今季自己ベストを大幅に更新し、勢いに乗っている丸山優稀(法3=埼玉・大宮)。男子200メートル背泳ぎでは日本選手権、ジャパンオープンと続けて決勝に残っており、早慶戦でも主力として活躍に期待がかかる。そんな丸山に春の大会や今後の意気込みなどを伺った。
※この取材は6月9日に行われたものです。
「早慶戦で勝つことだけに専念しています」
今季絶好調の丸山
――日本選手権は非常にいい結果だったように見受けられましたが、自身でもいいタイムが出る予感はありましたか
絶対このぐらいいけるだろうというのはありましたが、それを上回ったかたちになったので良かったなと思います。
――練習のときから調子は良かったのでしょうか
タイムが出るなという感じはありました。
――日本選手権では出場した2種目の両方で自己ベストを更新しています。男子200メートル背泳ぎが本命だったとお聞きしましたが、男子200メートル個人メドレーについてはいかがですか
個メ(個人メドレー)は残ること自体を想定していなかったので、軽く泳げばいいと思っていたら残ってしまった感じで、すごくびっくりしましたね。でも個メでいい結果が出たので次の2バック(男子200メートル背泳ぎ)も大丈夫だろうなと、安心して臨めましたね。2個メ(男子200メートル個人メドレー)も残れたらいいなと思っていた部分はありましたが、想定すらしていなかったような、望みレベルでした(笑)。うれしかったですね。
――想定以上にレースの数が増えることになりましたが、調整に影響はなかったのですか
結果的にそうなってしまったというところはありますね。2バックに関しては3本残ること(準決勝、決勝への進出)を想定していましたが、2個メは想定していなかったので。2バックも3本目(決勝進出)は危ういなと思っていたんですよ。結果的に全部の可能性が実現したので、一番最後の日が(疲労で)つらかったですね。(日本選手権のレース)5本目で、どうしてこんなことになったんだろうといううれしい悲鳴が(笑)。
――男子200メートル背泳ぎで2分を切るというのは、一つの壁だったのでしょうか
そうですね、結構壁感はありますね。2分を切ったら名前を覚えてもられるかなという感じがしますね。
――日本選手権に照準を合わせると、練習メニューは一カ月前ぐらいから変わるのですか
そうですね、大体一カ月くらい前から落としていく感じですね。長い期間をかけて、だんだんメニューは楽になっていきます。
――試合が終わった後はすぐ通常のメニューに戻すのですか
毎年春六(東京六大学春季対抗戦)があって、調整しなくてはいけないので(日本選手権後)1週間は難しいところがありますが、その後は少しずつ(戻していく)という感じですね。
――ゴールデンウィークの強化期間ではどのような練習をされましたか
普段は奥野さん(景介コーチ、昭63教卒=広島・瀬戸内)ではなく梶川さん(悟監督、平17人卒=愛媛・松山北)の下で練習していますが、その方がいなかったので、総監督の奥野さんのチームでやらせてもらいました。チーム自体のレベルが高くて、OBでオリンピアンの坂井さん(聖人、平30スポ卒=現セイコー)や渡辺さん(一平、平31スポ卒=現TOYOTA)と一緒に練習できて、すごくいい環境だったかなと思います。
――結構速いペースのメニューに取り組まれたのでしょうか
そうですね、いつもよりレベルの高いメニューで。ゴールデンウィークということもあるんですけどね。
――どのような練習スケジュールでしたか
木曜日くらいに1回斜めオフという午後と翌日の午前中に練習がない日が真ん中にあったくらいで、それ以外全部(練習を)やったのだったかな。
――ゴールデンウィークは陸上トレーニング(ドライ)もハードなメニューに取り組むのですか
いや、ドライはいつも通りで。とにかくスイムの練習がえげつないことをやるので。
――スイムではどのようなメニューに取り組むのですか
基本的には泳ぐ距離が増えるのがメインで、その中でハードの分量が増えるという感じですかね。
――普段はどなたと同じチームで練習されているのですか
説明するのは難しいですが、今は基本的に奥野さんがブレ(平泳ぎ)チームを見られていて、それとは別にインター(インターナショナル標準突破者)というグループもあってそこも見られています。インターというのに、竹内(智哉、スポ3=神奈川・湘南工大付)や幌村(尚、スポ3=兵庫・西脇工)らがいますが、そこにST(チーム)から大芦さん(知央主将、スポ4=大阪・関大北陽)と田中航希(スポ2=埼玉・春日部共栄)が加わって練習している感じです。基本的にはブレとインターの人以外が梶川さんのチームに入っていて、あとSPという短距離を泳ぐ人たちと、400メートルや1500メートルを泳ぐ人はMDというところに入って、それ以外がSTという感じです。(STチームは)簑田(圭太、スポ1=大阪・太成学院大高)と濱口さん(真子、スポ4=石川・金沢錦丘)(と自分)の3人です。
――得意種目で分かれるわけではないのですね
基本的には距離ですね。ただ水曜の朝にやるゴールセットのときは、同じような種目で並んで競ったりとかはしています。
――メインに取り組まれているのは背泳ぎだと思いますが、個人メドレーの練習はいかがですか
自分の中では個メはすごく楽しくて、遊び感覚でやらせてもらっているみたいなところもありますが、竹内はもちろん、福岡(清流、スポ3=大阪・桃山学院)とも時々一緒に練習すると、(2人とも)速いなーと思います。あとは基本的に周りの選手のタイムを見て、「この選手がこれくらいでいっているから、自分もこれくらいでいかないとな」というのを想定してやっています。
――個人メドレーのために、苦手種目のドリルにも取り組まれているのですか
やっています。平泳ぎがめちゃくちゃ苦手なので、どうにか速くしたいと思って頑張っていますが、なかなか速くならないんですよ。
――日本選手権では平泳ぎのラップタイムも「結構速い」とおっしゃっていましたが
選手権はまあまあ良かったんですよ、ジャパンオープンはまあ(ゴーグルが外れるという)アクシデントがあったので(笑)。
――ジャパンオープンでは、男子200メートル背泳ぎは本命種目ではなかったと伺いました
そうですね、基本的には決勝どころか2回泳げればいいなと思っていたので。その上で、選手権では決勝に残っていたので、プライド的にもジャパンオープンでも決勝に残れればと思っていました。インカレ(日本学生選手権)に向けて2本きちんと泳ぎ切るというのが必要だと思っていたので、選手権とジャパンオープンと2回とも2本泳げたのは良かったなと思います。
――予選が8位で、ギリギリ決勝に滑り込んだことについてはいかがですか
あんまりドキドキはしなかったですね。決勝に残れなくても仕方ないなという感じでしたし。でも思ったより(タイムは)遅いなという感じはありました。
――自分で泳いだ感覚は、実際のタイムより速かったということでしょうか
そうですね、もう少し速いかなと思っていましたが、意外と疲れていたという感じですね。
――決勝ではタイムを落としましたが、最初から体の重さなどは感じていたのでしょうか
そうですね、間違いなく軽くはなかったですね。
――予選から全力で泳いでいたのでしょうか
本当は軽くやるつもりでしたが、思いの外体がきつくて。予選の(レースの)途中でタイムが遅いのが分かっていたので、上げざるを得なくなり、結局頑張った感じです。
――今はどのような心持ちで練習に取り組まれていますか
今は取りあえず早慶戦で勝つことだけに専念しています。タイムはインカレに向けて狙っていこうかなという感じです。
「自分は自分」
早慶戦では勝利にこだわりたい
――今後はどのような練習に取り組み、タイムを上げていきたいですか
水中の練習というよりは、ドライランドで工夫したりしたいです。選手権に向けては今までやっていませんでしたが、スクワットを毎日50回きちんとするというのを自分で決めたんですよ。それで下半身がすごく上がるようになって、好循環が生まれたのでそういう点で工夫していけたらなと思います。今はバサロが弱いので、ウエートトレーニングではそれが改善できるように考えてやっている感じですね。
――バサロのドリルにも取り組んでいるのですか
ドリルにこだわりはあまりありませんが、バサロって普通にやるとすごく打ちづらいんですよ。あえてサイドキックとかにすると上も下もちゃんと蹴れるので。普通の態勢だと上向きってちゃんと打てないじゃないですか。それが打てるようにサイドキックで練習する感じですかね。でもそれくらいです。
――新しく取り入れた練習の中で、タイムにつながったと実感しているものはありますか
やはりスクワットですかね。スクワットを毎日やるというのはすごく効いていて、それで今まで入らなかった後半のキックが入るようになり、ボディポジションが上がりました。あとは、ウエートとドライを両方やるというのをやってます。普通の人はどちらかだけですが、僕は平日は授業があってやれてないので、あえてドライを全部やった後はウエートも全部やる、1時間—1時間くらいでやり続けるというような練習をしています。
――授業との両立が大変だと思いますが、普段のスケジュールはどのような感じでしょうか
月曜は朝練の後、2限から5限まで授業があるので、朝練は普通に出られても5限だと午後練の時間に間に合わないんですよ。だから遅練といってみんなが終わった後にマネジャーさんの1人だけ残っててもらって、20〜21時まで泳いでいます。だから月曜が一番きついですね。今回初めて全休を作ってみましたが、いいなと思って。学校に行かない日も大事だなって(笑)。
――昼食などはどうされていますか
学食に行って、ラーメンとご飯Mサイズと野菜を食べる感じですね。ラーメンだけだと足りないんですよね(笑)。それでご飯を足しますが、ご飯の売り場が(ラーメン売り場と)場所が違っていて。だから買えなかったときは、ラーメンでしのぐという感じです。
――普段から栄養のバランスなど考えていますか
それが全然考えていないんですよ。周りの人間はすごく考えていますが、僕基本的に何食べても太らないので、自由気ままにやっています。朝夜は寮食が出て、そこで野菜は補ってもらっているので、昼は何を食べてもいいかなという感じですね。
――鶏の胸肉やプロテインは摂取されますか
全然しないですね。そういうのは信じていないので(笑)。本当に僕変わっているんですよ。プロテインは前は飲んでいましたが、最近は面倒でやっていないですね。プロテインを飲むことは悪いことではないと思いますが、寮が近いので帰ったらすぐご飯が食べられるんですよ。だから帰ったらご飯を食べるのと、練習が終わってプロテインを飲むのとではあんまり効果が変わらなくて、結果的に食事をしっかり取った方が体にいいかなと。サプリメントなどはやはり(栄養が)偏る気がします。
――フォームを参考にしている選手や、憧れの選手はいますか
それがあんまりいないんですよね。海外選手とかは僕あんまり調べてなくて。スイマガ(スイミング・マガジン)などで国際大会のタイムを見るくらいで、大会があるたびに「ああ、あいつが何秒出した」と気にすることはないですね。
――他のチームメートの方も国際大会はご覧にならないのでしょうか
いや、見てると思いますよ。僕は興味がないわけではありませんが、自分は自分というか。
――普段水泳以外の時間は何をされていますか
普段は勉強やゲームぐらいですかね。あんまり趣味らしい趣味がないんですよね。結構ネットを見ているのは好きですけどね。ニュースを見たりとか。
――ゲームは部内の方とされているのですか
そうでもないですね。ときどきマリカ(マリオカート)などをやっているので、それには参加しますけど。
――今寮ではどなたと同室ですか
伊東隼汰(社2=東京・早大学院)と1年の浅野(健、スポ1=東京・日出)ですね。
――お2人とはどのような関係性ですか
ゆるい関係性ですね。自分がしたいことを好きにするというのが僕のコンセプトなので、適度に絡みにいく感じですかね。3人で話すときは3人で話しますし、自由気ままな感じです。
――仲のいい選手などはいますか
3年生はみんな仲いいですね。福岡と野球を見に行ったりとかします。でも基本的に僕は寮にいないので、遊びに行ったりとかはあんまりないですかね。
――早慶戦にはどういう位置付けで臨みますか
もちろん記録も必要にはなってくると思いますが、今年竹内、幌村が出ないので(チームが)勝つこと自体が簡単ではない状態かなと思います。タイムうんぬんやリレーも含めて勝たないといけない、とりあえず勝つという気持ちが一番ですね。
――どの種目に出場予定ですか
1バック(男子100メートル背泳ぎ)と2バックと、メリレ(男子4×100メートルメドレーリレー)も出るのではないかなと思います。
――タイムとしてはどのくらいを狙っていきたいですか
1番最初のメリレは、この前55秒台が出たのでそれを狙っていきたいなと。メリレは簡単には勝てないので、少しでも自分が猶予を作れるように頑張りたいです。その10〜20分後に2バックがあって、慶応の2番手がメリレを泳ぐはずなのでそこに負けないように。タイムよりは勝つことの方が大事かなというふうに思っています。
――最後に意気込みをお願いします
勝つ、ただそれだけです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 青柳香穂)
エース級の活躍に期待です!
◆丸山優稀(まるやま・ゆうき)
1999(平11)年1月23日生まれのA型。181センチ、75キロ。埼玉・大宮高出身。法学部3年。専門種目は背泳ぎ。得意の男子200メートル背泳ぎでは自己ベストを約2秒更新したばかりですが、これからは1分57秒台を狙っていきたいと高い向上心を維持している様子。早慶戦でもきっと勝利に貢献してくれることでしょう!