距離は異なるものの、自由形を専門とする田中航希(スポ1=埼玉・春日部共栄)と古畑海生(スポ1=兵庫・市川)の1年生コンビ。今回は同じスポーツ科学部ということもあり、練習外でも多くの時間をともにしているというお二人に、初めてとなる日本学生選手権(インカレ)への想いを語っていただいた。
※この取材は8月22日に行われたものです。
「4年生に恩返しがしたい」(田中)
フィジカル面を特に強化しているという田中
――大学での初めてのテストが終わりましたが、授業は一緒にとったりしましたか
古畑 けっこう被ることが多いですね。
田中 一緒にとってますね。
――初めてのテストはいかがでしたか
古畑 難しかったですけど、思っていたよりは難しくなかったです。
田中 みんなで頑張ったんで(笑)。
――ワセダに進学した経緯を教えてください
田中 僕は水泳がやりたくて、高校3年生の時に地元のスイミングスクールを出て大学で練習したいと思ったので、まず学校練習があるところ。あと大人数でやるよりは少人数でみんなで同じ目標に向かっているようなところでやりたかったです。
古畑 僕はスポーツ科学を学びたいと思っていて、スポーツ科学部のある大学を探していた中でワセダは施設も充実していますし、トップレベルの選手たちと練習できる環境もあるので、それに憧れたというのと、寮も近いですしそういった面で選びました。
――部内でウイニングイレブンが流行っているそうですが、お二人もされますか
古畑 流行ってますね。
田中 この二人の中では、今はスマブラが流行ってます(笑)。Wiiのやつです。
――リフレッシュしたい時は、他に何かしますか
古畑 僕は外に出るのがあんまり好きではないので寮にいることが多いんですけど、寮でYoutube見たり、寝たり、漫画読んだりしてますね。
田中 僕は逆にアウトドア派なんで、友達とご飯行くだったり、あとは緑に囲まれているところが好きなので、一時期は明治神宮とかに行ったりしていました。
――お互いに対してどんな印象を持っていますか
古畑 僕は前から知っていたんですけど、小さい頃から速くてすごいなと思っていました。
田中 正直言って初めて見たときは暗いなぁと思ってました(笑)。でも入学してからはみんなんでワイワイやっていて、いじられキャラでやっていると思います(笑)。
一同 (笑)。
「調子はすごくいい」(古畑)
インカレではベスト更新を狙う古畑
――ここからは春の振り返りをしたいと思います。田中さんはジャパンオープンの200メートル自由形で、ベストに近いタイムを出されましたが、あのレースを振り返っていかがでしたか
田中 ジャパンオープンの時は、高校を卒業してギリギリまでスイミングスクールで練習していたので、その感覚がだいぶ残っていました。大学の環境には慣れてなかったですけど、水泳自体は楽しんでいたので、あのタイムが出たのかなと思います。
――古畑さんは主に400メートル自由形、1500メートル自由形に出場されましたが、振り返っていかがですか
古畑 日本選手権の制限タイムを切ったのが、3月のJO(JOCジュニアオリンピックカップ)で、とりあえず大会に出ることを目標にしていたというのがあったので、そこでしっかり結果を出すというのはできたらいいなとは思っていましたが、難しいなと考えていました。大学に入ってすぐにフォームを変えたので、フォームが定まっていなかったというのもあり、タイムがそこまで良くなかったんですけど、それでもジャパンオープン頃には1500メートルだとベストプラス1秒で泳げたので、だいぶフォームがしっかりしてきたのかなと思います。
――もうフォームは定着しましたか
古畑 だいぶ慣れてきて、7月末に国体予選があったんですけど、その時もベストを出せたので、しっくりきているように感じています。
――春シーズンを振り返って、改善点などは見つかりましたか
田中 僕は前からフィジカル面で周りに劣っていると感じていました。大学生になって4月5月の大会でも改めてそれを痛感することができたので、フィジカル面は大きな課題ですね。
――具体的に何か取り組みはしてきましたか
田中 練習前に、ドライトレーニングがあるので、そこできっちり基礎を作って、それをスタートとかターン動作とかにも生かすようにしていますね。
――古畑さんはいかがですか
古畑 練習では月曜、水曜、土曜にメイン練習があって、月曜日と水曜日は400メートルの選手とかと同じメニューをしています。ただ長距離(選手)が僕だけなので土曜日は別メニューになっていて、一人で練習しないとなんで精神的にはしんどいんですけど、逆にそこの練習は週一回の1500メートルが練習できる場なので、そこをしっかり頑張るというのを意識してやってきました。
――自由形を泳ぐにあたり、どのようなプランで泳ぐことが多いですか
田中 (200メートルでは)前半型でもなく、後半型でもない微妙なライン?(笑)ですね。最初の50メートルはスタートがあるので、もちろん速いんですけど、僕の場合ベストタイムが出た時のラップが、50~100メートルも100~150メートルも150~200メートルも全部同じくらいのタイムで泳いでいたんですよ。
――古畑さんは400メートル自由形の時は、前半型、後半型などありますか
古畑 大学に入る前は後半にしか上げられなかったですけど、大学に入ってスピードもついてきて前半から攻められるようになったので、最近は前半から突っ込めるようになってきています。
――練習でも意識して前半からいっていますか
古畑 そうですね。主将の奨真さん(井上、スポ4=県岐阜商)が200、400メートルで前半からスピードのある選手なので、それについていくように練習したらスピードもつくようになったというのはあります。
――7月には初めての早慶戦があったと思いますが、あの雰囲気はいかがでしたか
田中 競泳だけじゃなくて、水球などの他種目を見れたのはとても面白くて楽しい思いはしたんですけど、タイム的にはそんなに良くなくて、体調も崩してしまっていたので、自分のメンタルとフィジカルの弱さが出た試合かなと思います。
古畑 他の部門の活躍とかを見て、刺激になりましたし、チアの応援とかも(笑)。間近で初めて見たので楽しかったです。
田中 チア見すぎでしょ(笑)。
――早慶戦からインカレまでの練習で、特に意識したことはありますか
田中 僕は、さっき言ったフィジカル面の課題を意識しつつ、それを泳ぎに生かすのが難しくて、そこを課題にしてはいました。
古畑 早慶戦では400メートルでワセダ基準を切ることができました。その時のレースがすごく前半からいったレースで、後半かなりきつかったので、そこを上げる練習というのをテーマにやってました。
期待と不安が入り混じる初のインカレ
和やかな雰囲気で対談が進んだ
――話が少し変わりますが、いつから今の種目を専門にやっていますか
田中 僕は中学生の時からですね。ずっと100メートルと200メートルを中心にやっています。
古畑 僕も中学2年生からですね。その時から1500メートルを始めて、そこからずっとという感じですね。
――きっかけはあったのでしょうか
古畑 最初は、全中(全国中学校水泳競技大会)の制限タイムを一番切れそうだなと思ったのが1500メートルで、泳いでみたら切れたので、短距離より長距離の方が体的にも向いてるのかなとも思いました。
――自身の泳ぎで、他人と比べて強みとしている部分はありますか
田中 僕はストロークの長さですかね。人よりもストロークテンポっていって、手の回転の速さが遅い割には、あまりスピードが変わらないというか。そこが長所かなと。
古畑 僕の強みは、どんな大会でも大きくタイムを落とすことが少ないことです。今まで安定したタイムでずっと泳いでこれているので、そこは他の人より強みなのかなと思います。
――高校と大学で、練習内容などに変化はありましたか
田中 1番変わったのは、量を泳ぐことから質を求める練習に変わったことです。いま、大学の練習では一回で4000~5000メートル後半くらい泳ぐんですけど、高校生の時は普通に同じ時間で6000~7000メートルとか練習していたので、そこは大きく違いますね。
古畑 僕は、陸上トレーニングの時間がかなり増えたことですね。高校まではほぼゼロだったんですけど、大学に入って練習前にやったりなどそこは大きく変わったと思います。
――最近コーチから受けたアドバイスはありますか
古畑 僕は疲れてくると泳ぎが雑になってしまって、水面を若干叩いてしまう動作が増えてしまうので、そこを少し丁寧にするというのは教えてもらいました。
田中 僕はメンタルがそんなに強くないので、メンタル面で、自分をもっと強く持たないとダメだよということは言われました。それは、泳ぎの中でも自分の泳ぎを忘れて変な泳ぎをしちゃうと、調子が悪くなりますし、メンタル面でも自分を大事にしないと周りに流されちゃったり、周りの目を気にしすぎてしまうのがあるので、そう言われた時には、そうなんだなと思いました。
――日本代表の先輩たちと練習することでどのような刺激を受けていますか
田中 刺激はもう、たくさん受けています。いつ見ても練習は強いですし、調子が悪い中でもどういう練習をしたら自分はうまく泳げるのかを先輩方は分かっていて、レースに向けてコンディションを上げていくのが本当にうまいなと感じています。このアジア大会の結果を見てもそうですし、日々の練習を見てもすごく感じます。
――先輩方と仲良くやっていますか
田中 みなさんにかわいがってもらっていると思うんですけど、2年生の先輩方は気軽にというか、優しく話しかけてくれて、こっちも楽しく会話できています。もちろん4年生にも3年生にも声をかけてもらっていて、全員の方に包まれているというか、そんな感じがします。
古畑 本当にそう感じます。僕も先輩にはかわいがってもらっています。
――同じ部屋の先輩たちとどこかに行きましたか
田中 僕は焼肉に連れて行ってもらいましたね。
古畑 僕も1回あって、部屋が一平さん(渡辺、スポ4=大分・佐伯鶴城)と、マネージャーの大谷さん(隆二、スポ2=広島・呉港)で、新宿のいい店に連れて行ってもらいました(笑)。
――同期の仲がいいとお聞きしましたが、そう感じていますか
田中 最初入学した時はどうなるのかなと思ったんですけど、この4ヶ月過ごしてきて、みんなも本性を表してきた分、わかったこともあったので、自分は楽しんでます(笑)。この子(古畑選手)も面白いので(笑)。
古畑 みんなそれぞれ個性があって楽しいです(笑)。
――ではインカレについての話に移ります。今のコンディション、仕上がりはいかがですか
田中 僕は正直言ってあまり良くないです。でも自分の目標があるのでそれに向かってやるだけですし、その次はチームのためだと思うので、4年生は最後ですし、そういったとことで恩返しができたらなと思います。
古畑 調子はすごい良くて、体は疲れているんですけど、疲れを取っていったら大ベストは出る気がするので、しっかり調整したいと思います。
――インカレについて、率直に期待が大きいですか、それとも不安が大きいですか
田中 大会に関してはワクワクが大きいです。どんな雰囲気なのか、どれくらい緊張するのかなど楽しみです。自分に対しては不安もありますが頑張りたいと思います。
古畑 僕も期待と不安で半々ですね。
――大学に入って団体戦を経験したと思いますが、いかがですか
古畑 すごい応援されている感じがして、泳ぎ終わって帰った後にも、お疲れって言ってくれるので、頑張ってよかったなという実感があります。
――リレーには個人種目とは違って特別なものを感じますか
田中 リレー自体はすごい楽しいですけど、責任も大きいです。個人レースだと調子が悪ければ全て自分に返ってきますけど、リレーだと他の3人にも迷惑をかけてしまうので、楽しい分、怖い部分もありますね。
――インカレではどの種目に出場されますか
田中 僕は100,200の自由形と8継(800メートルフリーリレー)ですね。
古畑 400の自由形と1500の自由形です。
――レース前にするゲン担ぎみたいなものはありますか
古畑 僕は試合直前には音楽は聴きたくなくて、逆に無音の方が好きで、自分の殻にこもるというか。
田中 ルーティーンがあって、僕は招集所で必ず頭の中を真っ白にするというか、何も考えないようにしています。周りの空間が全部真っ白になっているのを想像してから、レースに向かうようにしています。
――他大学で意識している選手はいますか
古畑 ライバルではないですけど、今の1年生は速い選手が多いので、他の大学の1年生には勝ちたいです。
田中 僕はあまり意識しないようにしてます。ただ、同期も速いですけど、同じ種目に出る明治大学の松元克央選手からは良い影響を受けたいです。
――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします
古畑 僕、いつもメイン(練習)の時に、『努力と根性』と書いてあるキャップを被っているんですけど、、、
一同 (笑)。
田中 なに、あれ狙ってやってるの?(笑)。
古畑 最初はたまたまだったんですけど、先輩に「いつもそれ被ってるな」と言われて、確かにそうだなと思って。最近はメインでずっと被っているので、それをテーマに頑張ろうと思ってます。
田中 まずは自分のレースをして、個人の目標とチームの目標、両方を達成できたらなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大島悠輔)
仲の良い1年生コンビでした!
◆田中航希(たなか・こうき)(※写真右)
1999(平11)年7月6日生まれ。180センチ。73キロ。埼玉・春日部共栄高出身。スポーツ科学部1年。春学期は、「トレーニング科学」という授業が印象に残っているという田中選手。ゲスト講師の方から、正しい姿勢の保ち方などをレクチャーされたそうです。学んだことが競技にも生かせるといいですね!
◆古畑海生(ふるはた・かいき)(※写真左)
1999(平11)年7月12日生まれ。171センチ。62キロ。兵庫・市川高出身。スポーツ科学部1年。普段からその和やかな雰囲気で、同期だけでなく部全体を和ませているという古畑選手。早大男子部唯一の長距離スイマーとして、どんな泳ぎを見せてくれるのか楽しみです!