日本選手権も後半戦に入った5日目、早大からは竹内智哉(スポ3=神奈川・湘南工大付)と牧野紘子(教2=東京・東大付中教校)が出場し、共に3位入賞。それぞれ自己ベストの更新と代表入りはかなわなかったものの、確かな手応えを得たレースとなった。また、男子200メートル背泳ぎの準決勝では、丸山優稀(法3=埼玉・大宮)が自己ベストを2秒近く更新。今大会の目標としていた決勝進出を見事成し遂げた。
★竹内、200個メでは初の表彰台!
表彰式で笑顔を見せる竹内
男子200メートル個人メドレー準決勝を5位通過した竹内。自己ベストの更新を目標に掲げて、決勝のレースに臨んだ。最初の50メートルを3位で折り返すと、それ以降は隣のレーンを泳ぐ藤森丈晴(ミキハウス)と競り合う展開に。「後半にバテるのを少し恐れてしまって、そこで思い切りいけなかった」と話す背泳ぎで藤森に若干のリードを許してしまう。それでも、続く平泳ぎでは藤森に離されることなくピタリとつけ、迎えた得意の自由形。最後の最後までデッドヒートを繰り広げると、最後は竹内が0秒10上回り3位でフィニッシュ。この種目では初めて、日本選手権の表彰台に上がった。
タイムは1分59秒26と、自己ベストには0秒09及ばず、「悔しいところはある」と話した竹内。それでも、初めて3位以内に食い込み、男子400メートル個人メドレーでも最大のライバルとなるであろう藤森に「思っていたように最後に競って勝てた」という収穫を得ることができた。2日後に迫った男子400メートル個人メドレー。派遣標準Ⅱの突破も視野に入れ、さらなる高みに挑んでいく。
(記事 宇根加菜葉、写真 栗林真子)
★代表逃すも、復調の兆し見せる
久しぶりに2分8秒台を記録した牧野(右)
「少し清々しい気持ちではいます」。女子200メートルバタフライ決勝に臨んだ牧野は試合後こう語った。大会2日目に行われた100メートルバタフライにて優勝を収め、波に乗っていた牧野。目標であった2位以内での派遣突破には及ばなかったものの、本大会2回目となる表彰台を勝ち取った。前半100メートル終了時点で4位につけると、ターン後、前方を泳ぐ持田早智(日大)を捉え、3位におどり出る。ところが、「後半置いていかれる感じ」と話すように、1位の長谷川涼香(日大)と2位の大橋悠依(イトマン東進)には差を広げられてしまい、そのまま3位でフィニッシュ。それでも、一年半ぶりに2分8秒台のタイムをマークでき、昨年の不調から調子が戻ってきていることを確かに感じているようだ。優勝した長谷川が派遣標準Ⅱをクリアし、代表に内定。残る1枠は来月から行われるジャパンオープンに選考が持ち越された。「しっかりと調整をして挑みたい」。個人での世界選手権代表入りへ。さらに大きな波に乗った牧野の姿に期待が高まる。
(記事 湯口尊、写真 栗林真子)
★浅羽、好タイムで準決勝を2位通過!
強豪を抑え準決勝を2位通過した浅羽
女子200メートル平泳ぎには浅羽栞(スポ1=東京・八王子学園八王子)が登場。予選は16人中16位で紙一重の通過となったが、「楽に入り過ぎたかな」とレース後には余裕の表情を見せていた。迎えた夕方の準決勝では、「後半勝負になる」という決勝を想定したレースを展開。前半の100メートルを2位で折り返すと、前を泳ぐ青木玲緒樹(ミズノ)を追い抜き、先頭に立つ。その後も他を突き放す快泳を見せ、そのまま2分25秒40でフィニッシュ。青木や今井月(東洋大)、鈴木聡美(ミキハウス)といった代表経験のある選手を抑え、全体の2位で決勝進出を決めた。決勝では「自己ベストは最低ラインとして、2分23〜24秒台の派遣(標準記録)を狙っていく」と話した浅羽。若きホープが世界への切符をつかめるか注目だ。
また、女子800メートル自由形予選3組には佐藤千夏(スポ2=埼玉栄)が出場。隣のレーンを泳ぐ難波実夢(MGニッシン)と700メートル時点まで並んで泳ぎ続けるも、最後は離されてしまいその組2位。全体の3位で駒を進めた決勝では、前半から攻めていき、2年前に記録した自己ベストを更新したい。
(記事 宇根加菜葉、写真 栗林真子)
★丸山、大幅自己ベスト更新で決勝進出!
タイムを確認し、驚いた表情をする丸山
前日行われた男子200メートル個人メドレーの予選および準決勝で、好タイムをたたき出してきた丸山。この日は本命種目である男子200メートル背泳ぎに出場した。午前中に行われた予選から自己ベストに近い2分01秒46をマークし、11位で突破。1分59〜2分00秒台を目標タイムに設定し、準決勝に挑んだ。前半100メートルを「かなり速い」という58秒02で入ると、ここから丸山の強みである後半の粘りが発揮される。ラスト50メートルで昨年のパンパシフィック選手権日本代表の砂間敬太(イトマン東進)をかわし2位におどり出ると、そのままゴール。タイムは自己ベストを2秒近く上回る1分59秒41。想定以上の結果を目にすると、ガッツポーズが飛び出た。目標としていた決勝進出が達成され、ユニバーシアード競技大会の出場権獲得も目指していきたいという丸山。決勝ではきょう以上の好記録を残し、人々の記憶にその名を刻みつけたい。
(記事 宇根加菜葉、写真 栗林真子)
結果
◇決勝
男子200メートル個人メドレー
竹内智哉 1分59秒26【3位】
女子200メートルバタフライ
牧野紘子 2分08秒17【3位】
◇準決勝
男子200メートル背泳ぎ
丸山優稀 1分59秒41【3位】
女子200メートル平泳ぎ
浅羽栞 2分25秒40【2位】
◇予選
男子200メートル背泳ぎ
丸山優稀 2分01秒46【11位】
大芦知央 2分03秒32【26位】
男子200メートル平泳ぎ
大﨑威久馬 2分12秒97【17位】
白石崇大 2分15秒06【34位】
女子800メートル自由形
佐藤千夏 8分40秒61【3位】
女子200メートル平泳ぎ
浅羽栞 2分30秒63【16位】
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コメント
決勝進出者
竹内智哉(スポ3=神奈川・湘南工大付)
――自己ベストまであと少しというところですが、いかがですか
自己ベストが出したかったので悔しいところはあるんですけど、200の個人メドレーで今年日本選手権で初めて表彰台に乗れたのでそこは良かったかなと思います。
――最初のバタフライから積極的にいかれたのですか
ラップをさっき見て、背泳ぎでもう少し上げたかったんですけど、後半にバテるのを少し恐れてしまって、そこで思い切りいけなかったところはあったかなと反省はしています。
――藤森丈晴選手(ミキハウス)と競り合っていましたが、意識はしていましたか
藤森選手もほぼ同じようなラップでくるのが予選から分かっていたので、最後のフリー(自由形)勝負になった時に藤森選手とは400でも戦うことになると思うので、フリーでしっかり競り勝てたのはすごく良かったかなと思います。
――準決勝から自由形のタイムを1秒近く上げていますが、そこについては
準決勝では最後のフリーで思い切りいっていなかったというのもあってタイムが遅かったのもあるんですけど、自分が思っていたように最後に競って勝てたというのはタイムよりも大きなものがあるかなとは思いました。
――男子400メートル個人メドレーに向けて、どのように調整していきたいですか
距離が倍になって全部同じような泳ぎはできないので、あした1日空くのでそこで400の泳ぎやレースを確認してあさってにつなげたいと思います。
牧野紘子(教2=東京・東大付中教校)※囲み取材より抜粋
――3位という結果と2分8秒17というタイムを振り返っていかがですか
派遣突破と2位以内を目指していたので、とても悔しい気持ちが残っています。でも、2分8秒台のタイムを出せたのは一年半ぶりくらいだと思いますし、調子が戻ってきた感じはあるので少しホッとしている気持ちもあります
――女子100メートルバタフライ優勝から始まり、夏に向けて自信となる泳ぎができているように思いますが、夏に向け更に上に行くためにこれからどのようなことを頑張っていこうと考えていますか
今のレースでも100メートルまでは感覚が良かったのですが、100メートルをターンしてからは後半置いていかれる感じとなってしまいました。後半の部分でも、もがくような泳ぎではなく足でリズムをとって、ひとかきでもっと前に前に進めるように改善したいです
――これからへの自信につながる試合となったということでしょうか
そうですね。優勝に全く届かなかったというよりは、前の選手に付いていきはしたものの競り負けたという感覚なので、少し清々しい気持ちではいます。まだこの種目の世界選手権の枠は一つ残っているので、ジャパンオープンで調整できればなと思います。
準決勝進出者
丸山優稀(法3=埼玉・大宮)※囲み取材より抜粋
――手応えはレース前からありましたか
少しはいいかなという感じはあったんですけど、ここまでいいとは思っていなかったのですごくうれしいです。
――具体的にどんなところが良さそうですか
後半に粘れたというのが良かったと思います。
――状態がいい分後半に粘れたということですか
そうですね、予選の時は微妙だったと言ったんですけど、この休憩の間に修正できたかなと思います。
――今大会に向けての目標は
決勝に残るということを目標にしてきてそれが達成できたので、次はユニバ(ユニバーシアード競技大会)とかが視野になってくると思うので、あと24時間ぐらいですけどゆっくりして、獲得できるように頑張りたいと思います。
――自分の泳ぎの特徴は
プルが割と強いので、他の人よりもテンポが遅めで結構進むイメージなので、腕が疲れなくて済むのかなという気がします。
――前半と後半というのは
どちらかというと後半勝負というのが自分の持ち味だと思うので、前半を流して後半いくというレースがきょうもちゃんと展開できたので、良かったなと思います。
――前半はどれぐらいのタイムでいけますか
(58秒02は)かなり速いです。そこまで速いということは、すごく調子が良かったんだと思います。
――決勝に向けては
かなりいいタイムでこれたので、決勝でもこれと同じくらいのタイムか、それ以上のタイムを出せるように頑張りたいと思います。
浅羽栞(スポ1=東京・八王子学園八王子)※囲み取材より抜粋
――あした狙うタイムは
自己ベストは最低ラインとして、2分23〜24秒台の派遣(標準記録)を狙っていくのが目標です。
――そのためにはどこがポイントになりますか
前半をいかに楽に入れるかで、後半それをずっと維持できるかにかかっているかなと思います。
――前半の目安になるタイムはありますか
そうですね、9秒台頭で入って、後半落ちないで36秒台の前半、後半でいけたらいいかなと思います。
――ライバルの先輩たちがたくさんいますが
周りはそんなに気にしないで、自分の泳ぎができれば絶対にいいタイムが出るというふうには思っています。
予選後
大芦知央主将(スポ4=大阪・関大北陽)
――狙っていたタイムとは開きがありますか
そうですね、ちょっと遅かったかなとは思うんですけど、この状況の中でできることはやれたかなと思うので、オープン(ジャパンオープン)であったり、早慶戦、インカレ(日本学生選手権)に向けてもう少し改善していければいいかなと思います。
――どういうところを改善していきたいですか
体重が増えているので体型の面であったり、後半のスタミナ、100から150や最後を強化していければいいかなと思います。
――レースプランはどういうふうにしていきたいですか
前半に力んで後半にバテてしまうところがあるので、前半を落ち着いていって、後半勝負を仕掛けていければいいかなと思っています。
――来週には東京六大学春季対抗戦がありますが、チームとしてどういうふうに挑んでいきたいですか
新1年生も入って初めての対抗戦ということで、明治や法政に勝って総合優勝を目指していければいいかなと思います。
丸山優稀(法3=埼玉・大宮)※囲み取材より抜粋
――男子200メートル背泳ぎの位置付けは
こっちがメインでこっちで記録を出したいと思っているので、準決勝に向けて頑張りたいと思います。
――昨日の個人メドレーは気持ち良く泳ぐことができましたか
専門なんですけど、どちらかというと2バック(男子200メートル背泳ぎ)よりは比重が軽めなので、楽しんで泳げたと思います。
――調子は良さそうですか
そうですね。
――続く準決勝ではどのような泳ぎをしたいですか
ベストに近いタイムで泳げたので。決勝に残るは2分00秒や1分59秒を視野に入れていかないと駄目だと思っているので。後半が遅かった印象があるので、そこを修正できればなと思います。
大﨑威久馬(スポ2= 神奈川・桐光学園)
――タイムについてコメントをお願いします
準決勝に進むために必要なタイムが2分12秒付近だったんですけれど、結果が2分12秒97ということでギリギリ残れるかどうかのタイムになってしまいました。でも、狙ったタイムに近いタイムを出せたところは良かったと思います。
――泳いだ感触はいかがでしたか
この200メートル平泳ぎという競技がすごく得意で、この競技に向けて高地合宿に行くなどトレーニングを積んできました。その成果を少しは出せたかなと思います。
――レースプランを教えてください
50メートル後半から200メートルまで同じラップタイムで泳ぐことを目標としてずっと泳いでいます。得意な前半、得意な後半とするわけではなく、50メートル4本をしっかり同じようなタイムで泳ぐプランにしています。
――前半100メートル時点で1分4秒49でしたが、いかがですか
ちょっと抑え気味になっちゃったかなって感じがしました。もう少し攻めることができたらなと思います。
浅羽栞(スポ1=東京・八王子学園八王子)
――準決勝進出ぎりぎりの順位でしたが、タイムは想定内ですか
そうですね、もう少し速いといいなというふうに思っていたんですけど、準決勝ではまあまあいい位置につけるといいなと思います。
――今少し伸びなかったのは前半と後半どちらですか
今楽に入り過ぎたかなというのはあるんですけど、決勝で上位に食い込めるようにしていきたいなと思っています。
――女子100メートル平泳ぎの後に、キックのきいた泳ぎをしたいとおっしゃっていましたが、そこについてはいかがですか
キックのかかりは1ブレ(女子100メートル平泳ぎ)の時から結構いいので、それを2ブレ(女子200メートル平泳ぎ)で生かせていければいいかなと思います。
――準決勝はどれくらいのタイムを狙っていきたいですか
準決勝は2分25〜26秒くらいを出して、決勝では23秒台の派遣(標準記録)を狙っていければいいなと思います。
白石崇大(スポ1=広島・沼田)
――タイムに関してはいかがですか
ジュニアエリートAの記録を持っていたので、結構遅かったなと。
――レースプランに関してはいかがですか
50から200まで同じタイムでいこうと思っていたんですけど、多分最後に死んでいるので、もう少し練習したいなと思います。
――150メートル時点で1分39秒69です
ラストがすごく遅いです。JO(ジュニア五輪)から練習できていないところがあるので、またジャパンオープンまでに頑張りたいと思います。
――来週には東京六大学春季対抗戦がありますが、目標はありますか
取りあえず日本選手権を切りたいと思います。