありすぎてわからないです(笑)。

蓑田 僕が言います。隼汰さんは練習でもバトルをしかけてくるではないですが、競争する感じの雰囲気を出してくるんですが、そのような先輩はいままでいなかったので、しかけてくれるのは練習としても楽しいと思います。隼汰さんがいると良い練習ができていたと思います。

今野 僕は一年生の頃に隼汰さんは学内の方で練習していたので、一番印象に残っているのがたぶん50メートル10本ダイブという練習があったのですが、しんどすぎて。よく隼汰さんにつらい練習に道づれにされるので、そこが印象に残っています。

伊東 あったね。3分間隔で50メートルを全力で泳ぎましょうというのがあって、水泳部に言ったら全員嫌だって言うと思うんですが。それをして、最後に二人でプールサイドに倒れこんで動けないという。ありましたね。

今野 その中でも隼汰さんは周りを見て行動しているのですごいと思ってみていました。もう一生やりたくないです。

ラストイヤーを迎えた伊東

――読者に向けてインカレでのご自身の注目してほしいポイントも教えてください

伊東 非常に難しいですね。さっきも言ったんですけど、結構選考の話とかいろいろあって100だけでなく200も出るので、蓑田圭太とバトルということで(笑)。そういうところも見ていただきたいというのはあります。けど、一人一人本当に気持ちで泳いでいるところはあると思うので、僕だけじゃなくて、搾り出しって泳いでいる、みたいな気持ちみたいなところを感じ取っていただけたらいいなと思います。

今野 大口叩いて結果を出せなかったらいやなのですが、50はちゃんと自分の泳ぎをして、表彰台を目指しています。リレーは先ほども言ったように。優勝を目指して頑張りたいと思います。

蓑田 個人種目が100メートル自由形だけなので、隼汰さんと熱いレースができると思うので注目してほしいと思います。それと同じくらい最終日、最終種目の800メートルフリーリレーに個人的には思い入れがあるので、みんながきつい中でどれだけいい泳ぎやいいタイミングが出せるかというところで大学のチームの血色力が関係してくると思うので、注目してほしいです。

――いま色紙を渡されたらどのような言葉を書きますか

伊東 僕はこういう時に「我流」という言葉を書いています。マイペースということで。でも後付けの理由でいうと、最後の試合なので、やっぱり自分の実力を今までやってきたことを出すことだけが結果に繋がることだと思うので、力んだり、張り切ったり、焦ったり、嬉しかったりすると思いますが、その中で自分のパフォーマンスを出していきたいです。

今野 気楽にという感じで「気楽」で。あまり考えすぎないで自分の泳ぎに徹するみたいな感じでお願いします。

蓑田 僕は「虎視眈々」でお願いします。僕は何か表立って目標とかを言うタイプではないと思っていて、落ち着いて自分の泳ぎをしながら狙うとこを狙っていくという感じなので、そういう意味で虎視眈眈にしました。

――最後にインカレへの意気込みを一言お願いいたします

伊東 大学4年分の思い、チームのみんなの気持ちを表す場でもあると思うので、しっかり準備をして挑みたいと思います

今野 頑張ります。

蓑田 僕もしっかり準備をして臨みたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小山亜美)