【連載】インカレ直前特集『DARE』第1回 峯野友輔×山本拓武

競泳

 第1回はバタフライを専門とする峯野友輔(スポ3=大阪・関大北陽)、山本拓武(スポ1=千葉・成田)へのインタビューだ。峯野は2年時まで思うようなタイムが残せていなかったが、6月に行われたジャパンオープンで高校以来の自己新を記録するなど、今季大躍進。一方の山本も夏を越え、上々の結果を残してきている。今回でインカレ初出場となるバタフライコンビは、インカレに向けてどのような思いを語るのか。

※この取材は9月14日に行われたものです。

「一本に全力を出し切りたい」(山本)

――まず、他己紹介をしていただいてもいいでしょうか。まず峯野選手から山本選手へお願いします

峯野 彼は1年浪人して早稲田の水泳部に入ってきたのですが、浪人の期間に水泳の練習を全然できてなかったのにもかかわらず、水泳部に入って練習を毎日頑張っていて、しっかりとこのインカレの標準記録を割って、僕的にはすごいなと思っています。あと、陸上トレーニングのときは汗をものすごくかいていて。汗をかきながら頑張っているっていうイメージですね。

――浪人されて入学されたっていうお話でしたが、早稲田の入学とかその早稲田の進路を決めた理由は何ですか

山本 現役の時も一応早稲田で水泳がしたくて、自己推薦の形で受験はしたのですが落ちてしまいました。その後も受験勉強を頑張ったんですけど、行く場所がなくて浪人しました。その後目指して受かったので入学した感じです。

――早稲田で泳ぎたいと思った理由はなんでしょうか

山本 選手のレベルが高いというか、結構有名な選手を輩出していて、練習を1回見に来たのですが、その時すごい環境だなと思って、来たいと思いました。

今年インカレ初出場となる山本

――山本選手から峯野選手の紹介もお願いします

山本 プライベートはコロナとかもあって、あまり関わることができなかったんですけど、部活では陸上トレーニングとかで近くなると気さくに話しかけてくれて、いつも助かっています。

――オフの時に特に交流をされることはありますか

峯野 オフの時はないですね。ただ、山本が言ったように、陸トレの時に隣になっていて、ペアのトレーニングとかを二人でやっています。

――何か最近ハマられていることやマイブームはありますか

山本 親の影響なんですけど、たぶん80年代とか70年代の洋楽にハマっています。僕も結構洋楽が好きだったんですけど、今は父と母が聞いてるような曲に今ハマってます。

峯野 僕はYouTubeばっかり見ていますね。ASMRとか、気まぐれクックさんの魚をさばく動画とかを見ています。

――もともと料理をするわけではないのですか

峯野 全然料理はしないのですが、見ていますね。

――夏休みの期間でオリンピックやパラリンピックがありましたが、見ましたか

峯野 多少は見ました

――印象に残った競技はありますか

山本 僕は同い年の本田灯選手が銀メダルを獲得したことに驚きました。あまり流れが良くない中で、自分で道を切り開く姿に感動しました。

峯野 僕は野球をずっと見ていました。

――もともと野球が好きなのですか

峯野 特別好きではなかったのですが、オリンピックの試合はほとんど見ました。

――これを機に見たという感じでしょうか

峯野 そうですね

――夏休みに入って練習スケジュールはどのような形でしたか

峯野 月曜が二部練で朝と午後、火曜日は午後、水曜日は朝練と昼にウエイト、ドライ、木曜日は午後に一回練習をして、金曜に2回練習して、土曜日は水曜日みたいに朝練してウエイトとドライです。

――分かれたグループはどのような形なのですか

峯野 僕と山本も違います。僕はスプリントチームで、主に50メートル、100メートルを専門とした選手と一緒に練習しています。

山本 僕はスプリントでもロングでもない選手と一緒に練習をしています。

――個人的に力を入れて取り組んだ練習や修正した課題は何ですか

峯野 他の部員のように練習を追い込める選手ではなくて、気を付けているのは感覚を悪くさせないように、スカーリングと言うのですが、そこは毎日欠かさずやっています。

山本 昨年浪人したって話があったのですが、夏までで結構体力も戻ってきたので、高校の時から課題だった、ターンからの浮き上がりがすごく遅い部分を、気を付けて練習しました。コーチとも話をしました。

「全力でレースを楽しみたい」(峯野)

――ここまでのシーズンを振り返っていかがですか

山本 僕は去年全然泳いでなくて、大きな大会に出るための標準記録を切る機会がなかったので、出られる大会がすごく少なかったのですが、一つ一つの大会で課題をしっかり見つけて、重点的にやりました。8月の大会は高校の時のベストを上回ることができたので、いい感じではあると思います。

峯野 僕は大学1年生2年生とずっと伸び悩んでいて、今回のインカレも初出場という形になります。今年3年生になって4月の大会で、やっと自分の高校3年生の時の記録を塗り替えることができました。ジャパンオープンでは50メートル(バタフライ)だけの出場となったのですが、それも大幅なベストを更新することができて、初めてのジャパンオープンで決勝に残ることができました。インカレは100メートルなので、インカレではベストを大幅に更新できたらと思っています。

――インカレの出場種目と、その目標を教えてください

山本 僕は100メートルバタフライのみに出場します。目標としては、53秒3秒台を出したいなとは思っています。ジャパンオープンの標準が53秒の後半の方なので、そこまで切れればいいなとは思っています。順位に関しては、そのタイムでは厳しいですが、チームに貢献できるように得点を取りたいと思っています。

峯野 僕は100メートルバタフライだけです。現在のランキングで12番ぐらいの位置にいるので、0.5秒ぐらい(タイムを)上げると決勝に残れるところにいるので、ベストを更新して決勝に残りたいと思います。

――お二人はインカレ初出場となりますが、インカレへの思いを聞かせてください

山本 大学1年生でインカレというものがまだよくわからないのですが、最近の4年生の練習を見てみていると、インカレに懸ける思いがすごく大きいと感じます。なので、そこに少しでも貢献できるように、自分の今出せる力を出し切れたらいいなと思います。

峯野 僕は1年生の時にインカレを見て、すごい舞台だなと思って、2年生の時には頑張って出たいなと思っていましたが、惜しくも出られませんでした。今年初めて出るので、今年引退される4年生のためでもありますし、自分のためにも頑張りたいと思います

――1、2年生の時は思うような結果が出なかったというお話を伺いました。今年に向けてどのように立て直されたのですか

峯野 大学1、2年生の時はタイムが全然でなくて、何が原因かわかっていなかったのですが、担当のコーチから感覚を大事にすることを言われ、それを2年間続けた結果がいまの記録につながっていると思います。

――お二人は意識されている選手はいらっしゃいますか

山本 やはりいつも目の前で練習を見ている峯野さんを意識しています。

――峯野選手に追いつけ追い越せという感じでしょうか

山本 はい(笑)。

――峯野選手はいかがですか

峯野 昨年卒業された幌村尚さん(令3スポ卒=現あいおいニッセイ)のことをずっと尊敬していて、幌村さんのおかげで頑張れた自分もいますし、尚さんが泳いでいたメドレーリレーにも出ます。幌村さんのタイムとはまだほど遠いので、一歩でも近づけるように、少しでも代わりになれるように頑張りたいと思います。

――幌村さんからは何かアドバイスをもらいましたか

峯野 そうですね。大学在学中は結構アドバイスをいただいて、引退してからもプライベート遊んでもらっています。

――どのようなアドバイスをもらったのですか

峯野 同じバタフライ専門なので、ドルフィンキックやそもそもの泳ぎ方や飛び込み方を、練習終わってから結構指導していただきました。

――インカレに向けてお二人が現時点で課題だと感じている部分はありますか

山本 ターンからの浮き上がりがまだ納得いかないというか、改善できるなと思います。そこを改善していって後半のスピードにつなげていければ目標達成ができるんじゃないかなと思っています。

峯野 僕はどちらかというと前半型なので、最後の十五メートルぐらいで自分の泳ぎを最後までできるように意識していきたいです。

――何グループに分かれて練習をされているというお話でしたが、グループ内ではインカレに向けて何か話されていますか

山本 担当コーチと一緒に練習している4人とは「インカレでみんなベストを出して、笑顔で終わろう」と話しています。

峯野 僕も4人で今練習しているのですが、同じグループに主将の村上さんがいて、僕以外の3人は昨年度もその前の年も活躍されている選手です。全員でベストを出して、全員笑顔で終われたらいいねと話しています。

――山本選手は今年早大に入学されましたが、もう大学生活には慣れましたか

山本 そうですね。最初の頃よりは慣れてきました。

――最初の頃と今とで練習への意識は変わりましたか

山本 高校までも考えながら練習をしてきたつもりではありましたが、先輩方や同期の水泳への考え方が自分とは全然違うと思っていました。そこから結構自分でも考えるようになったとおもいます。

――初めての寮生活で慣れないことはありましたか

山本 僕は朝がすごく苦手だったので、起きられるかとかいう心配はあったのですが、しっかり朝起きられています。

――お二人に現在の調子を伺ってもいいですか

山本 昨日の練習でレースを意識したメニューがあったのですが、タイミングとかも結構あっていて調子は悪くないなって思っています。スピードも悪くないので、いい感じではあります。

峯野 先ほどから言っている感覚はずっと落とさないようにしているんですけど、体力が少し落ちてしまったので、今からインカレまでの期間に戻していきたいなと思っています

――チームの調子はどのように捉えていますか

山本 グループで分かれているので、別のグループの、同じ時間帯でやっていない選手は分からないのですが、同じチームでやっている選手はすごく調子はいいと思います。やっぱり4年生が目立って、練習からびっくりするようなタイムで来ているので、4年生全員にちょっと期待しています。

峯野 今はインカレに向かってみんながいい方向に向いていると思います。4年生が最後なので、4年生を筆頭にみんながいい方向に向けているかなと思います。

笑顔の峯野

――4年生とは特に印象的なエピソードはありますか

山本 僕は同じチームに4年生が1人しかいないのですが、個人メドレーの高野(大祐、教4=東京・立教池袋)さんで、練習も気持ちもすごく入っていると思っていて、ベストを出してきそうだなと思っています。

峯野 3人ほどいるのですが、一人目は一緒に練習をしている村上主将(雅弥、スポ4=香川・坂出)です。普段からチームのことを大事に思ってチームのために動いている姿は見えるのですが、最近それがさらにチームのためを思っているんだなって思うようになりました。あとは大﨑選手(威久馬、スポ4=神奈川・桐光学園)です。今練習時間は違うのですが、一瞬重なる時間があって、チームに対する声掛けなどが、声援とかがいっぱい聞こえてくるので、今まであそこまで熱くなっているのを見たことがなかったので、すごいと思っています。あとは、古畑選手(海生、スポ4=兵庫・市川)ですね。僕たちのスプリントチームとは全然違うメニューなんですけど、いつも隣で練習をしています。普段から淡々と長いメニューをしているのですが、最近ものすごく頑張っていて、見るだけで何か伝わってくるものがあります

――インカレでこの選手に注目してほしいという選手はいらっしゃいますか

山本 個人的には今2年生の米山さん(毅、スポ2=東京・早実)に注目しています。今年に入ってからは大会のたびにベストを出しています。今はランキングで2番とかなので、自分でも優勝してくるとは言っているんですけど、本当に優勝してくれるんじゃないかなと思っています。

峯野 先ほども言いましたが、古畑選手に一番注目しています。

――ご自身の泳ぎの注目ポイントはありますか

山本 前半が早い方ではないので、今課題としているターンからの浮き上がりで加速して後半に攻めていこうと思っているので、後半の泳ぎを見ていてほしいです

峯野 山本選手とは反対で、前半に少し抜けられたらなと思っているので、前半に注目していただければなと思います。

――今色紙が渡されて文字を書くとしたら何を書くでしょうか

山本 普段からなるレースも何レースもひとつの大会で出ることが多いのですが、今回は100メートルしかないので、一本で全力を出し切れればと思うので、「出し切る」でお願いします。

峯野 難しいですね(笑)。拓武なんか言って。

山本 楽しんでいきましょう(笑)。

峯野 では「楽しむ」で。全力でレースを楽しむでお願いします。

――最後に、インカレへの意気込みをお願いします

山本 今言ったように、100メートル一本に懸けて、ベストを出して、チームに貢献をしたいです。そして来年につながるレースができたらと思います。

峯野 初めての出場ですが、ビビらず自分の泳ぎをして決勝に残れたらと思います。メドレーリレーにも出るのですが、足を引っ張らないように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小山亜美、渡邊悠太)