渡辺、初めてのメダルと共に帰国!総長へ結果報告

競泳

 ついにメダルの獲得だ。先月ハンガリーのブダペストで行われた第17回世界選手権の男子200メートル平泳ぎに渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)が出場。序盤から隣のレーンの小関也朱篤(ミキハウス)を追いかけて積極的に飛ばし、一時はトップに躍り出る。ラスト50メートルではアントン・チュプコフ(ロシア)と小関のし烈なデッドヒート。惜しくもチュプコフ、小関に敗れはしたが、2分7秒47で堂々の3位につけ、銅メダルを獲得した。

総長と握手を交わす渡辺

 『今までメダルを持ってくることができたわけではなかったので、メダルという形を持って報告できたことをうれしく思います』。8月4日に行われた鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)への報告会にて渡辺は開口一番に語った。ことしの1月の東京都選手権にて男子200メートル平泳ぎで世界新記録を樹立。この競技の大本命として期待を一身に受け、「日本のお家芸復活」を掲げ、世界選手権に臨んだ。渡辺は今までの総長への報告会ではメダルを持ってくることがなかった。それだけに、初のメダルとなった世界選手権での銅メダルは悔しさはあるもののうれしさも大きかった。見据えた目標へのアプローチに少しずつ手ごたえを感じるようになっている。今回の経験を糧に来年のパンパシフィック選手権。そして、2020年東京でのオリンピック。一番輝くメダルを目指して。渡辺の活躍から目が離せない。

ワセダベアに銅メダルをかける渡辺

(記事・写真 石田耕大)

渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋

――メダルを持って報告を終えた感想を教えてください

何度か報告をしているんですけど、今までメダルを持ってくることができたわけではなかったので、こういったメダルという形を持って報告できたことをうれしく思います。

――今回レースを終えてから少し時間が経ちましたが、メダルの重みなど自分のなかで気持ちの変化などはありますか

こうやって日本に帰ってきて、メダルを取れてすごく良かったなと思っています。こういう報告会もそうですし、メダルを取らなかったらこういうこともできないですし、もちろん悔しさはありますけれども良かったかなとは思っています。

――メダルを取れたことで渡辺選手のなかで何か変わったのかなと思うのですが、いかがでしょうか

メダルを取れたというのは僕も1つ目標としていたので、目標を達成できたというのはうれしく思います。だけど同級生のチュプコフくん(ロシア)に差を見せつけられたという悔しさもりますし、この銅メダルというのは2人に負けてしまっている証拠でもあるので次は金メダルを獲得できるように頑張りたいと思います。

――今回課題が明確になった大会ではないのかなと思うのですが、そのあたりはいかがですか

いろんな課題を見つけることができたんですけど、1番感じているのはチュプコフくんのラスト50メートルの強さです。僕自身もラスト50メートルは強いとずっと思っていたんですけど、そこまでラスト50メートルで抜かされるとは。自信をなくすので、あのラスト50メートルはスピードもないとできないラスト50メートルだと思うので、31秒台で入ってきた選手はほとんどいないと思うんですけど、チュプコフ選手はそれをしています。もちろんチュプコフ選手に勝つというのを目標にした時に前半から逃げるというレースプランももちろんそうですしラスト50メートルで競り負けないというスピード力の強化も必要なので、スピード力強化と前半からいっても最後にバテない持久力というのが大事じゃないかなと思っています。今回初日の100メートルで自己ベストも更新できずに悔しい思いをしたので、100メートルも強化して200メートルにつなげていきたいと思います。

――いろんなレースプランを試していけるという手ごたえをつかんだのかなと思うのですが

去年のオリンピックの時はラスト50メートルとか後半の100メートルしか僕のレースプランの考えにはなかったんですけど、1年経って前半から行くレースプランもできますし、後半もいけるレースプランもできるという、200メートル平泳ぎの幅が広がったかなと思います。さらにこの幅に磨きをかけて、前半から行くならもっと前半から行く、ラストにかけるならもっとラスト50メートルにかけるといったように幅を広げていきたいなと思います。

――(競泳日本代表チームの)平井伯昌監督の言葉にもあったのですが金メダルを取るには世界記録を目指さなければいけない、と。唯一日本人で世界記録を持っている渡辺選手はどのように受け止めていらっしゃいますか

今回チュプコフ選手も2分6秒台を出していますしたぶん僕が1人目でチュプコフ選手は2人目だと思うんですけれども、こうやって2分6秒台をどんどん出してくるのではないかなと思います。僕の2分6秒67という記録もいつか抜かれてしまうのではないかと思います。もちろん世界の選手もどんどん超えてくると思いますし、僕自身もどんどん超えていかないとなという気持ちもあるので、世界記録をさらに更新していって世界の一番大きな舞台で世界新記録を出せば金メダルも付いてくると思うので、そういう選手になりたいと思っています。

――日本代表が解散せずに継続していくということで、これまで以上に小関選手(也朱篤、ミキハウス)と練習で切磋琢磨(せっさたくま)しあう機会も増えると思うのですが、それについてはいかがですか

4月の日本選手権を終えて、「小関さんと絶対に2人でダブル表彰台を取るぞ!」と言いながら、ずっと練習をやってきていましたし、僕自身小関さんと一緒に練習をしたことがないんですよね。すごく練習に強いと言う話は聞いたことがあるんですけど、一緒に練習をしてみたいなとも思います。小関さんと練習すればスピード力、持久力、いろんな面で課題を明確にできると思うので、小関さんと切磋琢磨して来年からは1、2フィニッシュというのを目標にやっていきたいなと思います。

――渡辺選手から見て小関選手はどのような存在なのでしょうか

小関選手は200メートルにおいては僕の方が自己ベストが速いんですけれども、もちろん練習中も小関選手に勝ちたいと思いながらライバル意識を持ちながら、絶対に負けないぞと思いながら練習をしているので、小関さんに早く追い付いて追い越したいという気持ちがあります。