日本選手権から1か月半、ことしもいよいよジャパンオープンが開幕した。海外代表の選手も参加する今大会。8月に行われるアジア・パンパシ大会への代表選考も兼ねており、きょうから4日間、白熱したレースが繰り広げられる。
★竹内が萩野を破り2位に!
先月から好調を維持する竹内
竹内智哉(スポ2=神奈川・湘南工大付)の勢いが止まらない。ジャパンオープン初日のきょう、男子400メートル個人メドレー決勝に挑んだ竹内は、萩野公介(JAPAN)を破るという快挙を達成。タイムは先月の日本選手権で出した自己ベストをまたもや更新する4分14秒40を記録し、堂々の2位に入った。
レースは出だしから瀬戸大也(平成29スポ卒=JAPAN)が頭一つ抜け出す展開に。2レーンからレースに挑んだ竹内は、最初の100メートルバタフライで8位通過と出遅れたが、決して焦らなかった。「想定していたいいレース展開になったと思います」と竹内。前半で体力を消費しすぎないように意識したことにより、最後の自由形でしっかりと前の選手を捉えることができた。隣を泳ぐ選手たちにリードを許す展開の中でも、自分のペースで泳ぐことを意識。ラスト50メートルでは猛烈なスパートをかけ、一気に2位にまで躍り出た。
レース後、リオデジャネイロ五輪金メダリストである萩野に勝ったことについては「持ちタイムは向こうの方が速いので、勝ったと自信を持って言えないが、今後につながるいいレースだった」と話した竹内。この勢いそのままに、男子200メートル個人メドレーでは日本代表の座を射止めてほしい。
(記事 大島悠輔、写真 佐鳥萌美)
★100メートル平泳ぎでは男女とも3位
渡辺は自己ベストを更新した
ワセダの水泳部を引っ張る最上級生2人が、大会初日にしっかりと結果を残した。女子100メートル平泳ぎに出場した渡部香生子(スポ4=東京・武蔵野)、男子100メートル平泳ぎに出場した渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)それぞれが3位に入り、ともに大会初日から表彰台に上った。
先月の日本選手権では、200メートルにおいて久しぶりの日本代表復帰を決めた渡部香生子。先月にマークした決勝タイムを上回ることができなかったことに関しては悔しいと話した渡部だが、「すごく楽しくレースができました」と笑顔でレースを振り返った。一方の渡辺一平は、59秒78と約1年ぶりの自己ベストとなる好タイムを記録。このレースでタイトルを獲得したYAN Ziwei(中国)とは現在一緒に練習をしており、ともに切磋琢磨(せっさたくま)したことがこの結果につながった。渡部香生子、渡辺一平はともに200メートルを専門としている。「最終日の200メートルでは僕の良さを出して勝てればなと思います」(渡辺)との言葉通り、大会最終日はさらなる良い結果を期待したい。
(記事 大島悠輔、写真 小田真史)
結果
◇決勝
男子400メートル個人メドレー
竹内智哉 4分14秒40【2位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部香生子 1分6秒72【3位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺一平 59秒78【3位】
◇B決勝
女子400メートル自由形
佐藤千夏 4分15秒25【4位】
男子50メートルバタフライ
池江毅隼 24秒09【3位】
幌村尚 24秒40【8位】
◇予選
女子400メートル自由形
佐藤千夏 4分17秒96【14位】
男子50メートルバタフライ
幌村尚 24秒35【10位】
池江毅隼 24秒41【16位】*その後のスイムオフで24秒00
男子400メートル個人メドレー
竹内智哉 4分19秒61【5位】
福岡清流 4分29秒73【47位】
男子100メートル自由形
伊藤隼汰 50秒61【18位】
井上奨真 51秒15【35位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部香生子 1分07秒55【2位】
井ノ口茉里 1分12秒95【48位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺一平 59秒94【2位】
大崎威久馬 1分02秒80【55位】
今井流星 1分03秒65【71位】
男子1500メートル自由形
古畑海生 15分34秒43【14位】
コメント
決勝後
渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)*囲み取材より抜粋
―― 100メートルでの自己ベスト更新ですがいかがですか
1年ぶりの自己ベストなんですけど、僕今までジャパンオープンで自己ベストがでなかったことがなくて、しっかりと100メートルで自己ベストを出せてよかったです。
――世界トップレベルの3人での競り合いのレースでしたが
Yen(中国)とは一緒に練習をさせてもらっているんですけど、100メートルの練習では歯が立たずボコボコにやられているんですけど、しっかりこの試合で僕ができることは精一杯出来たと思うので、最終日の200メートルでは僕の良さを出して勝てればなと思います。
――自己ベスト更新はどのあたりが要因になっていますか
きょうのレースだったらスタートだったりターン動作だったりがうまくいったなと思っています。泳ぎの面ではYenに少しずつ離されている感覚があるのでしっかりとパワーをつけてスピード強化をやっていきたいなと思います。
――夏に向けて、100メートルと200メートルではどのように重点を置きますか
僕自身は200メートルで結果を出したいという気持ちがあるので、200メートルを中心に強化という形になるんですけど、100メートルのスピードを強化しないと200メートルにつながらないというのがあるので、そういう面では100メートルも強化していきたいなと思います。9
――今大会の200メートルではどのくらいのタイムを目指しますか
日本選手権ではケガの影響で追い込みが足りずに2分8秒というタイムだったんですけど、去年のジャパンオープンでは2分7秒7くらいで泳いでいるので、去年の自分を超えられるように頑張っていきたいなと思います。
渡部香生子(スポ4=東京・武蔵野)*囲み取材より抜粋
―― レースを振り返って
目標としていた4月の決勝よりも速く泳ぐことが達成できなかったので、少し悔しいですけど、すごく楽しくレースができました。
――表情からレースを楽しんでいる様子がうかがえますが、いつもとは違いますか
日本選手権でも楽しかったことは楽しかったんですけど、やっぱり全体的にピリッとした雰囲気だとか、自分自身ピリピリしたところがあったので、こうやって挑戦できるようなレースが楽しかったように思えます。こうやって心の底から純粋にレースを楽しめているのは久しぶりだと思いますし、やるならこうやった方がすごいいいことだなと思います。
――気持ちの面でも強い渡部香生子が戻ってきたように感じますが
どんな時でもポジティブに考えられるようにもっともっと努力していきたいなと思います。
――今大会残りの2種目についての抱負をお願いします
残りに向けては、あしたのレースがなくてオフになるので、しっかり200メートル用の泳ぎと気持ちにするのと、コンディションをしっかりとあげていきたいなと思います。
竹内智哉(スポ2=神奈川・湘南工大付)*囲み取材を含む
―― 予選から決勝へはどう切り替えて臨んだんですか
予選でそんなに調子悪くないのはわかっていたので、意外といけるかなと思っていました。種目の面では監督と話していたんですけど、気持ちの面では不安もありましたが焦らないような感じで臨めたかと思います。
――もし8月のパンパシに選ばれたとしたらどうでしょうか
今までのジュニアの遠征とは違うものだと思うので、わからないことばかりで不安もありますし、決勝に残るのは厳しいことだと思っているので、2020年への一歩としてシニアでの環境を勉強して、周りの選手を見て来年以降につなげていきたいと思っています。ここで入れるか入れないかでは違ってくると思うので、入れることを祈るだけです。
――前半の100メートルは58秒59で8番でしたが、前半に出遅れたという意識はあったのでしょうか
8番というのは今聞いてびっくりしましたが、体力を消費しない泳ぎ方で入れたので、後半その分あげられたと思います。
――隣には丈晴さん(藤森、ミキハウス)が泳いでいましたが、ペースメーカーになっていましたか
隣は気にしないで自分のペースを意識するようにはしていました。最後のフリーの時に前にいたので、その時は抜かす気持ちで泳ぎました。
――最後はすごい追い上げでしたね
反対側の萩野さん(公介、JAPAN)が見えたので、後半いってやろうという気持ちになれました。想定していたいいレース展開になったと思います。
――萩野選手に勝ったという点はいかがですか
今回勝てるとはあんまり思っていなかったので、実感が湧かない感じまあります。でも持ちタイムは向こうの方が早いので、勝ったと自信を持って言えるとは思えないので、今回は勝ちましたけど、これも今後につながる一歩としていいレースだったと思います。
B決勝後
池江毅隼(スポ3=東京・日大豊山)
―― スイムオフではいいタイムが出ましたね
(24秒00は)0秒9くらい更新しました。決勝はもっと上げられるようにとは思っていたんですけど、元々のベストよりは速いタイムで泳げてたので確実に力は付いているかなと思います。
――100メートルにはどんなレースをしたいですか
大学に入ってから53秒台が出ていないので、できればベストがいいですけど、まずは54秒を切るというのを小さな目標として、それを達成できたらなと思います。
佐藤千夏(スポ1=埼玉栄)
――このタイムに関してはいかがですか
ベストが去年のインハイで出た4分10秒9なので、正直言ってかなり遅いです。普段の大会とかでもここまで遅いことは本当にないというか、ここ最近が悪すぎるので、なんとかいいタイムを出したいです。
――予選とB決勝では、レースプランで変更などはありましたか
特にはなくて、B決勝で正直落ち込んでいたところはあったんですけど、2回目泳げるチャンスをもらえただけラッキーと考えて、一生懸命泳ごうと思って取り組みました。
――明日のレースに向けて意気込みをお願いします
あしたに800メートルがあるので、とにかく明後日の決勝につなげられるように全力で泳いで、その後またその時に考えたいなと思っています。
予選後
井上奨真主将(スポ4=県岐阜商)
―― 51秒15というタイムに関してはいかがですか
一応ベストですね。
――前半のタイムに関してはいかがですか
結構突っ込んで、前半からいこうと思っていたので、前半はいい感じかなと思います。
――このジャパンオープンでメインにしている種目は何ですか
200メートルと400メートルですが、400メートルの方が練習してきたのでメインかなと思います。
――このレースのテーマは何でしたか
200メートル、400メートルにつながるように前半のスピードを出せるように頑張りました。
渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)*囲み取材より抜粋
――予選から59秒台、振り返っていかがですか
この100メートルはまだ代表権を獲得できていないので、しっかりとこの100メートルで代表権を獲得するという意味でここ1ヶ月くらいトレーニングを積んできているので、まず予選で59秒出せたというのは良かったんじゃないかなと思います。
――具体的にはこの1ヶ月どのようなことを強化してきたのですか
日本選手権前の調整時にペース練習とかも結構行うんですけど、日本選手権の本番の時にガス欠というような感じがしていたので、今回は力を溜める調整をして100メートルに合わせています。
――決勝はとてもハイレベルな争いになりそうですが目標をお願いします
YAN Ziwei(中国)と小関さん(也朱篤、JAPAN)とすごくレベルの高いレースになると思うんですけど、ここ最近ずっとYANと練習させてもらってるんですけどすごく練習から強くてなかなか勝たせてもらえないですし200メートルの練習でもなかなか勝たせてもらえないっていうのが続いているので、100メートルはYANの方が得意というのはあるんですけど自分のいいところを出して自己ベストを更新して代表権を獲得できるように頑張りたいです。
渡部香生子(スポ4=東京・武蔵野)*囲み取材より抜粋
――予選この100メートル泳いだ感触は
1本目のレースだったのでちょっと緊張したんですけども、これで刺激が入ったなと思います。
――きのうスピードにちょっと不安があるとおっしゃっていましたが
前半の記録とかを見るともう少しいけるかなと思うので決勝ではもっと積極的なレースを心がけていきたいなと思います。
――この種目4月の日本選手権では悔しい思いをしましたがこの決勝どんなところをポイントにおいて泳ぎたいですか
目標としては日本選手権決勝のタイムを上回れるくらいの記録で泳ぎたいなと思っています。夏に向けて自信をつけられるようなレースをしたいと思います。
池江毅隼(スポ3=東京・日大豊山)
――タイムは日本選手権より伸びていましたが手応えは
伸びていましたか。日本選手権終わってから調子を崩してしまって、今大会まで立て直すことができずに臨んだんですけど、日本選手権より伸びていて驚きです。
――日本選手権からの間、取り組んできたことは
この春コーチが変わったんですけど、新しいコーチになってからしっかり自分の泳ぎと向き合ってきて、そうするとなかなかうまくいかないことも多くてメンタル面も上手くいかないことも続いていて、そんな中でもこのタイムはまあまあだと思います。
――100メートルに向けては
100メートルは自信がないので、とりあえず今自分ができることをしっかりできるように準備したいです。
幌村尚(スポ2=兵庫・西脇工)*囲み取材より抜粋
―― 試合を振り返って
ベストを狙っていたんですけど、体があんまり動いていない感じですが、スピードなどを確かめられたと思うので、明後日の200メートル以降につなげられたらいいなと思います。
――体が動いていないのは朝だからでしょうか
朝というのもあるかもしれないです。
――日本代表として出る初めての大会ですがいかがですか
今までとは違う立場での試合となっているので、代表に恥じないようなレースをしたいです。
竹内智哉(スポ2=神奈川・湘南工大付)
―― 泳ぎ終わって手応えはどうですか
思ったよりも軽く泳げたかなという感じで、悪くはないです。
――このタイムに関してはいかがですか
泳いでいてこれくらいかなという感じです。
――この予選はどんなテーマを持って臨みましたか
前半の入りを確認するというのがありました。遅いですけど、決勝で修正できたらなと思います。感覚としてはそんなに悪くなかったです。
――ジャパンオープンに向けて取り組んできたことは何ですか
ターン間際について気を使ってやっているんですけど、なかなか癖が抜けないですね。
福岡清流(スポ2=大阪・桃山)
――レースを振り返ってもらっていいですか
後半がバテバテでした。
――タイムが4分29秒73という結果でしたがそのタイムについて
だいぶ遅いです。最近結構コンスタントにタイムが出ていて最近はずっとベストで泳げていたんですけど、調整がうまくできず遅いタイムになってしまいました。
――調整がうまくできなかった要因は
今週に入って調子が悪くてそれを全然戻せなかったです。
大崎威久馬(スポ1=神奈川・桐光学園)
―― 1分2秒80というタイムについてはいかがですか
ベストが1分2秒0で(それと比べて)少し遅いので、自分としては良くはないと思います。
――前半を29秒60で入りましたが
29秒6というのは大体の目安のタイムなので、自分では大きく入ったつもりが後半に伸びてないっていうのがあるので、そこは良くはないという印象です。
――現在のコンディションはいかがですか
良くも悪くもないという感じで、すごく調整してこの大会に挑んでいるわけではないので、良くはないですけど200メートルにつなげていきたいなと思っています。
――練習で意識してきたことは何ですか
自分が得意なのは200メートルの方なので、継続的に後半のラップを刻むというのをやってきました。そこは修正して200メートルに向けて頑張りたいなと思います。
古畑海生(スポ1=千葉・市川)
――レースを振り返ってもらっていいですか
狙っていたタイムが15分30秒を切ることだったんですけどそれを切ることができず悔しい気持ちです。
――レースプランはどういうものでしたか
いつもより前半を飛ばしてそのままキープするレースプランでした。
――ジャパンオープンに向けてどういう取り組みをしてきましたか
まだ早稲田標準記録を突破していなかったので、それを切ることを第一に、段階的にこの大会で15分30秒を切ることを考えていたので15分30秒のペースで泳げるようにずっと練習してきました。