8日間に及ぶ日本選手権が、早くも後半にさしかかった。5日目の女子200メートルバタフライには、五輪代表選考で注目が集まる牧野紘子(教4=東京・東大付中教校)が登場。長谷川涼香(日大)の次点でゴールするも、五輪派遣標準記録に届かず。惜しくも五輪内定を逃す結果となった。一方、早大平泳ぎ勢が躍進を見せる。男子200メートル平泳ぎでは三選手が準決勝進出を果たすと、中でも平河楓(スポ3=福岡・筑陽学園)は自己新で決勝に進出。決勝でもその記録を塗り替え、万感の4位で今大会を終えた。
☆牧野惜しくも五輪内定を逃す
ジャパンオープンでは同種目で力泳を見せた牧野
女子200メートルバタフライ決勝には牧野が登場した。2月に行われたジャパンオープンでは、同種目で派遣標準記録を突破する泳ぎを見せていた牧野。「200メートルバタフライをメインにこれまで練習に取り組んだ。ベストで優勝を」と臨んだレースだったが、悔しい結果に終わった。レースは首位の長谷川涼香(日大)が前半1分を切る積極的な入りを見せる。牧野は後ろにしっかりと着き、2位で折り返した。前半折り返し後は長谷川から体一つ分の差をつけられるが、残り50メートルで持ち味の粘りを発揮する。しかし、ラスト10メートルで失速。2位でゴールするも、五輪派遣標準記録にはわずか0.2秒届かず。悲願の五輪代表を勝ち取ることはできなかった。
☆早大平泳ぎ勢躍動!
男子200メートル平泳ぎでは早大勢が大きな躍進を見せた。予選に出場した大﨑威久馬(スポ4=東京・桐光学園)、白石崇大(スポ3=広島・沼田)、平河の三選手はいずれも準決勝に駒を進めた。その中、決勝に進出したのは平河。予選では飛び込み直後に左足指をつり、準決勝では両腕が痺れるアクシデントに見舞われながらも、しっかりと対応し、両レースとも自己新をマークした。
「リラックスして泳ぐこと」を意識して臨んだ決勝。レースは早大OB渡辺一平(スポ=大分・佐伯鶴城)、100メートル平泳ぎを制した佐藤翔馬(慶大)らがひっぱるハイペースな展開に。その中でも、平河は落ち着いた泳ぎを見せ、前半を6位で折り返す。その後は徐々に上位との差を縮め、4位でゴール。予選、準決勝で打ち立てた自己ベストを、決勝でも更新した。同種目で、目標としていたインターナショナル強化標準記録Cを突破した平河。「オリンピック代表選考会という大舞台で泳げたことは良い経験だった」と振り返る。今大会で見つけた課題に打ち勝ち、早稲田から世界へはばたくことができるか。平河のさらなる成長に注目したい。
6日目の女子200メートル平泳ぎには浅羽栞(スポ3=東京・八王子学園八王子)が出場した。「プラン通りに泳げた」という準決勝を5位で通過。迎えた決勝では渡部香生子(平31スポ卒=現JSS)がレースを引っ張る。浅羽は「ほとんどプラン通りだった」という50メートルの入り以降は徐々に失速。予選、準決勝よりもタイムを落とし、8位でのゴールとなった。レース後は「情けないタイムになってしまった」と振り返ったが、「大きな舞台で活躍できるよう、もっと強くなる」と前を向いた。
☆自己新更新続々
決勝進出者ではない選手からも自己新が続々報告された。男子200メートル背泳ぎに出場した米山毅(スポ2=東京・早実)は予選から自己新をたたき出すと、準決勝でもその記録を塗り替える泳ぎを見せる。8位まで0.4秒に迫る9位でゴールし、決勝進出まであと一歩の躍進を見せた。さらに、男子200メートル個人メドレーにはルーキー長牛太佑(スポ1=京都外大西)が登場。大学入学後初めての日本選手権で自己新を更新し、幸先の良い滑り出しを見せた。
(記事 小山亜美、写真 日本水泳連盟提供)
結果
◇決勝
女子200メートルバタフライ
牧野紘子 2分08秒66【2位】
男子200メートル平泳ぎ
平河 楓 2分08秒98【4位】自己新
女子200メートル平泳ぎ
浅羽 栞 2分27秒35【8位】
◇準決勝
男子200メートル背泳ぎ
米山 毅 2分00秒09【9位】自己新
女子200メートル平泳ぎ
浅羽 栞 2分25秒99【5位】
◇予選
男子200メートル背泳ぎ
米山 毅 2分00秒99【15位】
女子200メートル平泳ぎ
浅羽 栞 2分26秒55【4位】
男子200メートル個人メドレー
長牛太佑 2分01秒74【17位】自己新
田丸敬也 2分02秒44【21位】
女子800メートル自由形
佐藤千夏 8分37秒14【3位】
コメント
浅羽栞(スポ3=東京・八王子学園八王子)
――まず、予選や準決勝の泳ぎを振り返っていかがですか
プラン通りの泳ぎができて良かったです
――決勝はどのようなレースプランで臨まれましたか
前半から攻めて、ラスト50メートルは粘れるようなプランで行きました
――予選、準決勝から修正した点はどこでしょうか
前半の50メートルは楽に行って後半に温存できるようにしました
――決勝の泳ぎを振り返って、良かった点と反省点は教えてください
はじめの50メートルはプラン通りに行けました。楽に速い泳ぎを反復できませんでした。
――タイムを振り返っていかがでしょうか
予選、準決勝よりも落としてしまい、派遣タイムにも届かず、情けないタイムになってしまいました。
――今大会を振り返っていかがですか
100メートルと200メートルの予選準決勝はプラン通りに泳ぐことができました。しかし一番大切な部分で力を発揮できないというまだまだやれる事はいっぱいあることがわかった大会でした。
――今後に向けて意気込みをお願いします
大きな舞台で活躍できるよう、もっと強くなります。
平河楓(スポ3=福岡・筑陽学園)
――予選、準決勝の泳ぎを振り返っていかがですか
予選、準決勝ともにアクシデントありのレースでした。予選では、飛び込んだ直後に左足の指をつってしまい、足をかばって泳ぎました。なので、足にほとんど力を入れず、腕で泳ぐ形になった為とても疲労を感じました。準決勝では、緊張で両腕が痺れてしまい、飛び込む直前にレースプランを変更し、前半抑えることにしました。予選・準決勝ともに不完全燃焼って感じがしましたが、タイム的には、自己ベストを更新できていたので良かったです。
――決勝はどのようなレースプランで臨まれましたか
決勝では、前半落ち着いて泳ぎ、後半を1分6秒台でまとめることを目標に挑みました。
――予選、準決勝から修正した点はどこでしょうか
予選、準決勝では、少し緊張していた部分があったので、リラックスして泳ぐことを意識し、泳ぎの面では、水中動作を少し長く取るように意識しました。
――決勝では4位という結果でしたが、振り返っていかがですか
決勝には、大学生が5人進出し、自己ベストが4人団子状態だった為、その中では必ず抜けるという目標だったので、とりあえずは良かったです。
――決勝での泳ぎを振り返って、良かった点や反省点はどこでしょうか
決勝では、力まずリラックスして泳げたことが良かったと思います。反省点としては、ラストスパートをもう少し早く掛ければ良かったのかなと思います。
――予選、準決勝、決勝と自己ベストを更新し、決勝では五輪派遣標準記録まであとわずかまで上げました。タイムを振り返っていかがですか
今大会の一番の目標は、インターⅭの標準記録を突破し、ユニバーシアードの代表を獲得することだったので、とりあえずはインターⅭを突破できて良かったです。ユニバーシアードは、来年に延期になってしまったので、来年またチャレンジしたいと思います。
――今大会を振り返っていかがですか
今大会を振り返り、良かった点、改善すべき点が多く見つかった良き試合でした。なによりも二種目で予選・準決勝・決勝と3回ずつ泳ぐことができ、オリンピック代表選考会という大舞台で泳げたことは、人生においていい経験だったと思います。
――今後に向けて意気込みをお願いします
まだまだ改善すべき点が多くあるので、夏にインターBの標準記録を突破できるように頑張っていきます。