最終日を迎えたジャパンオープン。この日の注目競技はなんといっても男子200メートル平泳ぎ。この種目の世界記録保持者である渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)に注目が集まっていた。惜しくも世界記録更新とはならなかったが、序盤から積極的なレースで優勝。世界選手権へ向け、弾みをつける大会になった。
★渡辺200平で連覇
堂々の大会連覇だ!
大会最終種目となる男子200メートル平泳ぎ決勝に渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)が登場した。予選を1位で通過した渡辺は、決勝でも序盤から積極的な泳ぎを見せた。強化に力を入れ、着実に手応えをつかんできた前半100メートルを1分1秒42と自己ベストに近いタイムで折り返す。後半は少し失速したが、他の選手に2秒以上の差をつけゴールし、連覇を果たした。今大会での「2分7秒台を出す」という目標を達成しながらも「感覚がものすごくよかったのでタイムがもう少し欲しかった」とレースを振り返った渡辺。7月の世界選手権では、自身の世界記録を更新しての優勝と、小関也朱篤(ミキハウス)とのW表彰台のために新たな目標を設定し自らをさらなる高みへ導いていく。
(記事 糸賀日向子、写真 佐藤慎太郎)
★ルーキーも奮起!課題も明確に
軽快にバタフライを泳ぐ竹内
最終日はルーキーの奮起が目立つ一日でもあった。男子200メートル個人メドレーには竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)が登場。前日に行われた男子400メートル個人メドレーでは惜しくも9位と決勝にあと一歩及ばなかった。それだけにきょうの個人メドレーへかける思いは強かった。前日同様前半から積極的なレース展開で全体7位。決勝に駒を進めた。決勝でも初めのバタフライで先行するも、続く背泳ぎで失速。「そのままずるずるいってしまった」とレース後に振り返るようにそのまま7位でフィニッシュ。インカレへ向け背泳ぎ強化という課題が明確になった。一方、50メートル、200メートルではともにB決勝と悔しい結果に終わっていたルーキーの幌村尚(スポ1=兵庫・西脇工)。この大会を通じてスピード面での強化には手ごたえを感じていた。雪辱を果たすべく臨んだ男子100メートルバタフライ。こちらも積極的なレースで予選を3位で突破。迎えた決勝では、前半から出遅れ、後半の追い上げも届かず6位。納得のいくレースができなかった。スタートなどに課題を残した。8月にはユニバシアードが、そして、9月には全日本学生選手権(インカレ)が控えている。インカレではチーム全体のレベルアップが不可欠だ。4年生と臨む最後の大会へ向け、ジャパンオープンで見つかった課題の克服がこれからにつながる。
(記事 石田耕大、写真 佐藤慎太郎)
世界選手権での活躍に期待が高まる
結果
◇決勝
男子200メートル個人メドレー
竹内 2分01秒64【7位】
男子100メートルバタフライ
幌村 52秒84【6位】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分07秒77【1位】
◇B決勝
女子50メートル
山口真旺(スポ4=兵庫・須磨学園) 29秒28【3位】
男子100メートルバタフライ
坂井聖人(スポ4=福岡・柳川) 52秒91【3位】
◇予選
男子200メートル個人メドレー
竹内 2分01秒70【7位】
野田飛雄馬(スポ3=茨城・古河一) 2分07秒23【57位】
女子50メートル背泳ぎ
山口 29秒21【12位】
男子50メートル自由形
古川慎一郎(スポ3=長野・佐久長聖) 23秒19【21位】
女子100メートルバタフライ
志賀 1分00秒97【18位】
男子100メートルバタフライ
幌村 53秒02【3位】
坂井 53秒21【10位】
池江毅隼(スポ2=東京・日大豊山) 55秒36【位】
男子200メートル平泳ぎ
渡辺 2分10秒34【1位】
竹内 2分16秒80【49位】
坂田匠(スポ4=新潟一) 2分17秒10【50位】
今井流星(スポ1=愛知・豊川) 2分20秒18【69位】
コメント
決勝進出者
渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋
――レースを終えた感想は
2分7秒を出すという目標は達成できたんですけど、ちょっとラストのバテがありましたし、もっと鍛えないとなというレースでした。
――前半の入りについては
今回も先行するレースだったんですけど、落ち着いてレースを積極的に進められたので良かったと思います。
――試合に臨むにあたってどんなレースプランを考えていましたか
積極的なレースをしたいと思っていました。オーバーぺースにならず僕らしい積極的なレースをしたいという気持ちでレースに臨んでいたのでそれもしっかりと達成できたんじゃないかなと思います。感覚がものすごくよかったのでタイムがもうすこし欲しかったなという気持ちはあります。来月の世界水泳では自己ベストをさらに更新してW表彰台を獲れるように頑張りたいと思います。
――世界選手権の決勝で世界記録というのはご自身の中ではどのように捕らえますか
狙った大会、レースで結果を出すというのがこれからの僕の課題だと思います。それを7月の世界水泳で達成して、昨年のリオ五輪でメダルを獲れなくて小関(也朱篤、ミキハウス)さんと悔しい思いをしたのでW表彰台を獲って僕自身も世界記録で優勝だけを考えていきたいと思います。
――きょう前半1分1秒32で世界記録を出した時とほぼ同じ記録でまわっていて強化してきている前半100メートルというのはレースを追うごとに手ごたえは感じてきていますか
今回も(1分)1秒前半くらいで入れるかなという気持ちでターンに入ったのでそこはタイム通りなのでよかったんじゃないかなと思います。でも後半疲れもあってバテてしまいました。これから約2か月あるので強化して僕らしい泳ぎをすれば他の選手を寄せ付けない泳ぎができると思うので、僕らしい泳ぎで世界記録を更新したいと思います。
――残りの2か月で強化するのは後半の100メートル、スタミナなどでしょうか
もちろんスタミナ、持久力で負けてしまったら僕らしさがなくなると思うのでそこも強化したいです。でも前半思い切った泳ぎができないと他の選手も僕のことを怖がってくれないと思うので異論レース展開をできるようになりたいと思います。だからスピード強化も必要なんじゃないかなと思います。
――世界選手権に向けて今大会得たものは
(日本)選手権の時もそうだったんですけどタイムよりもここは絶対これをしたいという目標をもってレースに臨んでそれをしっかり達成することができています。今回は2分7秒を出すという目標もそうですし、前半を僕が先行するというレースでも落ち着いて1分1秒前半というタイムでは入れているので目標をしっかり達成できたというのは僕としてもよかったんじゃないかなと思います。世界水泳ではもっと高い目標をもってレースに臨むと思うので、高い目標を達成出来るように頑張りたいと思います。
竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)
――今のレースはどうでしたか
バタ(バタフライ)から勢いよく入ったんですけど、バック(背泳ぎ)でもたついてしまって、その後もずるずるいってしまった。
――予選よりはタイムをあげましたが
正直いいタイムとは言えないです。午後に身体が動くのは当たり前だと思っていて、それで0.1秒くらいしか縮められなかったので、悔しいです。
――インカレへ向けてやっていきたいこと
自分は(個人メドレーだと)バックでちょっと遅れてしまうっていうのがこの大会で目立ったので、バックをしっかり泳いで後ろにつなげられるようにしたいです。
幌村尚(スポ1=兵庫・西脇工)
――今のレースを振り返って
思ったよりタイムが伸びなくて悔しいです。あまり納得のいかない結果のジャパンオープンだったんですけど、これからもまだまだ時間はあるので、一回一回の練習をしっかり集中して夏にいいタイムが出せるように頑張りたいです。
――午後に向けて改善しようとしていたスタートはどうでしたか
少しは良くなったと思うんですけど、まだまだなので、しっかり練習していきたいです。
――ユニバシアードに向けてやっていきたいこと
前半から積極的なレースをして後半粘れるようなレースができたらなと思います。
B決勝進出者
山口真旺女子主将(スポ4=兵庫・須磨学園)
――レースを終えていかがでしたか
順位を上げられたことは良かったです。でもタイムが、最後28秒出したいなと思っていたので、残念だったかなという感じです。
――ジャパンオープンを振り返っていかがでしたか
ちゃんと練習を100パーセントは出来ていなかったんですけど、ちゃんと切り替えることができました。それで最後の(女子)50メートル(背泳ぎ)ではB決勝まで残って2回泳ぐことが出来たのでまずまずの試合だったかなと思います。
――インカレに向けて強化するところは
インカレはもう(女子)50メートル(背泳ぎ)はなくて、(女子)200メートル(背泳ぎ)も出なきゃいけないので、戦えるように準備していきたいなと思っています。
――インカレへの意気込みをお願いします
最後の年で主将としてちゃんと決勝に残ってチームに貢献できるようにしたいと思います。
坂井聖人(スポ4=福岡・柳川)※囲み取材より抜粋
――この大会を通じてのパフォーマンスというのはいかがでしたか
いやー、どんどん1日ごとに疲れがたまっていって、最後に1バタ(男子100メートルバタフライ)になったんですけど、ちょっと情けないかたちで終わりました。(世界選手権日本代表の)男子の中でもB決勝多分僕だけなので、情けない気持ちもありつつ、最低52秒前半くらい出してA決勝と戦えるくらいまで行こうとは思っていました。でも前半突っ込んだら案の定後半バテてみんなに抜かれるっていうオチになってしまいました。まあでもタフなレースはできたと思います。だからポジティブに考えて、6月の後半から山に行くので、それなりにしっかりトレーニングを積んだ状態でトレーニングに取り組んでいきたいと思います。
――世界水泳に向けての過程としてはそんなに悪くないですか
悪くはないと思います。1バタはちょっと悪かったですけど2バタ(男子200メートルバタフライ)はタイム的には悪くても感覚的にはそんなに悪くなくてフィーリングとしては良いです。だからそれをいいように変えて世界水泳までにもうちょっと泳ぎ方も改善しつつペースも上げていきたいです。
――タフなレースに挑戦しようと思った狙いは
あくまでも2バタの後半というのが一番僕の中であります。あとは萩野(公平、ブリヂストン)さんとか瀬戸(大也、平29スポ卒=現ANA)さん他種目を泳げる方なので、僕もそのポジションになりたいなというのもあって今回いろんなものにエントリーしました。結果としてはB決勝が多くなってしまってあまり決勝にはいけずただ疲労がたまった状態でレースすることになってしまったのがまだまだだなと実感しました。
――いつもと違う種目に出場することからくる疲労もあるのでしょうか
違う種目だとどうしても力んでいろんなところを使ってしまう部分があるのでその影響もあるのかなと思います。
予選後
山口真旺女子主将(スポ4=兵庫・須磨学園)
――レースはいかがでしたか
100が悪かったわりには、ちゃんと持ち直して泳げたかなと思います。
――予選でよかったところは
予選からベストに近いタイムでいけたことが良かったのかなと思います。
――課題はありましたか
ちょっと最後失速した感じがあったので、残念だったかなと思います。
坂田匠(スポ4=新潟一)
――今のレースを振り返っていかがでしたか
感覚は悪くなくて、ベストに近いタイムが出たと思ったんですけど、タイムが合わなかったので残念です。
――どのように調整されてきましたか
2週間前くらいに小指を剥離骨折して、その影響であまり泳げない時期もありました。それでもちゃんとなるべく我慢して泳ぐようにして、調整するようにしていました。
――今日のレースはどのような戦略をたてていましたか
練習で上手くスピードが出せなかったので、なるべくイーブンペースで揃えようとしました。
――実際はいかがでしたか
ちょっとタイムがわからないのでなんとも言えないんですけど、前半抑えすぎたかなっていうのはあります。
――インカレに向けてはどのような調整をしていかれますか
まず、インカレに出るための記録をきっていないので、そこを早慶戦で必ずきりたいと思います。
――次の試合に向けての意気込みは
身体を万全な状態にして臨むようにしたいです。
渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋
――予選を泳いでみて感覚的な部分でいかがですか
きのうの100メートル個人メドレーの疲れもあり、すごい身体が重かったんですけどしっかりしたタイムで泳げたのでよかったと思います。
――200メートルについてはまだレースプランが未定ということだったんですけれども、どのような戦略でいったのでしょうか
多分この予選は、前半行って後半流すとかじゃなくて全部相対的にペースを揃えたいという気持ちがありました。ラップをちゃんと見ていないのでよくわからないんですけども、感覚も悪くなかったのでよかったと思います。
――決勝に向けては具体的なレースプランというのは決まっているのでしょうか
この2日間の疲れもあるんですけども、僕の目標は日本選手権の2分07秒60をきることです。どのようなレースになるかまだ分からないんですけど、選手権よりも早いタイムをたたき出せるように頑張りたいと思います。
野田飛雄馬(スポ3=茨城・古河一)
――レースを終えていかがでしたか
調子良かったので、ベストを目指していたんですけど、レースになるとうまくいかなかったです。
――今回は男子200メートル個人メドレーだけの出場でしたが、どのように調整されてきましたか
2個メ(男子200メートル個人メドレー)だけだったので、2個メの練習だけしてきました。いい練習ができていたので悔しいです。
――どんな作戦で今日は臨まれましたか
なにも考えず、頑張ろうという気持ちだけで泳ぎました。
――次の試合に向けての意気込みは
来週も試合あるので、この1週間で反省をいかしていきたいです。
古川慎一郎(スポ3=長野・佐久長聖)
――今のレースを振り返って
タイムを見たときに23秒1だったのでベスト出なくて、2回目泳ぐこともできなかったので、悔しい気持ちもあるんですけど、日本選手権終わってインカレに向けての新たな出発としていいタイムで泳げたとは思うので、インカレで爆発するためにこれを機に頑張りたいと思います。
――日本選手権を終えてやってきたこと
無呼吸で(最後まで)いくのでそのための練習とかスタート技術の改善をずっとやってきたのでまだ完成してないのでそれが大きかったかなと思います。あと、インカレに向けて体力強化をやってきていました。
志賀珠理奈(スポ3=埼玉・武南)
――今のレースを振り返って
最近1分00秒台が出てなかったので、久しぶりにいいタイムだったなと思いました。
――ジャパンオープン初日を終えてからやってきていたこと
200メートルとは違う速いテンポの泳ぎに慣れるために、きのうときょうのアップでスピードを意識して泳いできてました。
――それがうまくいったという感じですか
ベストとはほど遠いんですけど、きょうできる限りのことをした中ではよかったと思います。
――インカレへ向けてやっていきたいこと
インカレでは1年生の時の200メートルでA決勝に残った時しか決勝に残ってないので、自己ベスト出せば、表彰台を狙えると思うので、ことしこそワセダに貢献できるように頑張りたいです。
竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)
――予選の二つのレースを振り返って
2コメ(男子200メートル個人メドレー)は予選からいけて決勝に残れてよかったんですけど、2ブレ(男子200メートル平泳ぎ)はまだあまり泳いだことがなかったので、微妙な何とも言えないタイムになってしまって2ブレはもっと頑張りたかったです。
――2コメのタイムについては
きのうまで前半あまりいけてなかったので、しっかりやれてたなと思います。
――午後の決勝に向けて
自己ベストを狙って頑張りたいと思います。
幌村尚(スポ1=兵庫・西脇工)
――53秒02というタイムについては
予選なのでとりあえず決勝に残ることに集中してたんで、タイムは少し遅いんですけど、決勝に残れたのでよかったです。
――スピードについての手ごたえは
きのうの50(男子50メートルバタフライ)でも0.4秒くらいベスト更新してるんで、スピードはだいぶ仕上がってると思うので、前半から積極的にいって、自分の得意としている後半も生かして51秒台目指します。
――決勝に向けやっておきたいこと
しっかりスピードを重視して技術面をしっかり改善できるところを改善しておきたいです。