ついに、4年生にとっては集大成となる大会、日本学生選手権(インカレ)が開幕した。総合優勝を狙う早大は、大会初日から素晴らしい結果を残す。井上奨真主将(スポ4=県岐阜商)が自身初となる個人種目でのインカレ優勝を達成し、チームに勢いをもたらすと、それに続くように幌村尚(スポ2=兵庫・西脇工)、渡部香生子(スポ4=東京・武蔵野)、渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)の日本代表組も次々と金メダルを獲得。最終種目の男子4×100メートルリレーでも3位に入り、大会2日目以降に勢いをもたらす結果となった。
★主将の意地見せ、井上が悲願の初優勝!
レース後ガッツポーズをする井上主将
これぞ主将の底力だ。井上が男子400メートル自由形で悲願の初優勝を飾った。大会直前の取材時に調子の良さを語っていた井上は、「ずっと調子が良いままこれた」と自信を胸にレースに臨んだ。予選を2位で通過し、迎えた決勝。「絶対に先行逃げ切りでいこうと決めていた」。得意のレース展開に持ち込むべく、全選手で一番の反応速度でスタートを切ると、前半から積極的な泳ぎでリードする。後続に2秒以上の大差を付け、ラスト100メートルに突入した。しかし、ここから短距離も得意な前年覇者・吉田冬優(明大3年)が猛烈な追い上げを見せる。見る見るうちに差は縮まったが、「最後の最後にみんなの応援が見えたので、絶対にこれは逃げ切らなきゃなと思った」。最後は0秒16差というタッチでの勝負を制して強敵を振り切り、渾身(こんしん)のガッツポーズを見せた。
入学時から4年生での優勝を目標に設定し、懸命な努力を重ねてきた専門種目。見事、有言実行で頂点に輝き、「本当にほっとしている」と笑顔で語った。主将として臨む、最後の大舞台。共に戦う部員に雄姿を見せ、3日間の大会に勢いを付けるレースとなった。
(記事 吉田優、写真 宇根加菜葉)
★幌村が200メートルバタフライでインカレ初優勝!
初日から結果を残した幌村
男子200メートルバタフライに登場した幌村は、終盤に見事な追い上げを見せ、1分56秒08というタイムでこの種目、初優勝を飾った。自身がもっとも得意とするこの種目は、先日行われたアジア大会で銀メダルを獲得した種目でもある。予選をトップで通過し、迎えた決勝。レースは、同じくパンパシフィック選手権代表の矢島優也(明大4年)との一騎打となった。後半の100メートルでスパートをかけると決め、レースに臨んでいた幌村。その作戦通り、150メートル時点では矢島にリードを許していたが、残り50メートルで一気に追い上げ、逆転に成功した。「勝負に勝つという意味ではすごい良い経験になった」(幌村)。今シーズンは4月の日本選手権で優勝して以来、肩の故障も影響し、なかなか結果を出せずにいた幌村だが、このインカレでの優勝を糧に、さらなる高みを目指していってほしい。
また、男子200メートル背泳ぎに出場した大芦知央(スポ3=大阪・関大北陽)は、久しぶりの決勝の舞台となった。決勝では予選よりもタイムを落としてしまったものの「決勝の舞台に戻ってこれたというのは自分の中で結構自信になる」と述べ、初日のレースに確かな手応えを感じていた。
(記事 大島悠輔、写真 宇根加菜葉)
★100メートル平泳ぎは男女とも優勝を達成!
最後のインカレとなる渡辺
ワセダを引っ張る4年生が、初日から頼もしい活躍を見せてくれた。女子100メートル平泳ぎに出場した渡部香生子は、リレー種目に出場しながらも、地力の差を見せつけ圧巻の優勝。3日間で10レースをこなす、ハードな日程となるインカレだが、きょうのレース後には「しっかりと悔いなく諦めないで頑張りたい」と最後のインカレに向けて抱負を語った。また、男子100メートル平泳ぎでも渡辺一平が貫禄の優勝を成し遂げ、この種目でインカレ3連覇を達成した。前半の50メートルは4位で折り返したが、持ち味である粘り強い泳ぎで、後半になると一気にペースアップ。次々と他選手を追い抜き、見事1位でフィニッシュした。「最低限チームのために勝てたというのは良かった」と渡辺。チームの総合優勝に向け、ワセダのエースがしっかりと結果を残した。
(記事 大島悠輔、写真 青柳香穂)
★予選は1位通過も、実力出し切れず悔しい結果に
初日だけで4レースをこなした佐藤
初のインカレに臨んだ佐藤千夏(スポ1=埼玉栄)は、女子400メートル自由形に登場。午前の予選を1位で通過し、優勝への期待が膨らんだ。前半は積極的にレースを進め、上位で折り返す。しかし「後半は本当に落としてしまった」と一気にペースダウン。6位でフィニッシュし、タイムも予選より1秒以上落とす悔しい結果となった。4×100メートルフリーリレーにも出場し、体力的にも厳しかったというこの日のレース。ほろ苦いインカレデビューとはなったが、「今日は今日で一回区切りをつけて、明日挽回できたら」と巻き返しを誓った。
(記事 吉田優、写真 青柳香穂)
★男子が厳しいレースに耐え、表彰台へ!
表彰台で笑顔を見せるリレーメンバー
大会初日の締めくくりは、4×100メートルフリーリレー。先に行われた女子の決勝には、牧野紘子(教1=東京・東大附中教校)・渡部・佐藤・常盤怜以(文構2=東京・早実)の4名が臨んだ。牧野、渡部が積極的に飛び出し、前半を1位で折り返すが、ここから他大が誇るスプリンターたちが本領を発揮。後続がリードを保てず、7位と苦戦を強いられた。シード権獲得を目標とする女子部。初日を終えて当落線上の8位に付け、2日目以降の戦いに臨む。
一方、この日の最終レースとなった男子決勝。伊東隼汰(社1=東京・早大学院)・井上・渡辺・竹内智哉(スポ2=神奈川・湘南工大附)と、予選から順番を入れ替えレースを迎えた。第1泳者・伊東がまずまずのスタートを切ると、井上が順位を落としながらも僅差で後半へつなぐ。渡辺は男子100メートル平泳ぎ決勝直後のレースではあったが、持ち前の大きな泳ぎで2位まで順位を押し上げる。アンカー・竹内は他大とのし烈な争いとなったが、何とか粘って表彰台を死守した。「リレーの表彰台は厳しいかなと思っていたが、達成できたのは大きい」(井上)。得点が個人種目の倍になるリレー種目は、総合優勝へのカギとなる。その中で接戦を制したことは、チームに勇気を与える結果だったに違いない。初日は中京大、近大に続き3位に付けた早大。残り2日間、目標達成に向け、皆で全力を尽くす。
(記事 吉田優、写真 宇根加菜葉)
結果
総合順位(1日目現在)
早大
男子 3位
女子 8位
◇決勝
女子400メートル自由形
佐藤 58秒97【6位】
男子400メートル自由形
井上 3分50秒71【1位】
男子200メートル背泳ぎ
大芦 2分03秒44【8位】
男子200メートルバタフライ
幌村 1分56秒08【1位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分07秒47【1位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分00秒29【1位】
女子4×100メートルリレー
牧野、渡部、佐藤、常盤 3分47秒91【7位】
男子4×100メートルリレー
伊東、井上、渡辺、竹内 3分19秒85【3位】
◇B決勝
男子50メートル自由形
伊東隼汰 22秒72【1位】
◇予選
男子50メートル自由形
伊東隼汰 23秒07【11位】
村上 23秒34【23位】
池江 23秒93【51位】
女子400メートル自由形
佐藤 4分13秒49【14位】
男子400メートル自由形
井上 3分52秒88【2位】
古畑 3分56秒78【22位】
男子200メートルバタフライ
幌村 1分56秒58【1位】
男子200メートル背泳ぎ
大芦 2分02秒21【7位】
丸山 2分05秒30【29位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分07秒61【1位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分00秒55【1位】
大崎 1分03秒48【45位】
女子4×100メートルリレー
牧野、渡部、佐藤、常盤 3分47秒60【5位】
男子4×100メートルリレー
伊東、渡辺、竹内、井上 3分20秒97【3位】
コメント
決勝後
井上奨真主将(スポ4=県岐阜商)※囲み取材からも抜粋
――400メートル自由形での優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか
ずっと目標にしていたので、今は本当にほっとしているというか、目標を達成できてよかったなというのが一番です。
――前半からリードするレース展開は決めていましたか
そうですね。それが僕の持ち味なので、絶対に先行逃げきりでいこうというのは決めていました。自分自身も好きなレース展開でしたし、みんなも見ていて気持ちいいと言ってくれるので、怖い気持ちもあるんですけど、期待に応えるという気持ちもあっていこうと決めていました。
――終盤はいかがでしたか
300メートルくらいまでは気持ちに余裕があったんですけど、ラストは後ろから来ているのも分かっていたので、結構きつかったです。(後ろの選手が)見えていてやばいなとは思っていたんですけど、堪えるしかないなと思いました。
――そのラスト10メートルはどんな気持ちでしたか
最後の最後でみんなが応援しているところが見えたので、絶対にこれは逃げ切らなきゃなと思って頑張りました。
――4×100メートルフリーリレーも見事表彰台に登りました
予選から結構みんな調子がよくて自信はあったので、自分自身のレースだったり一平もレースがあって不安なところはあったんですけど、絶対に表彰台に登ろうという気持ちで頑張りました。
――改めて最後のインカレにはどのような気持ちで臨んでいますか
チームの目標が総合優勝としているので、その目標を達成できるようにチーム一丸となって頑張ろうという気持ちでやっています。
――その総合優勝に向けて、初日を終えての得点状況はいかがですか
取れる分は最大限取れたのかなと思っています。僕自身の優勝もそうですし、幌村だったり一平だったり、優勝っていうのを確実に取れたのでよかったです。リレーで表彰台っていうのも最初は厳しいかなと思っていたんですけど、それも達成できたのは大きいですね。
――この一年間は主将として自分を犠牲にすることもあったと思いますが
それはあったんですけど、主将としてやっているので、後輩たちに絶対優勝する姿を見せようと決めていたので、その思いだけで最後は頑張りました。
――春先は就活もしながらだったと思います
就活のシーズンはきつくて練習回数も確保できなかったですし、ジャパンオープンのあたりは一番きつくてメンタルがやられたりしたこともあって、それが終わってから切り替えて出来たのがよかったです。夏は今までの水泳時間で一番頑張った期間だったのかなと今振り返ると思いますし、それが結果としてつながったのはよかったです。
――先日の対談の際には好調とおっしゃっていましたが、今も変わらず続いていますか
そうですね。ずっと調子が良いままこれました。すごく自信を持ってレースができているかなと思います。
――明日以降に向けて意気込みをお願いします
まだ僕の個人(200メートル自由形)もありますし、リレーも残っているので、そこでも取れる最大限の得点を取って、チームに流れをつくりたいなと思います。
渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)*囲み取材より抜粋
―― 決勝レースを振り返っていかがですか
去年よりも、予選泳いで昼寝して起きた時に体の疲労感が違っていて、精神的にもしんどかったんですけど、自分のすべきことを考えて頑張ったつもりです、
――100メートルの平泳ぎを3連覇で締めくくりましたが、その辺いかがですか
まず最低限チームのために勝てたというのは良かったなと思っているんですけど、タイム的には満足いくものではないですし、前半が少し遅いです。それはパンパシ頃からウエイトトレーニングをやってこなかったことも影響しているのではないかと思っています。
――リレーの方はいかがでしたか
まず3泳として、隣が松元選手(明大)だったので波があったんですけど、チームのために精一杯やったつもりです。
――初日を終えてワセダは3番につけてますが、あす以降に向けてはいかがですか
主将の井上からすごくいい波があると思うので、あしたはメドレーリレー1本になるので、予選から精一杯やりたいです。おそらく幌村が苦しい日になるので、僕がしっかりあいつに力を余らせるほどの頑張りをしたいです。
渡部香生子(スポ4=東京・武蔵野)*囲み取材より抜粋
―― リレーを振り返っていかがでしたか
なかなかきついレースだったんですけども、きょうできることは精一杯出来たかなと思います。
――最後のインカレとなりますが、レースを泳いでどんなことを感じますか
やっぱり3日間で10レースという一番きつい試合なんですけど、きつい試合もこれで最後なので、しっかりと悔いなく諦めないで頑張りたいと思います。
――100メートル平泳ぎを振り返っていかがでしたか
予選が結構良かったので、(2分)6秒台くらいが出れば嬉しいなと思っていたんですけど、来シーズンからの課題にもなったと思います。
――今シーズンの100メートルを振り返っていかがでしたか
全体的にスピードがイマイチだったなと思うので、しっかり大きい泳ぎでもスピードを上げられるようにこれからは意識して取り組んでいきたいと思います。
――あすはメドレーリレーがありますが、残り2日間の抱負をお願いします
あしたは1種目しかなくて少しリカバリーできると思うので、200に向けたイメージもしつつ、リレーでもチームを盛り上げるような泳ぎをしたいと思います。
幌村尚(スポ2=兵庫・西脇工)*囲み取材より抜粋
―― 接戦を制しての優勝ですが、振り返っていかがですか
レース展開としては後半の100からスパートをかけようと思っていて、それが実行されたので良かったんじゃないかと思います。
――矢島選手(明大)との一騎打ちになりましたが意識する部分はありましたか
150までは矢島くんが出てるのがわかったので、諦めないで頑張って僅差で勝てたのは良かったんじゃないかと思います。
――インカレではこの種目初優勝ですが、いかがですか
去年まで先輩の坂井さんが4連覇を築き上げていたので、ワセダとして5連覇できたのは良かったと思います。
――今シーズンは苦しい部分がありましたが、この優勝をきっかけに上がっていくきっかけになりそうですか
タイムとしては納得のいくものではなかったんですけど、勝負に勝つという意味ではすごい良い経験になったんじゃないかと思います。
――あす以降の目標をお願いします
あしたは100メートルバタフライとメドレーリレーがあるので、しっかりチームの力を借りて、優勝できるように頑張りたいと思います。
大芦知央(スポ3=大阪・関大北陽)
―― 予選よりも少しタイムが落ちてしまいましたが、レースを振り返っていかがですか
全国の決勝に3年ぶりに戻ってきて、やっぱりまだ力が足りないというか、自分の弱さを痛感しています。
――決勝のレースプランはどのようなものでしたか
予選では100〜150メートルで一気にタイムを落としてしまって、ラスト50もへばっていたので、奥野さん(奥野景介総監督、昭63教卒=広島・瀬戸内)とは真ん中の100メートル、特に100〜150を意識しようということで、取り組みました。
――あす以降につながる収穫はありましたか
決勝の舞台に戻ってこれたというのは自分の中で結構自信になるので、あしたのリレーが大事なので、そっちに切り替えて頑張りたいと思います。
――インカレ初日でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
注目してた井上さん(井上奨真主将)が優勝して、すごくいい流れを作ってくれて、総合優勝に向けていい感じに向かっているんじゃないかと思います。
佐藤千夏(スポ1=埼玉栄)
――まず400メートル自由形は優勝を狙った中での6位という結果でしたが振り返っていかがですか
前半はそこそこ積極的に行けたのはよかったんですけど、後半は本当に落としてしまったのでそこが敗因かなと思っています。
――今の4×100メートルフリーリレーについてはどうでしたか
スピード自体は乗っていたんですけど、そこまで自分が納得できるタイムではないはずなので、今日は今日で一回区切りを付けて、明日もまたリレーがあるのでそこで挽回できたらなと思っています。
――今日は4レース泳ぎましたが体力の部分ではいかがでしたか
3年くらいまでは似たようなレースを1日5レースとかやっていた時期もあったんですけど、本当に久しぶりで正直きつい部分もありました。でもこれも一つの経験だし、楽しむべきだろうなと思っています。本当は(渡部)香生子さんみたいに一つ一つしっかり結果を残すことも大事だと思うんですけど、私はまだ1年生で先もあるので、今大会は勝ちにこだわりながら、負けても勝っても楽しみに変えられるようにしたいと思います。
――初めてのインカレの会場の雰囲気はいかがですか
インターハイも私の高校は結構盛り上がっていたんですけど、それとはまた違って他の大学もすごい盛り上がりで雰囲気も全然違います。緊張はその分しますけど、楽しめる部分でもあると思います。
――明日以降に向けて意気込みをお願いします
今日は全然ダメだったので、今日の反省を生かして、明日は800メートル自由形の予選なので、しっかり決勝に残りたいです。リレーの方でもしっかり貢献していきたいです。
予選後
池江毅隼(スポ3=東京・日大豊山)
――今のレースを振り返っていかがですか
感覚はよかったんですけど、周りがスタートから出るかなと思ったら出なくて、タイムもいまいちだったので、これから課題を見つけないといけないと思います。
――対談取材の際には「状態がまだ上がり切っていない」とおっしゃっていましたが、2週間経ってみていかがですか
調子はいいと思うんですけど、力みすぎちゃったのかもしれないです。
――明日の100メートルバタフライに向けてはいかがですか
今日のレースはスタートがあまりよくなかったと思うので、しっかり反省を生かして明日はベストを出したいです。
村上雅弥(スポ1=香川・坂出)
―― インカレ初レースでしたが、泳いでみていかがでしたか
ベストが23秒33なので、とても悔しいですけど、でも23秒3自体が2年ぶりくらいで。ちゃんと半年間やってきたことが出せているし、高校よりもレベルアップできているのかなと思います。
――あすの100メートルに向けて意気込みをお願いします
100はこの悔しさをしっかりとぶつけたいと思います。
古畑海生(スポ1=兵庫・市川)
―― このレースを振り返っていかがでしたか
ベストを狙って泳いで、結果出なかったので悔しいです。
――泳いでいる感覚はいかがでしたか
調子はすごく良くて、いけるかなと思ったんですけど、ラスト上げきれなくて駄目でした。
――あすに向けて意気込みをお願いします
あしたは1500(メートル自由形)があるんですけど、そっちは決勝を狙えるベストタイムを持っているので、しっかりとベストを更新して決勝に残りたいなと思います。